2011年度 日本オセアニア学会関東地区例会の報告

2012年1月28日(土)、東京大学本郷キャンパスにて、下記のプログラムのとおり2011年度の関東地区研究例会が開催された。

海を渡る生者たちと死者たち
 ――ソロモン諸島マライタ島北部の「海の民」ラウにおける移住、親族関係、葬制
発表者:里見龍樹(東京大学大学院)
コメンテーター:石森大知(東京外国語大学)
ハワイアン・ホームステッドをめぐる血の系譜――オアフ島ワイアナエ地区を事例に
発表者:四條真也(首都大学東京大学院)
コメンテーター:深山直子(東京経済大学)

まず里見氏が、マライタ島の海上居住者による伝統的葬制(トロラエア)を取り上げ、男性と女性の事例を比較検討しつつ、頭蓋骨の移送と埋葬地のネットワーク について報告した。石森のコメントの後、ラウの伝統的信仰、移住と葬制の関係性、居住様式と女性の埋葬のあり方などについて議論がなされた。

つぎに四條氏が、西欧社会との接触後のハワイに、法律を媒体として持ち込まれた血統の概念がどのようにハワイ社会に影響を及ぼしているのかについて報告し た。深山氏がコメントした後、現代ハワイにおける親族観の捉え方、そしてハワイ人の土地利用形態の変容などをめぐって議論がおこなわれた。

参加者は11名と小規模ではあったが、フィールドワークを終えたばかりの若手研究者の報告に対して、フロアのほぼ全員が質疑応答をおこない、発表者との間で 白熱した議論が交わされる研究例会となった。

(関東地区例会幹事:石森大知)


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