2013年度 日本オセアニア学会関東地区例会のお知らせ

日時:2013年12月8日(日)13:30〜
場所:立教大学池袋キャンパス1204号教室(本館一号館)
JR池袋駅からのアクセスおよびキャンパス内の地図 http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro /direction/
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発表者:河野正治(筑波大学大学院)
発表題目:「現代ポーンペイの初物献上における時間性の社会的構成―土地の豊饒性に還元されない首長への貢納をめぐって―」
コメンテーター:柄木田康之(宇都宮大学)

発表内容:
ミクロネシア・ポーンペイ(旧ポナペ)は首長制社会として知られている。本発表では首長制の一部を構成するものとしての初物献上に焦点を当てる。ドイツ植民地 行政によって首長の第一次土地権が否定された後もなお、土地の耕作者がその季節に初めて収穫した農作物を初物として首長に献上するという慣習的な実践が続けら れている。初物献上の「慣習」(tiahk)は、パン果とヤムイモの成長と収穫のリズムにもとづく在地の暦に規定される。それは、雨期にほぼ対応する「パン果 の季節」(rahk)と乾期にほぼ対応する「ヤムイモの季節」(isol)から成る。こうした在地の収穫暦にもとづいて初物献上が実施されるというのが「慣 習」による説明である。
 ところが、発表者の調査によると、実際に行われる初物献上は、必ずしも在地の収穫暦にもとづく時宜では実施されず、毎年異なる。たとえば2012年の事例に おいて、ある首長国の最高首長に対して行われた礼の祭宴(初物献上のクライマックスとされる祭宴)は、在地の暦よりも半年も早い6月に行われている。初物献上 の時間性が、土地の豊饒性にもとづく時間性(農作物の成長と収穫のリズム)に必ずしも規定されないとすれば、その時間性とはいかなる関係から構成されているの か。本発表の目的はキリスト教や現金経済と首長制の関係、そして葬儀という偶発的な出来事との関係に焦点を当て、現代ポーンペイにおける初物献上の時間性が、 土地の豊饒性に還元されるのではなく、いかに様々な社会的関係から構成されているのかを明らかにする。

お問い合わせ
市川哲(立教大学観光学部助教)
(関東地区例会幹事 市川哲)


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