2025年度日本オセアニア学会関西地区研究例会
最終更新:2025年12月25日
- ◆日時など:
- 行事名: 2025年度 日本オセアニア学会 関西地区例会(研究発表会)
主催団体: 日本オセアニア学会
開催日時: 2026年2月8日(日)14:00〜18:00
開催場所: 園田学園大学 4号館2階講義室 4203
- https://www.sonoda-u.ac.jp/access.html
(オンラインとのハイフレックス開催)
- ◆参加申し込み:
- 参加ご希望の方は、対面・オンラインいずれの場合も下記URLより事前登録をお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSctGyflek6qcGdzirrrlWpjkogNiu5uZ7aGipxivQj6cstiCg/viewform?usp=header
※参加者の皆様へは、前日までにzoomのURLをお知らせします。2026年2月5日までとさせていただきます。
- ◆プログラム
- 14:00-14:05 開会挨拶
14:05-15:05 研究発表(1)
岡野美桜(京都大学大学院博士課程後期課程)
15:05-15:20 コメント
土谷テオリンちひろ(神戸大学准教授)
15:20-15:50 全体討論
16:05-17:05 研究発表(2)
中野真備(甲南女子大学講師)
17:05-17:20 コメント
飯田卓(国立民族学博物館グローバル現象研究部 教授)
17:20-17:50 全体討論
※終了後18:30頃から懇親会を予定しています。
- ◆発表概要
- 発表1:岡野美桜(京都大学大学院博士課程後期課程)
タイトル:パラオにおける健康知識と食行動の乖離―文化的・社会的要因からみる食選択の構造―
概要:
本発表では、2025年6月から12月にかけてパラオ共和国で実施した6ヶ月間のフィールドワークをもとに、同地域における「健康知識と食行動の乖離」が
どのように生じ、いかなる文化的・社会的文脈のなかで維持されているのかを検討する。パラオでは非感染性疾患(NCDs)が主要な健康課題となる一方、
人々は健康的な食物に関する知識を広く有している。しかし日常の食実践は必ずしもその知識に沿うものではなく、このギャップは地域に特有の食選択の構造を
考えるうえで重要な手がかりとなる。調査では、村落に滞在し、秤量食事調査法による家庭料理のレシピ収集、半構造化インタビュー、24時間思い出し法によ
る食事調査を実施した。その結果、食選択に影響する要因として、入手可能性や利便性、嗜好、満足感などに加え、ローカルフードの位置づけが関与しているこ
とが明らかになりつつある。これらの質的知見を踏まえ、文化的価値観や食行動の自己効力感などを測定する質問票を作成し、都市・農村・離島を含む複数地域
において量的調査を行った。質的・量的双方の調査から浮かび上がる「知識はあるのに実践されない」メカニズムに着目し、社会的関係、文化的価値、日常的な
調理の実践がどのように食行動を規定しているのかを示す。また、食事調査および質問票データの行動栄養学的分析の方向性を述べ、パラオにおける食と健康を
めぐる文化的・社会的構造の理解につなげることを考察する。
発表2:中野真備(甲南女子大学講師)
タイトル:女たちが紡ぐサマ社会:市場における魚売りンゴポル(ngopor)の事例から
概要:
海域社会において、漁撈や海産物交易は一般に男性の仕事として理解されてきた。東南アジア海域世界の代表的な海民集団のひとつであるサマ(バジャウ)の場
合も、一部の採集活動を除けば、男性漁師が採捕する輸出向け海産物がその中心であった。しかし日常生活に目を向けると、日々の食卓にのぼる海産物を売買し
ているのは、主にサマの女性たちである。彼女たちは統計上、「主婦(ibu rumah
tangga)」として不可視化されてきた。本発表は、こうした周縁的、あるいは「とるに足らない」ものと見なされがちな女性の生計活動に注目し、とりわけ魚を売る女性た
ちの実践から社会関係の編成過程を捉え直すことを目的とする。本発表は主に2025年8-9月に実施した参与観察・聞き取り調査に基づくものである。
「ンゴポル(ngopor)」とよばれる魚売りの女性たちは、漁師や運搬船から魚を買い付け、鮮度管理や価格調整をおこないながら販売する。市場では売買
に加え、交渉、贈与、物々交換といったやりとりが日常的におこなわれ、彼女たちはサマと内陸のバンガイ人社会とを結ぶ媒介者としても機能している。安価で
平凡な魚の取引は、国際市場に直結する商業的漁業の取引とは対照的である。しかしそれは、日々の生活を支えると同時に、海と陸、異なる民族集団を結びつけ
る社会的基盤でもある。本発表では、魚売りの女性たちの営みを通して、海民社会を支えるもうひとつの経済と社会関係のありかたを試論的に検討する。
- ◆問い合わせ
- 奥田梨絵 r_okudaアットマークsonoda-u.ac.jp (“アットマーク”を“@”に変えてください)
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