2023年度日本オセアニア学会関東地区例会

関東地区研究例会幹事 紺屋あかり

最終更新:2023年11月28日



◆日時など:
日時:2024年2月23日(金)14:00−17:30 (18:00頃から品川駅周辺にて懇親会)
場所:明治学院大学 白金校舎 本館1405
開催形態:対面(参加者からの希望があればハイブリット対応)
◆参加申し込み:
参加受付用のGoogle formは以下となります。
https://docs.google.com/forms/d/1Bi0Itau11VKr0pdJnsE0X4ujf2c7-95jk50KBa_HrgM/edit

◆プログラム
【開会】 
14:00-14:05
【発表1】
14:05-14:55 発表者: 臺浩亮(東京都市大学)
14:55-15:10 発表1に対するコメント:馬場淳(和光大学)
15:10-15:40 全体での討論
【発表2】
15:55-16:45 発表者:橋爪太作(明治大学)
16:45-17:00 発表2に対するコメント:石森大知(法政大学)
17:00-17:30 全体での討論
17:30 閉会

◆発表タイトルと要旨
 
臺浩亮さん(東京都市大学)
タイトル「日本人によるニューギニア民族資料の収集:龍江義信の事例を中心として」
概要:
19世紀末以降、宣教師や貿易商、博物学者らがニューギニア各地を来訪し、熱心に民族資料を収集してきたことはつとに知られている。民族資料の「収集の現 場」で生起したダイナミックな絡み合い・せめぎ合いを巡る歴史人類学・博物館人類学的研究では、現地収集者の個別具体的な活動内容のみならず、現地島民側 の主体的な在り方・目論見にも照射してきた。他方、現地収集者の中に非欧米出身者がいたことを示す記録が複数確認されているものの、彼らの目論見や活動の 来歴を詳細に検討した研究は少ない。
 本発表では、「【収集する欧米出身者】と【譲渡する現地島民】」という二項対立的な枠組みに単純化できない「収集の現場」の実相に迫るために、1897 年から1903年にニューギニアにおいて現地踏査や民族資料の収集に注力した日本人・龍江義信が、どのような目論見をもって南洋に赴き、どのような活動を 展開したのかを、アーカイブ資料や民族資料から読み解いていく。

・橋爪太作さん(明治大学)
タイトル「切り開かれた土地の上で:ソロモン諸島マライタ島北部における(ポスト)森林伐採から考えるローカル‐グローバルの接合」
概要:
近年、太平洋地域におけるアメリカと中国の対立が激しさを増している。こうした国際状況の変化は、両陣営による開発援助の増加という形で、現地の人々の生 活にも直接的な影響をもたらしつつある。本発表では、このようなグローバルな変化に対するローカルな応答のあり方を考察する手がかりとして、ソロモン諸島 マライタ島北部西ファタレカ地域における森林伐採事業とその後の開発について検討する。
隣のガダルカナル島民との紛争や人口増加、さらにはキリスト教への改宗によって断絶したアイデンティティの不安を背景として、今世紀初頭からマライタ島で は内陸部にあるクランの「故地」への帰還運動が盛んになっている。同時期に急増した華人系森林伐採企業の進出は、中国・東南アジアの経済成長のみならず、 こうしたローカルな「開発」の文脈にも位置づけられる。
ここから、まず一見して収奪的に見える森林伐採事業を、焼畑農耕を基盤とした伝統的な自然環境との関わりの中で生まれた現地の自然観と、それに基づいた動 態的な土地利用の中で考察する。
さらに、他者の自然認識をめぐる近年の人類学的議論と西ファタレカの事例を比較検討することを通じて、前者の理論的前提を再考するとともに、現代的開発理 念が浸透しつつあるマライタ島の今後を新たな視点から考察する。


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