アジア理解講座のお知らせ


2001年度アジア理解講座第2期
「境界の消滅と生成―東南アジア島嶼部・オセアニア諸国の現在」

日程: 毎週火曜日(10月4日(木)〜12月11日)

ご注意:ただし初回は10月4日木曜日となります。また12月4日は休講です。予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
※現在,講座の受講生(定員50名)を募集中です。講座のご案内,申し込み要領等については,国際交流基金ホームページをご参照ください。

(コーディネーターからのメッセージ)

東南アジア島嶼部・オセアニア地域には、マスメディアをとおして連日のように報道されるインドネシアのような国もあれば、よほど大きな災害や政変でもおこらないかぎり、国情が報道されることのない国もある。しかし、報道される機会の多少にかかわりなく、東南アジア島嶼部・オセアニア地域の国々は各種の同時代的な動きを共有するとともに、日本をふくむ隣接する国々との政治、経済、社会的なむすびつきをふかめてきた。こうした動きのなかで、とくに現代的な現象として注目されるのは、国境をこえた物・人・情報のトランスナショナルな移動と、その対極にあるかにみえる、民族的アイデンティティにもとづく政治運動や自己主張といった、いわば境界の構築をともなうローカルな動きである。この講座の目的は、こうしたグローバルな現象とローカルな現象の双方を視野にいれつつ、東南アジア島嶼部・オセアニア地域の現在を理解することにある。(杉島 敬志)

講座内容

第1回(10月4日)「東南アジア島嶼部における国家・国境・ひとの動き」長津 一史
東南アジアの国境は、もともとは植民地の勢力争いの結果引かれた恣意的な線でしかなかった。それは文化的なまとまりや、人々の生活圏とはまったく無関係に設定された。現在、東南アジアにおいても国民国家は整備され、国家の諸制度は人々の日常生活に干渉するようになっている。かつては恣意的な線でしかなかった国境は、いまでは生活を分断する実効的な「かべ」として機能しているかのようにみえる。しかし、国境周辺に生きる人々の生活を細かくみると、例えば親族関係を通じた密貿易のような、しなやかな国境との付き合い方が、民衆レベルでつづけられていることがわかる。講義では、東南アジア島嶼部における国家、国境とひととのダイナミックな関係をミクロな視点から考えてみたい。具体的には、フィリピン、マレーシア、インドネシア間の国境海域に住む海洋系の民族を事例とし、国境の設定はかれらの生活にいかなるインパクトを与えたのか、またかれら自身は国境という制度にどのように対処してきたのか、こういった点を話題としてとりあげる。
第2回(10月9日)「地方分権化とインドネシア東部島嶼地域」松井 和久
1998年のスハルト長期政権崩壊以来、ハビビ、ワヒドと目まぐるしく政権交代の起こったインドネシアでは、スハルトが営々と築き上げて来た中央集権体制を改め、地方分権化を目指す政策が始まった。しかし、中央集権的な体制のもと、地方は中央への忠誠度競争を余儀なくされ、自らのイニシアティブを失っていった。地方分権化では地方の自立と創意工夫が求められるが、過去30年以上にわたって深化された地方の中央への依存意識は根強く、試行錯誤を余儀なくされている。地方の自立に関して参考例が国内に少ないため、宗教・種族・慣習といった自らの持つ単純な記号がアイデンティティ強化の手段として復古する傾向がある。そうした動きが排他性・閉鎖性を高め、それが地方の孤立化や分離独立運動へつながる可能性も指摘されている。それを防ぐためには、地方と地方との横の連携をいかに築き、地方間のコミュニケーションをどのように強化していくかが大きな課題である。本講では、地方アイデンティティの強化と地方間のオープン・ネットワークの形成という両立の難しい課題に取り組もうとしているインドネシア東部島嶼地域の姿をみていくことにする。
第3回(10月16日)「国境を越える人々:東南アジア島嶼部にみるトランスナショナリズム」石川 登
国境を越えた人々の動きは、現在ますます活発化している。多くの人々がより高い賃金を求めて出稼ぎに出かけ、自らのコミュニティと労働市場を往還的に行き来し、その空間移動の回路は国家の枠を越えてすでに久しい。くわえて、マス・メディアや資本の移動によってつながれたネットワーク社会においては、人々のアイデンティティ、商品や貨幣の社会的帰属、そして国家のもつ機能や意味も大きく変化している。本講義では、東南アジア島嶼部社会(インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン)に焦点をあてながら、海域世界と呼ばれるこの地域におけるトランスナショナルな社会動態を、前近代国家から現在の国民国家の時代にいたる歴史のなかで考察する。欧米列強による植民地国家形成を経て、第二次世界大戦後の新興国家独立、そして現在のグローバリゼーションの進行のもとでの、国家領域を越えたヒトとモノの移動の原型と変容、そして再編の動態を探っていきたい。
第4回(10月23日)「アボリジニの先住権原とオーストラリア」窪田 幸子
オーストラリアは、1988年に移民開始200年を、そして21世紀を迎えた今年、連邦成立100年を迎えた新しい国である。この国の先住民であるアボリジニの人々は、長くその権利も存在さえも認められずに差別的な扱いをうけてきた。しかし20世紀の終わりになって、先住民の権利を認める動きは世界的に大きな展開を見せた。オーストラリアもこの流れのひとつに位置づけることができる。1993年に成立したアボリジニの先住権原を認める法令は、画期的なものとして国際的にも評価された。また、これまでのアボリジニの人々に対する不当な扱いの過去を清算し、平等な関係を構築することをめざした和解のうごきも大きな社会的流れとなっている。しかし、その一方で、彼らに対する偏見は根強く、多文化国家オーストラリアにおいて、人口の2パーセント程度の先住民の人々のみに認める権利の大きさや、その社会的影響に対して世論の中には反対意見も強く、政府は常に難しい舵取りを迫られている。この講義では、こうしたオーストラリアとアボリジニの関係の歴史的背景と現状を紹介しつつ、国家と先住民の新たな関係の可能性をさぐる。
第5回(10月30日)「ニュージーランド・マオリの先住民運動−多文化主義と二文化主義のはざまで」内藤 暁子
近年、英語短期研修に人気のニュージーランド。豊かな緑にたくさんの羊たちや「英国の歴史」を感じさせる町並みは、現代の旅行者の目には魅力的である。しかし、それは入植者たちがアオテアロア(Aotearoa:ニュージーランドのマオリ語名)のポリネシア系先住民族マオリ(Maori)から奪った土地を変形させた姿なのである。イギリスはマオリの首長たちと1840年、ワイタンギ条約を結び、これがニュージーランドという国の出発点となった。この条約には英語版とマオリ語版が存在し、そのマオリ語版がマオリ先住民族運動の原点である。何故なら、そこにはマオリの「伝統的な」権利を守ると記されていたからである。やがて、長い間の同化主義や多文化社会をめざす動きによって、アイデンティティの危機にさらされたマオリは、「伝統的な」権利の回復運動を活発化させていく。この講義ではこうしたマオリが、現在、多文化主義と二文化主義のはざまで繰り広げている、政治・文化・経済など多様な場面における先住民族運動について概観する。
第6回(11月6日)「ソロモンの民族紛争」関根 久雄
ソロモン諸島では、1998年12月以来、首都のあるガダルカナル島を舞台に激しい国内紛争(現地では「民族紛争」と呼ぶ)に見舞われた。それは、同国の首都ホニアラのあるガダルカナル島の人々と、太平洋戦争後に近隣のマライタ島から主に労働者としてガダルカナル島へ移ってきた人々(あるいはその子孫)との間に発生した土地問題や雇用機会の格差などをめぐる対立である。戦後すぐに首都がホニアラに建設され、それ以来ガダルカナル島はソロモン諸島の政治、経済の中心地となっている。同時にガダルカナル島民には、そのことを根本要因とする社会的不満が徐々に蓄積していった。そしてついに、一昨年、その不満は一部のガダルカナル島民によって結成されたゲリラ的武装組織がマライタ人を同島から追放する形で表面化するに至った。本講義では、南太平洋の小さな島国で発生したこの紛争のもつ意味を、同国の近代過程におけるガダルカナル島内の社会状況や、ゲリラ的武装組織の発する「伝統」概念を手がかりに明らかにしたい。
第7回(11月13日)「珊瑚島の社会生活―キリバスにおける出稼ぎと離島村落」風間 計博
グローバリゼーションの進行する現代世界のなかで、太平洋上にうかぶ小さな珊瑚島に住む人々は、いかに自らの社会を編成し、生活を維持しているのだろうか。太平洋島嶼諸国は1970年代以降、相次いで政治的独立を果たした。しかしながら、これら新興の島嶼諸国は、土地の狭小性、メトロポリスからの遠隔性、人口の小規模性に特徴づけられており、経済的にきわめて脆弱な国家群である。経済的に価値の高い第一次産品を産出したり、観光産業の発達した国は、島嶼国のごく一部に過ぎない。一方、めぼしい産業をもたない島嶼国の人々は、メトロポリスへ出稼ぎ者を送り出し、その送金に依存して生活を営んでいる。それら太平洋島嶼諸国のなかでも、珊瑚礁の島々からなるキリバスは苛酷な生態的条件の下にあり、経済的に有用な資源がほとんどない。その上、出稼ぎの機会さえも限定されている。本講義では、キリバスにおける出稼ぎ形態の変遷を追うとともに、出稼ぎ者を送り出す側にある離島村落の社会生活に焦点を合わせる。一見すると、周囲を広大な海に囲まれたキリバスの離島は、孤立した楽園のように思われがちである。しかし実は、首都を経由してきた外来の事物や情報が「辺境」の島まで断続的に流入してくる。人々は、在地の理念の下でそれらを取捨選択しつつ、社会生活に取り込んでいるのである。
第8回(11月20日)「ハワイ人の「主権」運動」清水 昭俊
「ハワイ人」とは民族としてのハワイ人を指す。彼らは、太平洋の先住民運動を代表するラディカルな運動を、展開している。講義では、彼らが主張する「主権」の内容と、それを裏付ける理論的根拠、とりわけ彼らの歴史観を明らかにする。現在のアメリカ合衆国の一州という姿からは、想像しがたいことであるが、ハワイ人は国家としての独立を視野に入れた主権運動を展開している。かれらの運動は非暴力に徹していて、形態は穏やかであるが、主張の内容は先鋭であり、アメリカ合衆国がその歴史の中に含み込んできた不正義を暴く力をもっている。かつてハワイ王国は近代的な立憲君主国であり、国際的に認知されていた。しかし、19世紀以来現在に至るまで進行してきたアメリカ合衆国(その政府、資本、市民)による植民地化の過程で、経済、政治、文化の主権を失った。ハワイ人の政治、経済、文化の現状は、この植民地化の結果である。この歴史的認識を通して、ハワイ人は(再)実現すべき主権を構想する。それは政治のみならず、経済と文化にまたがる広がりを持っている。ハワイの歴史は日本と密接な関係がある。沖縄はハワイとよく似た歴史を歩んだ。日米の戦争はハワイと沖縄の間で展開し、戦後の観光を中心としたハワイ経済を、日本(資本、観光客)が支えている。ハワイ人の主権運動と日本との関わりについても考えたい。
第9回(11月27日)「ヴァヌアツにおける伝統文化をめぐる社会的動向」白川 千尋
ヴァヌアツでは、独立運動が活発化した1970年代以降、ナショナルレベルの政治エリートなどによって、独立後の新興国家とその国民のよりどころとするべく、伝統文化の重要性が強調されるようになった。このような動きは、1980年に独立を達成した後も現在に至るまで引き続き受け継がれてきており、一般の人々の間にも共有されるものとなっている。本講義では、まずヴァヌアツについて概観した後(日本との関係も含む)、以上に述べた社会的動向を主テーマとして取り上げ、その歴史的経緯を植民地時代の伝統文化の位置づけなどにも触れながら時間軸に沿って解説する。また、ナショナルレベルの動きと連動する形で顕在化するようになってきている一般の人々の間における伝統文化をめぐる緊張関係や、彼らと伝統文化を調査研究する人類学者などの研究者の間にみられる葛藤などについても、具体例を交えながら取り上げたい。
第10回(12月4日)「文化のポリィテクス−アジア・太平洋地域における国家・民族・アイデンティティ」杉島 敬志
グローバル化とよばれる物・人・情報の活発化した動きにもかかわらず、アジア・太平洋地域の方々で、民族的アイデンティティにもとづく、政治運動や自己主張が展開されてきた。こうした運動や主張は、複数の民族集団が共存できる国家体制の実現をめざすこともあれば、分離独立をめざす運動として展開される場合もある。しかしながら、いずれの場合でも、それらは国民国家の枠組を動揺させ、その改変をせまることにつながる。国民国家は文化を共有する国民(ネーション)を基盤とする政治体制であるにもかかわらず、その内部で、何らかの集団や団体が文化を異にすることにもとづいて政治運動を展開するからである。グローバル化のただなかで進行する、文化の差異にもとづくポリティクスについて考える。

講師略歴

杉島 敬志(すぎしま たかし)京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授
東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(文学)。国立民族学博物館助手、助教授、教授を経て、2001年4月より現職。専攻は社会人類学。現在の主要な関心は東インドネシア、フローレス島中部の歴史人類学的研究および社会科学の多元化と相対化。編著に『土地所有の政治史―人類学的視点』(1999、風響社)、『人類学的実践の再構築―ポストコロニアル転回以後』(近刊、世界思想社)など。
長津 一史(ながつ かずふみ)京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助手
上智大学外国語学部卒。京都大学大学院人間環境学研究科博士課程単位取得退学。東南アジア島嶼部に広く居住するサマ(あるいはバジャウ)という海洋系の民族を主な対象として、文化人類学的な地域研究をつづけてきた。長期の臨地調査(フィールド・ワーク)は、マレーシア・サバ州のフィリピンとの国境近くにあるサマ人の村でおこなった。サンゴ礁の浅瀬につくられた海上集落である。ここに約2年間暮らした。社会的な周辺者であるサマ人にとって、近代国家とはいかなる存在であるのか。マレーシアでの調査以来、こういった点に関心を抱くようになった。
松井 和久(まつい かずひさ)日本貿易振興会アジア経済研究所地域研究第1部研究員
1985年アジア経済研究所へ入所。1990年より海外派遣員としてジャカルタに赴任、インドネシア大学大学院留学。1995年、アジア経済研究所を休職、国際協力事業団専門家としてインドネシアに派遣される(東部地域開発政策確立実施支援ミニプロ)。1999年、再度、国際協力事業団専門家としてインドネシアに派遣される(個別専門家、東部地域開発政策アドバイザー)。専門分野はインドネシア現代政治経済研究、地域開発政策研究、開発経済論、産業政策研究など。主な著作に「東部地域開発の課題」アジ研ワールドトレンド1995年8月号(アジア経済研究所、1995年)、「ウジュンパンダン便り(連載)」アジ研ワールドトレンド1997年1〜12月号(アジア経済研究所)、「東部インドネシア開発は進むか―希望と現実」IDCJフォーラム18号(国際開発センター、1997年)、「ハビビ新体制の特徴」アジア経済研究所緊急レポート『スハルト体制の終焉とインドネシアの新時代』(アジア経済研究所、1998年)、「スラウェシ便り(連載)」アジ研ワールドトレンド1999年5月号〜2001年3月号(アジア経済研究所)、「地方分権化へ向けての課題−新たな中央=地方関係の模索−」アジア経済研究所緊急レポート『ワヒド政権の誕生と課題』(アジア経済研究所、1999年)、「試練に立つ「多様性のなかの統一」―地方分権化と新たな国家像の模索―」、アジ研ワールドトレンド2000年5月号(アジア経済研究所)など。
石川 登(いしかわ のぼる)京都大学東南アジア研究センター助教授
ニューヨーク市立大学大学院Ph.D.(人類学)。専攻は社会人類学、東南アジア地域研究。ボルネオを中心とした東南アジア海域世界を主な調査地としている。現地調査によって知ることのできる人々の日々の生活とこれをとりまくマクロな社会動態の結びつきに注意をはらうこと、そのためにフィールドワーカーとして可能なかぎり歴史を意識すること、この二点を基本姿勢として東南アジア島嶼部を対象とした社会人類学的研究に従事。1991年から20ヶ月にわたりボルネオ島西部マレーシア/インドネシア国境地帯のマレー村落に住みこみ、国民国家形成に関する歴史人類学的調査を行う。現在は、インドネシアからマレーシアへの人々と商品の移動を手がかりに、東南アジアにおけるトランスナショナリズムを考える作業を続けている。主な論文に「民族の語り方:サラワク・マレー人とは誰か」内堀基光他編『民族の生成と理論』岩波講座文化人類学第五巻(岩波書店、1997)、「境界の社会史:ボルネオ西部国境地帯とゴム・ブーム」『民族学研究』61(4)(日本民族学会、1997)、「空間の履歴:サラワク南西部国境地帯における国家領域の生成」坪内良博編『地域形成の論理』(京都大学学術出版会、2000)、「文化と経済のボーダーランド:ボルネオ南西部国境地帯の調査から」川田順造編『文化としての経済』(山川出版社、2001)などがある。
窪田 幸子(くぼた さちこ)広島大学総合科学部助教授
東京都生まれ。甲南大学大学院博士後期課程単位取得退学。文化人類学専攻。大手前女子大学専任講師を経て、1997年より現職。オーストラリア・アボリジニの社会変化、国家との関係、歴史などについて、特に女性に焦点をあて、1985年から調査研究を継続してきている。主な著作に、『狩猟採集民の現在』(共著)スチュアート・ヘンリ編、言叢社、1996年、『社会変容と女性』(共編著)ナカニシヤ出版、1999年など。
内藤 暁子(ないとう あきこ)武蔵大学社会学部助教授
立教大学社会学部社会学科卒業。立教大学文学研究科博士課程後期課程修了。文学博士(立教大学)。1998年度より武蔵大学社会学部社会学科専任講師。2001年度より現職。1985年よりニュージーランドのワイカト地方で、先住民族マオリを中心としたフィールドワークを重ねている。主な著書(共著)に『もっと知りたいニュージーランド−』(弘文堂、1997年)、『社会変容と女性−ジェンダーの文化人類学−』(ナカニシヤ出版、1999年)、『先住民と都市−人類学の新しい地平−』(青木書店、1999年)、『都市の誕生−太平洋島嶼国の都市化と社会変容−』(アジア経済研究所、2000年)などがある。
関根 久雄(せきね ひさお)筑波大学社会科学系専任講師
総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程単位取得退学。1996年名古屋大学大学院国際開発研究科助手、2000年筑波大学社会科学系専任講師。文学博士。専門は文化人類学、開発人類学、オセアニア地域研究。1987〜89年国際協力事業団青年海外協力隊員としてソロモン諸島国立博物館にて活動。主な研究成果は、『開発と向き合う人々』(東洋出版、2001年11月刊行予定)、『ソロモン諸島の生活誌』(共編、明石書店、1996年)、『土地所有の政治史:人類学的視点』(共著、風響社、2000年)ほか。
風間 計博(かざま かずひろ)筑波大学歴史・人類学系講師
東北大学理学部卒業、総合研究大学院大学文化科学研究科修了、博士(文学)。国立民族学博物館中核的研究機関研究員を経て、2000年より現職。文化人類学を専攻し、1994年から1996年にかけて、キリバス共和国にて長期実地調査を行う。これまで、キリバス離島村落における集会所を中心とした集団性および平等性の卓越について、外部世界と関連付けて研究してきた。最近は、太平洋島嶼国におけるキリバス系移民のコミュニティに関心をもっている。主な論文に「タビテウエア・サウスにおけるボータキ(饗宴)の氾濫」『アジア・アフリカ言語文化研究』57号(1999)、「タビテウエア・サウスに生起する窮乏と主体性の併存」『民族学研究』63巻4号(1999)、「キリバスにおける出稼ぎ形態の変化と村落社会」『アジア経済』40巻12号(1999)、’Reorganized Meeting House System: TheFocus of Social Life in a Contemporary Village in Tabiteuea South,Kiribati.’ People and Culture in Oceania vol. 17 (in press) などがある。
清水 昭俊(しみず あきとし)一橋大学大学院社会学研究科教授
東京大学大学院社会学研究科博士課程退学。社会学修士。広島大学総合科学部助教授(1978-1991)、国立民族学博物館助教授、教授を経て現職。専門分野は人類学、主な研究テーマと調査地域は東部ミクロネシアの民族誌的研究、家族の人類学、人類学史。
白川 千尋(しらかわ ちひろ)新潟大学人文学部助教授
総合研究大学院大学文化科学研究科修了。文学博士。日本学術振興会特別研究員、川崎医療福祉大学医療福祉学部助教授を経て、現職。専門は文化人類学、オセアニア地域研究。ヴァヌアツとの関わりは1991年に青年海外協力隊員として赴任して以来続いている。著書に『カストム・メレシン−オセアニア民間医療の人類学的研究』風響社などがある。

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