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ニューズレターNo.132から

2021年度日本オセアニア学会関東地区研究例会の報告


     関東地区研究例会幹事 河野正治 

2021年度の関東地区研究例会を以下の通り実施した。
【開催日時】2022年2月11日(金・祝)13時30分~17時15分
【開催方法】ウェブ会議システム(Zoom)を用いたオンライン開催
【プログラム】
 13:30~14:30 研究発表 小谷真吾(千葉大学)
 「リゾームはニューギニアのモノ:ボサビの生業「システム」の考察」
 14:30~14:45 コメント 田所聖志(東洋大学)
 14:45~15:15 全体での討論
 15:30~16:30 研究発表 佐本英規(筑波大学)
 「竹製パンパイプを「音楽のように」組み立てる:ソロモン諸島アレアレからのぞむ音楽のグローバリゼーション」
 16:30~16:45 コメント 石村智(東京文化財研究所)
 16:45~17:15 全体での討論
 17:15 閉会

本年度の関東地区研究例会では、2021年に単著を刊行された会員2名を発表者として招待し、新刊紹介も兼ねた研究発表をしていただいた。
 小谷真吾会員は2021年8月に刊行した『自給自足の生態学:ボサビの人びとのオートポイエーシス』(京都大学学術出版会)の内容をもとに、ニューギニ ア 高地周縁におけるエコシステム・生業システム・社会システムの複雑なかかわりあいについて、現地の情景を伝える多数の写真を交えながら発表した。コメン テーターの田所聖志会員は、小谷会員が長年にわたり蓄積してきた調査データの豊かさに触れながら本書の意義を述べるとともに、現代の気候変動と人口動態を 視野に入れることで更なる発展の可能性があることを指摘した。
 佐本英規会員は2021年2月に出版した『森の中のレコーディング・スタジオ:混淆する民族音楽と周縁からのグローバリゼーション』(昭和堂)の内容に も とづき、ソロモン諸島アレアレにおける竹製バンパイプを用いた演奏を事例に、グローバル化のなかの民族音楽をとらえる視点について発表した。コメンテー ターの石村智会員は、無形文化遺産をめぐる様々な議論と突き合わせながら、佐本会員が「間に合わせの録音スタジオ」と呼ぶ演奏とレコーディングの形態につ いて、その特色と意義を指摘した。
 合計23名の参加のもと、いずれの発表の際にもフロアを交えた活発な質疑応答が行われ、本研究例会は盛況のうちに終わった。

2021年度日本オセアニア学会・関西地区研究例会の報告

関西地区研究例会幹事 平野智佳子

2021年度の関西地区研究例会を以下の通り実施した。
【開催日時】2022年2月12日(土)13時00分~17時15分
【開催方法】ウェブ会議システム(Zoom)を用いたオンライン開催
【プログラム】
13:00~14:00 発表者:大竹碧(京都大学) 「再定住地をつくりかえる:米国が残した都市設計と対峙するイバイ島の人々」 14:00~14:15 コメンテーター: 棚橋訓(お茶の水女子大学)
14:15~15:00 全体での討論
15:15~16:15 発表者:木村彩音(神戸大学) 「異人の祖先、海の向こうの故地:日系トレス海峡諸島民を事例に」
16:15~16:30 コメンテーター: 山内由理子(東京外国語大学)
16:30~17:15 全体での討論
17:15 閉会

本年度の関西地区研究例会では、大学院博士後期課程に在籍する若手の会員2名を発表者として招待し、長期フィールドワークの成果をふまえた研究発表をし ていただいた。 大竹碧会員は、マーシャル諸島共和国イバイ島における再定住地の景観形成の歴史過程を提示し、そこに暮らす住民が再定住地の景観といかに対峙しているかに ついて、人々の生活の中の感情や記憶に着目しながら発表した。コメンテーターの棚橋訓会員は、ミクロネシア研究の人類学の関与の過程やクワジェリン環礁を めぐる重層的な歴史叙述の遍在、当該地域における複数のネットワーキングの再編成の問題について指摘した。
 木村彩音会員は、トレス海峡諸島の木曜島の事例から、日本人の祖先を持つトレス海峡諸島民が、日本人祖先に対する慰霊行為としての盆儀礼を現地の文脈で いかに解釈しているのかについて、儀礼の場で示される祖先の名誉と威信に着目しながら発表した。コメンテーターの山内由理子会員は、木曜島周辺の歴史にお ける日本人の位置づけや「ニッケイ」というカテゴリーの問題、当該地域における一族の名誉や威信のあり様について指摘した。
 関西地区研究例会の参加者は合計30名であった。質疑応答の際には、フロアからも多くの質問、コメントがあり、発表者とのあいだで活発な討論が行われ た。いずれの研究発表でも、発表者の今後の研究を展開しうるような充実した議論が行われ、本研究例会は盛況のうちに終わった。

【新刊紹介】

小谷真吾(著) 『自給自足の生態学――ボサビの人びとのオートポイエーシス』 (京都大学学術出版会、2021年8月)

本書は、パプアニューギニアの「ハイランド・フリンジ」に居住するボサビの人びとの環境適応について、主に生業生態と人口動態に着目し、なるべく平易な 用語を用いて散文的に記述することを目指した書である。記述の枠組みとして、生態人類学という学問分野が成立して以来人びとの暮らしを理解するために用い られてきたシステムアプローチを本書でも援用する。ただし、システムという概念にかんする近年の議論の変容を放置することなく、ローカルな事例研究の一つ に終わらないよう理論の検討も試みた。事例研究の積み重ねこそ生態人類学の強みとも言えるが、今一度システム概念をとらえなおしながら、事例を世に問うこ との意義を考察した。本書の構成は、以下のとおり10章構成である。

 第1章 ボサビの人びとに出会う
    第2章 ロングハウスに住まう
    第3章 バナナを栽培する
    第4章 サゴを打つ
    第5章 イヌと移動する
    第6章 ブタを購う
    第7章 共に食べる
    第8章 人を数える
    第9章 システムを想像する
    第10章 マルチシステムズ

ボサビの人びとに会うためには近代的な移動手段を用いることはできず、またその地域には電気、水道等のインフラストラクチャーも存在しない。日常生活に 工業製品が用いられることはほとんどなく、購入食品を消費することもめったにない、いわゆる自給自足の暮らしを送る人びとである。古典的な生態人類学にお いて、そのような状況は「閉じた」システムとしてシステムアプローチの格好の検証の場となってきた。本書でも、そのような状況における生業生態と人口動態 を記述し、他者理解のためにシステムアプローチが依然有効であることを示していく。
  熱帯多雨林という植物相、オセアニア区という動物相、人口密度1/km2以下という条件の下、バナナを栽培し、サゴデンプンを精製し、多様な動植物を採り、ブタを飼養す る。それぞれの生業が互いに連関してボサビの人びとの日常を構成している。また、個々の生存が容易ではない環境の中、人びとは互いに関係しあいながら成長 し産み育て、集団が再生産されていく。システムが閉じていようが開いていようが、生業を理解すること、人口動態を理解することは、生身の身体がどのように 存在するのかについて、最も直接的な情報であることに変わりはない。本書では、各章において生業、人口動態、それらにかかわる社会システムと動植物につい て詳細に論じた。
 現在の地球上で「自給自足」の暮らしを送る人びとは非常に限られている。生態人類学という学問分野が成立した1960 年代から筆者が人類学を学び始めた1980 年代まで、そのような状況にある人びとに対する記述は、例えば「狩猟採集民」や「焼畑農耕民」の事例として一定の普遍性をもって世に受け入れられた。しかし、21 世紀に入った現在、ボサビのような人びとの暮らしは、グローバルな状況において周縁化された、特殊な事例として等閑視されつつある。グローバルな状況との かかわりも記述しながら、周縁の人びとの生活を理解することの意義を改めて示していくことも本書の目的である。
  「閉じた」システムが存在しないのは確かであろう。しかし、「開ききった」世界システムにおいて生活すると信じている我々が、「あまり開いていない」周縁化されたシステム において日常を送る人びとを知ることの意味を本書では追究した。システムの境界はどのように生成されるのか、「閉じる」「開く」という運動がどのように記 述され得るのか、「開いた」システムにおいて人びとはどのように存在し、あるいは存在できなくなるのか。生態人類学が用いてきた定量化・図像化という方 法、つまり脱文脈化された数値によって記述する方法を本書でも採用し、それらの問いを考察した。
 システム論の精緻化は生態学を中心に行われ、そのパラダイムをもとに生態人類学は世界の多様性を記述してきた。「閉じた」「開いた」システムにかんする 分析方法も生態人類学において盛んに論じられてきた。システムの動態を扱う上でのレジリエンスの概念は、今や生態学を越えてあらゆる学問分野に浸透しつつ ある。一方で、社会科学、人文科学におけるシステム論の展開、例えばルーマンのオートポイエーシス、ハラウェイのサイボーグの議論は生態人類学においてあ まり検討されていない。これらの議論を全く無視して「生態学的」人類学として個別のシステムを分析し続けることは、同じシステム論という視角を用いて世界 を見ているかもしれない人びととの対話を放棄してしまうことになる。本書では、特にルーマンにおけるシステム論の展開をボサビの人びとの記述に用いること ができるのかを批判的に検討しながら、生態人類学においてシステムアプローチをとる意義を再考した。
(小谷真吾)

【新刊紹介】

  

佐本英規(著) 『森の中のレコーディング・スタジオ――混淆する民族音楽と周縁からのグローバリゼーション』(昭和堂、2021年2月)

本書は、著者が筑波大学大学院に提出した博士学位論文「メラネシア在来音楽をめぐる出会いと媒介の文化人類学的研究——グローバル化時代のソロモン諸島マライタ島南部アレ アレにおける竹製パンパイプ合奏を事例として」(2018年3月、筑波大学)に大幅な加筆修正を加え、単著として再構成したものである。本書の構成は下記 の通りとなっている。


【第1部 グローバリゼーションと音楽的媒介】
 第1章 メラネシアの島々と音楽のグローバリゼーション
 第2章 アレアレの竹製パンパイプと媒介する行為としての音楽
【第2部 「混淆した生活」とアレアレの竹製パンパイプ】
 第3章 今日のアレアレにおける「混淆した生活」
 第4章 伸縮する竹と音楽の模倣
 第5章 竹製パンパイプと強運
【第3部 竹製パンパイプと音楽のグローバリゼーション】
 第6章 森の中の即製レコーディング・スタジオ
 第7章 舞台の上の竹製パンパイプ
 第8章 混淆する音楽と周縁からのグローバリゼーション

音楽のグローバル化に関する文化人類学的研究は、産業化された音楽と各地の在来音楽とが接触し、互いに影響をおよぼしあう「グローバルな出会い」が、現 代世界における音楽をめぐる知識や習慣を条件づけていることを明らかにしてきた。ただし、そうした研究の多くは、「異文化間における出会い」という出来事 それ自体というよりも、その結果としての作品やパフォーマンスへと焦点をあてる傾向がある。一方、音楽が実際に演奏され聴取される出来事は、異なる関心を もつ多くの人々――演奏者や聴衆、プロデューサーやエンジニア、評論家や仲買人など――と、それらの人々が依拠し利用する様々な道具や技術、制度の参与に よってはじめて実現されるものである。音楽をめぐる「グローバルな出会い」という出来事それ自体の様相を詳らかにするためには、そうした人々や物、技術や 制度をめぐる具体的な接触のあり方に焦点をあてる必要がある。本書は、こうした観点から、メラネシア島嶼部に位置するソロモン諸島マライタ島の一隅におい て実践される在来音楽のグローバルな展開を事例とし、音楽をめぐる「出会い」の様相について論じるものである。
   ソロモン諸島国マライタ島南部アレアレ地域において用いられる在来楽器である竹製パンパイプは、1970 年代に文化人類学・民族音楽学の集約的調査研究の対象となり、独自の音楽理論の存在を実証された代表的メラネシア在来音楽である。グローバル化時代の竹製パンパイプに関し ては、1990 年代以降、後続の研究者によってソロモン諸島国内外における動向が報告されている。国内では、旧来の儀礼祭宴の衰退に伴い、都市部での観光ショーやイベントの余興として演 じられるようになり、海外のポピュラー音楽の諸要素を取り入れ新たなスタイルが成立した。国外では、1970 年代収録の学術的録音が、1990 年代欧米のポピュラー音楽作品の素材として簒奪的に流用された一方、2000 年代には新たなスタイルの演奏による録音作品や舞台上演が「ワールドミュージック」の商品として消費されるようになった。著者が調査対象とした演奏集団ポイアラトは、 1990 年代初頭からソロモン諸島の首都ホニアラを拠点として観光ショーなどで演奏をおこない、2000 年代半ば以降は海外で催される国際的な音楽イベントに多数出演するなど、活発な活動をおこなってきたグループである。
   本書の目的は、グローバル化時代の音楽を通した文化的出会いのあり方を、メラネシアの一隅で実践される在来音楽の事例を通して、「現地の側」から捉え直すことにある。例え ば著者は、2013 年10 月にアレアレの熱帯雨林に設けられた即製のスタジオで行われたCD アルバムのレコーディングに際して観察された参与者の多様な音楽的行為に焦点をあてる。そこでは、竹製パンパイプについての演奏者の捉え方と、物理的な音響についてのエン ジニアの捉え方、さらに、商品としての音楽作品についてのプロデューサーの捉え方の差異が顕在化しつつ、三者三様の制作行為は部分的に重なってもいた。竹 製パンパイプはスタジオの一部分に組み込まれ、音響機器は竹製パンパイプの演奏に利用され、竹製パンパイプとスタジオはCD アルバムをめぐる物語の構成要素になり、CD アルバムは竹製パンパイプの効力をグローバルな音楽産業へと拡張する。それぞれの制作行為において焦点化される物が部分的に重なり合い、三者の異なる発想は調停され、レ コーディングという出来事は、ずれをはらみつつひとつの出来事として共有されていた。
   竹製パンパイプが置かれた今日的な状況は、一面においては在来音楽がグローバルな音楽産業の要求する商品として作り直される状況として理解することができる。他方、それは 産業化された音楽が竹製パンパイプの制作プロセスを通じてアレアレの人々によって在来音楽へと組み込まれていく逆転した状況である。音楽をめぐる「グロー バルな出会い」のあり方は、音楽産業の従事者と在来音楽の担い手の非対称な関係に還元することによっては捉えられない一面をはらんでいる。本書では、そう した音楽をめぐる出会いと媒介こそが、グローバル化時代にあって異なる者同士が出会い、互いの差異を認識し、ずれをはらみながらもひとつの出来事を共有す ることを、一時的に実現する可能性を示唆していると論じた。
(佐本英規)

論文内容の訂正のお知らせ

日本オセアニア学会Newsletter131号1~22頁に掲載されました山本真鳥・倉田誠(2021)の論文の注2に誤りがありましたので以下のように訂正いたしま す。
 頁       項目      正       誤
 1       注2                1997年            1998年

ニューズレターNo.131から

第21回日本オセアニア学会賞選考要項

2021年度日本オセアニア学会賞選考委員会

1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2020年1月1日から 2021年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。

2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。

3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、E-mailアドレス)を 明記するものとする。

4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象となる著書または論文名を明記する。 雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編者名)、出版社、出版年を明記 する。この場合も、著書または論文を日本オセアニア学会事務局に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由が必要であ ると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。

5. 応募期間は 2021年11月1日から2022年1月14日まで(必着)とする。

6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に E-mail でも受け付けることとする。
(日本オセアニア学会事務局)
〒110-8713 東京都台東区上野公園13-43
東京文化財研究所 無形文化遺産部 音声映像記録研究室(石村行)
TEL 03-5809-0428 FAX 03-3823-4854
E-mail:secretary[アットマーク]jsos.net

7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。

8. 2022年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>
1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内に PCO へ投稿することが望まれます
2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願 いします。
3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。
日本オセアニア学会賞規定
第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状等)
受賞者には賞状等を授与する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。
附則
本規定の改定は令和2年7月31日より施行する。

第39回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

第39回研究大会・総会事務局 長島怜央

第39回日本オセアニア学会研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。前回大会と同様に、新型コロナ感染症対策として、研究大会・総会はオンライン (Zoom)上で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお待ちしております。申し込みの締め切りは、2022年2月4日(金)となっております。
※以下に記す情報は現時点での予定であり、今後変更される可能性がありますので、次回サーキュラーにもご注意ください。

【日時】
2022年3月17日(木)9:30~12:10、13:10~18:00
(理事会および評議会:研究大会日の1~2週間前に別途Web会議で開催予定)
※17日(木)9:00 よりZoom上に入室できるように設定します。

【会場】(Zoom上で開催)
参加者宛には、大会の前日までにZoomのURLを登録されたメールアドレス宛に送付する予定です。

【研究大会・総会スケジュール】
3月17日(木)
9:30~9:40 会長挨拶
9:40~12:10 一般発表
13:10~14:30 総会・学会賞表彰等
15:00~18:00 一般発表

【参加費】
有職者・無給者(大学院生、学生等)ともに無料

【参加・発表申し込み】
研究大会・総会について、氏名、所属、研究発表の有無、発表される場合には「発表題目」などを、学会HP内の参加申込用フォームにご記入ください。申し込 みの締め切りは、2022年2月4日(金)です。
また、フォームがご利用できない場合は、ご氏名と連絡先を明記の上、Eメールで必要事項を大会・総会事務局にお知らせください。
※研究発表の時間は、演題数にもよりますが、質疑応答を入れて30 分程度を予定しています。また、Zoom上で発表を行うことになります。当日の方法等については追って連絡いたします。

【問い合わせ先(事務局)】
東京成徳大学国際学部 長島怜央
〒114-0033 東京都北区十条台1-7-13
E-mail: oceaniataikai39[atmark]gmail.com

2021年度日本オセアニア学会関西地区研究例会のお知らせ

関西地区例会幹事 平野智佳子

今年度の関西地区例会では大竹碧会員と木村彩音会員をお迎えし、お二人のご研究の最新の展開についてお話しいただきます。
今年度の関西地区例会は、対面・オンラインのハイブリッド形式で開催する予定です。日程と参加申し込みの方法は下記の通りです。万障お繰り合わせの上ご参 加くださいますようお願い申し上げます。

日時:2022年2月12日(土)13:00~17:15
会場:国立民族学博物館 大演習室/オンライン開催(新型コロナウイルス感染状況に応じて変更の可能性あり)
*ご参加の方は、対面・オンラインいずれの場合も以下のURLより事前登録をお願いいたします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScnoQlpbV2lTZf_a82pIyWQKHto2Z9wgp9nVpWgbqcxBXP-tg/viewform?usp=pp_url
*参加者の皆様には、前日までにZoomのURLをお知らせいたします。なお、ご参加の受付は2022年2月10日(木)23時59分までとさせて頂きま す。

プログラム:
【発表1】
13:00~14:00 発表者:大竹碧(京都大学)
「再定住地を作り替える:マーシャル諸島共和国イバイ島における都市の生成」(仮題)
14:00~14:15 コメンテーター: 棚橋訓(お茶の水女子大学)
14:15~15:00 全体での討論
【発表2】
15:15~16:15 発表者:木村彩音(神戸大学)
「異人の祖先、海の向こうの故地―日系トレス海峡民を事例に」(仮題)
16:15~16:30 コメンテーター: 山内由理子(東京外国語大学)
16:30~17:15 全体での討論

◆懇親会については追ってご案内します。

問い合わせ先:
平野智佳子 hiranochiアットマークgmail.com (”アットマーク”を"@"に変えて下さい)

2021年度日本オセアニア学会関東地区研究例会のお知らせ

関東地区研究例会幹事 河野正治

2021年は『生態人類学は挑む』シリーズや若手研究者の学位論文の書籍化など、日本オセアニア学会員による単著の出版が相次いだ年でもありました。今年 度の関東地区研究例会では、2021年に『自給自足の生態学:ボサビの人びとのオートポイエーシス』(京都大学学術出版会)を刊行された小谷真吾会員と、 同じく2021年に『森の中のレコーディング・スタジオ:混淆する民族音楽と周縁からのグローバリゼーション』(昭和堂)を刊行された佐本英規会員をお迎 えし、新刊紹介を兼ねたご発表をしていただく予定です。
日程や参加申し込みの方法は下記の通りです。多くの方のご参加をお待ちしております。

開催日程:2022年2月11日(金・祝)13時30分~17時15分
開催方法:ウェブ会議システム(Zoom)によるオンライン型開催
※ 参加ご希望の方は2月10日(木)18時00分までに以下の参加登録フォームよりお申し込みください。当日までにZoomのリンクをお知らせします。
参加登録フォーム:https://forms.gle/oSfETLSL7TTRVbWy7

プログラム(仮):
【発表1】
13:30~14:30 研究発表:小谷真吾(千葉大学)
14:30~14:45 コメント:田所聖志(東洋大学)
14:45~15:15 全体での討論
【発表2】
15:30~16:30 研究発表:佐本英規(筑波大学)
16:30~16:45 コメント:石村智(東京文化財研究所)
16:45~17:15 全体での討論
※ 発表題目やオンライン懇親会の開催有無も含めて調整中です。プログラムが確定次第、メーリングリストにてご案内させていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

問い合わせ先:
河野正治 m_kawanoアットマークtmu.ac.jp (”アットマーク”を"@"に変えて下さい)

ニューズレターNo.130から

第38回総会の報告

2021年3月18日(水)、第38回日本オセアニア学会総会がオンラインで開催されました(幹事校:東海大学)。議事は、以下の通りです。

1.    会長の承認について
中澤港氏が新会長となることが承認されました。

2.    理事・評議員・幹事・会計監査の分担について
理事・評議員・幹事・会計監査の分担が以下のように承認されました。
<理事> 石村智(庶務)、飯高伸五(情報化)、小林誠(会計)、里見龍樹(研究集会)、深山直子(渉外・モノグラフ)、田所聖志(NL)、山口徹 (PCO)
<評議員> 梅崎昌裕、石森大知、小野林太郎、深川宏樹、福井栄二郎、古澤拓郎、渡辺 文
<幹事> 平野智佳子(関西例会)、河野正治(関東例会)、栗田博之(会長補佐)、小谷真吾(情報化)、塚原高広(PCO)
<会計監査> 桑原牧子、馬場淳

3.    2020年度決算
・ 2020年度決算(2020年3月1日~2021年2月28日)について、倉田誠会計担当理事より報告があり、承認されました。
・ 会計監査の田所聖志会員と山口徹会員により適正に処理されていることが確認されました。

4. 2020年度事業報告
 下記の事業報告があり審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.36の刊行(56 pages.:論文3本)
・NEWSLETTER no.127、128、129の刊行(論文3本、報告2本、新刊紹介3本)
・研究例会の実施
  関東地区 2021年2月21日 オンライン開催(早稲田大学) 発表2本
関西地区 2021年1月9日 オンライン開催(兵庫県立大学) 発表2本
・第38回研究大会・総会の実施
  2021年3月18日 オンライン開催(幹事校:東海大学)
・JCASA等の活動
・石川榮吉賞の選考
・第20回日本オセアニア学会賞の選考
・第18回評議員選挙の実施
    
5. 2021年度事業計画
 下記の事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.37の刊行
・NEWSLETTER no.130、131、132の刊行
・モノグラフの募集
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・第39回研究大会・総会の実施
・JCASA等の活動
・石川榮吉賞の選考
・第21回日本オセアニア学会賞の募集

6. 2021年度予算案(別紙参照)
 2021年度予算(2021年3月1日~2022年2月28日)について、倉田誠会計担当理事より説明があり、承認されました。

報告事項
1.    石川榮吉賞について
 受賞者:山本真鳥会員
2.    第20回日本オセアニア学会賞について
受賞者:大津留香織会員
 受賞作品:『関係修復の人類学』
3.    その他
・日本学術会議問題で理事会声明の発出
・同人文・社会科学系学協会共同声明に賛同学協会として会長名で連名
・次回の研究大会・総会(事務局:長島怜央会員)

第6回石川榮吉賞について


1)    受賞者:    山本真鳥 会員

2)    推薦理由
 山本真鳥氏は、ポリネシアのことに西サモアでの長期のフィールドワークから文化人類学的な調査をはじめ、その後、オセアニア各地において幅広く調査研究 を行っている。伝統的政治システム、社会変化、移民、芸術など多彩なトピックを扱っているが、とくに交換システムなどに関する経 済人類学的研究は、『儀礼 としての経済―サモア社会の贈与・権力・セクシュアリティ』(山本泰との共著、弘文堂、1996年)、『グローバル化する互酬性―拡大するサモア世界と首 長制』(弘文堂、2018年)など、芸術関係は『Art and Identity in the Pacific: Festival of Pacific Arts』(JCAS Area Studies Research Reports no.9.、2016年)、の著作・編著に結実して高く評価されている。それ以外にも人類学・オセアニア地域研究に関わる数多くの編著を刊行している。またオセアニアに関 する人類学の古典ともなっている主要な研究書の翻訳・紹介を通じて、日本におけるオセアニア研究の発展と裾野を広げることに大きく貢献した。翻訳書には、 『サモアの思春期』(マーガレット・ミード著、畑中幸子と共訳、蒼樹書房、1976年)、『歴史の島々』(マーシャル・サーリンズ著、法政大学出版局、 1993年)などがある。
 本学会での活動としては、2015年から2019年にかけて2期4年間会長を務めたほか、理事・評議員などの役職を長年にわたって歴任した。会長在任中 には、沖縄で第35回研究大会・総会とあわせて、日本オセアニア学会創立40周年記念公開シンポジウムを開催することで、日本におけるオセアニア研究のプ レゼンスを高めることに一方ならぬ貢献を行った。以上のように、オセアニア研究の振興に多大なる寄与を果たしてきたこと、くわえて、長年にわたり日本オセ アニア学会の発展に貢献してきたことから、山本氏を石川榮吉賞受賞者として推薦することに決定した。


石川榮吉賞を受賞して

山本 真鳥

  この度は、日本オセアニア学会の創始者石川榮吉先生のお名前を冠した賞をいただきまして、誠にありがとうございました。石川先生 は私が博士課程に進学した 頃非常勤で教えにおいでになられまして、それが最初の出会いです。いろいろとアドバイスや励ましのおことばをいただきました。
   私がオセアニア研究を始めたのは学部生の時で、そのときには東南アジアなど、さまざまなエスニック集団が交錯しているところを授業で学んだりするうち、こ んなところを研究するのはしんどそうだ、島は境界が明確なので研究しやすいのではないか、と考えたことがきっかけです。ただ、実際にそのために楽に研究で きたかというと、そう簡単ではありません。卒論にはトンガ王国の社会構造に焦点を当て、その後サモアの首長制を研究しようと、修 士論文の後、イーストウェ ストセンターを経てサモアでフィールドワークをする段取りとなりました。しかし、首長の何たるかを知ろうと村の首長会議で参与観察をしていても、アピア市 の役所で働くエリートの若者に首長称号への関心について訊ねてみても、首長位の継承の話や、地域の紛争解決の話などを集めてみても、つかみ所がなく手探り 状態でした。やがて儀礼交換に活路を見いだしその調査を始めたのは最後の2~3か月です。儀礼交換の研究を短期的なフィールドワークで本格的に行ったの は、ハワイから帰国後のことでした。
 オセアニア研究をされている指導教官がおられなかったということがあり、オセアニア学会を通じて親しくなった5歳前後の先輩や仲間たちに支えられたこ と、 そして、彼らと民博での共同研究会などで顔合わせをするといったことは、私の研究に大きな影響があったと思います。学会と民博によって研究者としての私は 育てられたように思いますし、そのような我々を見守ってくださる石川先生の姿がありました。
   恩返しというわけではありませんが、私が学会に対して大きな貢献をしたと思うのは、Man and Culture in Oceaniaの編集を印東先生から引き継いだことです。お手伝いをするところから、主幹となりやがて役割を引き継いでいくまで、合わせて10年ほども関わっていたように 思います。ただ労働提供というばかりでなく、編集の仕事は私にとってはとても重要な修行となりました。査読という作業を通じて、論文が確実によくなるとこ ろを目の当たりにして、得るところは大きかったと思っています。
  私自身の研究は、儀礼交換から、太平洋系移民、そしてその本国社会への影響というように広がって行きました。さらに太平洋芸術祭やパシフィカ・フェスティ バル、ニュージーランドのオセアニア系アーティストの研究という具合です。大学も本年をもって定年退職となりますが、研究では現役のつもりでおりますの で、何卒よろしくお願い申し上げます。
   最後に石川先生によって設立され、学兄方のご努力で育てられてきた学会の、今後の発展と皆様方の研究の一層の展開を祈念いたします。

第20回日本オセアニア学会賞について

1)    受賞者:    大津留香織 会員
対象著作:    『関係修復の人類学』成文堂、2020年

2)    選考理由
 大津留香織著『関係修復の人類学』はRestorative Justice(一般に「修復的司法」と呼ばれるが、著者は含意を広げてRJと略記する)について、ヴァヌアツの二地域で実施した調査にもとづき、独自の議論を展開して、 RJを斬新かつ深い視点で提起することに成功している。すなわち、土地紛争、宣教師の死、交通事故という問題に、当事者たちがどのように相互行為をつうじ て和解を成り立たせていくかを詳細に考察し、その過程で人間に備わる共感能力および共感によって作りつづけられる物語がいかに決定的な働きを果たすのかを 説得力ある形で提示するのである。毀損した関係を人間が修復する姿が、国家司法の枠組を越える普遍性を意識して堂々と論じられており、そこでは法学、社会 学、犯罪学、心理学、そして何より人類学の議論を横断し繋ぐ力量が十分に発揮されている。各分野での参照文献の量や基本概念の理解に物足りなさは残るが、 オセアニア研究の可能性をみごとに広げる著作として、第20回日本オセアニア学会賞にふさわしいと判断する。

第20回(2020年度)日本オセアニア学会賞選考委員会

第21回日本オセアニア学会賞選考要項

2021年度日本オセアニア学会賞選考委員会

1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2020年1月1日から2021年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のも のに限定する。

2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。

3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、 E-mailアドレス)を明記するものとする。

4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象となる著書ま たは論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編者 名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を日本オセアニア学会事務局に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理す る。なお、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。

5. 応募期間は 2021年11月1日から2022年1月14日まで(必着)とする。

6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に E-mail でも受け付けることとする。

(日本オセアニア学会事務局)
〒110-8713 東京都台東区上野公園13-43
東京文化財研究所 無形文化遺産部 音声映像記録研究室(石村行)
TEL 03-5809-0428 FAX 03-3823-4854
E-mail:secretary[アットマーク]jsos.net

7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。

8. 2022年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>
1.    応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内に PCO へ投稿することが望まれます。
2.    選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
3.    オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状等)
受賞者には賞状等を授与する。

附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。
附則
本規定の改定は令和2年7月31日より施行する。

新刊紹介

馬場 淳・平田晶子・森 昭子・小西公大(編)
『萌える人類学者』
(東京外国語大学出版会、2021年3月)

 本書は、これまで日本オセアニア学会の発展に寄与してきた栗田博之氏の退職(2020年3月)を記念して編まれたエッセイ集である。もちろん、昨今の出 版 事情から、栗田氏へのオマージュは「裏の顔」であり、文化人類学の魅力を伝える一般書、また文化人類学を学びはじめた学部生向けの準教科書というのが「表 の顔」である。しかし「裏の顔」は、そこかしこに見てとれることだろう。
 まず、「あとがき」で述べられているように、執筆陣は、特別ゲストを除けば、栗田氏の勤務先であった東京外国語大学の関係者で組織されている。次に、今 と なっては「古めかしく」感じられるかもしれない「萌え」をタイトルに据えているのも、編者たちが栗田氏の言動から感受した直観的な印象によるものである。 さらに、第3部で萌える人類学者の代表的人物として取り上げられているのが、ほかならぬ栗田氏なのである。
 ここで強調しておきたいのは、第3部以外の章も栗田氏へのオマージュをそこはかとなく表明しているという点だ。確かに、各章が対象とする地域は世界各地 に および(カナダ、キューバ、ツバル、オーストラリア、パプアニューギニア、インドネシア、日本、ラオス、タイ、インド、ケニア、ガーナ、コートディヴォ ワールなど)、そのテーマ=萌えの対象も、先住民の文化復興、芸能(パフォーミングアーツ)、名前、島、歌姫の声音、日本食、布(機織り)など、多岐にわ たる。この拡散的・遠心的なエッセイ群は、しかし、栗田氏の業績に必ず言及することでつながりあう。それによって、栗田氏の業績が異なる文脈(地域とテー マ)のもとでいかなる「糧」となるかを示唆しつつ、伏線として「裏の顔」の輪郭が与えられていくのである。
 さて、この栗田氏への潜在的な求心性を孕みつつ、「萌え」というテーマのもとで自由につづられた12本のエッセイ(序章と終章を除く)は、本書において 3 つのパートに分けられている。第1部「共鳴する萌え」は、フィールドの人々の萌えと執筆者の萌えの共鳴を主題にするエッセイ群、第2部「内旋する萌え」は 人類学者の一方的な萌えやその内省を主題とするエッセイ群である。それに対して、第3部「人類学への萌え」は栗田氏のエッセイやインタヴュー、日常的発言 を検討することで、「萌える人類学者」像を具体的に提示しようという試みである。
 以上のように、本書はオセアニアに特化した書物ではない。ただ本書の性格に鑑みれば、ここでオセアニアに関わるエッセイくらいは紹介しておいても場違い で はないだろう。なお以下の章解説は、序章の「本書の構成」と重複するところがあることをお断りしておく。
 第1部には、ツバルに関する小林誠氏のエッセイ「島に萌える――ツバルにおける気候変動、科学、キリスト教」(第4章)がおさめられている。小林氏は、 気 候変動により「沈む島」であることに萌える島外の人々と、キリスト教を信仰し島は沈まないと考える島民との狭間で、人類学者としての葛藤を吐露する。そし て人々の多様な萌えが交差する環礁と自らの萌えを振り返り、沈むと主張することもそれを否定することも政治性を伴うと指摘しつつ、「沈む島」を「武器」に ツバルが注目を集めるほうが、援助を呼び込み、島を守ることに繋がるだろうと結ぶ。
 第2部には、山内由理子氏と槌谷智子氏のエッセイがおさめられている。まず、山内氏は「西オーストラリアの町の日本食に萌える――ブルームの日本人移民 の過去と現在」(第5章)と題して、ブルームの日本食について論じる。読者は、日本食のグローバル化をめぐる話だと早合点するかもしれないが、残念ながら その期待はすぐに裏切られてしまう。というのも、その田舎町では、今となっては、日本人コミュニティも日本食レストランもなく、「真の」日本食など期待で きないからである。それでもなお山内氏は、ときおり人々の語りに表れる「真の」日本食にこだわる。注目すべきは、山内氏が食の真正性を、当事者性や伝統的 食材の使用、原初的な味の再現ではなく、歴史的につみあげられた社会関係や相互行為のなかから生成してくるものとしてとらえなおした点である。このエッセ イは、食が自他の境界確定や(真珠貝採取業や日本人移民を含む)歴史的社会的関係をみる窓口であることを端的に示しつつ、食の真正性そのものの見方を転換 させてくれるだろう。
 次に、槌谷氏は「出会いに萌える――パプアニューギニアでのフィールドワーク」(第8章)と題して、フォイ族でのフィールドワークをはじめた当時のみず み ずしい驚きや発見をあたたかいタッチでつづっている。現地の人々や海外の人類学者との「出会い」から、それまで学んできた人類学的な知識(ケガレ、邪術、 霊など)が具体的な血肉を得、生きた世界として立ち現れていくプロセスが丁寧に記述されている。これまで槌谷氏がさまざまなところで発表してきたフォイの 民族誌の「はじまり」がここにある。
 第3部では、上述したように、萌える人類学者の代表的人物として、栗田氏が全面的に登場し、本書のもつ「表」と「裏」のバランスが揺れ動く。栗田氏が 「表 の顔」を考慮して本書に寄稿=再録したのは、1985年に『理想』誌に発表した「ボンジュール・トーテミスム」(第9章)である。皆川勤氏は、『図書新 聞』(3503号、2021年7月10日)における本書の書評にて、この「ボンジュール・トーテミスム」を引いたうえで「栗田博之は、わたしにとって未知 の人類学者だが、このような刺激的な文章にもっと早く知りたかったと感じた」と述べている。
 また、第3部の特徴は、学会でも稀有な論客と言われる栗田氏の発言を収集・採録している点である。平田晶子氏による「ボンジュール・トーテミスム」の解 題 (第10章)には研究室でのインタヴューが掲載されており、論文などでは表出しない栗田氏の思考の一端をうかがうことができるだろう。第12章「萌える人 類学者の教え」は、栗田氏の人柄と業績を簡単に紹介したうえで、その日常的発言を拾い集め、解説を加えるかたちをとっている。具体的には、導入部の「シュ ナイダーを見習え!」(馬場淳)にはじまり、超フェミニスト(平田晶子氏)、子育てと性(森昭子氏)、先住民史観(工藤多香子氏)、そして特別ゲストの山 本真鳥氏による旅行者と人類学者の違いが、検討されている。
 「裏の顔」がクレッシェンド的に頭をもたげる展開のなかで、何が表で裏なのか――ここまでくると、その区分はかなり曖昧であ る。栗田氏へのオマージュは 「萌える人類学者」像の輪郭を描くこととパラレルであるが、「あとがき」でも述べられているように、そのオマージュを差し引いても、各エッセイが準教科書 的でありながら専門的にも読み応えのあるエスノグラフィになっていることは言うまでもない。いずれにせよ、いくつかの仕掛けが詰まった本書を広く紹介して いただけたら望外の喜びである。
(馬場 淳)



井原泰雄・梅﨑昌裕・米田 穣(編)
『人間の本質にせまる科学――自然人類学の挑戦』
(東京大学出版会、2021年3月)

 オセアニアの人々の特徴を明らかにする学問のひとつとして自然人類学は重要な役割を果たしてきた。本書は、東京大学教養学部の1、2年生向けのオムニバ ス講義「人間の本質にせまる科学」に基づいており、自然人類学の最新の知見を分かりやすく紹介した内容となっている。
 東京大学の学部講義に基づく書籍として、これまでも数々の名著が生みだされてきた。『知の技法』や『東京大学のアルバート・アイラー』、比較的最近では 『科学の技法』等がある。書籍に結実したという点で、これらの基となった講義の評判も高かったと思われる。そして、本書の出発点であるオムニバス講義「人 間の本質にせまる科学」もやはり、講義期間中、大いに盛り上がったそうである。
 編者のお一人から伺ったところ、2020年度はテレビ会議システムを使ったオンライン講義形式で行われたという。受講者は学部1、2年生を中心に500 人以上に上った。毎回、チャットによる質問を受け付けていたが、あまりにも質問が多いため、質問内容を整理して講師に伝えるTAが必須であったそうであ る。また、質問内容には本質的な疑問も含まれるなど、受講者が熱心に受講していた様子が伺えたという。自然人類学は、高等学校までに学ぶ教科に含まれない ため、一般に、学部1、2年生にはなじみのない学問分野である。こうしたなか、学部学生の知的関心を喚起したという点は特筆すべきであろう。
 現代の自然人類学は、近年になって発展した科学的手法を取り入れて日々進展しており、また、さまざまな学問分野が参入するようになっている。こうした現 況を反映し、本書が紹介する学問分野も、次の通り多岐にわたる。霊長類学、形質人類学、進化人類学、進化生物学、人類遺伝学、進化遺伝学、古代ゲノム学、 運動学・生体力学、人類生態学、人口学、数理生物学、考古学、文化人類学。
 本書は、多岐にわたる自然人類学の研究テーマを、人類進化、ゲノム科学、生理機能と環境適応、文化と人間に分け、全体として4部構成とし、「はじめに」 のほか15章とコラム7編を収録する。本稿では、各章とコラムのタイトル、および各執筆者のみ以下に紹介し、最後に、文化人類学者である筆者の視点から若 干の感想を記したい。

本書の目次・構成

はじめに――自然人類学を学ぶ意義と魅力
(長谷川壽一)

Ⅰ 人類進化の歩み
第1章 ヒト以外の霊長類の行動と社会――ヒトを相対化する
(中村美知夫)
コラム 霊長類の子育て
(齋藤慈子)
第2章 猿人とはどんな人類だったのか――最古の人類
(河野礼子)
コラム 人類化石の発見,いかに
(諏訪 元)
第3章 ホモ属の「繁栄」――人類史の視点から
(海部陽介)
第4章 旧人ネアンデルタールの盛衰――現生人類との交代劇
(近藤 修)
コラム 旧人と新人の文化
(西秋良宏)

Ⅱ ヒトのゲノム科学
第5章 アジア人・日本人の遺伝的多様性――ゲノム情報から推定するヒトの移住と混血の過程
(大橋 順)
コラム HLAと日本人の形成
(徳永勝士)
第6章 全ゲノムシークエンスによる人類遺伝学――ヒトゲノムの変異と多様性
(藤本明洋)
第7章 自然選択によるヒトの進化――形質多様性と遺伝的多様性
(中山一大)
第8章 縄文人のゲノム解読――古代ゲノム学による人類の進化
(太田博樹)
コラム 霊長類の遺伝
(石田貴文)

Ⅲ 生きているヒト
第9章 ヒトはなぜ直立二足歩行を獲得したのか――身体構造と運動機能の進化
(荻原直道)
第10章 なぜヒトは多様な色覚をもつのか――霊長類の色覚由来から考える
(河村正二)
第11章 ヒトの環境適応能――生理的適応現象とその多様性
(西村貴孝)
第12章 生存にかかわる腸内細菌――ホモ・サピエンスの適応能
(梅﨑昌裕)
コラム 人口からみるヒト
(大塚柳太郎)

Ⅳ 文化と人間――文理の境界領域
第13章 言語の起源と進化――その特殊性と進化の背景
(井原泰雄)
第14章 考古学と自然人類学――縄文時代・弥生時代の生業を考える
(米田 穣)
第15章 人種と人種差別――文化人類学と自然人類学の対話から
(竹沢泰子)
コラム 人新世:ヒトが地球を変える時代
(渡辺知保)

 筆者は、文化人類学を専門としてパプアニューギニアで現地調査を行ってきた。本書を手にして思うことは、こうした自然人類学の研究領域について、文化人 類学者がもっと関心や関与を深めることで、より学問的な発展が促されるのではないだろうかということである。
 例えば、第12章で人類生態学者の梅﨑は、人類史における人類の環境適応について概説した上で、タンパク質摂取量が少ない環境で生活してきたパプア ニューギニア高地人がタンパク質欠乏症状を示さない現象には、彼らの腸内細菌叢が寄与している可能性があると指摘している(pp.198-203)。こう した研究は、人間の食生活を扱っている。どのような食事をとっているのか、どのような食事をとってはいけないのか。こうした事柄によって形作られる食生活 は、数多くの文化人類学者が指摘してきたとおり、文化的な価値観が大きく関与する(e.g. 大貫 1995)。そうした意味で、食生活と関連する研究に文化的な価値観に関心を払ってきた文化人類学者が参与することによって、なんらかの学問的な発展が生じる可能性もあ る。実際に、生物人類学と文化人類学との共同の意義もすでに提唱されている(e.g. Parkin and Ulijaszek eds. 2007)。
 こうした点を特に感じたのは、本書の第4部「Ⅳ 文化と人間――文理の境界領域」である。ここでは、言語、生業形態、食料生産、人種の概念が扱われる。 これらは、文化人類学が長い間あつかってきた研究テーマである。こうしたテーマの研究が自然人類学の側ではどのように行われているのか知ることは、文化人 類学を学ぶ者にとってもためになると思われる。なお、第15章の執筆者である竹沢は文化人類学者であるが、この章は、人種という概念について考える際に自 然人類学の知見への目配りが極めて重要であることがよく分かる内容となっている。文化人類学者が自然人類学に関心をもつことの有効性が明確に示されている といえよう。
 最後のコラムにおいて、人類生態学者の渡辺は人新世(Anthropocene)の概念を取り上げている。人新世という概念について、近年、文化人類学 でも触れられることが増えてきた。人新世とは、地質年代のひとつとして提唱されている概念であり、もともと地質学者や大気科学者が提案したものである。人 類の活動が地球環境を変化させるという点が、人新世の特徴である。人新世について、渡辺は以下のように述べている。

 人新世を出現させた現生人類は、人間の本質からもっとも離れてしまったのだろうか。それとももっとも本質に近づいたと考えるべきだろうか。もし、化石人 類の中に人新世をもたらすヒントが見つかるならば、人新世は、数百万年を経て人間の本質が開花した時代ということになるのかもしれない。(p.252)

 人類史という点を意識しながら文化人類学は、「人間とは何か」という問いに答えようとしてきた。そうであるならば、進化と適応についてより深く考えてき た自然人類学の知見を吸収することで、文化人類学の側からも、渡辺の提起するような「人間の本質」に関する問いにより接近できるのではないかと思われる。
 本書の一読をおすすめしたい。

<参照文献>
Parkin, David J. and Ulijaszek, Stanley J. (eds)
2007 Holistic Anthropology: Emergence and Convergence. Berghahn Books.
菊地成孔・大谷能生
2005 『東京大学のアルバート・アイラー――東大ジャズ講義録』メディア総合研究所。
小林康夫・船曳建夫
1994 『知の技法――東京大学教養学部「基礎演習」テキスト』東京大学出版会。
大貫恵美子
1995 『コメの人類学――日本人の自己認識』岩波書店。
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構初年次教育部門・増田建・坂口菊恵
2017 『科学の技法――東京大学「初年次ゼミナール理科」』東京大学出版会。

(田所聖志)

2021年度の研究大会・総会及び地区例会の告知

日本オセアニア学会会長 中澤 港

2021年度の研究大会・総会につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況をみながら、長島怜央会員(東京成徳大学)のもと準備を進めております。開 催場所や開催方法などの詳細につきましては追ってホームページ、メーリングリスト等でお知らせします。また地区例会につきましても、各地区担当の理事や幹 事のもと準備を進めておりますので、詳細については決まり次第、ホームページ、メーリングリスト等でご連絡いたします。

新入会員 所属変更

新入会員
東平福美(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻日本語教室)

 所属変更
塚原高広(名寄市立大学保健福祉学部)
佐本英規(筑波大学人文社会系)
田所聖志(東洋大学社会学部)

ニューズレターNo.129から

第38回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

第38回研究大会・総会事務局 黒崎岳大

第38回日本オセアニア学会研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。今回は、新型コロナ感染症対策の中で、研究大会・総会はオンライン (ZOOM)上で開催いたします。

【日時】
2021年3月18日(木)9:00~13:05、13:50~18:00
(理事会及び評議員会は、3月10日の10時から11時(理事会)、11時から12時(評議員会)にオンラインで開催予定)
※18 日(木)8:45 よりZOOM上に入室できるように設定します。

【会場】(ZOOM上で開催)
参加者宛には大会の前日までに抄録とともに、ZOOMのURLをメーリングリストで送付する予定です。

【研究大会・総会スケジュール】
3月18日(木)
08:45~    ZOOMへの入場開始
09:00~09:10 開会挨拶

09:10~10:25 一般発表:第1セッション・座長 倉光ミナ子(お茶の水女子大学)
09:10~09:35 A 石村智(東京文化財研究所):ポリネシアにおける社会階層化と人口・環境との関連
09:35~10:00 B 山本真鳥(法政大学):オセアニア植民地時代における非白人移住者(1)
10:00~10:25 C 矢野涼子(神戸大学大学院):明治・大正期日本がみたサモア諸島

10:30~11:45 一般発表:第2セッション・座長 小林誠(東京経済大学)
10:30~10:55 D 深山直子(東京都立大学):NZマオリによるラーフイの宣言――コロナ警戒下での先住的環境思想の「拡大」
10:55~11:20 E 大島崇彰(東京都立大学大学院):オセアニアの嗜好品カヴァを再考する――文化/物質の対立を超えた議論に向けて-
11:20~11:45 F 山口優輔(京都大学大学院):気候変動の影響を受ける小島嶼の暮らし――ソロモン諸島国テモツ州における事例研究

11:45~13:05 総会・学会賞表彰等
[休憩 13:05~13:50]

13:50~15:05 一般発表:第3セッション・座長 石村智(東京文化財研究所)
13:50~14:15 G 山口徹(慶應義塾大学):北部クック諸島プカプカ環礁の初期居住期を再考する
14:15~14:40 H 棚橋訓(お茶の水女子大学): 墓が拓く、墓が結ぶ――クック諸島プカプカ環礁のislandscape
14:40~15:05 I 島崎達也(慶應義塾大学大学院):マリアナ諸島における網代圧痕土器の諸問題

15:10~16:25 一般発表:第4セッション・座長 馬場淳(和光大学)
15:10~15:35 J 木村彩音(神戸大学大学院):出自を付与する――トレス海峡諸島民の伝統的養子縁組から
15:35~16:00 K 片岡真輝(アジア経済研究所/カンタベリー大学):フィジーにおける記憶の政治利用と集合的記憶が民族関係に及ぼす影響
16:00~16:25 L 丹羽典生(国立民族学博物館):埋葬形式の標準化――19世紀後半以降におけるフィジーの葬送の変容

16:30~17:50 ミニシンポジウム:海外研修航海から考える大学教育と人的交流の可能性:オセアニア地域訪問での事例を中心に
司会・モデレーター・黒崎岳大(東海大学)
報告(1)・千葉雅史(東海大学)
報告(2)・笹川昇(東海大学)
報告(3)・黒崎岳大
ディスカッサント:大江一平(東海大学)

【参加費】
有職者・無給者(大学院生、学生等)ともに無料

【参加の問い合わせ】
 参加および発表申込はすでに締め切っております。参加にご関心がある方は下記の事務局までお問い合わせください。


2020年度日本オセアニア学会関東地区研究例会の報告


関東地区研究例会幹事 里見龍樹
2020年度の関東地区例会を、Zoomを用いたオンライン形式で以下の通り開催した。

【日時】2021年2月21日(日) 14:00~17:30
【発表者】紺屋あかり会員(明治学院大学)、浅井優一会員(東京農工大学)
【コメンテーター】橋爪太作会員(早稲田大学)、里見龍樹会員(早稲田大学)

【プログラム】
14:00~14:50 第1発表 紺屋あかり会員
「パラオにみることばの物象化と海の底の石」
14:50~15:10 コメンテーター2人によるコメント
15:10~15:40 質疑応答
15:50~16:40 第2発表 浅井優一会員
「外来王を巡るプラグマティクス:現代フィジーにおける神話の語りと儀礼の秩序」
16:40~17:00 コメンテーター2人によるコメント
17:00~17:30 質疑応答

本年度の関東地区例会は、オセアニア地域における言語の社会的生とでも呼ぶべき主題について先鋭的な研究を行っている会員2名を発表者に迎えて開催した。
 紺屋あかり会員は、パラオにおける詠唱などの言語実践を「ことばの物象化」という概念によって統一的にとらえ、植民地化以前/以後における「ことばの物 象化」の歴史的変容と持続性について考察した。「ことばそれ自体」の存在性に迫ろうとする精妙で斬新な議論に対し、オセアニア各地の事例を念頭にいくつも の質問が寄せられた。
 浅井優一会員は、現代フィジーにおける土地、集団と文書の関係性を事例に、サーリンズからトーマスを経てストラザーンに至るオセアニア人類学の理論的展 開を、ヤコブソンやシルヴァステインの言語理論を参照して大局的に把握しようとする議論を提示した。広範な理論的射程をもつこの議論に対し、人類学の理論 的現状を踏まえて意見交換が行われた。
発表を受け、合計20名の参加者によって活発な討論が繰り広げられ、例会は盛況のうちに終わった。また、終了後にはオンラインでの懇親会も行われた。

2020年度日本オセアニア学会関西地区研究例会の報告

関西地区研究例会幹事 深川宏樹
 2020年度の関西地区研究例会を、以下のとおりオンラインにて開催した。

【日時】2021年1月9日(土)
【会場】オンライン開催(Webex Meetings)
【プログラム】
13:00〜14:00 発表者:土井冬樹(神戸大学)
「二文化主義の実践:ニュージーランド警察が踊る先住民マオリの踊り」
14:00〜14:15 コメンテーター: 深山直子(東京都立大学)
14:15〜15:00 全体での討論
15:15〜16:15 発表者:矢野涼子(神戸大学)
「第二次マウ運動におけるサモアの現地住民による嘆願——人々の多様性と統合・対外地域との結びつき」
16:15〜16:30 コメンテーター: 飯高伸五(高知県立大学)
16:30〜17:15 全体での討論

 本年度の関西地区例会は、個人発表2名、それにたいするコメンテーター2名で開催した。土井冬樹会員の個人発表では、人類学における「文化の盗用」をめ ぐる議論が理論的に整理され、そこからニュージーランド・マオリの文化保護と二分化主義の現状に対する批判的検討がなされた。そのうえで、現在のニュー ジーランドの警察学校で踊られるハカの先進的な事例の分析から、文化の排他的な所有権の主張ではなく、文化の神聖性と真正性の維持という観点から、マオリ の人々が、警察によるハカの実践を許容していることが論じられた。土井会員の発表にたいして深山直子氏からのコメントがなされ、引き続き全体での討論がお こなわれた。つぎに、矢野涼子会員の個人発表では、サモアにおける第二次マウ運動の事例が取り上げられ、運動における嘆願書を中心とする豊富な歴史資料か ら、サモアの現地住民(ネイティブ・混血・外国人永住者など)が誰に対し、いかなる目的や不平をもって運動に参加したのかが、主導者以外の多様な人々を含 めた視点から、多角的に考察された。そこから、マウ運動において「現地住民」と一括されがちな人々の内的多様性とその統合の機制や、海外地域との結びつき が明らかにされ、さらにマウ運動とイギリス帝国の崩壊の動きとの関連性にまで議論は発展した。矢野会員の発表にたいして飯高伸五氏からのコメントがなさ れ、引き続き全体での討論がおこなわれた。合計27名の参加者のもと、本例会は盛会のうちに終わった。

新刊紹介

梅﨑昌裕・風間計博(編)『オセアニアで学ぶ人類学』(昭和堂、2020年12月)

本書は、昭和堂の「〇〇で学ぶ文化人類学」シリーズの一冊であり、序章でも述べられているように、〇〇(地域名)を知ることと人類学を知ることがパラレルになるような相互 構成的特徴をもつ。オセアニア地域ならびに人類学に関心のある一般読者を想定した本書は、同時にこの学問領域を学ぼうとする大学生向けの教科書でもある。
近年の文化人類学においては、個別地域から乖離した研究動向が見受けられる。一方、元来の人類学は、個別地域におけるフィールドワークと切り離せない知的 営為であった。したがって、この学問は、歴史的に構築されてきた人々の生活を抜きにして成立しえなかった。本書は、そうした人類学の原点をあらためて見直 す意識をもって編まれている。
他のシリーズと比較したとき、まず本書のタイトルが<文化人類学>ではなく、広く<人類学>と銘打っている点にお気づきだろう。実際、本書には、文化人類 学だけではなく、自然人類学、生態人類学、考古学などの研究成果が盛り込まれている。これは、海洋世界であるオセアニアと、その特異な環境に生きる人間を 総体的に理解しようという本書のコンセプトを反映したものである。また、各章の執筆者は、いずれも日本オセアニア学会という学際的なアカデミーで育った 「現役の」研究者である。思い出話ではなく、オセアニアの調査地で収集したデータにもとづくフレッシュな論考を集めるように心がけた。
「はじめに」と「この本をおもしろく読むための方法――あとがきに代えて」を除くと、本書の構成は、以下のとおりになっている。

序章 オセアニアを知り、人類学を学ぶ
第1章 人類史(1)―発掘からよみとくオセアニア移住史と海洋適応
第2章 人類史(2)―ゲノムに刻まれたオセアニアにおける人類の歴史
第3章 環境―オセアニアにおける植物利用の民族学
第4章 生業―パプアニューギニアの「焼かない焼畑」
第5章 医療―パプアニューギニアではどのように治療が選ばれるのか
第6章 婚姻―夫と妻、そしてXがつむぐマヌスの結婚生活
第7章 家族・親族―人工の島々に住まうマライタ島の人々
第8章 政治―ポーンペイの首長制と民主主義
第9章 経済―贈与交換のニューギニア、あるいは人と物の溶け合うところ

第10章 宗教―メラネシアの世界観とキリスト教
第11章 芸術―オセアニアの芸術と工芸の交差点
第12章 身体―イレズミからみるポリネシア社会の歴史
第13章 先住民―ニュージーランド・マオリの政治と日常
第14章 植民地―ヨーロッパ諸社会による支配と先住民フィジー人の自律
第15章 観光―オセアニア・イメージの消費
第16章 文化遺産―ナンマトル遺跡の保全と活用
第17章 資源開発―パプアニューギニア高地の天然ガス
第18章 環境問題―ツバルの気候と社会の変化

 以上のように、縦軸として広義の人類学という専門分野を、横軸として個別テーマを交差させた本書がカバーする範囲は、幅広い。初学者を想定して人類学の 古典的なテーマを踏襲しつつ、オセアニアが直面している現代的な問題を取り上げている。オセアニア地域ならびに人類学について少しでも関心をもつ読者に、 本書を広く紹介していただけたら幸いである。
(編者)

学会通信


新入会員
奥田梨絵(神戸大学大学院国際協力研究科博士前期課程)
山口優輔(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士過程)

所属変更
大津留香織(台南応用科技大学デザイン学部漫画学科)

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。
*ご所属やメールアドレス変更、退会希望の場合は、secretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。


寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

その他、寄稿に関わるご相談は、下記までお問い合せください。

寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp



ニューズレターNo.128から

第5回石川榮吉賞受賞の言葉

印東道子

私が最も尊敬していた石川栄吉先生のお名前を冠した賞をいただけるのは正に夢のようであり、とても光栄です。石川先生が企画された一般向けの「南太平洋 研究講座」を受講したのが、私が「オセアニア」という研究分野と出会ったきっかけでした。1972年当時、東京女子大学の史学科2年生だった私にとって、 石川先生をはじめ、青柳真智子、石毛直道、牛島巌、島五郎、杉本尚次、藪内芳彦など、オセアニア研究の最前線で研究されていた多様な専門分野の諸先生方の お話を身近に聞くことができる夢のような1年でした。この講座をきっかけに、ミクロネシアのチュークでの発掘調査に参加したことでフィールドワークの魅力 にとりつかれ、考古学を中心としたオセアニア研究を続けることになりました。石川先生は正に私自身の進むべき道を見つけるきっかけをつくって下さった恩人 です。
 その後、私は1982年からニュージーランドのオタゴ大学大学院へ留学し、ヤップ島で行った土器技術に関する民族考古学調査をもとに学位論文を作成する 日々を送っていました。ほぼ完成したころに、石川先生から突然お手紙をいただき、帰国することになりました。石川先生は環太平洋文化研究を柱とした国際文 化学部を新設する北海道東海大学の専任教員として私を推薦して下さり、研究者としての道を拓いて下さったのです。
 1988年に札幌の北海道東海大学で教育・研究生活を始めてからは、学会活動を通して少しでも恩返しができればと思い、当時の学会誌Man and Culture in Oceania(大塚柳太郎編集長)の編集をお手伝いしましたが、学会誌の編集をいかにより良く進めるかなど、さまざまな点で勉強になることばかりでした。1994年から は編集長を任されましたが、補助金もなかった当時はすべて手弁当でした。まだインターネットは使えずに、海外の査読者との連絡は郵送で行うために時間が掛 かりました。文章の割付などは大変複雑なTeXを使って編集し、表のTeX作業は須田一弘さんに手伝っていただき、DTP印刷した版下を印刷所に送ってよ うやく編集終了でした。学会誌を海外からも注目される国際学術誌に育てたいと頑張った中で、もっとも貢献できたと自負しているのは、誌名をPeople and Culture in Oceaniaに変更することを提案し(Newsletter 58)、実行できたことです。
 オセアニア学会設立15周年および30周年には、それぞれ記念の論集刊行の際に編者としてお手伝いしましたが、確実にオセアニア学会の会員の層が厚くな り、石川先生が播いた種が結実しつつあることをひしひしと感じました。またその間、設立20周年に際しては「南太平洋のフロンティア」と題した国際シンポ ジウムの企画をお手伝いし、P. ベルウッド、P. カーチ、J. デヴィッドソンという一線級のオセアニア考古学者を招待することも出来ました。シンポジウムのすぐあとに行われた学会の研究大会にも参加した彼・彼女らが、通例の温泉での 学会を堪能していたことを今でも鮮明に記憶しています。
 石川先生はもういらっしゃいませんが、石川先生が創設された「日本オセアニア学会」が今後も益々発展し、素晴らしい学会に育つことを心から念じ続けてい ます。


第20回日本オセアニア学会賞選考要項


2020年度日本オセアニア学会賞選考委員会

1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2019年1月1日から 2020年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。

2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。

3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mail アドレス)を明記するものとする。

4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象となる著書または論文名 を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編者名)、出版社、 出版年を明記する。この場合も、著書または論文をオセアニア学会事務局に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由が 必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。

5. 応募期間は2020年11月1日から2021年1月15日まで(必着)とする。

6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailでも受け付けるこ ととする。

(日本オセアニア学会事務局)
〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 国立民族学博物館 
丹羽典生研究室  宛て
TEL  06-6876-2151(代)FAX 06-6878-7503(代)
E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。

8. 2021年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>
1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定


第 1 条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の
振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第 2 条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第 3 条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を
公にした個人。但し、刊行時において原則として満 40 歳未満の者とする。
2 賞の授与は各年度 1 名とする。
第 4 条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した 5 名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第 5 条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第 6 条(賞状等)
受賞者には賞状等を授与する
附則
この規定は平成 13 年 4 月 1 日より施行する。
本規定の改定は令和 2 年 7 月 31 日より施行する。


第38回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

第38回研究大会・総会事務局 黒崎岳大

第38回日本オセアニア学会研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。今回は、新型コロナ感染症対策の中で、研究大会・総会はオンライン( ZOOM )上で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお待ちしております。参加および発表エントリーにつきましては、学会ホームページの参加フォームをご利 用の上、 2021年2月5日(金)までにお知らせください。

【日時】
    2021年3月18日(木) 10:00~12:40、13:10~18:00
    (理事会および評議会:研究大会日の1~2週間前に別途テレビ会議で開催予定)
    ※18日(木)9:30よりZOOM上に入室できるように設定します。
【会場】
    ZOOM上で開催:参加者宛には大会の前日までにZOOMのURLをメーリングリストで送付する予定です。
【研究大会・総会スケジュール】
    3月18日(木)
    10:00~10:10 会長挨拶
    10:10~12:40 一般発表
    13:10~14:30 総会・学会賞表彰等・学会賞受賞者講演
    15:00~18:00 一般発表
【参加費】
    有職者・無給者(大学院生、学生等)ともに無料
【参加・発表申し込み】
    参加フォームに沿って、参加・発表についてご記入ください 。発表される場合には、「発表題目」の記入が必要です。なおフォームをご利用いただけない場合は、ご氏名と連絡先を明記の上、メールで必要事項を大会・総会事務局にお知ら せください。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて20〜25分程度を予定しています。。


2020年度日本オセアニア学会関東地区研究例会のお知らせ

関東地区研究例会幹事 里見龍樹

今年度の関東地区例会では、オセアニア言語人類学の分野で精力的な研究を展開されている紺屋あかり会員と浅井優一会員をお迎えし、お二人のご研究の最新の 展開についてお話しいただきます。
今年度の関東地区例会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、オンライン会議システムZoomを用いて開催いたします。日程と参加申し込みの方法 は下記の通りです。万障お繰り合わせの上ご参加くださいますようお願い申し上げます。

日時:2021年2月21日(日) 14:00~17:30
参加申し込み:2月19日(金)までに、参加ご希望の旨をjsos.kanto2020[at]gmail.comまでメールでご連絡ください([at] を@に変えてください)。当日までにZoomへの参加方法をお伝えします。

発表者:紺屋あかり会員(明治学院大学)、浅井優一会員(東京農工大学)
コメンテーター:橋爪太作会員(早稲田大学)、里見龍樹会員(早稲田大学)

プログラム
14:00~14:50 第1発表 紺屋あかり会員
「パラオにみることばの物象化と海の底の石」(仮題)
14:50~15:10 コメンテーター2人によるコメント
15:10~15:40 質疑応答

休憩(10分)

15:50~16:40 第2発表 浅井優一会員
「外来王を巡るプラグマティクス:現代フィジーにおける神話の語りと儀礼の秩序」(仮題)
16:40~17:00 コメンテーター2人によるコメント
17:00~17:30 質疑応答

※プログラムに変更が生じる可能性があります。
※例会終了後、Zoom上で懇親会を行います。飲み物をご用意ください。

お問い合わせ:ryuju.satomi[at]waseda.jp([at]を@に変えてください)

2020年度日本オセアニア学会関西地区研究例会のお知らせ

関西地区研究例会幹事 深川宏樹

2020年度の関西地区例会を以下のとおり開催します。どうぞみなさまお誘い合わせのうえ、ご参加いただけますようよろしくお願いいたします。

◆日時:2021年1月9日(土)13:00~17:15
◆会場:オンライン開催(Webex Meetingsを使用)
*ご参加の方は、以下のメールアドレスより、ご参加の旨をお知らせくださいますようお願いいたします。メール返信にて、オンライン開催のアドレス等をお知 らせいたします。
 kansaireikai2020アットマークgmail.com (‟アットマーク”を"@"に変えて下さい)
*なお、ご参加の受付は、関西地区例会当日の1月9日(土)12時までとさせて頂きます。
◆プログラム
【発表1】
13:00~14:00 発表者:土井冬樹(神戸大学)
「二文化主義の実践――ニュージーランド警察が踊る先住民マオリの踊り」
14:00~14:15 コメンテーター: 深山直子(東京都立大学)
14:15~15:00 全体での討論
【発表2】
15:15~16:15 発表者:矢野涼子(神戸大学)
「第二次マウ運動におけるサモアの現地住民による嘆願――人々の多様性と統合・対外地域との結びつき」
16:15~16:30 コメンテーター: 飯高伸五(高知県立大学)
16:30~17:15 全体での討論

◆研究会終了後、オンラインで懇親会を開催します。こちらもぜひご参加ください。(ご参加の方は、お手元にお飲み物等をご用意ください)。

◆問い合わせ先
深川宏樹 hirokifukagawa13アットマークgmail.com
(‟アットマーク”を"@"に変えて下さい)

新刊紹介

【新刊紹介】
秋道智彌・印東道子(編)
『ヒトはなぜ海を越えたのか――オセアニア考古学の挑戦』
  (雄山閣、2020年3月)

海を越えたヒトの研究
 「人はなぜ海を越えたのか」と題する書を2020年3月に雄山閣から刊行した。本書の表題にある「渡海」の要因について、かつて小山修三は、大阪の国立 民族学博物館(以下、民博)で開催された「海人の世界」と題するシンポジウムで、渡海にはプッシュ要因とプル要因のある点を指摘した(小山 1998)。
戦争・食料不足・火山噴火・疫病の蔓延などは島外に脱出するプッシュ要因である。新天地のもつ様々な魅力や極楽浄土・不老不死の妙薬の探検などはプル要因 である。最近では、エルニーニョやENSOなどの気象変化による風向きの変化が移動を誘発したとする説がある(Anderson et al. 2006)。もちろん、ある地域や島から周囲に島が見える場合もあれば、見えなくとも海鳥の飛来、木の葉や木の実、流木、軽石などの漂流物によって、見えない海の向こうに 陸地を想定する場合もあったであろう。2つの要因論に加えて、嵐などで舟が流され、漂流(=ドリフト)の結果、新天地を発見・到達した場合もある。もちろ ん、途中で沈没、餓死などで命を落とした人びとも数知れない。海を越えることは危険を伴う反面、未知の世界を目指す冒険心と希望があったであろう。
渡海の動機付けの問題以上に、これまでに島と島、島とサンゴ礁をつなぐ「海の道」は目には見えないが、オセアニア中に張り巡らされている。もちろん、ハイ ウェイにも似た道や、暗礁と高い波で進入禁止となる地点が無数にある。風、波、魚、海鳥、クジラ、流木、木の実など、「海の道」にはさまざまな事象がとも なう。昼間と夜間でも、海の様子は異なるし、太陽、月、星なども「海の道」をたどる上で重要な標識となった。オセアニア中に拡散したオーストロネシア語族 の人びとの拡散の歴史を考古学、人類学、言語学、民族生物学などを重要な方法として紐解くことは、「海の道」を明らかにすることにほかならない。この作業 は魅力あるテーマであり、今後も継承されることはまちがいない。

本書の構成
 本書は戦後のオセアニア研究に従事してきた執筆者から構成されている。その道標となり、本書を刊行する大きな動機付けとなったのは、ハワイのビショップ 博物館に所属し、長年、オセアニア考古学のパイオニア的存在として偉大な業績を残したタテオ・シノト、つまり篠遠喜彦氏(1924~2017)がこの世を 去られたことであった(篠遠がポリネシア考古学に残した足跡がいかに大きかったかは P. Kirch(2018)に詳しく紹介されている)。2019年4月29日、京都の梅棹忠夫邸で開催されたシンポジウムにおいて、最後に編者の一人である秋道が、「篠遠先生 に捧げる書を出したい」と宣言したことに端を発する。
 執筆者は30代の若手から70代を越える研究者まで幅広い。分野も考古学を中心に、海洋人類学、自然人類学、言語学、民族植物学、カヌー研究、世界文化 遺産写真家など多彩な広がりをもっている。
 本書は5章からなる。第1章はポリネシアへの拡散モデル、第2章はオセアニアにおける移住史とそのモデル、第3章は航海とカヌー、第4章はポリネシアの 文化複合とアジアとのつながり、第5章はオセアニアの文化遺産と考古学の貢献にわけて論を展開した。各章は論文とコラムをあわせて3~5篇から構成されて いる。引用・参考とした論文・単行本にはオセアニア研究であることを踏まえれば、日本語のみならず英米・ドイツ・フランス語の引用が数多く含まれており、 それらを集積したものは、現在におけるオセアニア研究を展望する最新情報となった。
研究の時間軸は旧石器時代からオセアニアへの人類拡散を経て、現代における文化遺産の保全活動にいたるまで数万年間を対象としている。地域としては台湾か ら東南アジア、オセアニア全域におよび、世界でもっとも広い範囲に拡散したオーストロネシア語族の研究にふさわしく広大である。以下、考古学的な研究の エッセンスについて触れ、つぎに周辺の人類学、言語学、文化遺産学などの重要な知見について紹介したい。
 本書においてもっとも提起したいのは、「海の道」をたどった人びとの生きざまについて時代を超えて探ることである。「海の道」を考古学資料のみで復元す るのは簡単ではないが、異分野の研究を融合して移動の背景も理解することで、「海の道」への複合的なアプローチが可能になることを示したかった。以下で は、章ごとにその内容を紹介してゆく。

考古学からみたオセアニアの「海の道」
 ポリネシアへの人類の拡散の歴史については、言語や神話などから探られた時期もあるが、実際に過去のポリネシア人が食べたり使ったりした残滓や道具類を 掘り出して研究する考古学の説得力は強い。ハワイで途中下船したままポリネシア考古学にとりつかれ、一生を捧げることになったのが篠遠喜彦であった。第1 章では、ポリネシアにおける考古学研究の歴史を篠遠の貢献と共に見て行く(後藤明)。1950年代のハワイ考古学は、地上のマラエなどの石造構造物が主要 な研究対照となっていたが、年代測定法を取り入れ、出土する貝製の釣り針の型式が時間とともに変化する様子を初めて明らかにしたのが篠遠であった(丸山清 志)。また、K.エモリーと共に提唱したポリネシア全域への拡散モデルは、ながらく考古学以外のポリネシア研究者にも「オーソドックス・シナリオ」として 広く使用されてきた(野嶋洋子)。
 第2章では、篠遠以降の拡散モデルが紹介されている。まず、ポリネシア人の祖集団と考えられる集団の存在が、メラネシアから西ポリネシアにかけて分布し たラピタ土器が発掘されて明らかになるにつれ、ポリネシアに拡散するまでの動きが明らかになってきた(石村智)。しかし、発掘件数が増えるにつれ、大量の 年代測定値が報告され、拡散年代も古くなる傾向にあった。中には本当に人間活動に伴われた年代なのかが疑われるような年代も含まれるようになっていた。そ のため、1993年に、それまで報告されていたオセアニアの先史遺跡の年代全てを見直す研究が行われ(Spriggs and Anderson 1993)、人間の移住年代が大幅に新しくなった島もあった。また、それに伴って、篠遠らが提唱していた人間の移動モデルも変更された(印東道子)。他方、オセアニアの人 びとが通過した東南アジア島嶼部は、島に居住するのに重要な動植物類を入手した地域であり、更新世代から人間が海を越えて移動していた(小野林太郎)。コ ラムでは、ヴァヌアツで見つかった縄文土器について紹介されている。これは、フランス人考古学者J・ガランジェが出版したヴァヌアツでの発掘報告書に、数 点の縄文土器の写真が含まれていたことから、本当に縄文土器が出土するのかどうか、篠遠が行った調査の様子とその顛末が、発掘参加者によって紹介されてい る(藍野裕之)。

モノ・言語・知識からさぐる「海の道」
 考古学の遺物や遺跡と文化遺産としての保存など以外に、カヌー・漁具・栽培作物・家畜などのモノ、各地域の言語、海を越える知識としての航海術に関する 考察やアジアとのつながりを第3章と第4章で展開した。
 まず、復元されたダブルカヌー「ホクレア」によるハワイからタヒチへの復元航海の実態(後藤明)やオセアニアに広く分布するアウトリガーカヌーの構造や 機能についての詳細な分析を記述した(須藤健一)。カヌー、帆、櫂などの操船にちなむ語彙について比較言語学的な考察を加え(菊澤律子)、釣り針に関して は更新世のものから各地で多様に分化した様子がコラムで紹介されている(小野林太郎)
 オセアニアの人々がアジア起源であることは知られており(片山一道)、同じくアジア起源のブタ・ニワトリ・イヌなどの家畜とタロイモ・ヤムイモ・バナナ パンノキなどの栽培植物の語彙については、民族植物学と比較言語学での蓄積がある(Barrau 1958, 1961)。サツマイモは中南米起源であり、オセアニア世界にもたらされた経緯はYenによる3極説がある(Yen 1974)。最近の知見については秋道がまとめている(秋道 2018)。さらに、海岸部に生育する可食可能な野生種子(カンラン・モモタマナ・ククイ・タイヘイヨウグル ミ・サガリバナ・ゴバンノアシ)のオセアニア祖語などについても今後、比較研究を進める可能性を示唆した(秋道智彌)。植物のみならず、アジアから持ち込 まれた植物類のオセアニアにおける移住史の議論では、「高い島」と「低い島」における居住地の選択が重要とされてきた。水の利用可能性とともにイモ類の栽 培技術(風間計博)、さらにポリネシアにおける汽水域やタロイモ畑での蓄養池(ロコ・イア)技術の開発(秋道 2016)など、王権と儀礼・供物の供給な ど、考察すべき課題がまだまだある。これら、動植物に関する遺伝研究も進んでおり、単に存在の有無を追うだけでは見えなかった島嶼間のコンタクトの状況 を、動植物の移動という視点から見ることが可能になってきている(印東道子)。また、石斧と貝斧という同じ機能を持った道具をとりあげることによって、分 布が重なる島の存在を社会的背景と結びつける意義も紹介された(山極海嗣)。

 第5章では、オセアニアの文化遺産とその復元活動を早くから行っていた篠遠の活動を振り返り(林徹)、オセアニアで登録された世界文化遺産や、現在登録 を目指している暫定的な登録遺産も紹介された(石村智)。ハワイにおける脱植民地運動にはビショップ博物館の考古学調査が深くかかわっており、ホクレア号 の復元や、篠遠がタヒチで発掘したダブルカヌーなども多様な形で運動に影響を与えた(大林順子)。ポリネシア文化の特徴の一つに、マラエとよばれる石を敷 き詰めた神聖な空間があるが、それらの復元に篠遠がかかわっていた例としてクック諸島のラロトンガ島(山口徹)と、タヒチで実際に復元にかかわった様子 (飯田裕子)などがコラムで紹介されている。

 なお、本書の出版時期は、折しも、新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延が日本で発生する直前に当たった。日本は島国であり、今では空路・航路 を通じて海外から多くのヒトが入国する。オセアニア世界でコロナ禍の状況はどうであったのか。2020年3月、フランスのパリに滞在していたタヒチ人の女 性が帰国後、陽性が判明したのが最初の例であるが、その後、感染の拡大はヨーロッパ、米国、ブラジル、インドなどとくらべてわずかである。コロナ禍の影響 で、オセアニアへの観光客や外来の訪問者がいち早く徹底的に制限されたこと、島であることにより外界の影響から海によって隔離されていることが幸いした。 ただし、新型コロナウイルスにかぎらず、オセアニア世界では外界から疫病がもたらされた歴史は移住初期の時代からあった。
 これらの問題は今後のオセアニア研究でもぜひとも取り組むべき研究課題である。秋道は『疫病と海』と題する書の編集にあたっており、2021年3月に刊 行予定である(秋道・角南 印刷中)。

文献
秋道智彌 2016. 『越境するコモンズ――資源共有の思想をまなぶ』臨川書店。
秋道智彌 2018. 「海のエスノネットワーク論と海民――異文化交流の担い手は誰か」小野林太郎・長津一史・印東道子編『海民の移動誌』昭和堂、38-65頁。
秋道智彌・角南篤編 (印刷中) 『疫病と海』(海とヒトの関係学4)西日本出版社。
印東道子 2017. 『島に住む人類――オセアニアの楽園創世記』臨川書店。

小山修三 1998. 「石器時代の海人――山立て航海と推測航海」秋道智彌編『海人の世界』同文舘、21-46頁。
篠遠喜彦・荒俣宏 1994. 『楽園考古学』平凡社。
Anderson, A., J. Chappell, M. Gagan and R. Grove 2006. “Prehistoric maritime migration in the Pacific islands: A hypothesis of ENSO forcing.” The Holocene 16(1): 1-6.
Barrau, J. 1958. Subsistence Agriculture in Melanesia. Bernice P. Bishop Museum Bulletin 219. Bernice P. Bishop Museum Press.
―――― 1961. Subsistence Agriculture in Polynesia and Micronesia. Bernice P. Bishop Museum Bulletin 223. Bernice P. Bishop Museum Press.
Kirch, P. 2018. “Yoshihiko  H. Sinoto (1924-2017) and his contributions to Polynesian archaeology.” Asian Perspectives 57(2): 325-336.
Spriggs, M., and A. Anderson. 1993. “Late colonization of East Polynesia.” Antiquity 67 (255): 200-217.
Yen, Douglas 1974. The Sweet Potato in Oceania: An Essay in Ethnobotany. Bernice P. Bishop Museum Bulletin 236. Bernice P. Bishop Museum Press.
                                  (編者)

【新刊紹介】
Okamura, Toru & Kai, Masumi (Eds.)
Indigenous Language Acquisition, Maintenance, and Loss
and Current Language Policies
(IGI Global US、2020年8月)

本書は、世界の危機言語の現状を、フィールドワークをもとに記述するものである。第I部は欧米およびアフリカ、第II部はオーストラリアおよびオセアニ ア、第III部はアジアの危機言語を対象とした。本稿では特に第II部の研究論文を中心に紹介したい。分析に関しては、言語学的・社会言語学的視座から、 当該言語社会の姿を描くことを試みた。
本書の構成は、以下のとおり3部12章である。

序論
第I部 Americas, Europe, and Africa
第1章    How the Perceived Language Status of Brunca Resource Allocation in Costa
Rica: Policy vs. Reality
第2章    Critical Language Pedagogy in Scotland: The Case of Gaelic Medium
Education
第3章    Language Endangerment in Africa
第Ⅱ部 Australia and the Pacific
第4章  Australian Aboriginal Languages: Their Decline and Revitalisation
第5章   Preserving the Nauruan Language and Pidgin English in Nauru
第6章  Acquisition and Maintenance of the Indigenous Chamorro Language in the
 Youngest Generation in Guam
  第7章  A Discourse Analytic Approach to Practices of Hawaiian Language
 Revitalization in the Mass Media: Style, Bivalency, and Metapragmatic
 Commentary
  第8章  Persons and Address Terms in Melanesia: A Contrastive Study
第Ⅲ部 Asia
第9章  Selective Language Maintenance in Multilingual Malaysia
第10章  Language Shift and Maintenance in Uttarakhand, a Hilly State of India
第11章  The Origin and History of the Extinct Contact-Induced Language, Matagi
第12章  Raising Awareness of Language Minorities in Japan: Teaching About the Ainu,
Okinawans, and Nikkei-jin

本書全体のキーワードは、「言語保持」、「言語衰退」、「言語接触」、「言語政策」、「言語復興」の五つである。
オセアニア地域を研究対象とした言語学の研究は多岐にわたるが、とりわけ言語の消滅および保持の研究は有意義なものと考える。この地域は多様な言語的世界 を形成している。これらの地域では、多くの在来言語が危機に瀕している。その一方で新たに誕生する言語もある。これらの言語が危機に瀕する要因を考察する ことが本書の核心部分である。同時にそれは地球規模的な課題であり、早急にその解決のためのモデルを構築する必要がある。そのためにはまず、オセアニア地 域における言語の衰退に関するメカニズムを解明し、それが世界の他の地域で話されている危機言語の保持にも貢献する理論か検討する必要がある。
オーストラリアおよびオセアニア島嶼地域における危機言語について概観しているのは第Ⅱ部(第4章、第5章、第6章、第7章、第8章)である。まず、オー ストラリアの危機言語について、著者は長年のフィールドワークを基に、その実態を述べ、特にオーストラリア原住民語の能格という文法現象を、言語類型論的 に考察し、その文法現象が世界の他の地域にも散見されるとしながらも、それは日本語にはない特性で、大変貴重だとする。能格型格組織とは、他動詞の目的語 と自動詞の主語が同じ格で示され、他方、他動詞の主語が別の格で示される文法現象をいう。このような特性を有する言語を、著者はオーストラリアばかりでな く世界の財産として位置づけるべきとする。そのための正書法は、ヨーロッパ的なものでは決して実態を反映しないので、著者自ら具体的な提案をしている。
次にナウル共和国で話されている、ナウル語およびピジン英語に関する論考を取り上げたい。著者は、居住環境が崩れなければ、どんなに社会で排他されよう が、言語は衰退しないと主張している。そして、居住環境が崩れる社会があるとすれば、そこには必ず、当該言語話者に対して、政治的・経済的・社会的・制度 的な圧力が過去に存在したとする。
三つ目に、グアム島のチャモロ語に言及したい。著者は近年、チャモロ語の話者が減少していることを歴史的・社会的背景に触れながら、その実態を述べ、特に 若い世代で顕著な傾向が見られるとした。582名分のアンケート調査資料を集め、その結果、80. 4% がチャモロ語を「理解する」と回答したものの、実際にチャモロ語を「とても上手に話す」と回答した者は4.5%に過ぎなかったと報告した。チャモロ語を母語として獲得した 者は2.6%、「定期的にチャモロ語を使用している」と回答した者が9.8%しかいないことを明らかにした。当該言語社会は、チャモロ語から英語への言語 シフトが進行していると結論づけた。
四つ目に、ハワイ語の例を紹介する。著者は、ハワイ語ラジオ番組から、10の抜粋のやりとりを分析することで、危機言語としてのハワイ語を再活性化しよう という共同体の姿を報告した。こうした価値観を共有・再確認する場として当該番組が社会的に機能するとともに、共同体の結束を維持・強化していたと結論づ けた。
五つ目に、メラネシア地域の諸言語を取り上げる。著者は、ニューギニアおよびバヌアツの六つの言語を対象に、人称代名詞と呼びかけ表現の文法的・社会言語 学的特徴を調査している。特に親族関係語彙と呼びかけ表現および人称代名詞の用法とその動詞屈折を研究対象としている。社会的関係とその文法特性の間にい くつか規則があることを明らかにしている。一方、クレオール語ではこうした抽象性が単純化されているとした。
第I部(第1章、第2章、第3章)では、コスタリカのブランカ語、スコットランドのゲール語、アフリカの諸言語の現状が、第Ⅲ部(第9章、第10章、第 11章、第12章)では、マレーシア、インド、日本の現状が報告されている。このうち、日本国内に関しては、マタギ語、アイヌ語、沖縄語、日系ブラジル人 のことばに触れている。
言語の衰退には様々なファクターが存在することが上記の報告と分析からわかるが、言語が衰退する過程に関するモデル提示について、新たな可能性を示すもの であると、本書は結論付けた。
(岡村徹)

学会通信


新入会員
酒井萌乃(神戸大学大学院保健学研究科博士後期課程)
天野紗緒里(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程)

所属変更
河野正治(東京都立大学人文社会学部)


寄贈図書
梅﨑昌裕・風間計博(編) 『オセアニアで学ぶ人類学』昭和堂、2020年12月。

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。
*ご所属やメールアドレス変更、退会希望の場合は、secretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。


寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

その他、寄稿に関わるご相談は、下記までお問い合せください。

寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp



ニューズレターNo.127から

2020年度日本オセアニア学会臨時総会の開催について

日本オセアニア学会会長 柄木田康之

2019年度の日本オセアニア学会第37回研究大会・総会は、新型コロナウイルスの拡大防止の観点から、中止といたしました。理事会・評議員会で審議い たしまして、それに代わってオンラインでの臨時総会開催を決定しました。会員の集合する対面式ではなく、以下の手順で行います。

・臨時総会の期日を7月20日から7月31日といたします。
・期日が始まりましたら、通常会員向けのメーリングリストにて、臨時総会関係資料をお送りいたします。
・あわせて、日本オセアニア学会のホームページにて臨時総会のための窓口を開設して、みなさまのご意見を受け付けいたします。
・特段のご意見がなかった場合は、承認とさせていただきます。
・ご意見が出た場合は、理事会でお諮りしたうえで必要があれば対応を通常会員向けメーリングリストで配信するか、どのように対応したのか議事録に記載いた します。
・臨時総会では、石川榮吉賞及び日本オセアニア学会賞の授与式は開催いたしません。賞状等は会長や理事が受賞者にお渡し、その様子を学会ホームページにて お知らせします。

今回は、新型コロナ対策の関係で通常とは異なる開催方法となっております。みなさまのご協力を賜りたく、お願い申し上げる次第であります。

石川榮吉賞について


1) 受賞者: 印東道子 会員(国立民族学博物館・名誉教授)

2) 推薦理由
 印東道子氏は、1970年代よりミクロネシア・ヤップ諸島を中心に考古学的な調査を開始した。そのなかでは、とくにヤップにおける土器研究への進展に寄 与した。1990年代からはミクロネシア・ファイス島での発掘により、離島に位置するサンゴ島でも2000年間におよぶ豊かな生業や、海を越えた活発な交 易・接触があったことを実証した。これは、人類史の解明に対する大きな成果として特筆できる。またオセアニア全域に関する人類史や考古学的研究の成果を紹 介する多くの研究書・一般書の編集・刊行を通じて、日本におけるオセアニア研究の発展と裾野を広げることに大きく貢献した。代表作には、日本語で公刊され た書籍に限定しても、単著として『オセアニア-暮らしの考古学』(朝日新聞社、2002年)、『島に住む人類-オセアニアの楽園創世記』(臨川書店、 2017年)、編著として『人類の移動誌』(臨川書店、2013年)など多数ある。
 氏の本学会での活動としては、2013年から2015年にかけて1期2年間会長を務めたほか、理事・評議員などの役職を長年にわたって歴任した。ことに 国内外のオセアニア関係の学術誌の編集に長期にわたり関わることで、日本のオセアニア研究を世界に発信するとともに、編集担当理事を編集長(1994年か ら1998年)及び編集委員として(1991年から2001年、2009年から2013年)、長年務めることで日本オセアニア学会の機関誌を国際的なもの に高めることに一方ならぬ貢献を行った。
 以上のように、オセアニア研究の振興に多大なる寄与を果たしてきたこと、くわえて、長年にわたり日本オセアニア学会の発展に貢献してきたことから、印東 氏を石川榮吉賞受賞者として推薦することを決定した。

*授与式及び授賞スピーチは、通例、日本オセアニア学会総会にて開催されますが、2020年度臨時総会は新型コロナ感染症の拡大防止の観点から対面式で行 われません。それに伴い、授与式及び授賞スピーチも行いません。賞状等につきましては、事務局より別途お渡しさせていただきます。その際の写真等は、おっ てホームページ等に掲載することを検討しております。

第19回日本オセアニア学会賞について


1) 受賞者: 河野正治 会員
対象著作: 『権威と礼節――現代ミクロネシアにおける位階称号と身分階層秩序の民族誌』風響社、2019年

2) 選考理由
 河野正治著『権威と礼節:現代ミクロネシアにおける位階称号と身分階層秩序の民族誌』(単著、単行本、風響社)は、ミクロネシア地域のポーンペイ島社会 における首長制の現在に関して、人類学的な調査にもとづいた記述と分析を展開する力作である。ポスト植民地時代を生きる島民たちが、伝統的権威体制と近代 国家体制の関係をいかに作りだすのか、首長国と近代国家の諸水準において身分階層秩序を生きる実践知をいかに形成しつつあるのかに関して、説得力のある議 論を提示することに成功している。このことは相互行為を中心にして厚みのある記述と考察が重ねられた成果であり、著者の入念な観察と思考の産物である。現 代オセアニアの民族誌として、人類学のみならず関連諸分野に広く紹介されるべき著作である。

第19回(2019年度)日本オセアニア学会賞選考委員会

*授与式は、通例、日本オセアニア学会総会にて開催されますが、2020年度臨時総会は新型コロナ感染症の拡大防止の観点から対面式で行われません。それ に伴い、授与式も行いません。賞状及び副賞につきましては、事務局より別途お渡しさせていただきます。その際の写真等は、おってホームページ等に掲載する ことを検討しております。


第20回日本オセアニア学会賞選考要項


2020年度日本オセアニア学会賞選考委員会

1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2019年1月1日から 2020年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。

2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。

3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mail アドレス)を明記するものとする。

4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象となる著書または論文名 を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編者名)、出版社、 出版年を明記する。この場合も、著書または論文をオセアニア学会事務局に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由が 必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。

5. 応募期間は2020年11月1日から2021年1月15日まで(必着)とする。

6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailでも受け付けるこ ととする。

(日本オセアニア学会事務局)
〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 国立民族学博物館 
丹羽典生研究室  宛て
TEL  06-6876-2151(代)FAX 06-6878-7503(代)
E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。

8. 2021年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>
1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

本規定は臨時総会にて審議中です。同賞の規定につきましては、臨時総会の終了後(2020年8月1日以降)に学会ホームページをご参照ください。


2020年度の研究大会・総会及び地区例会の告知

日本オセアニア学会会長 柄木田康之

2020年度の研究大会・総会及び地区例会につきましては、テレビ会議を利用した形での開催を検討しております。研究大会・総会は東海大学を幹事校として 黒崎岳大会員のもと、地区例会は各地区担当の理事や幹事のもと準備を進めております。詳細につきましては決まり次第、ホームページやメーリングリストにて ご連絡いたします。


学会通信


新入会員
相沢友紀(広島大学大学院国際協力研究科博士課程後期)
片岡真輝(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
谷口ジョイ(静岡理工科大学情報学部)

所属変更
石森大知(法政大学国際文化学部)
紺屋あかり(明治学院大学国際学部)
長島怜央(平安女学院大学国際観光学部)
行木 敬(関西国際大学現代社会学部)
根岸 洋(国際教養大学国際教養学部)
橋爪太作(早稲田大学人間科学学術院)
藤枝絢子(京都精華大学人文学部)

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。
*ご所属やメールアドレス変更、退会希望の場合は、secretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。


寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

その他、寄稿に関わるご相談は、下記までお問い合せください。

寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp



ニューズレターNo.126から

2019年度日本オセアニア学会関東地区研究例会の報告

関東地区研究例会幹事 里見龍樹

2019年度の関東地区例会を、以下の通り東京医科大学にて開催した。

【日時】2020年1月5日(日) 14:00~17:30
【場所】東京医科大学西新宿キャンパス
【発表者】橋爪太作会員(東京大学)、佐本英規会員(広島大学)
【コメンテーター】浅井優一会員(東京農工大学)、里見龍樹会員(早稲田大学)

【プログラム】
14:00~14:50 第1発表 橋爪太作会員
「土地と自己をめぐるコスモポリティクス:ソロモン諸島マライタ島北部における木材伐採の現場から」
14:50~15:20 コメンテーター2人によるコメント
15:20~15:40 質疑応答
15:50~16:40 第2発表 佐本英規会員
「歓待としての共住:ソロモン諸島マライタ島南部におけるポスト・マーシナ・ルール時代の集落をめぐって」
16:40~17:10 コメンテーター2人によるコメント
17:10~17:30 質疑応答

本年度の関東地区例会は、いずれもソロモン諸島マライタ島を調査地とする若手会員2名を発表者に迎えて開催した。
 橋爪太作会員は、マライタ島北部のファタレカ地域から、商業的森林伐採によって内陸部の土地が新たに居住可能な空間として開かれる中で、土地所有関係や 集団的アイデンティティの再定義がなされている状況を報告した。橋爪会員の報告はまた、しばしば「存在論的転回」と呼ばれる、「自然/文化」の境界をめぐ る近年の人類学的議論に対して民族誌的な応答を試みるものでもあった。
また佐本英規会員は、20世紀の歴史的展開の中で複数の親族集団が混在することになったマライタ島南部アレアレの集落における共住の様態とそこにともなう 社会的緊張について考察した。この報告は同時に、メラネシア社会における来訪者や他者性の主題について問題提起するものでもあった。
発表を受け、合計23名の参加者によって活発な討論が繰り広げられ、例会は盛況のうちに終わった。

2019年度日本オセアニア学会関西地区研究例会の報告


関西地区研究例会幹事 深川宏樹

 2019年度の関西地区研究例会を、以下のとおり京都大学にて開催した。

【日時】2020年1月11日(土)
【会場】京都大学 吉田南キャンパス 総合人間学部棟 1207教室
【プログラム】
14:30~15:00 発表者:前川真裕子(京都産業大学)
「土着の自然に関わること、植民地主義を考えること:ヨーロッパ系オーストラリア人たちの事例から」
15:00~15:15 コメンテーター:風間計博(京都大学)
15:15~16:00 全体での討論
16:15~17:15 発表者:深川宏樹(兵庫県立大学)
「死に至る言葉――ニューギニア高地の伝記的な生における諸物の因果と「言語身体」」
17:15~17:30 コメンテーター:藤井真一
(日本学術振興会特別研究員PD/国立民族学博物館)
17:30~18:15 全体での討論

 本年度の関西地区例会は、個人発表2名、それにたいするコメンテーター2名で開催した。前川真裕子会員の個人発表では、現在のオーストラリアで、ヨー ロッパ系オーストラリア人が「ネイティブ・プランツ」と呼称する植物を養苗・栽培する実践について説明がなされたうえで、いわゆる移民国家において、マ ジョリティにあたるホワイト・オーストラリアンがいかに国土の「土着の自然」との関係を結び直し、自らのナショナル・アイデンティティを(再)構築しよう と試みているかが論じられた。前川会員の発表にたいして風間計博氏からのコメントがなされ、引き続き全体での討論がおこなわれた。つぎに深川宏樹会員の個 人発表では、パプアニューギニア高地において血縁者を死に至らしめるとされる、「死に際の言葉」の呪詛の事例が取り上げられ、人類学のサブスタンス研究の 理論枠組みを援用しながら、「言葉の物質性」という主題についてとりわけ在地の人間観・身体観との関連から議論がなされたうえで、ニューギニア高地の呪詛 の言葉をその身体的効果と諸個人の「伝記的な生」から捉える分析視角から、高地民たちが展開する社会生活と身体と言語の関係について民族誌的に考察され た。深川会員の発表にたいして藤井真一氏からのコメントがなされ、引き続き全体での討論がおこなわれた。合計12名の参加者のもと、本例会は盛会のうちに 終わった。

【新刊紹介】

石森大知・丹羽典生(編)『太平洋諸島の歴史を知るための60章――日本とのかかわり』(明石書店、2019年12月31日)
本書は、太平洋という海洋世界にある国と地域の歴史を扱うものである。とくに本書の副題にあるように、「日本とのかかわり」という視点から太平洋 諸島の歴史を知ることを目的としている。日本とのかかわりに軸足を置くとはいえ、本書の主題は太平洋の島々にある。従って、これまで日本(人)が太平 洋で行ってきたことを記述するだけではなく、そこで太平洋の人びとが果たしてきた役割を可能な限り引き出し、個々の歴史的な特色を活かせるよう工夫を 凝らしたつもりである。
日本とのかかわりを焦点に据えるに至った経緯について、まず指摘できるのは、日本人の一般読者に太平洋をより身近に感じてもらうためである。いうまで もなく日本も太平洋に浮かぶ島国の1つであり、太平洋の国や地域のなかには日本と歴史的に関係が深いところも多い。海浜型リゾートがその大部分を占め てきたが、観光地として日本人に比較的身近な存在となっている場所もある。実際、(本書がシリーズとして属する)明石書店のエリア・スタディーズにお いて太平洋に関する書籍は「ミクロネシア」「南太平洋」「ハワイ」「グァム・サイパン・マリアナ諸島」「ニュージーランド」など多数刊行されている が、それらのなかでも太平洋と日本とのつながりに触れた章は好評であったという。そこで太平洋の島々と日本の関係の歴史について包括的に扱う手軽な読 み物として、明石書店の編集者とも議論を重ねたうえで、本書の企画が持ち上がった。
本書は60の章を束ねる5つの部から構成されるが、各部はそれぞれ太平洋と日本とのかかわりを踏まえた時代区分から成る編年体の形式をとっている。各 部の構成は以下のとおりであり、本書全体を通して太平洋の通時的かつ包括的な理解が進むような構成となっている。なお、植民地時代とは、日本によるミ クロネシア統治の時期を念頭に置いて差し当たりの時代区分としている。

第Ⅰ部 植民地時代以前
第Ⅱ部 植民地時代を中心に
第Ⅲ部 太平洋戦争
第Ⅳ部 戦争の傷跡を乗り越えて
第Ⅴ部 新たな関係性の構築

こうして本書全体の構成をみてみると、植民地支配および太平洋戦争とかかわるテーマが多くを占めることにあらためて気がつく。もちろん本書の構成は編 者の発案によるものではあるが、やはり日本とのかかわりといえば帝国主義的拡大という側面がぬぐい難くあったことを示唆していよう。本書では、戦争の テーマを扱うにしても、太平洋の人びとが戦争をどのようにみていたのかという彼らの視点を取り入れて描こうとしている。いわゆる戦記物を期待されてい る読者には肩透かしとなるかもしれないが、戦争の舞台となった地域の人びとの視点にも配慮する近年の太平洋における戦争の研究の動向を紹介できるいい 機会ではないだろうかとも考えている。
一方、戦後の太平洋と日本の関係となると、その動向を1つにまとめることは難しい。第Ⅳ部「戦争の傷跡を乗り越えて」で具体的に紹介するように、戦争 観光(戦争遺物観光から戦争博物館まで)、慰霊活動、遺骨収集など、植民地支配や戦争に関するものが現在でもやはり見受けられる。とはいえ、太平洋と 日本の歴史はそこに留まるものではないだろう。第Ⅴ部「新たな関係性の構築」でまとめたように、政治、経済、文化のさまざまな局面において、そうした 過去の関係性に縛られるだけでない新たな交流や協力の関係を深めてきた。第Ⅴ部では、やや雑多ながら太平洋と日本がともに構築しようとするそうした新 しい関係について取り上げている。このような交流の積み重ねが、既存のイメージにとらわれない、新しい太平洋像の創造にもつながると思われるからであ る。
本書は、太平洋地域を扱う一般書である。ただし「太平洋」を主眼としながら日本を振り返るという、太平洋地域を重層的な意味の合わさる場として捉えて いる点がユニークといえるかもしれない。執筆者には数多くの本学会会員にも寄稿していただいているが、こうした点を積極的に取り上げていただいた。そ の結果、内容はバリエーションに富んだものとなり、オセアニア研究者の集まりである本学会会員にとっても何らかの新しい「発見」があることを期待して いる。加えて、もとより一般読者を想定する本書が太平洋諸島の歴史や文化に対する興味を喚起し、日本にとっての隣人、それも同じ島国である太平洋の国 や地域をより身近に感じるきっかけになれば望外の喜びである。
(この文章は、同書「はじめに」から抜粋・再構成のうえ、一部加筆しています。)

(編者)

学会通信


日本オセアニア学会第37回研究大会・総会の中止について


日本オセアニア学会会長
柄木田康之

標記のことについて、2月25日付けで内閣に設置されている新型コロナウイルス感染症対策本部から、新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が公表されま した。それを受け、日本オセアニア学会理事会においては、研究大会事務局とも協議の上、感染拡大防止の観点から、第37回研究大会・総会は中止とする方針 を決定いたしました。
 なお、総会に関しましては、時期を見て臨時総会の形で開催することを検討しております。詳細が決まりましたら、おってご連絡させていただきます。


新入会員

  小宮和泉(同志社大学グローバル地域文化学部)
      大島崇彰(首都大学東京大学院人文科学研究科社会人類学教室博士前期課程)

  *新入会員の連絡先についてはsecretary[ アットマーク ]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

所属変更

  行木 敬 (関西国際大学現代社会学部)
  *ご所属やメールアドレス変更、退会希望の場合は、 secretary[ アットマーク ]jsos.netにご連絡下さい 。


寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

その他、寄稿に関わるご相談は、下記までお問い合せください。

寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp



ニューズレターNo.125から

以下の「第37回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ」はNo.125発行時点のものであり、2020/2/27にお知らせしたように中止の判 断がなされました。(2020/3/5追記)

第37回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

第37回研究大会・総会事務局 深田淳太郎

第37回日本オセアニア学会研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお待ちしております。参加および発表エントリーにつ きましては、学会ホームページの参加申し込みフォーム(https://meeting.jsos.net/apply.html)をご利用の上、 2020年 1月31日(金)までにお知らせください。

◆日時
2020 年 3 月 18日(水)14:00 〜 19日(木)12:00 (予定)
(理事会 18日(水)11:00〜12:00、評議員会 18日(水)12:00〜13:00)
*一般参加者の方は 18日(水)12:30 より受付を開始いたします。

◆会場
鳥羽温泉郷 戸田屋
〒517-0011 三重県鳥羽市鳥羽1丁目24-26
TEL:0599-25-2500(代表)
Website: https://www.todaya.co.jp/

◆交通
◇自動車でお越しの場合(ホテルに無料駐車場があります)
伊勢自動車道「伊勢IC」から、伊勢二見鳥羽ライン(無料)を経て鳥羽市街

◇電車でお越しの場合
名古屋から鳥羽駅まで近鉄特急で約90分、JR快速みえで約100分
大阪から鳥羽駅まで近鉄特急で約120分
京都から鳥羽駅まで近鉄特急で約140分
鳥羽駅から会場までは徒歩3分

詳細はホテルウェブサイトよりご確認ください(https://www.todaya.co.jp/access/)
 
◆大会参加費
◇有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等も含む)
19,000円(参加費・懇親会費・宿泊費込)

◇無給者(大学院生、学生等)
12,000 円(参加費・懇親会費・宿泊費込)

・大会のみ参加の場合の参加費は有給者6,000円、無給者4,000円となります。懇親会参加費や宿泊費は含まれません。
・大会参加費は当日に会場受付で徴収いたします。
・領収書を大会参加費と宿泊費と分けて発行する必要がある方は、その旨を参加申込フォームでお知らせください。
・申込期限を過ぎた場合、宿の手配ができない可能性があること、また、直前のキャンセルはキャンセル料を徴収することを予めご了承ください。
・宿泊は和室を複数人で相部屋使用していただく予定です。

◆参加・発表申し込み
研究大会に参加される方は、出張依頼書の有無、研究発表の可否、発表される場合には「発表題目」と「使用機器」について参加申込フォームにご記入くださ い。また、フォームをご利用いただけない場合は、ご氏名と連絡先を明記の上、メールで必要事項を大会・総会事務局にお知らせください。発表時間は演題数に もよりますが、質疑応答を入れて 20〜25 分程度を予定しています。


第37回研究大会・総会事務局
三重大学人文学部 深田淳太郎
〒514-8507 三重県津市栗真町屋町1577

第19回日本オセアニア学会賞選考要項

2019年度日本オセアニア学会賞選考委員会

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2018年1月1日から2019年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者 のものに限定する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、 FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象となる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書の タイトル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文をオセアニア学会事務局に送付することが望ま しいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2019年11月1日から2020年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、 郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会事務局)
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 国立民族学博物館
    丹羽典生研究室 宛て
    TEL 06-6876-2151(代)FAX 06-6878-7503(代)
    E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

  7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。
  8. 2020年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
  2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満 の者とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

2019年度日本オセアニア学会関東地区研究例会のお知らせ

関東地区研究例会幹事 里見龍樹

今年度の関東地区研究例会では、ソロモン諸島マライタ島を調査地とする若手研究者、橋爪太作会員と佐本英規会員をお迎えし、お二人のご研究の最新の展開に ついてお話しいただきます。
下記の日程で開催いたしますので、万障お繰り合わせの上、ご参集くださいますようお願い申し上げます。

日時:2020年1月5日(日) 14:00~17:30
場所:東京医科大学西新宿キャンパス(東京医科大学病院と同じ敷地)
教育研究棟(自主自学館)3F会議室B
最寄り駅:東京メトロ丸ノ内線「西新宿駅」より徒歩3分

発表者:橋爪太作会員(東京大学)、佐本英規会員(広島大学)
コメンテーター:浅井優一会員(東京農工大学)、里見龍樹会員(早稲田大学)

プログラム
14:00~14:50 第1発表 橋爪太作会員
「土地と自己をめぐるコスモポリティクス:ソロモン諸島マライタ島北部における木材伐採の現場から」(仮題)
14:50~15:20 コメンテーター2人によるコメント
15:20~15:40 質疑応答

休憩(10分)

15:50~16:40 第2発表 佐本英規会員
「歓待としての共住:ソロモン諸島マライタ島南部におけるポスト・マーシナ・ルール時代の集落をめぐって」(仮題)
16:40~17:10 コメンテーター2人によるコメント
17:10~17:30 質疑応答

※例会終了後、懇親会を行います。

問い合わせ先:里見龍樹

2019年度日本オセアニア学会関西地区研究例会のお知らせ

関西地区研究例会幹事 深川宏樹

2019年度の関西地区例会を以下のとおり開催いたします。
どうぞみなさまお誘い合わせのうえ、ご参加いただけますようよろしくお願いいたします。
 
◆日時:2020年1月11日(土)14:00~18:15
◆会場:京都大学 吉田南キャンパス 総合人間学部棟 1207教室
 
◆プログラム
【発表1】
14:00~15:00 発表者:前川真裕子(京都産業大学)
「土着の自然に関わること、植民地主義を考えること―ヨーロッパ系オーストラリア人たちの事例から(仮)」
15:00~15:15 コメンテーター:風間計博(京都大学)
15:15~16:00 全体での討論
 
【発表2】
16:15~17:15 発表者:深川宏樹(兵庫県立大学)
「死に至る言葉―ニューギニア高地の伝記的な生における諸物の因果と「言語身体」」
17:15~17:30 コメンテーター:藤井真一
(日本学術振興会特別研究員PD/国立民族学博物館)
17:30~18:15 全体での討論
 
◆研究会終了後、懇親会を開催します。こちらもぜひご参加ください。
 
◆問い合わせ先:深川宏樹

【新刊紹介】

四條真也『ハワイアン・プライド――今を生きるハワイ人の民族誌』(教友社、2019年8月)
本書は、オアフ島西岸ワイアナエ地域における先住ハワイ人専用の居住区「ハワイアン・ホームステッド」と、その周辺地域における先住ハワイ人社会 の動態を、フィールドワークをもとに記述するものである。分析に関しては、当該社会を語るうえで重要である集団的感情としての「エスニック・プライ ド」と、民族を規定する本質的要素としてハワイに移入された「血」という、2つの視点を用い、当該社会の姿を描くことを試みた。
本書の構成は、以下のとおり5部12章である。

第I部 序論
第1章  問題の所在
第2章  調査地概要
第Ⅱ部 伝統的社会システム
第3章  伝統社会-神話とカプ
第4章   土地の帰属-クック渡来以前からハワイ共和国時代まで
第Ⅲ部 先住ハワイ人社会と「血」
第5章  ハワイアン・ホームステッド-血の証明
第6章   ハワイアン・ホームステッドが生む格差と貧困  
第7章   伝統的慣習の現代性-ハワイの養子縁組ハーナイの現場から
第Ⅳ部 エスニック・プライドの諸相
第8章  「タウン」と「カントリー」-先住ハワイ社会の二重構造 
第9章  先住ハワイ人社会における男性性の創造-フラの現場から
第10章  ワイアナエ地区とイルカツアー-海とワイアナエと観光
第11章  地域と生きる-エスニック・プライドからコミュニティ・プライドへ
第Ⅴ部 結論 -先住ハワイ人社会とプライド

ハワイアン・ホームステッドとは、ハワイの西洋化が本格的になった19世紀以降、減少傾向にあった先住ハワイ人の人口回復と、生活環境を改善するた め、1920年代から設置が始まった先住ハワイ人専用の住宅区画である。しかし、この住宅区画には、先住ハワイ人なら誰でも住めるわけではなく、入居 希望者(世帯の代表者)は、「純粋な」先住ハワイ人の血を50%以上受け継いでいることを証明する必要がある。近年、先住ハワイ社会では高い「血の割 合」の保有者が減少する傾向にあるが、ハワイアン・ホームステッドに入居にともなう経済的メリット(例えば、年間1ドルの借地権や入居後数年の固定資 産税免除、割安の建売住宅価格など)を求め、今でも入居申し込みが後を絶たない。 
序論部(第1章、第2章)では、まず本書の基軸である「エスニック・プライド」の概念と「血」の概念について、それぞれの学術的背景を整理した。先住 ハワイ社会における「エスニック・プライド」に関しては、60年代の公民権運動後にアメリカ本土で広がった「エスニック・プライド運動」が、その淵源 であると位置づけた。アメリカ国内の民族的マイノリティが、国家による文化的承認を得ることを目的に展開したエスニック・プライド運動は、70年代に なると、ハワイにおける先住ハワイ人による主権回復、および伝統復古の運動として拡散することになる。エスニック・プライドの芽生えを機に、先住ハワ イ社会において、それまで否定的感情を土台としていた伝統文化が、肯定的感情を伴い想起され得る概念に置き換わるという、一つのパラダイム・シフトが 起ったと言える。
次に、現代ハワイ社会の「血」をめぐる状況について、西洋から移入された「系譜において血を重視する」考え方は、伝統的なハワイ社会の形を変える切っ 掛けとなった。そもそも、関係性を重視すること(例えば、養育関係で規定されるオヤコ関係など)で親族体系が成り立っていた伝統的ハワイ社会であった が、「血」を重視する親族観の導入により、先住ハワイ人の親族システムは、制度上、新たな形式に作り変えられることになる。 
第Ⅱ部(第3章、第4章)では、伝統社会における社会システムについて概観した。まず、伝統的ハワイ社会について、神話と伝統的社会体系(カプ)を起 点に、現代社会との関わりについて一つの見解を提示することを試みた。現代の先住ハワイ人社会と神話との関係については、70年代以降のハワイにおけ るエスニック・プライド運動の中でも、神話が象徴的に借用され求心的な役割を果たすなど、伝統社会を理解するための重要な要素であると言える。
また、伝統社会においては、カプと呼ばれる社会制度が重視された。男女共食の禁止など、生活全般に及ぶ様々な禁忌を規定したカプは、政治体系だけでは なく、系譜における神聖性(特に首長階級)を維持するための要素としても作用していた。しかし、宗教体系でもあったカプは、キリスト教の普及に伴い淘 汰され、現代のハワイ社会ではキリスト教が新たな宗教体系として広まった。
次に、土地の所有に関して、伝統制度においては、土地は首長によって統治されていた。しかし、西洋化が進み土地の個人所有という概念が持ち込まれる と、ハワイ王国も土地の私有化を認めるよう政策を転換せざるを得ない状況となる。これにより、多くの土地が白人の手に渡り、土地を失った先住ハワイ人 は都市部に流入することになる。
第Ⅲ部(第5章、第6章、第7章)では、現代のハワイアン・ホームステッドとその周辺における貧困問題など社会経済的問題と、伝統的概念の相関につい て、インタビュー資料を中心に考察を試みた。とくに、「血」の概念について、従来の研究では「血の割合」によってハワイ人社会が二分される状況が批判 的に論じられてきた。例えばハワイ人社会における貧困の要因として、血の割合による制度的格差を指摘する議論が注目される状況がある。こうした議論に 対して、著者が実施したインタビューからは、先住ハワイ社会のなかで、ホームステッドに入居するためにハワイ人の「血」を積極的に証明し、経済的安定 を志向する状況があることが明らかになった。 
こうして「血」の概念は、現代の先住ハワイ人社会に(肯定的にせよ否定的にせよ)定着したが、一方で、「血」を優先しない伝統的親族概念も、日常生活 のなかで維持されてきた状況にも本書では注目をした。ハーナイと呼ばれる伝統的な養取慣行が広く行われてきた先住ハワイ人社会では、今でも養子制度を ハーナイと呼び、「血」に規定されない伝統的な親族観念を体現する行為として位置づけられている。
第Ⅳ部(第8章、第9章、第10章、第11章)では、先住ハワイ人社会の、集団における肯定的感情としてのプライドの諸相を、社会的および文化的側面 に注目し、記述することを試みた。とくに、フラについては、西洋との接触以降、それまで中心的役割を果たしていた男性に代わり、女性によるエンターテ イメントとしての「イメージ」が普及した。しかし、ハワイで伝統文化への意識が高まりはじめる70年代以降は、男性によるフラの現代的文脈における再 興が試みられている。
さらに、ハワイにおける伝統文化や伝統的価値観を肯定的にとらえる感情「プライド」は、先住ハワイ人エスニシティの枠組みを超え、多文化・多民族的に 共有され得るものでもあると、本書では主張した。例えば、調査地域で実施されている観光用イルカ見学ツアーを対象に行った参与観察では、先住文化がツ アーの理念として肯定的に表象される。近年、観光活動が生態系に悪影響を与えているとする批判があるなかで、ある先住ハワイ人船長の取り組みは、イル カの「心理」を推測し、自然との調和を意識し、かつイルカと共に作業することで、環境への影響を最小限にとどめようとするものである。こうした、伝統 的ハワイ文化における肯定的感情を、観光客が共有する状況を、参与観察で確認することができた。さらに、調査をおこなったワイアナエ地区にある農園で は、自然との調和や助け合いといった伝統的な先住ハワイ文化に基づく価値観を活動の理念としつつも、多様な民族背景を持つ地域住民が活動に参加するこ とで、地域の紐帯を強めまた地域が抱える社会問題に取り組む機会を提供している。
ハワイアン・ホームステッドと、その周辺地域における参与観察から明らかになった先住ハワイ人のエスニック・プライドとは、民族の枠にとどまらず、多 様なエスニシティを超越する、包括的で柔軟な集団の枠組みの可能性を示すものであると、本書は結論付けた。
(著者)

学会通信


新入会員

  中野真備(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
  *新入会員の連絡先についてはsecretary[ アットマーク ]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

所属変更

  佐本英規(広島大学大学院総合科学研究科)
  *ご所属やメールアドレス変更、退会希望の場合は、 secretary[ アットマーク ]jsos.netにご連絡下さい 。

寄贈図書

  片山一道 『ポリネシア海道記――不思議をめぐる人類学の旅』臨川書店、2019年

 McGuire, Kelly R., Hildebrandt, William R., Young, D. Craig, Colligan, Kaely, Harold, Laura, At the vanishing point : environment and prehistoric land use in the Black Rock Desert. (Anthropological papers of the American Museum of Natural History, no.103)


寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

その他、寄稿に関わるご相談は、下記までお問い合せください。

寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp


ニューズレターNo.124から

第36回総会の報告

2019 年 3 月 25 日(月)、第 36 回日本オセアニア学会会場(首都大学東京南大沢キャンパス)において、同学会総会が開催されました。議事は、以下の通りです。

審議事項

1.2018年度決算
・2018 年度決算(2018 年 3 月 1 日~2019 年 2 月 29 日)について、倉田誠会計担当理事より報告があり、承認されました。
・補助金に関して、大会開催後に沖縄コンベンション・ビューローから学会に対して60,000 円の補助金(コンベンション貸切バス支援事業)があり、収入に計上されている旨が説明された。
・支出の部に関して、おおよそ例年通りであるが、PCO のページ数の増大に伴い若干の予算超過した旨説明された。
・昨年度は 40 周年記念事業として開催されたため研究大会の規模が大きくなり、研究大会の収支に 31,414 円の不足が発生した。そのため、沖縄コンベンション・ビューローから学会への補助金 60,000 円に加え、学会から不足分 31,414 円を補助し、研究大会補助として 91,414 を支出した。
・会計監査の柄木田康之会員と古澤拓郎会員により適正に処理されていることが確認された。
2.2018年度事業報告
下記の事業報告が審議され、承認されました。 ・People and Culture in Oceania vol.34 の刊行(111pp.:論文 3 本、通信3本)
・NEWS LETTER no.121、122、123 の刊行(論文 1 本、報告 3 本、新刊紹介 7 本)
・研究例会の実施
   関東地区第 1 回:2018 年 11 月 25 日 お茶の水女子大学 発表 1 本
       第 2 回:2019 年 1 月 5 日 東京医科大学 発表 2 本
   関西地区 2018 年 1 月 20 日 同志社大学 発表 2 本
・第 36 回研究大会・総会の実施
 2019 年 3 月 25-26 日 首都大学東京 南大沢キャンパス(大会長:深山直子会員)・JCASA 等の活動
・石川栄吉賞の選考(対象者なし)
・第 18 回日本オセアニア学会賞の選考(該当作なし)
・評議員選挙の実施
3.2019年度事業計画
下記の事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.35 の刊行
・NEWS LETTER no.124、125、126 の刊行
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・第 37 回研究大会・総会の実施
・JCASA 等の活動
・石川栄吉賞の選考
・第 19 回日本オセアニア学会賞の募集
4.2019年度予算案
2019 年度予算(2019 年 3 月 1 日~2020 年 2 月 29 日)について、倉田誠会計担当理
事より説明があり、承認された。
5. その他
  特に無し

報告事項


1.第 18 回日本オセアニア学会賞について、今年度は該当作なしという結果が出た旨報告された。学会賞選考委員会からの報告は、以下、別記事として掲載されております。
2.山本真鳥会長から今後会長が 1 期(2 年)、事務局が 2 期(4 年)で運営されていく可能性が高いことを考慮して、そうしたなかにおいても事務局の業務をより持続可能な形で継続していくために、2019 年度から会長補佐の設置することが説明された。当該の役職に具体的な業務を割り振ることはないが、メール審議等に陪席することで、長期的には事務局がより円滑に機能するこ とが期待されている。オセアニア学会の多様な会員の構成を念頭に置いて、会長と会長補佐のいずれかがそれぞれ文系分野・理系分野から選ばれることが望まし いことが確認された。理事に選出された会員から会長補佐を選出する際には役職に「会長補佐」を付加すること、評議員外の会員から選出する際には「幹事(会 長補佐)」とすると想定されている。またこの制度を設置するにあたり、会則の変更はさしあたり必要ないことが確認された。
3.PCO 掲載原稿を書籍等へ転載することを念頭に置いて、執筆要綱の文言を一部変更することについて報告された。
4.PCO の海外送付先の取り扱いについて、以下の説明が行われた。
    海外送付先(研究機関 32、個人 15)からの会費納入状況が極めて悪い。

第18回日本オセアニア学会賞について

こちらをご覧ください。

第19回日本オセアニア学会賞選考要項

2019年度日本オセアニア学会賞選考委員会

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2018年1月1日から2019年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者 のものに限定する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、 FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象となる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書の タイトル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文をオセアニア学会事務局に送付することが望ま しいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2019年11月1日から2020年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、 郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会事務局)
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 国立民族学博物館
    丹羽典生研究室 宛て
    TEL 06-6876-2151(代)FAX 06-6878-7503(代)
    E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

  7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。
  8. 2020年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
  2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満 の者とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

【新刊紹介】

松島泰勝『琉球 奪われた骨――遺骨に刻まれた植民地主義』(岩波書店、2018年10月)
 本書は、京都大学に対する琉球遺骨返還訴訟の原告団団長である松島泰勝が琉球人への遺骨に関する学知と植民地主義による暴力を問うものである。 戦前に起きた清野謙次ら研究者による遺骨の盗掘から話が始まるものの、本書の射程は現在の私たちにも及んでいる。そして、著者は「あとがき」で、京都 大学や本書で実名をあげている研究者、他の研究機関の研究者、形質人類学者からの意見や反論を待ちたいとし、閉ざされた扉を開ける鍵としての役割を、 本書が担ってくれることを希望すると述べる。
本書の構成は、以下である。

はじめに
序  章 帝国日本の骨-琉球、台湾、アイヌコタン
第一章 盗掘された琉球人遺骨-京都帝国大学の「犯罪」
第二章 学知の植民地主義-琉球人遺骨と大学・博物館の問題
第三章 アメリカと大英帝国旧植民地から-世界の先住民族による遺骨返還運動
第四章 アイヌの骨-学問の暴力への抵抗第五章 自己決定権としての遺骨返還
終  章 生死を超えた植民地支配あとがき

序章では、大日本帝国の帝国主義を背景に、清野謙次、金関丈夫、七三一部隊の石井四郎、鳥居龍蔵、足立文太郎等によってアイヌモシリ、琉球、台湾、 「満州」、中国、旧南洋群島等に住む人々が研究材料として扱われたことについてその非人道性や差別意識も含め詳細に実態を記し、批判する。
第一章では、第一尚氏時代の北山監守時代の貴族の墓の可能性が高い百按司墓(モモジャ、またはムムンジャナ)の遺骨を含む琉球人の遺骨の盗掘の状況が 明らかにされる。金関は警察、教育や行政機関の許可を得るものの、現地住民の同意を得てはおらず、遺骨を盗んだのだと批判する。そのような盗骨は帝国 大学の権威のもと行われ、当事者の人権や気持ちよりも「研究成果」を優先する学知による植民地主義だったと指弾する。金関が手に入れた百按司の遺骨 26 体分が京都大学に、33 体が台湾大学に保管されていると述べる。
第二章では、京都大学の遺骨実見を希望する著者への京都大学の対応について詳しく記し、それは植民地主義を絵に描いたような冷酷なものだと批判する。 続いて、沖縄島南部で見つかった港川人や石垣島東部で発掘された白保竿根田原洞穴人が琉球人ではなく、日本人の祖先としてメディアや博物館等で語られ る現状を問題視する。またその分析では遺骨の粉砕が行われ、祖先として供養したい琉球人の気持ちより研究が優先されていると指摘する。
第三章では、植民地主義のもとボアズ等人類学者によって先住民族の遺骨盗掘が行われたことが批判される。そして返還によって人類の歴史が研究できなく なるという遺骨返還に反対する人々の考えに対し、先住民族からすれば遺骨の収奪によって彼らの歴史が破壊されたと反論する。また、アメリカ、オースト ラリア、ニュージーランド、イギリスにおける先住民の遺骨返還が先住民の尊厳の保障とともに進められていることが紹介され、日本政府や京都大学の植民 地主義的対応を問題視する。遺骨返還運動は琉球人独立運動と連携しており、琉球人は国連で先住民族と認められており、先住民族の遺骨返還は国際法でも 保障されるようになったと主張する。
第四章では、アイヌの遺骨が盗掘された事実を指摘し、アイヌが北海道大学に対して行ってきた遺骨返還運動や、そこでも大学による冷酷な対応やアイヌの 尊厳を蔑ろにした実態があったことが語られる。アイヌの起源や成立を解き明かすことがアイヌの先住民族としての位置づけを強固にするという国立科学博 物館の篠田謙一の主張に対して、先住民族とは近代国家成立のなかで植民地支配をうけ、それが現在も続いている地域で生活している人々を指すのであって 研究成果によって確定するものではないと反論する。そして研究が行われないと先住民としての立場が否定されるとの主張は「学知による脅し」だと批判す る。加えて、「祭祀継承者」のみに返還する政府のアイヌ遺骨返還方針は、日本人の家制度に基づくもので新たな同化政策だと断じる。
第五章では、琉球を日本の一部とみなす「日琉同祖論」を論証しようとする形質人類学的研究が批判され、琉球は独自に琉球国という国を経営し、日本とは 異なる歴史を歩み、文化を築いてきたと主張する。だが、港川人は日本の研究者によって日本人の祖先とされ、さらにはその遺骨の沖縄への返還でも研究者 の意向で条件が付される経緯を問題視する。「遺骨を盗んだものが、返還するにあたり条件をつける傲慢さ」があり、研究者が絶対的な所有権をなぜ主張で きるのかと疑問を呈する。続いて琉球人遺骨返還では日琉同祖論が最大の障害となるとして、伊波普猶の思想から掘り起こし、現在の琉球での「琉球人は先 住民族ではない」という主張(豊見城市議会や石垣市議会の意見書や当時の沖縄県選出の衆議院議員宮崎政久の衆議院内閣委員会での質問等)にみる事実誤 認や間違いを指摘する。最後に研究者は人骨として研究対象とみなすが、琉球人にとっては人骨ではなく、遺骨として供養する信仰の対象だとする。
終章では、琉球人にとって骨は「骨神(フニシン)」と言われ、神が憑依していると信じられてきたが、研究者は遺骨として扱ってはおらず、そこに大きな 怒りが生まれるのだと述べる。琉球人を先住民族と認めてこなかった日本政府を問題視し、遺骨返還に対する京都大学の態度には、「絶対的な所有意識」や 研究者の琉球人の信仰等への敬意の欠如、琉球人を対話可能な対等な人間として扱わない琉球人差別があると批判する。最後に琉球人遺骨は、琉球人の自己 決定権、遺骨返還と再風葬という先住民族の権利、信教の自由という人権、アイデンティティの確立、そして琉球独立にとって大きな意味を有することに なったと述べる。
評者は台湾を研究しているだけに金関丈夫は知っていた。だが、どのように調査をしていたかは知らず、自分の不勉強さを痛感した。また、大学院時代、調 査被害や研究第一主義の問題を何度も聞かされた者としては、本書の主張には素直に頷けた。京都大学の対応については、別ルートで知っている事実もあ り、改めて人を見下した対応だと思い本書を読んだ。また、アイヌの遺骨返還で再度日本人の考え方が押し付けられているという指摘は、植民地主義の根深 さを感じさせた。
しかし、最も重要なことは、他人事のような上記の感想ではない。本書を読んでいる時に繰り返し襲ってきたのは、琉球人の遺骨に対する植民地主義や学知 の暴力を知り、「植民地であった台湾を研究し、大学という場に職を得ている自分に何ができるのか」という問いであった。人を対象とする研究をする私に は、読んでいて苦しかったというのが実感だ。本書には読んだ者に「勉強になったと」いう安易な感想を許さない、何か行動を迫る力強さがある。
このように書いたうえで、敢えて著者にひとつの質問とひとつのコメントをしたい。質問は、どのような目的、方法であれば、遺骨を研究対象にできるの か、である。骨を砕いて人類の歴史を探ることはどのような目的であれ絶対にすべきではないと考えるのだろうか。本書で追及された研究者が先に回答すべ きだと著者に言われそうだが、著者も形質人類学と専門は異なるが、研究の世界に身をおく一人であるだけに聞いてみたい。このような質問をするのは、著 者が本書を扉をあける鍵としたいと述べているからでもある。
次にコメントだが、牡丹社事件(1871 年 10 月に那覇から宮古島に向かった船に乗っていた琉球人が台風のため台湾南東部に漂着し、乗組員のうち 54 名が殺害された事件。大日本帝国の台湾出兵を招いた)について、43 頁で「地元の中国人が琉球人の遺骸を葬った…」と記す。「地元の中国人」とあるが、このような記述には慎重であるべきだ。埋葬した当時、中華人民共和国も中華民国もない。 したがって、中国人という表記は適切ではない。さらに言えば、埋葬に関わった者には、先住民族と姻戚関係がある者もいた。漢族と表記することさえため らう台湾先住民研究者もいる。現在、台湾に住む人々を中国人と考え、「中国人」と表記したのかもしれない。だが、評者自身、台湾に住む人を台湾人とす るか、中国人とするかは悩ましい問題である。中国人と呼称されることに、中国国民党の支配や中華人民共和国の「ひとつの中国」を受け入れる意味合いを 見出し、嫌悪する者も多数いる。彼らにとっては台湾は台湾であって、中国ではない(もちろん、中国人というアイデンティティを受け入れる者もいる)。 その声は、琉球は琉球であって、日本ではないという主張を連想させないだろうか。さらにいえば、港川人を日本人のルーツと称すことが問題であるよう に、当時の人々を中国人と呼称することには同じ問題がある。正直に言えば、台湾の記述については台湾の人々の多様な声に耳を傾けて欲しいと思うところ があった。本書の植民地主義や学知の暴力には大いに賛同するが、台湾研究者としてこの点は看過できず、一言申しておきたい。
最後に、台湾大学は 2019 年 3 月 20 日までに遺骨 63 体を沖縄側に返還し、遺骨は現在沖縄県立埋蔵文化財センターに保管されている。なお、沖縄県教育委員会は再風葬する考えはないという。
(紹介者:上水流久彦)

学会通信


新入会員

  江澤恭子(東京成徳大学国際学部国際学科)
  堀部三幸(上智大学大学院総合人間科学研究科後期博士課程)
  *新入会員の連絡先についてはsecretary[ アットマーク ]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

所属変更

  栗田梨津子(神奈川大学外国語学部英語英文学科)
  *ご所属やメールアドレス変更、退会希望の場合は、 secretary[ アットマーク ]jsos.netにご連絡下さい 。

寄贈図書

  熊谷圭知『パプアニューギニアの「場所」の物語 動態地誌とフィールドワーク』九州大学出版会、 2019 年。

寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

その他、寄稿に関わるご相談は、下記までお問い合せください。

寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp




ニューズレターNo.123から

第18回学会賞選考について

こちらのpdfファイルを ご覧ください。

第36回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

こちらのpdfファイルを ご覧ください。詳細は大会ページをご覧 ください。

2018年度関東地区研究例会(第1回)についての報告

こちらのpdfファイルを ご覧ください。

2018年度関東地区研究例会(第2回)についての報告

こちらのpdfファイルをご覧くだ さい。

2018年度関西地区研究例会についてのついての報告

こちらのpdfファイルをご覧くださ い。

新刊紹介

河野正治『権威と礼節――現代ミクロネシアにおける位階称号と身分階層秩序の民族誌』(風響社、2019 年 2 月)

ミクロネシア連邦ポーンペイ島では、最高首長を頂点とする身分階層秩序が今も保たれている。その秩序は、成人島民の大半が持つ位階称号とそれに見合 う振る舞いによって維持・創出されてきた。本書は、ポスト植民地時代を迎えた同島において伝統的権威と身分階層秩序がいかに存立しているのかを、延べ 25  ヶ月間にわたるフィールドワーク(2009 年 5 月~2012 年 12 月)の成果から描く民族誌である。ポーンペイ島についてはこれまでも数々の研究が蓄積されてきたが、日本人の人類学者による民族誌の刊行は、本書が戦後初となる。今日にお けるポーンペイ島の社会生活の一端を知っていただくうえでも、ぜひ本書を一読していただけると幸いである。
本書は、序論に続き、二部構成の 7 つの章、結論から構成される。序論では、1990年代以降の先行研究が(1)西洋由来の統治体制との歴史的葛藤の産物としてポスト植民地時代の首長制を位置づける流れと、 (2)儀礼や祭宴の場における人びとの相互行為を通して身分階層秩序のリアリティが構築される過程を明らかにする流れに大別されることを指摘する。本 書ではこうした動向を踏まえ、これまで必ずしも結びつけられてこなかった 2 つの研究潮流を架橋する視座のもとで、ポスト植民地時代の同島の社会条件下において首長制にもとづく身分階層秩序がいかに維持・創出されているのかを、島民たちの権威と名 誉にかかわる相互行為に焦点を合わせて解明することを目的とする。
第Ⅰ部「ポスト植民地時代における位階称号と礼節の技法」(第 1~3 章)では、まず、諸外国による統治から現代にいたる社会変容を跡づけ、島民たちの社会的な地位と活動が多元化するにつれて、首長制の位置づけも政府やキリスト教会との関係 のなかで相対化されてきたことを指摘する。そのうえで、今日における首長制の儀礼実践として「村の祭宴」や政府の式典、外国の要人を招待した「太平洋 諸島伝統的指導者評議会」などの場面を取り上げ、さまざまな礼節の行為がそれぞれの場の秩序を構成する様子を詳細に描く。事例分析ではとりわけ、祭宴 や行事の場における礼節の行為を通して個々の島民に与えられる評価が、位階称号の論理から零れ落ちる多様な人格評価を含むことに注目する。第Ⅰ部で は、それらの事例をもとに、身分と「名誉」の価値を対応づける形式的な作法ではなく、さまざまな地位や評価を持つ人びとに対して状況即応的に「名誉を 認める」という承認実践としての礼節の行為にこそ、多元的な価値基準を生きるポーンペイ島民独自の実践論理が認められると論じる。
第Ⅱ部「首長の権威と祭宴のポリティクス」(第 4~7 章)では、首長を中心とする社会集団の想像や実現に向けた集団的営為という観点から、ポーンペイ島における首長制の今日的な動態を描き出す。その際、首長制にかかわる 3 つの社会集団(親族、村、首長国)を順に取り上げる。そして、貨幣経済の浸透やキリスト教会の活動などを視野に入れながら、島民たちがさまざまなかたちで首長制の実践に関 与する過程を検討する。これらの章では、首長に対するパンノキの実とヤムイモの初物献上、1 年に 1 度の「村の祭宴」と「礼の祭宴」、最高首長の招待を伴う葬式の祭宴といった場面に焦点を当てて、島民たちが首長の権威や自らのアイデンティティをめぐって交渉したり、葛藤 を抱えたりする様子を描く。第Ⅱ部では、これらの事例をもとに、首長の振る舞いや共同体のあり方をめぐる関係性の動態を明らかにするとともに、変容す る島社会とせめぎあう規範概念の様相について考察している。
結論では、ポスト植民地時代の首長制を相互行為の次元から捉える本書の試みが、従来の伝統的権威論に対してどのような理論的貢献を果たしうるのかを明 らかにする。さらに、首長の権威と島民の礼節を動的に描き出す本書の記述によって、本書のタイトルにも冠した「権威と礼節」の関係をいかに考えなおす ことができるのかについても論じている。
なお、本書の幾つかの章は、著者自身がこれまでに日本オセアニア学会で発表してきた研究成果にもとづく(第 3 章は PCO 第 31 号に掲載された論文を、第 6 章は関東地区例会の発表資料を、第 7 章は NEWS LETTER 第 101 号に掲載された論文を、それぞれ大幅に加筆・修正している)。本書につながる研究の過程で貴重なコメントやご意見を下さった学会員の皆さまに、この場を借りてあらためて御 礼申し上げたい。
(著者)

熊谷圭知『パプアニューギニアの「場所」の物語――動態地誌とフィールドワーク』(九州大学出版会、2019年3月))

本書は、著者が九州大学文学部に提出した博士論文に基づくもので、2017 年 11 月に本学会関東地区研究例会で、その一部を報告した。2018 年 4 月に日本学術振興会の科研費(研究成果公開促進費「学術図書」)の交付による助成を受け、出版が可能となった。全体の構成は、以下のとおりである。

第Ⅰ部 研究の基本概念
第1章   「移動」と「開発」
第2章   「場所」
第3章   「地誌」と「フィールドワーク」
第Ⅱ部 パプアニューギニアの場所の物語
第4章   パプアニューギニア地誌の再構築
第5章   高地周縁部、ミアンミンの人びとと場所
第6章   ポートモレスビーの都市空間とセトルメント
第7章   ラガムガ・セトルメントとチンブー人移住者の場所第8章   ブラックウォーターの人びとと場所
第Ⅲ部 フィールドワークと場所構築
第9章   フィールドワークから開発実践へ――ラガムガ・セトルメントでの実践
第10章  開発的介入から場所構築へ――ブラックウォーター、クラインビット村で
の実践
終章 場所・フィールドワーク・動態地誌

この本の「売り」は次の 4 つである。
第 1 に、空間的な多様性である。本書では、パプアニューギニアの人々を「動く人々」(「移動」を旨とする人々)と捉え、都市と農村にまたがる多様な場所(高地周縁部ミアンミ ン、首都ポートモレスビーの移住者集落、セピック川南部支流域ブラックウォーター)の物語を提示している。それを通じて明らかにしようとしたのは、 個々の場所の生成過程とともに、それらを重ね合わせることで表出するパプアニューギニアという社会の現在像である。とりわけ修論以来継続してきた、 ポートモレスビーの移住者集落(セトルメント)の調査研究(6、7 章)は、海外の研究者によっても、その分析方法を含め、未踏の領域である。
第 2 に、時間的な継続性である。私は 1979 年 12 月にパプアニューギニア大学交換留学生としてはじめてこの地を踏んで以来、2018 年 8 月まで、ほぼ毎年(時には年に2 回)パプアニューギニアを訪ね、フィールドワークを続けてきた。その中で向き合い続けてきたのは、広義の「開発」(よりよき生の実現)を求める人々の実践と、場所の変化 (あるいは変わらなさ)、そしてそれらをめぐる人々の葛藤だった。
第 3 に、パプアニューギニアでの調査研究の知見を貫く枠組みとして、「場所」論を提起したことである。私の定義する「場所」とは、空間的な近接性によって生まれた人と人、人と 事物、事物と事物の間の関係性の束であり、ミクロレベルで生成するものである。それはマクロレベルの関係性で領域性をともなう「地域」とは異なる。パ プアニューギニア社会の特質は、人々の営みが、系譜や民族/地域集団といった固定的な関係性を常に組み替える「場所」的な実践(吉岡政徳の言う「多配 列的志向」に近い)に基づくところにある。
第 4 に、参与観察的フィールドワークのいわば「越境」として、広義の開発実践を位置づけ、調査研究と開発実践を結び付けようとしたことである。具体的には、JICA専門家とし てのセトルメントへの政策転換を念頭に置いた国会議員や首都政府との交渉を含む実践(9 章)であり、ブラックウォーターでの「場所の知」への承認を通じたその持続可能性を模索する実践(10 章)である。こうした実践は、これまで研究者にとっては、好んで描かれてこなかった。しかし「北」世界と「南」世界の間に存在する経済格差と表象をめぐる権力の非対称の中 で、調査研究が前者にだけ知を蓄積してしまうとすれば、それは知的収奪に他ならない。求められるのは、自らの調査研究の成果を対象社会に還していくこ とだが、それは容易なことではない。第Ⅲ部に記したのは、それをめぐる私の試行錯誤の過程である。
調査研究者にとって、フィールドワークの第一義的な目的は、対象のよりよい理解に到達することであり、開発実践者のように「地域を変える」ことにはな い。フィールドワーカーが調査対象にコミットしすぎることは「オーバーラポール」として批判されもする。しかし、フィールドワークを通じて私が出会っ たパプアニューギニアの人々は、辺境の村でも、都市の掘立小屋集落でも、自らと自らの場所を更新し、よりよき生の実現(すなわち「開発」)を求めよう とする人々だった。それが様々な構造的要因によって実現されない現実に葛藤を抱えることを感得したならば、そのジレンマをただ冷静に記述するだけが、 調査研究者の仕事であるとは私は思わない。むしろ長期にわたるフィールドワークで得た知見と理解の延長線上に、その葛藤と向き合い、その現実を変えて いくための可能性を共に模索することも、調査研究者の(調査研究者にしかなし得ない)仕事ではないか。それは、フィールドワーカーが、フィールドとい う場所に生まれたかかわりを引き受け、調査対象となる人々自身の「開発」過程に積極的に参与することに他ならない。言葉を換えればそれは、調査研究者 が真の意味でフィールドという「場所」を構築する一員となるということでもある。
この書は 40 年間の私の調査研究の集大成であるが、決してアカデミックな研究として、学界や専門家にだけ発信することを目的としたものではない。むしろ一般の学生や読者に広く読んでほ しいと期待している。私の考える「動態地誌」とは、グローバル化時代に、遠く離れた他者を「他者化」するのではなく、共感的に理解し、同時代を共に生 きる者として蘇らせるような地理的想像力を喚起する研究である。本書がそのようなものとして、多くの人に受け入れられ、相互批判を含む議論を喚起する ものとなればうれしく思う。
(筆者)

学会通信

新入会員

   Rodolfo Maggio(早稲田大学外国人特別研究員)
   *新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。


ニューズレターNo.122から


第18回学会賞選考について

こ ちらのpdfファイルをご覧ください。

第36回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

こ ちらのpdfファイルをご覧ください。詳細は大 会ページをご覧ください。

2018年度関東地区研究例会(第1回)についての報告

こ ちらのpdfファイルをご覧ください。

2018年度関東地区研究例会(第2回)についてのお知らせ

こち らのpdfファイルをご覧ください。

2018年度関西地区研究例会についてのお知らせ

こちら のpdfファイルをご覧ください。

新刊紹介

大角翠『言語学者のニューカレドニア――メラネシア先住民と暮らして』(大修館書店、2018年9月)

フランスに植民化され、フランス語を公用語・共通語とするニューカレドニアには、28もの土着の言語、現在ではカナクと呼ばれる先住民メラネシア人 の言語が存在する。大角はその中で、消滅危機にある二つの少数言語、ティンリン語とネク語というこれまで未踏の研究領域を、前者を1980年代に、後 者を2000年代に調査した。両言語は主島グランドテール西側の内陸に点在するカナクの居住村である2-3のトリビュに限定され、話すことができる者 も年配者の間にしかいない。著書は、こうした話者から言語調査しながら、カナクのトリビュの人々の間で生活したフィールド・ワークの日々を綴ったもの である。

大角は、未知の言語探求において、その言語で表される概念世界を理解することは難解だが、言語と思考の関係性や人間の認知能力についての新たな発見 に出会えることにフィールド言語学の醍醐味はあると語っている(160-161頁)。本書は、そうした探求結果としての言語学的発見や記述は随所に登 場するが、専門書ではない。インフォーマット探しや話者との試行錯誤のやり取り、トリビュでの家族の暮らし振り、人々の関係性や振舞い、これらと如何 に言語や文化が具体的に繋がっているかの会得など、フィールド・ワーカーとして体験した奮闘記である。他者との交換のないフィールド・ワークがないな らば、発見のないフィールドはなく(江戸2015: 615)、人々の概念世界を理解し、発見に出会う行為は、言語学のみならず、文化人類学を始め、その他の分野においても共通する醍醐味である。この意味でも、読み易く面白 く、一読をお勧めしたい。

著者は、昔の記憶の糸をたぐり寄せながら時系列的に書き起こした(280頁)としているが、昔の記憶を、何故これ程までに、詳細にヴィヴィドに書き 起こすことが可能なのであろうか。それは「民族誌的現在」の語りにあろう。フィールド・ワーカーにとって、ローカルな人々と共有した時間と空間は、特 別な意味を放つ。調査を終え、後に書き続けることによって、筆者としての「語る主体」は、その時点のフィールドに再節合され、そこでの人々との交換か ら生まれた交感が蘇り、共有された時空は非時間的な「民族誌的現在」として再現されるからである。これまで大角が調査結果から表した研究書が「客観的 実践」ならば、フィールドでのこの体験記は「主観的実践」と云えようが、当著は、客観的実践と主観的実践の間で間主観的に揺れ動きながら、フィールド で格闘する彼女の姿を映している(江戸2015:26)。それは、フィールド・ワーカーなら誰しもが経験することであろう。

(江戸淳子)

【参考文献】
江戸淳子 2015 『ニューカレドニア カナク・アイデンテイの語り』明石書店。
山本真鳥『グローバル化する互酬性――拡大するサモア世界と首長制』(弘文堂、2018年10月)

本書は、著者が総合研究大学院大学(国立民族学博物館)に提出した博士論文に基づくもので、2017年11月に本学会関東地区研究例会で草稿の一部 を発表している。本年4月に学振の助成を受け刊行となった。全体の構成は以下のとおりである。

第1章	序論――ファイン・マットをめぐる言説と経済
第2章	サモア社会の概観と成り立ち
第3章	交換システムの基本構造――ファイン・マットと親族間の儀礼交換
第4章	交換財の変容――市場経済への対応と新しい財の取り込み方
第5章	移民と本国社会――サモア移民のトランスナショナリズム
第6章	儀礼交換と称号システム―西サモアにおける首長称号保持者間の役割分化 
第7章	ファイン・マットの行方――ファイン・マット復興運動と儀礼交換
第8章	結論

半分程度は、すでに書いてきた論文を大幅に書き直したもので、また半分程度は書き下ろしとなっている。

地縁関係と血縁関係が複雑に錯綜した首長制に基づくサモア社会は、首長間にランキングの差異はあるものの、競覇的な社会関係が存在していた。近代化 と現金経済に巻き込まれることにより、その勢いはますます強いものとなっており、それが表出する儀礼交換――女財と男財の交換を基調とする――におい ては、女財であるファイン・マットに加えて、現金や缶詰、コーンビーフなどの新しい財が男財として取り込まれるようになっていた。

サモア独立国(旧西サモア)は、第二次大戦後に多くの移民を海外に送り出し、彼らの送金で国家経済も本国の拡大家族の生活も成り立ってきた。移民し た息子や娘は定期的送金を行うこともあったが、キョウダイ、オジオバなどとの間では、親族集団のアイデンティティに関わる儀礼交換に伴う送金が専らに 行われていた。そうした「移民の貢献」に対し、サモアからは国境をまたいで首長称号名の授与、伝統財としてのファイン・マットの持ち出し・贈与が行わ れるようになった。

また、それらの儀礼交換に必要なファイン・マットは、本国でも移民社会でも、互酬的交換や市場交換によって調達されるようになり、現金を引き出すも のとして需要は高まり、ファイン・マットそのものの品質の粗悪化を招いたといえる。かつては1枚製作するのに半年から1年を要したのが、1990年頃 には3日ほどで製作されるようになっていた。さらにまた、移民社会では儀礼交換を行い、ファイン・マットのやりとりを行うことが、サモア人としてのア イデンティティとなり、盛んに儀礼交換が行われ、そのために本国では稀少なファイン・マットが移民社会ではだぶつくほどであった。

一方、首長称号名について、親族集団内でのさまざまな事情で同名の首長称号が複数名に授与される習慣(称号分割)はかつてより存在していた。称号分 割は選挙にも関連して独立(1962年)後に盛んに行われるようになった。首長称号名保持者のみが選挙・被選挙権をもつという制度は1990年の制度 改正まで続いていたのである。称号分割を通じて、首長称号名は海外移民にも数多く贈られている。サモア人として大変名誉あるものであるが、同時に親族 集団をもり立てる義務も負い、送金が期待されていることは言うまでもない。

1990年代になると、かつての良質のファイン・マットを取り戻そうという運動が生じ、政府は女性の現金獲得手段としてこれを奨励する活動を始め、 ファイン・マット生産には新たな局面が生じている。政府のこの動きは、ファイン・マットの市場を作り出したが、たいそう高価なものなので、現在ではま だごく少数の金持ちが、特別な儀礼のために購入して保持するものに過ぎず、儀礼交換に登場することは少ない。

ファイン・マットが市場に登場するようになって久しく、政府の奨励する精巧で高価なものが市場経済に送り込む目的で製作されていることは、ファイ ン・マットの商品化を加速化している。しかし、そもそもファイン・マットが市場で取引されているのは、儀礼交換に用いられるためであることに注目する 必要がある。高価なものが購買されて、衣装箱の底に貴重品としてしまわれていても、それは骨董品ではなく、しかるべきときにしかるべき人に贈られるた めである。互酬的贈与交換こそが、ファイン・マットの商品的価値を生んでいるのであり、互酬性は未だこの社会では重要である。海外からの送金も同様に 互酬性に基づいているのである。

かなり堅い学術書として高価なので、購入をためらう方は多いと思うが、是非図書館で購入をお願いしたい。

(著者)

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編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp




ニューズレターNo.121から

第35回総会の報告

2018年3月22日(木)、第35回日本オセアニア学会研究大会会場(沖縄美ら海水族館イベントホール)において、同学会総会が開催されました。議事は、 以下の通りです。

審議事項

1.2017年度決算
・2017年度決算(2017年3月1日~2018年2月29日)について、倉田誠会計理事より説明があり、承認されました。
・会計監査は、柄木田康之会員、古澤拓郎会員によって行われました。
2.2017年度事業報告
下記の事業報告が審議され、承認されました。
3.2018年度事業計画
下記の事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.34の刊行
・NEWSLETTER no.121、122、123の刊行
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・第36回研究大会・総会の実施
・JCASA等の活動
・石川栄吉賞の選考
・第18回日本オセアニア学会賞の募集
・評議員選挙の実施
4.2018年度予算案(別紙参照)
2018年度予算(2018年3月1日~2019年2月28日)について、倉田誠会計理事よ り説明があり承認されました。
5. 入退会に係る規定の変更について(「学会通信」欄参照)

報告事項

  1. >第17回日本オセアニア学会賞を早稲田大学の里見龍樹会員(受賞作品『「海に住まうこと」の民族誌―ソロモン諸島マライタ島北部における社会 的動態と自然環境』)に授与するとの理事会決定が報告されました。なお、学会賞に対して、日本オセアニア交流協会より副賞をいただきました。学会賞選考委 員会からの報告は、以下、別記事として掲載されております。
  2. 沖縄美ら島財団が賛助会員となることが報告されました。
  3. 第36回研究大会・総会は、首都大学東京の深山直子会員を大会長として開催予定であることが報告されました。

第17回日本オセアニア学会賞について

こちらをご覧 ください。

第18回日本オセアニア学会賞選考要項

2018年度日本オセアニア学会賞選考委員会

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2017 年1月1日から2018年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、 FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文をオセアニア学会事務局に送付することが望ま しいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2018年11月1日から2019年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、 郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会事務局)
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 国立民族学博物館
    丹羽典生研究室 宛て
    TEL 06-6876-2151(代)FAX 06-6878-7503(代)
    E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

  7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。
  8. 2019年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
  2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

【新刊紹介】

浅井優一『儀礼のセミオティクス:メラネシア・フィジーにおける神話/詩的テクストの言語人類学的研究』(三元社、2017年2月)
本書は、南太平洋のフィジー諸島ダワサム地域において、約30年ぶりに開催された最高首長の即位儀礼、およびその開催の是非を巡り地域を二分した政治 的対立の顛末 を、植民地期に作成された古文書、即位儀礼で為された儀礼的発話、地域の古老たち が従事する神話の語り、政府による儀礼の映像記録など、2年に及ぶフィールドワークで得られた様々なテクストの記述・分析を通して審らかにしようと試みたモノグラ フです。以下では、本書が扱うフィジーでの事例を概略した上で、その主な論点を2点に絞り紹介したいと思います。オセアニア地域での研究に従事される皆様 に是非と も一読して頂き、ご批判を頂ければ幸い至極に存じます。
フィジー諸島のダワサム地域では、28年間、最高首長が不在であった。その根底にあるのは、イギリス植民地政策下で作成された文書(『一般証言』およ び『氏族登録台帳』)が規定する各氏族の歴史と、神話の語りを通して伝えられる伝承の間の齟齬であ った。ダワサム地域の古老たちは、この両者の間に生じた齟齬を正そうと試みてきたが、氏族間や氏族内部での対立や歪められた歴史への確執から幾度となく断念されてきた。こ うした状況下、当該地域の一氏族であるヴォニ氏族は、自らが首長を即位さ せる義務を負った集団であると主張し、2009年頃から最高首長の即位儀礼開催の画策に乗り出す。そうした画策の中で、彼らが出会ったデライ氏族による神話の語りと、 ヴォニ氏族が「文書以前」から受け継いできたとする神話、この両テクストに一貫した等価性が認められ、氏族の正統な来歴と系譜が解き明かされることにな る。この両氏族の神話的邂逅が契機となり、長年放置されてきた即位儀礼が執り行われる機運が 広まった。デライ氏族の長老は、著者に対し、即位儀礼の開催の意義を次のように伝えている。「おまえは、祖先神が話す、とは何のことか知っているか? これは上から降りて きた啓示である、上にあるかつての村から、私たちが、その道に沿って進むために。」そして、フィジー政府の地方知事を交えた会議においても儀礼の開催が承 認され、この啓示の通り、儀礼の過程は、神話の構図に沿う形で、植民地期の文書に反する仕方で実施された(2010年4月)。儀礼の一部始終は、フィジー 言語文化研究所の役人によりビデオ映像として記録され、100分程度のDVDとしてアーカイヴ化された。
1 書誌情報http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/423.htm
以上の通り、本書は、A. M. ホカートの王権論やマーシャル・サーリンズによる構造歴史人類学の試み以来、オセアニア人類学の中心的な研究課題をなしてきたフィジー諸島における儀礼、神話、歴史といっ た事象を扱っており、その上で、本書は、言語人類学および記号論の視座から切り込んでいる。特に、レヴィ=ストロース構造人類学に理論的基盤を提供した ローマン・ヤコブソンの詩的言語に纏わる洞察とチャールズ・パースの記号論を融合的に発展させた言語人類学者マイケル・シルヴァスティンの儀礼コミュニ ケーション理論を参照軸とし、フィジー語で書き起こしたテクスト(植民地政府の文字資料、古老による神話の語り、公的会議の談話記録、即位儀礼での定型的 スピーチ、儀礼の映像記録など)を、その叙述形式や形態論的特徴から丹念 に記述することを通して、神話と歴史が儀礼を契機に生起し絡み合うことを詳らかにしている。そして、言語使用の綿密な考察を民族誌記述の中心に据えることを通して、 文化研究と言語研究の接合を可能にすると同時に、サーリンズの認識論、ニコラス・ トーマスの歴史人類学やポストコロニアリズム、さらにマリリン・ストラザーンのメラネシア人格論、およびそれを柱の一つにして拡がった存在論的人類学の連関を、ヤ コブソンやパースの記号論に依拠して体系的に捉え直している。
また本書は、19世紀フィジーの英領植民地期の公文書の記述形式と調査地域での古老が従事する神話的語りの叙述形式を比較対照し、前者が氏族集団の連 合としての地域を、首長を頂点に据えて「階層的」に記述する形式(ハイポタクシス; hypotaxis)を 有するのに対し、後者は「並列的」に叙述する形式(パラタクシス; parataxis)をもつことを明らかにし、そうした神話記述のスタイルの相違が、社会秩序の生成に関する記号論的な変遷に基づくものであることを指摘している。さら に、政府の文書と土地の神話の齟齬に疑念を抱く氏族集団が、その齟齬を正そうと画策する中で、集団各々 が受け継いできた神話の断片に整合性を見出し、氏族の正統的な来歴と系譜を解き明かす様子、および古老たちが地域の原初の姿として理解した神話を象った即位儀礼が実行さ れ、植民地期以降、文書が規定してきた社会秩序の覆しが図られる過程を、儀礼的発話や儀礼における時空間の構成に関する分析に基づいて詳らかにしている。 以上を通して、本書は、ミクロな政治的対立に焦点を当て、それを通じて創出される現代フィジーのマクロな文化的秩序の史的変容を明らかにしながら、この両 者を統合しうる理論的枠組みの提示を試みている。
(著者)
小林 誠『探求の民族誌――ポリネシア・ツバルの神話と首長制の「真実」をめぐって』(御茶の水書房、2018年1月)
「何が真実の伝統なのだろうか」。こう問うていたのは人類学者である私ではなく、「現地の人々」であった。2000年代に行ったツバル・ナヌメア環礁 でのフィールドワークで私が気づいたのは、ナヌメアの人々は伝統をかたくなに守り続けていたわけでも、柔軟に実践していたわけでも、ましてやそれを創造し ていたわけでもないことであった。そうではなく、彼らは何が「真実」の伝統なのかを探し求めていたのである。 本書はそれをとらえるべく書かれた民族誌であり、伝統それ自体ではなく、伝統をめぐる彼らの探求を記述・分析することを目的としたものである。それによって、伝統をめぐる 複数の真実を浮き彫りにするとともに、個々の真実が併存、対立、交渉する様態をも明らかにする。また、人類学者とナヌメアの人々の探求を同一地平上に位置 付けて論じ、人類学者の営みそのものを相対化する。以下に構成を記す。
序章 神話と首長制をめぐる探求
第一部 ナヌメア
第1章 過去と現在
第2章 移動と島を越えた広がり
第二部 記録する――研究者の視点
第3章 研究されるツバル
第4章 ある人類学者のフィールドワーク
第三部 合意する――首都にて
第5章 神話の憲章作成
第6章 首長制の成文化
第四部 実践する――ナヌメアにて
第7章 調査を始めた元調査助手
第8章 首長になれない男の主張
終章 探求の「真実」
検討の中心となるのは、神話と首長制をめぐる西洋人研究者、首都フナフティ環礁在住のナヌメア人、ホームランドであるナヌメア環礁のナヌメア人による それぞれの 探求である。まず、序章では、神話と首長制を中心に伝統をめぐる既存の人類学的研究を再検討し、これまでの議論が伝統の可変性と操作性を強調していた点を指摘し、 土着の認識論・方法論を援用しながら、本書の核となる探求という鍵概念を提示する。
続く第一部では基礎的な情報をまとめる。第1章で、ナヌメアの歴史と現在の状況を概観し、第2章では、ナヌメア社会がホームランド以外の場所にいるナ ヌメア人によってディアスポラ的に編成されていることを示す。
第二部では外部の西洋人研究者による探求を扱い、その特徴を真実の記録と論じる。 第3章でツバルについての先行研究を簡潔に整理し、伝統を本質的に描く研究から、 その可変性と操作性を指摘する研究へと転換した背景を論じる。第4章では、ナヌメアにおける人類学的調査の草分けである人類学者キース・チェンバースのフィールド ワークおよび、彼が著した民族誌を詳細に検討し、彼の調査・研究が現地の人々との 関係性のなかでいかにかたちづくられてきたのかを明らかにする。
第三部では首都在住のナヌメア人による探求を検討し、その特徴を真実をめぐる合 意の形成にあると論じる。第5章で神話にまつわる「憲章」作成プロジェクトをとりあげ、首都在住のナヌメア人が多様なバリエーションの神話テクストを分析し、すべての人々 が合意できるような真実の神話の提示を試みてきたことを明らかにする。第 6章では首長制の成文化をとりあげ、首長制の真実のかたちについてのとりあえずの 合意が形成された反面、それが遵守されなかった理由を明らかする。
第四部ではホームランドであるナヌメア在住のナヌメア人による探求について検討し、その特徴を日常的な実践と密接に繋がっていることにあると論じる。 第7章でチェンバースの元調査助手で、神話と首長制について独自に探求した男性をとりあげる。彼がチェンバースの帰国後、いかに独自の調査を実施し、そし て、いかにそこから得られた知見が真実であることを「証明」しようとしたのかを論じる。第8章では、首長になれないクランに属する男性を取り上げ、彼が伝 承した神話と彼が実践した首長制を事例に、神話と首長制をめぐる真実の探求を日常的かつ具体的実践の中から描きだす。
終章では、それぞれの探求の連なりと断絶をまとめたうえで、真実をめぐる状況依存性、多元性を簡潔にまとめ、筆者自身の状況依存性についても自省的に 捉え返す。 本書全体を通して、ナヌメアの人々がいかに確実な真実を見出そうしてきたのかと、それにもかかわらず真実が不確実なままにとどまってきた理由が現地の真実観を基に 明らかにされる。
(著者)
小野林太郎・長津一史・印東道子(編)『海民の移動誌――西太平洋のネットワーク社会』(昭和堂、2018年3月)
海域アジアやオセアニアには、海と密接に関わりながら暮らしてきた「海民」ともよべる人々、あるいは積極的なネットワーク形成を生活基盤とする社会が 各地にみら れる。本書は、こうした西太平洋圏の海民に代表されるネットワーク社会の普遍性や 地域性を、その分布に関する時間と空間双方の面での比較を通じて、人類史的な視点 から論じる。このうち時間軸においては、私たち現生人類(ホモ・サピエンス)がこ の海域に登場してくる約5万年間の幅をもつ考古学的時間(実質的には約4000年前の 新石器時代以降に主眼をおく)と、約100年間の幅をもつ民族誌的時間の両軸からの 検討を試みた。
一方、本書が対象とする空間は、日本を含む東アジア、東南アジア、オセアニアの 3つの海域世界である。本書の構成も、これらの海域世界に対応する形で三部構成と し、これに序論・総論からなる一部を加え、計13本の論文と5本のコラムより構成した。さらに海域別の三部は、いずれも考古学的時間軸と民族誌的時間軸に基づき、各 海域におけるネットワーク社会の過去と現在が論じられる。紙面の関係もあるため、 ここでは各章とコラムのタイトル、および各執筆者のみ以下に紹介する。
(本書の目次・構成)
第1部 序論
第1章 海民の移動誌とその視座
(小野林太郎・長津一史・印東道子)
第2章 海のエスノ・ネットワーク論と海民―異文化交流の担い手は誰か
(秋道智彌)
第3章 マダガスカル島と海域アジアを結ぶネットワーク
(飯田卓)
第2部 東南アジアの海域世界
第4章 海域東南アジアの先史時代とネットワークの成立過程―「海民」の基層文化論
(田中和彦・小野林太郎)
第5章 耳飾が語る金属器時代東南アジアの海域ネットワーク
(深山絵実梨)
第6章 東南アジアにみる海民の移動とネットワーク―西セレベス海道に焦点をおいて
(長津一史)
第7章 〈踊り場〉のネットワーク―モーケンと仲買人の関係性に着目して
(鈴木佑記)
コラム1 海民の土器を追いかけて―南シナ海とタイ湾を貫いた鉄器時代のネットワーク
(山形眞理子)
コラム2 海産物の開発をめぐる同時代史―ナマコの事例から
(赤嶺淳)
第3部 東アジアの海域世界
第8章 海を渡り、島を移動して生きた最初期の「海民的」人びと―宮古・八重山諸島の先史時代からみた海域ネットワーク
(山極海嗣)
第9章 中世・近世期における八重山諸島とその島嶼間ネットワーク
(島袋綾野)
第10章 糸満漁民の移住とネットワークの動態
(玉城毅)
コラム3 海底遺跡が語る琉球王国時代―近代の海上ネットワーク
(片桐千亜紀)
コラム4 日本のシイラ利用からみる海と山のネットワーク
(橋村修)
第4部 オセアニアの海域世界
第11章 先史オセアニアの海域ネットワーク―オセアニアに進出したラピタ人と海民論
(小野林太郎)
第12章 オセアニアの島嶼間ネットワークとその形成過程
(印東道子)
第13章 ムシロガイ交易からみる地域―進行形のネットワーク記述に向けて
(深田淳太郎)
コラム5 海域ネットワークが生み出したリモートオセアニアの島嶼
(山口徹)
さて、こうしたネットワーク社会のメインアクターとして、本書では海民に注目す る。このうち日本における海民論は、これまで民俗学や歴史学の分野で展開されてき た。たとえば民俗学者の宮本常一は、海民の生業が「半農半漁」であることに注目し つつ、近世以降に瀬戸内海や九州沿海に暮らす家船民をより専業的漁民としての性格 が強い「海人」と指摘した(宮本1964,1992)。一方、歴史学の視点から海民研究を展開した網野善彦は海で暮らす「非農耕民」として、漁業から略奪といった海賊行為 に いたる様々な生業を完全に分化させることなく担っていた人びとを「海民」と呼んだ。 またそうした海民的集団の出現期を縄文時代晩期頃まで遡る可能性を指摘している (網野1992,1998)。
これらの先行研究に従いつつ、私たちも海民の出現期として、農耕や家畜飼育が出 現したとされる新石器時代に注目した。考古・人類学的にも「半農半漁」的な生業形 態は新石器時代期以降に出現したと考えられている。また東南アジアやオセアニア海 域における新石器時代は、南中国の沿岸域から台湾辺りが起源地と推測される新石器集団の新たな移住により、4000~3300年前頃に始まったとする説が有力である。この 年代は網野が日本における海民の出現期として注目した縄文晩期頃とほぼ一致する。 しかし、先行研究においては、先史時代にあたる新石器時代期にまで遡り、考古学的 成果も踏まえながら展開された海民研究はなく、本書がその初の試みとなった。
しかしその一方で、主に物質文化や出土した遺物からアプローチする考古学のみでは、先史時代における海民の社会や文化、その移動やネットワークの実態 に迫るのは 至難の業で、限界もあった。本書ではこうした限界を補い、海民たちの移動やネット ワークの実態を鮮明かつ詳細に描き出す役割を民族誌的時間軸から論じた各章が担っている。もちろん、近世期以降の様々な経済・技術的変化や人口変動等の影響を受け る中で展開されてきた海民たちの移動やネットワーク社会が、数千年前の先史時代に おける「海民」と想定されるような人びとのそれと全く同一だったとは考えられない。この時代的差異は、今後どれだけデータが精緻化されたとしても、容易には乗り越えられな い壁であろう。
それでも考古学的資料からおぼろげに浮かび上がってくる先史時代の「海民」の移動やネットワークの背後にある原理と、近世期以降のこの約100年間に 各地で暮らしてきた海民と認識できる人々のそれに似ている部分は多々あることを本書では示すことができた。その共通性が文化的系譜や環境への適応による結 果に基づくのか、といった議論は今後の課題である。このように新たな課題も少なくないが、それでも本書 は考古学・文化人類学・生態人類学・民俗学を軸とした学際的な海民研究の現在と未 来を示した論集として、新たな一歩を切り開けたのではないかと自負している。ぜひ一読して頂けると幸いである。
なお本書は、国立民族学博物館の共同研究「アジア・オセアニアにおける海域ネッ トワーク社会の人類史的研究――資源利用と物質文化の時空間比較」(代表:小野林太郎)において、本書の章・コラムを執筆したメンバーらによって約3年半にわたり検 討してきた研究成果ともなっている点を最後に付け加えておきたい。
【引用文献】
網野善彦 1992 『海と列島の中世』、日本エディタースクール出版部。
網野善彦 1998 『海民と日本社会』、新人物往来社。
宮本常一 1964 『海に生きる人びと』(日本民衆史 3)、未來社。
宮本常一 1992 『瀬戸内海の研究――島嶼の開発とその社会形成、海人の定住を中心に』、未來社。
(編者=小野林太郎)

学会通信

今後の研究大会の開催方針及び今年度の研究大会について

会長 山本真鳥

今年はもう東京は梅雨明けだそうで、暑い夏が既に始まっているようです。蒸し暑いさなかではありますが、会員の皆様におかれましては、ご清祥のことと存じ上 げます。

さて、本年の学会創設40周年記念行事及び研究大会で沖縄においでの会員には、既にご承知いただいていると思いますが、今後の研究大会のあり方についてお知 らせ申し上げます。

これまで、学会規則等で決められていたわけではないのですが、研究大会は温泉地で開催するという前例が積み重ねられてきました。この合宿型の研究大会は、 我々のような小さな学会には、親睦を深めるという意味で多いに利がありました。ここで培 われたオセアニア研究者の仲間意識は並大抵のものではなく、強い絆で結ばれて今日に至っております。

その意味では大変残念なのですが、温泉地での開催は、主催をお願いする方に実は大変負担がかかります。これまで主催されてきた方々には深く重ねて感謝する次 第ですが、そろそろ毎年この体制を維持するのは難しくなってきました。大きな要因は会員の減少で、ひところ300人を超えていた会員数が現在では200名近く になっております。会員数を増やす努力は今後も重ねて参りますが、それと並行して研究大会の負担を軽くするため、総会でご承認いただきましたように都市と温泉 での隔年開催する方向で考えております。

以上の方針を考慮しまして、本年度の研究大会は以下の日程と場所で開催予定です。

日程:
2019年3月25日(月)~26日(火)
場所:
首都大学東京 南大沢キャンパス

首都大学東京の深山直子会員が、研究大会の会場と懇親会の場を用意してくださる予定です。ただし、宿泊は各自ご用意ください。次年度には、温泉地での開催が できるようただいま交渉を継続中です。

以上の方向性につき、ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

入退会方法の変更について

入会に関わる規定(日本オセアニア学会会則7条1)を、審議過程の効率化を図るため以下の形で変更する。変更する語句の箇所は、下線で示してある。

<現行>
第 7 条
前条各会員の入会手続きは次のように定める。
1. 通常会員として入会しようとする者は本会に申しで、評議員会の承認を得るものとする。
<改正案>
第 7 条
前条各会員の入会手続きは次のように定める。
1. 通常会員として入会しようとする者は本会に申しで、理事会の承認を得るものとする。

*退会については、「第9条 退会を希望する会員は、その旨を本会に申し出るものとする。」という規定がある。評議員会での承認は従前から必要とされていなかった。上記の変更にあわせて、理事会で退会 の申し出があった旨報告することとする。

所属変更

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寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

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寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp


ニューズレターNo.120から

日本オセアニア学会創立40周年記念公開シンポジウム開催のお知らせ

こちらを ご覧ください。

第35回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

こ ちらをご覧ください。

2017年度 日本オセアニア学会関西地区研究例会の報告

こちらをご覧ください。

【新刊紹介】

秋道智彌『魚と人の文明論』(臨川書店、2017年12月)
魚と人間とのかかわりから文明を論じる視点はこれまでなかった。文明論にはいくつもの学派や仮説がある。オセアニアは海の世界であり、海洋を含めた文 明論があってもよかったが、島嶼世界でも陸地における研究が主流であった。海や魚を主題とする漁撈や航海術、海の神話などの研究があるとしても文明が論じ られることはなかった。もっとも、日本では川勝平太の『文明の海洋史観』(1997)やフランスのアナール派の研究者であるF.ブローデルの『地中海』 (2004)の研究がある。
本書は社会史、経済史ではなく、人類学の視点から魚と人間の関係性に注目して文明論を提唱したもので、以下のような構成になっている。
本書の章立てを見ると、魚類の分類学、魚食、規範としての魚食のタブー論、魚の有毒・有用性、王権と魚・魚の王、神話的な存在としての半魚人、霊魂と 身体性をつなぐ世界観に至るまでが扱われ、統合知を構築する配慮がなされている。研究の視野の広がりからすると、自然と文化、物質性と精神性にまたがる諸 課題を取り上げ、人類学から文明論を構築する枠組みが提示されている。
オセアニアは海の世界であると述べたが、本書では海水魚と人間とのかかわりのみならず、世界中の淡水魚にも目を向け、古代エジプト(ナイル川)、メソ ポタミア(ティグリス・ユーフラテス川)から、東南アジアのメコン川、ガンジス川、南米のアマゾン川、北米のミシシッピー川、日本の諸河川などに生息する 淡水魚をも取り上げている。しかも、歴史と時代、地域を超えた問題に広く言及されている。海水魚、淡水魚の枠を超えて考察がなされている独自性を垣間見る ことができる。
第6章の半魚人は架空の存在でありながら、それぞれの地域や社会における人びとの神話的な想像力の考察に有用な情報を提供している。人魚伝説や両義的 な存在のもつ意味についての世界史的な考察は、幻想動物を生みだしてきた人間の知の在りようを考える重要な視座を提起している。オセアニア世界だけでな く、古代中国、古代エジプト、メソポタミア、インド、中世ヨーロッパ、古代から近世期の日本における半魚人の比較は、時代や地域を超えた汎世界的な広がり を知る楽しみを与えてくれる。
本書では、文明論を従来の経済史・制度史・政治史・生態史などの視点から取り上げたG.チャイルド、A.トインビー、C.クラックホーン、O.シュペ ングラー、S.P.ハンチントン、梅棹忠夫らとは異なり、魚と人の関係性に着目して考察したものである。海の領有、交易、海軍、交通などについての考察に は多くの紙面をさいているわけではなく、文明論という書名から当てが外れたと考える読者がいるかもしれない。
しかし、ニシン、タラ、フカひれ、ナマコなどの交易について、世界史的な観点から論じられており、その背景にキリスト教世界における断食と魚の需要増 加、中国における海鮮料理の趨勢、新大陸におけるサトウキビ産業と奴隷貿易、乾燥タラの利用など、魚に注目した歴史の再構成が随所に取り上げられており、 世界を変えた魚として文明論を論じている。海の領有問題と文明論については、本書の筆者が『越境するコモンズ』に詳しく取り上げているので参照していただ きたい。
最終章では、魚と人の関係についての包括的な議論として、魚と人間だけでなく、第3項としてカミないし超自然を設定し、それらの3極構造の中に新しい 文明論を位置づけた点がもっとも注目される。自然物である魚、人間、超自然は言語分類、信仰、価値観、技術、図像などのさまざまな表象として具現化され る。上記の3極モデルでは、魚と人を楕円形の2つの焦点として、楕円の軌跡上にカミの世界、半魚人、アニミズム・トーテミズムなどの多様な表象を位置づけ ることができる。
この発想の基盤にレヴィ=ストロースの後継者と目されるコレージュ・ド・フランスの人類学教授であるフィリプ・デスコラの提起した存在論 (ontologies)にも通底する。デスコラの議論は従来、西洋にあった自然と文化の二元的枠組みを超えて、自然と文化の連続性を提起したものであ る。ここでは詳述しないが、最近刊行された『交錯する世界 自然と文化の脱構築-フィリップ・デスコラとの対話』で体系的に取り上げられている。
海や魚に興味をもち、オセアニア世界で研究を目指す若い人たちにぜひとも目を通していただければとおもう。
【参考文献】
秋道智彌
 2016『越境するコモンズ-資源共有の思想をまなぶ』臨川書店。
秋道智彌(編)
 2018『交錯する世界 自然と文化の脱構築-フィリップ・デスコラとの対話』京都大学学術出版会。
(著者)
後藤明『世界神話学入門』(講談社、2017 年 12 月)
今回、講談社現代新書として出版したこの本では、近年唱えられている世界神話学説に沿って、ホモ・サピエンスに伴う2つの神話群、ゴンドワナ型神話群 とローラシア型神話群を紹介している。ギリシャやインドあるいは日本神話など、われわれがよく知っている神話は後者の方である。一方、前者はアフリカで 20万年ほど前に進化した現生人類のホモ・サピエンスが最初にアフリカから出たときに語っていた人類最古とされる神話群である。
本書は以下のような構成となっている。
近年一つの有力な学説として提唱されているのが、ホモ・サピエンスがアフリカを出た後、アラビア半島からインド亜大陸の海岸部を通り、スンダランド (氷河期にあった東南アジア島嶼部を含む大陸)を通ってオーストラリアまで4万から5万年前に一気に移動したという説である。それは主に遺伝子の分析から 主張されているが、ゴンドワナ型神話群はこの南回りルート移動経路によく一致した分布をしている。
南回りルートに対してヒマラヤの北を周る北ルートもそれほど遅くはないという証拠も出てきているが(海部陽介『日本人はどこからきたのか』等参照)、 本書は世界神話学説にそって2大神話群の違いを私の意見も含めて紹介し、さらに地球規模の2大神話群の存在から日本神話の多様な成り立ちについて思考実験 的に考察を進めてみた。
私がこの本を書く動機は2つあった。
その一つ目は、私は国立科学博物館が進める「三万年前の実証航海」プロジェクトに海洋人類学者として参加していることである。台湾付近から八重山に海 をわたってきた最初の人類の移動手段を実証しようという試みである。ほとんどまともな石器のないこの地域で、旧石器時代に使用できた素材で船を作るという 難題に挑戦した(後藤 2016)。
船の具体像は私が担当することになった。与那国島での最初の実験では、私が提唱した樽舞湿原産のヒメガマという植物を使った草舟の航海能力を実験し た。このようなことをやりながら、最初に日本列島に渡ってきた人々はどのようにして見えない島を目指して船出したのか、そして彼らが語っていた神話につい て考えみようと思ったのだ。
もう一つの理由は古くからオセアニアの文化系統論のテーマであった所謂メラネシアとポリネシアの神話の違いであった。
『オセアニア神話』を著した人類学者のR.ディクソンはポリネシア神話の系譜の多様性を指摘している。彼によると、NZマオリ(さらにモリオリ)神話 はもっともメラネシア、東部メラネシアの影響が強いという。またサモアにもその影響は見られ、クック諸島やハワイにも若干の影響が見られる。一方、ソシエ テ諸島にはメラネシア的な要素がほとんど欠如しているのはなぜかという問いを発している(Dixon 1916: 92-99)。
彼の説明はメラネシアからの移住が最初サモアからニュージーランドにかけて起こり、それが中央ポリネシアにも若干影響しているとうものである。一方、 インドネシアからニューギニアの北を通ってかなり直接的にハワイに移住があった。本来ハワイにはメラネシアの影響はなかったが若干それが見いだされるの は、サモアやクックからの後世の移住によってである、と述べている。
一方、文化圏論や伝播論を基軸とするドイツ系の学者は次のような文化層を提唱している(Nevermann et al. 1968: 63-64): (1). メネフネの時代:社会階層化は未発達で、生命力やタブーの規制に基礎を置く宗教観念。家族神や死者・精霊崇拝が基本で、シャーマンのような宗教専門家が中心。神話の神とし てはメネフネ、マフイケ、女神ヒナなどの信仰が導入された; (2). 首長(Ariki)の時代:社会階層化のある集団の到来。貴族集団が存在し、神々としてはタネ、トゥそしてロンゴが持ち込まれる。新しい集団は既存の集団から神由来の集団 として、区別される。祖先の国ハワイキ、死後の世界プロトゥなどの概念の導入。コレとポー(暗黒)の対立による哲学的な宇宙論(Cosmogomie)の 成立。この首長の時代はさらに第2期、第3期と分けられ、それぞれ異なった集団が持ち込んだ神話や文化あるいは社会が重層化してポリネシア社会とその変異 が生み出された。
ここでは上記の見解の是非を論ずることはしないが、私の関心は近年ではあまり真剣に考えられていないオセアニア島嶼部への多重移住説の可能性が捨てき れるかどうか、という点であった。率直に言って私にはポリネシアの神話がメラネシアの神話から発達してきたとはどうしても思えないからだ。
これが本書を著した2つ目の理由であった。とくにこの2つめの疑問に答えてくれる本として、M.ヴィッツェルの著作『世界神話の起源』(Witzel 2013)を読んだことが、自ら『世界神話学入門』という本を書いてみるきっかけであった。
さて私は本書の中で「日本人」という用語は注意深く避けた。この種の本を書くとき編集者からは日本との関係も触れてほしいと要望されるのが普通であ る。しかし私は本書の中で自然な文脈の中で使う以外は日本人という言葉を避けた。とくに「日本人の起源」、あるいは「日本人の最古の神話」という表現は避 け「日本列島最古の神話」という言い方に終始した。つまり本書の目的のひとつが「今われわれが日本列島と呼称している島に最初に渡ってきたホモ・サピエン スが話していた神話」の推測であって、当時存在していない「日本人」最古の神話など推測できるわけがないからである。
また本書の最後の章でのべた、「人も動物も天体もかつて地上で一緒に暮らしていた」という「ゴンドワナ型神話」の意味する所であるが、それは「人間も かつて自然の一部だった、そしてその後、自然から文化(人間)が分離していった」、という思想を意味しているのはない。むしろ「かつてはすべてが文化だっ た、そして文化からやがて自然が分離していった」、ということを意味すると解釈すべきであると考えている。それとの関連で人間と動物が同じで変換可能だっ たという神話においても、人間は動物になるとき必ず動物の毛皮を着る(例:儀礼の踊りのときのシャーマン)、しかし動物は人間になるとき人間の皮を着るこ とはなく、必ず毛皮を脱ぐと人間だったということになる。この非対称性の意味することは? このようなことも問うてみたかった。
このような思想を当初はアニミズムのような表現でまとめようかと思った。しかし最近、怪しげな政治的な意図をもって唱えられる「縄文アニミズム論」の ような考え方に連動することは避けようと考えた。ゴンドワナ型神話の共通の特徴、すなわち人間も動物も、天体も自然現象もともに暮らしていたという語り を、それら背後に「霊魂」のような共通の実体を想定してしまったのでは代わり映えしない話になってしまう。むしろ私は「人間的な系列と非‐人間的なそれと の諸関係に社会的な特徴を措定する存在論」(ヴィヴェイロス・デ・カストロ 2016 Kindle版No.1313-1314)、あるいは「自然の存在物に人間的な性向と社会的な属性を授ける」(デスコラ 2017: 32)と言った意味でのアニミズムを下敷きにしようと考えた。
最後に本書の執筆の間、「ゴンドワナ型」神話群の特徴のひとつは天体に関する神話であることを見いだし、「エージェンシーとしての天体」のような仮説 を今後の研究課題としようと考えていたところ、本書の出版直後に某出版社から『天文の神話学』という新たな新書本の執筆を依頼された。現在準備中のこの本 は、昨年上半期に出版した著作(後藤 2017)と下半期に出版した本書を、足して2で割ったような内容となるであろう。
【参照文献】
デスコラ、フィリップ
 2017 「自然の構築:象徴生態学と社会的実践」『現代思想2017臨時増刊号 人類学の時代』45(4):27-45.
Dixon, Roland
 1916 The Mythology of All Races: Oceania. Boston: Mareshall Jones.
後藤 明
 2016 「人類初期の舟技術:環太平洋地域を中心に」『岩波科学』87(9): 841-848.
 2017 『天文の考古学』、同成社。
Nevermann, H., E.A. Worms and H. Petri
 1968 Die Religionen der Südsee und Australiens. Stuttgart: W. Kohlhammer.
ヴィヴェイロス・デ・カストロ、エドゥアルド
 2016 「アメリカ大陸 先住民のパースペクティヴィズムと多自然主義」『現代思想 2016年3月臨時増刊号 総特集=人類学のゆくえ』(kindle版を引用)
Witzel, Michael
 2013 The Origin of World Mythologies. Oxford: Oxford University Press.
(著者)

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【新刊紹介】

Takuro FURUSAWA Living with Biodiversity in an Island Ecosystem: Cultural Adaptation in the Solomon Islands (Springer, 2016)
 豊かな生物多様性の中での人々と自然環境との相互作用を明らかにするために行われた、ソロモン諸島ロヴィアナラグーンにおける詳細な調査をまとめた ものです。ソロモン諸島は東メラネシア生物多様性ホットスポットの一角をなしており、固有の動植物の多さで注目されています。調査に着手した2001年時 点で、すでにアジア系企業による森林伐採が広範囲に行われるなど、開発の影響がありましたが、それでもまだ農耕・漁撈といった自給的な生業や熱帯雨林での 採集活動に伝統的な知識が多くみられました。特に、Prefaceの冒頭に示した女性インフォーマントの言葉に感銘を受けました。樹木について知っている だけではなく、樹木が鳥や魚と生態系を通じてつながっていることを知っていたのでした。しかしその後毎年訪れているうちに、市場経済の浸透が大きくなり、 その自然や社会への影響が懸念されるようになりました。そこで人々の生業と生活および伝統的生態知識を調べたうえで、近年の社会経済的変化を分析し、持続 可能性について検討しました。
 特に着目したのは、ソロモン諸島において環境調和的な社会が持続するために必要なことは何か、ということでした。この目的のために人類生態学で頻繁 に用いられてきた理論と方法に加え、定量的民族植物学、フォークエコロジー、植生調査、民族誌調査、衛星リモートセンシング、健康調査など様々な分野を取 り入れました。結果の一つとして堡礁島の使い方はとても興味深いものでした。本島にある集落の近くに畑を作っているにも関わらず、集落から遠く離れたとこ ろにある堡礁島にも畑が作られていました。そして堡礁島では、誰がどこに畑を作っても良いという集団主義的な利用が行われ、自給的農耕だけが行われていま した。調べてみると、堡礁島は土壌養分に優れ、休耕期間をあまり設けずとも作物が得られるため、長期的に高い収量を得ることができていました。一方本島で は、市場経済の浸透に伴い畑に用いられてきた土地の権利を世帯ごとに分けて、各世帯がそこをチークやレインボーユーカリなどの輸出用樹木で造林するように なっていきました。堡礁島はリスク回避の経済活動、本島はリスク選好の経済活動であったといえます。
 また植生調査と植物利用調査からは、自然と人々との相互作用がよくわかりました。人々が耕作放棄したあとの二次林に生えるCommersonia bartamiaは高い頻度で建材に用いられ、やはりパイオニア種であるGmelina mollucanaはカヌーに用いられる貴重な樹木でした。集落の近くには、畑のための伐開や商業的伐採は禁じられているが、村人による採集は認められた森林があり、この 人為的に改変された森林は一次林と二次林を合わせた独自の植生が形成され、そこにはDillenia salomonenseなどの有用樹木がみられました。他にも聖域(ロヴィアナ語のhope、ピジン語のtambu ples)のある森林では樹木を切ってはいけない、サゴヤシの葉を取りつくしてはいけないなどの慣習的ルールも存在しました。人間の活動が多様な景観と多様な植生を形成す るとともに、人々はそこから得られる資源を享受していたのです。
 それからフォークエコロジーという、自然認識の研究に統計解析を取り入れた方法を用いた研究を行うと、人々が「人間-植物-動物」の間の生態学的な 連鎖を認識していることが明らかになりました。例えばミカドバトは木の実を食べてしまうが、種子は壊さないので、別のところにフンとともに落とし、種子拡 散に貢献するため、結果として人間にとっても利益をもたらしてくれるという知識は広く共有されていました。人々は単に目先のことだけではなく、ある動植物 の変化が、他の動植物にどういう影響をもたらすかを予測することができるのです。
 しかしながら、同じロヴィアナラグーンにあっても、町では生活も知識も生態環境も大きく異なることもわかりました。宅地化により森林の多様性は低 く、生活の多くは商店での購入に依存していました。町では雇用労働や商店を経営している人もいて、彼らは安定した収入を持っていましたが、そのような人は 限られており、およそ3分の2の世帯は定収入がなく農作物や魚介類の販売や不定期な賃収入に頼っていました。しかし、生態環境条件が悪いため農村に比べる と農収量も漁獲も低いのでした。
 これらの研究を通して、いわゆる生物多様性や文化多様性だけでなく、村社会の中の多様性や、個人の中にある多様性を知ることの重要さに気づかされま した。自然を良く知り、多彩な利用をみせる人もいれば、あまり知識のない人もいました。また自然を大切にしているように見える人が、別の時には自然を害す るかのような行動をとることもありました。しかしこのような多様さがあるからこそ、生物や文化の多様性が作り出され、保たれて来たのです。グローバル化や 開発が多様性を失わせることは言うまでもありませんが、保全の在り方も画一的なものであれば、内なる多様性を見落としてしまい、人為的改変によってこそ生 み出されてきた自然の多様性を守ることはできないのです。
 後日談もあります。上にも挙げた堡礁島に船着き場が作られました。本島の周りは浅いサンゴ礁で船が着岸できないので、外海に面した堡礁島につくられ たのです。ところが、この船から逃げ出したと思われるネズミが堡礁島に住み着くようになりました。結果として、作物が食い荒らされるようになってしまいま した。この時人々は、堡礁島での畑作を一斉に取りやめました。こうすればネズミの餌がなくなり、いずれ再び畑を作れるだろうということでした。これは、 人々の伝統知に基づくレジリエンスの一例とみなすこともできますが、ネズミを根絶することはおそらく難しく、かつて私がみたような本島と堡礁島の利用はも う蘇らないかもしれません。
 もっとショックだったことは、かつては樹木を切ることが禁じられていた聖域の一つで、大半が切り開かれてしまったことです。これには大首長の死や地 域内の紛争など、様々な遠因があるのですが、直接的な動機は将来の収入にするために、村人皆でプランテーションを作ろうとしたことでした。この聖域は丘の 上にあったのですが、樹木がなくなったあと大雨が降ったところ、大規模は斜面崩壊が起こり、その下にあった畑も軒並み破壊してしまいました。人的被害がな かったのが何よりでしたが、人間-環境関係が大きく変化してしまったことを表すエピソードでした。
 本書執筆時点で、環境と調和した社会を持続するために重要なことは(1)多様な知識を活かして生態系サービスから利益を得ること、(2)伝統的なリ スク回避と現代的経済活動のリスク選好を両立させる戦略を持つこと、(3)このように人々が利益を得られるような多様性の保全と管理を行うこと、(4)そ のための合意を形成すること、(5)地域でのリーダーシップが伝統的知識を取り入れること、と結論付けました。やや理想的すぎたかもしれませんが、間違っ てはいません。村ではその後も市場経済活動を取り入れようとしましたが、結果として現金収入や生活水準が向上した様子は今のところありません。かつての在 り方を取り入れ、多様性を回復されることを願います。
 最後に、ソロモン諸島の研究を開始するきっかけとなり、そしてエココモンズ、在地リスク回避、マイナーサブシステンス、コンセンサス形成、基本的 ヒューマンニーズ、環境的正義という重要な視点を共有してくださり、様々なフィールドワーク手法と衛星リモートセンシングを習得するきっかけとなったのは 日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業アジア地域の環境保全「地域社会に対する開発の影響とその緩和方策に関する研究」(代表:大塚柳太郎氏)でした。 このような素晴らしい機会があったことに感謝しています。他にも科学研究費補助金などの研究予算をいただき、様々な先生や友人、そして何よりロヴィアナラ グーンの人々のおかげで本書が出版されました。そしてオセアニア学会賞という素晴らしい賞を賜りました。この場を借りて、深甚なる謝意を表します。
(著者)
風間計博(編)『交錯と共生の人類学――オセアニアにおけるマイノリティと主流社会』(ナカニシヤ書店、2017 年)
本書の目的
本書は、オセアニア島嶼部における実地調査で得た民族誌事例を提示しながら、在地の論理のあり方を射程に収めたうえで、交錯した現代世界における人類 学的な「共生の論理」を追究することを目的としている。あらゆる人間の営みに排他や暴力が必然的に伴うにせよ、オセアニア島嶼部の生活実践から、軋轢を緩 和させる新たな共生の手がかりを得ることを目指すことになる。なお本文中、近代的思考を前提とした「共生」と在地論理を強調した「共存」の用語とを、適宜 使い分けている。
本書の構成は、広くポリネシア・ミクロネシア・メラネシアにおけるマイノリティに焦点化し、歴史的過去から現代に至る移動と「混血」、ジェンダー、障 害者、記憶や感情といった論題や概念を軸に据えた諸論文からなっている。ここでとりあげるマイノリティとは、移民や先住民、社会内部において有標化される 障害者やトランスジェンダー、さらには通常、主流社会の側に含まれる女性や高齢者までを包括的に捉えたものである。換言すれば、マイノリティの語は、他者 カテゴリーとしてステレオタイプ化された人々を指示する場合、あるいは、有標化によって他者性を付与された個々人を指示する場合の双方を含む。
このとき、人々がいかに自他を弁別してマイノリティが作られるのか、いかなるプロセスで差別や排除が生じるのかが問題となる。差異の強調は、内閉化を 促すばかりでなく、他者に対する攻撃性や多様な形態をとる暴力と不可分である。あるいは逆に、集団的自己がいかに他者を抑圧し、取り込み、同化させるの か、差異と共生がいかに維持されるのかを問うことになる。
構成と概要
在地の実践論理としての共存のあり方は、歴史的変遷を異にしてきた諸社会により多様である。本書所収の諸論文において、オセアニア島嶼部の人々は、グ ローバル化が進展するなか、交錯した現代世界に渦に巻き込まれ、また自ら深く関与していく途上にある様態が提示されている。
「序章 現代世界における排除と共生」に引き続き、三部に分かれる全十章では、オセアニア島嶼部における多様な事例が提示され、現代世界における共生 の可能性が示される。同時に、グローバル化によって隅々まで波及した、西欧近代的論理の圧倒的な影響のもと、新たなマイノリティが生成する現状が看取され る。
「第Ⅰ部 移動する人間と『混血』」では、ヨーロッパ人とオセアニア島嶼部住民が初期接触した後、植民地化を経て独立し、現在に至る歴史経緯のなかで 起こった人間の移動と、必然的に伴う「混血」や同化/異化について論じられる。近年のグローバル化の起こる遙か以前から、移動する人間は他者と出会い、争 い、交渉し、協働し、交わってきた。そうした歴史の刻印は、瞬時に消去できるものではない。日常的には不可視であっても、微細な痕跡が記憶され、残されて いる。それが、ときに偶発的な契機によって顕在化し、現代の問題として水面に浮上する。歴史的変遷のなかにあって、オセニア島嶼部の在地論理である共存の 再編される様相が、新たに見出される。
「第Ⅱ部 新たなマイノリティの生成:性・高齢者・障害」では、グローバル化の進展に伴う、近代的論理の導入による社会組織の再編と在地論理の変質や 維持が主題化される。オセアニア島嶼部におけるグローバル化による交錯状況が、顕著にみられる事例が紹介される。近代化/グローバル化は、メディア情報、 人間やモノの移動を通じて、疑似普遍的な論理や制度をオセアニア島嶼部に強力に普及させてきた。そのとき在地論理は、単純に解体されるのではなく、ときに 強化され、内実を変質させながら存続することになる。この過程において、新たなマイノリティが生成し、また新たな「名づけ」が行われ、権力関係が再編され ていく。
「第Ⅲ部 差異をめぐる記憶と感情」では、人間の心理的な揺らぎが及ぼす動態的な効果を射程に収めている。過去の経験や感情の共有が、個別の文脈にお いて人々を動かし、共存へと向かわせる力を内包する事例が示される。近代的思考に基づいてカテゴリー化された、マイノリティや主流社会を前提とするのでは なく、個別の感情的経験に基づく自己と他者との関係をつぶさに見据えることにより、西欧近代的な共生概念の枠組み自体を同時代の内側から問い直す必要性が 示唆される。
オセアニア島嶼部におけるマイノリティと主流社会の多様な関係のあり方を見ると、脱植民地化、そしてグローバル化のなかにあって、従来、親族や村落内 部に関係づけられてきた人々が、近代的概念の侵蝕と社会経済変化によってマイノリティ化する事例が見られる。ただし、西欧近代的な人間観の卓越によって形 成されるマイノリティ化が、必ずしも直線的に進行するわけではない。むしろ、オセアニア島嶼部における在地の論理は、内実を変えながら再編されてゆき、再 活性化されることもある。そこでは、多重で曖昧な帰属の仕方や、複合的な人間観、「血」の共有や交換の実践により、自他の区分や敵味方の弁別における境界 線がときに錯綜し、ときに無化されるのである。
自他の弁別様式が変形され、状況に応じて属性を適宜組み替えていく交錯した状況において、境界線の非決定的な柔軟性が色濃く見いだせる。このような曖 昧さを含む在地の論理が、近代性の内包する自他の峻別と過度な排除を攪乱する現象のうちに、人類社会における共生の仄かな可能性を垣間見ることができるだ ろう。
目次
<序 章> 現代世界における排除と共生 風間計博
<第Ⅰ部> 移動する人間と「混血」
第1章 鯨歯を纏い、豚を屠る―フィジーにおけるヴァヌアツ系フィジー人の自己形成の視点から見た共存 丹羽典生
第2章「その他」の人々の行き交う土地―フィジー首都近郊に生成する「パシフィック人」の共存 風間計博
第3章 ニュージーランド・マオリの「混血」をめぐる言説と実態 深山直子
第4章 ヤップ離島社会の共生戦略におけるアイデンティティとネットワーク 柄木田康之
<第Ⅱ部> 新たなマイノリティの生成:性・高齢者・障害
第5章 マフとラエラエの可視化と不可視化―フランス領ポリネシアにおける多様な性の共生 桑原牧子
第6章 母系社会・パラオにおけるマイノリティは誰か? 安井眞奈美
第7章 高齢者の包摂とみえない異化―ヴァヌアツ・アネイチュム島における観光業とカヴァ飲み慣行 福井栄二郎
第8章「障害」をめぐる共存のかたち―サモア社会における障害支援NGOロト・タウマファイによる早期介入プログラムの事例から 倉田誠
<第Ⅲ部> 差異をめぐる記憶と感情
第9章 帝国の記憶を通した共生―ミクロネシアにおける沖縄人の慰霊活動から 飯高伸五
第10章 狂気に突き動かされる社会―ニューギニア高地エンガ州における交換と「賭けられた生」 深川宏樹
(編者)
印東道子(著)『島に住む人類――オセアニアの楽園創世記』(臨川書店、2017 年)
 18世紀にポリネシアの島々を訪れたヨーロッパ人は、人間の生活の場として整備された島の美しさに感動する文章を多く残している。人間の手が入らな ければ植物が茂り放題になるのが熱帯である。繁茂する植物を切りひらいて栽培植物を植え、快適な「楽園」空間を作りあげ、さらにそれを維持する社会を形成 していたのがオセアニアの島嶼社会である。本書は、オセアニアへ進出した人類が、どのような戦略で島嶼環境を住みこなしてきたのか、その「住まい方」に焦 点をあてたものである。
 考古学を主要な研究手法としてきた筆者は、これまでオセアニアへの人類の移動の歴史に焦点を当て、移動年代や島嶼間を移動した物質などから島嶼社会 の特徴を明らかにしようと試みてきた(印東 2012a、2012bなど)。しかし、考古学的資料には表れない生活の側面も多く、特に基本的な生業の実態 を理解しなければ、資源の限られた島嶼環境で1000年以上に亘って育まれた文化を読み解くことはできないことも痛感してきた。 そこで、人の手の入っていない無人島に移住した人類がどのようにその環境を作り替えていったのかなど、オセアニアに居住した人びとの生活文化にみられる工夫に焦点を当てて 再構築を試みたのが本書である。その構成は以下のようになっている。
 1章と2章では、オセアニアへの人類の移動史を概観し、最新の年代を使った拡散モデル紹介している。1960年代に提唱された、いわゆる「オーソ ドックスシナリオ」といわれるポリネシアへの人類移動モデルは、年代が古すぎた傾向があり、現在ではハワイやイースター島は紀元後800~1000年ごろ までは無人島であったことなど、最新のモデルを紹介している。
 3章では、ほとんどの島において、狩猟採集のみでは生命を維持することは難しく、栽培活動を行うために環境改変が行われたこと、東南アジアから移動 する際に持ち込んだ栽培植物の存在がオセアニアの植民を成功させた重要なファクターの一つであったこと、居住後の島嶼間交流も長期に亘る島嶼居住の継続に 重要であったことなどを示した。
 近年、ジャレド・ダイアモンドは『文明崩壊』(2005)のなかで、環境改変は人間によるエゴイズムであり、文明崩壊につながると警鐘をならした。 その好例としてイースター島の森林破壊とモアイ建造の因果関係を示唆したため、一般にも広く知られるようになった。しかし、イースター島の森林破壊の直接 の原因はモアイ建設ではないことが、Huntらの研究(Hunt and Lipo 2011)で明らかになっており、その背景も合わせて紹介した。
 4章では、島嶼という様々な制約のある自然環境の中でどのように生存を確保し、しかも数千人の規模を越える人口を擁立できたのか、食料の組み合わせ や季節性への対処、保存法の工夫などに焦点をあてた。特に、オセアニアの食料を構成している主要な根菜類や果実類の栄養価を表にまとめ、デンプン過多に感 じられる植物食中心の食事が、実は必要な栄養素をバランスよく摂取できることを示した。食料に加え、生活に必要な物質文化の素材を入手するにも島嶼環境で は大きな制約があり、多様な創意工夫が必要であった。
 5章では、石、貝、骨、鼈甲など、島で入手できる素材を適材適所に用いた生活用品をはじめ、交換財など貨幣的価値が付加された財貨などの多様性を紹 介している。なにもないようにみえる島環境で作り出された「もの」と、それを作った人びとのセンスの高さが特徴としてみてとれる。
 6章では、オセアニアの伝統社会形態の特徴を簡単に紹介した。世界的な文明発生に不可欠と考えられてきた穀類栽培を欠いていても、根菜樹木類を効率 的に栽培することで人口を増加させ、首長や王族が統率する階層社会を形成したのはオセアニアの特徴であった。続く7章では現代の島嶼社会で何がおきつつあ るのか、筆者がフィールドワークなどを通して観察した事例を紹介した。
 以上のように、オセアニア全域に拡散居住したオーストロネシア語族の人びとは、海洋適応能力、島嶼環境への適応居住、島嶼間の相互依存の継続性な ど、いずれをとってもすぐれていた。本書を通して、人類史における海洋進出の歴史研究の意義や人類が島嶼環境で発揮した多様な適応能力を理解していただく ことができれば望外の喜びである。

【参考文献】
印東道子(編)

 2012a 『人類大移動――アフリカからイースター島へ』朝日選書、朝日新聞出版。
 2012b 『人類の移動誌』 臨川書店。

ダイアモンド、ジャレド
 2005 『文明崩壊』上下巻、思草社。
Hunt, T. and C. P. Lipo
 2011 The Statues that Walked: Unraveling the Mystery of Easter Island. New York: Free Press.
(著者)

学会通信

学会誌バックナンバーの処分について(再送・期日注意)

会長 山本真鳥

わが日本オセアニア学会は、学会誌のバックナンバーを、号数によって異なりますが、大量に抱えております。それらは、特定の倉庫を持たないために、過去・現 在の役員が自分の研究室等に保管してきましたが、それもそろそろ限界に達しておりまして、永久保存するごく一部を除き、廃棄の方向で考えております。

No.17以降は、電子化されており、現在、GeniiからJ-stageに移行中ですが、J-stageが正常に動き始めると、ウェブで論文を見ることは 可能です。そこで、No.17以降はウェブで見ていただくとして、No.16以前のものに関して、廃棄前に、皆様方のご希望に添って着払いにて配布し、残部を 廃棄する計画です。

No.1~No.16と、No.3別冊、モノグラフ2号について、ご入り用の方は、庶務担当理事に、ほしい号とご自分の住所・電話番号を明記の上、以下の期 日までにお申し込みください。この期日をもちまして会員からの募集は締め切り、残されたPCOは適宜処分させて頂きます。先着順にお送りしますが、もしご希望 の号が終了してしまった場合にはご容赦ください。

後援事業『ハワイと南の島々』展の開催について

2018年1月より東洋文庫ミュージアム(東京都文京区)にて、本学会が後援いたします『ハワイと南の島々』展が開催されます。詳細な情報は下記に掲載いた します。観覧をご希望の方は本通信を印刷してミュージアム受付にてご提示いただき、日本オセアニア学会会員・関係者であることをお申し出ください。ご本人・同 伴者あわせて4名まで通常入場料半額にてご入場できます。なお、本展開催中の5月13日(日)14:00から同ミュージアムにて「19世紀のハワイ諸島 王国 の栄光と簒奪」(山本真鳥)と題した一般講演を行いますので、学生等にご紹介ください。

ハワイ日系移民渡航150周年『ハワイと南の島々』展

【趣旨】

 本展では、ハワイ、タヒチ、イースター島、サモア、フィジー、ニューカレドニア、ニュージーランド、さらには伊豆・小笠原諸島や南西諸島も含めた「南の 島々」に関する様々な歴史秘話(先史時代の遺跡~20 世紀前半の日系移民の足跡)をたどるべく、東洋文庫所蔵の貴重書・絵画・古地図を初めて一挙に公開いたします。

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寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文・報告・新刊紹介の寄稿を随時受け付けております。

その他、寄稿に関わるご相談は、下記までお問い合せください。

寄稿先/お問い合わせ先

編集委員  馬場 淳(理事)junbaba[アットマーク]wako.ac.jp




ニューズレターNo.118から

第34回 総会の報告

2017年3月26日(日)、第34回日本オセアニア学会研究大会会場(松江しんじ湖温泉夕景湖畔 すいてんかく)において、日本オセアニア学会研究総会が開催されました。総会の議事は、以下の通りです。

1.2016年度決算(別紙参照→webには非掲載です)
・2016年度決算(2016年3月1日~2017年2月28日)について、石森大知会計理事の代理の倉田誠会計監事より説明があり、承認されまし た。
・会計監査は、遠藤央会員、小谷真吾会員によって行われました。
2.2016年度事業報告
下記の2016年度事業報告が審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.32の刊行(75pp.:論文2本・書評3本)
・NEWSLETTER no.115、116、117の刊行(報告6本)
・研究例会の実施
・第34回研究大会・総会の実施
2017年3月26-27日 松江しんじ湖温泉夕景湖畔 すいてんかく(大会長:福井栄二郎会員)
・40周年記念事業準備委員会(委員長:棚橋訓会員)の開設と記念シンポジウムの立案
・第16回日本オセアニア学会賞の選考と授与
・石川榮吉賞の選考
・日本学術会議等関連の活動(地域研究学会連絡協議会)(深山直子渉外理事)
・評議員選挙の実施
3. 2017年事業計画
下記2017年度事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.33の刊行
・NEWSLETTER no.118、119、120の刊行
・関東地区・関西地区研究例会の実施
・第35回研究大会・総会
・40周年記念シンポジウムの実施
・第17回日本オセアニア学会賞の募集
・石川榮吉賞の選考
・日本学術会議等関連の活動(地域研究学会連絡協議会)
4. 2017年度予算案(別紙参照→webには非掲載です)
2017年度予算(2017年3月1日~2018年2月28日)について、石森大知会計理事の代理の倉田誠会計監事より説明があり、承認されました。
報告事項
1.第16回日本オセアニア学会賞を京都大学の古澤拓郎会員(受賞作品『Living with Biodiversity in an Island Ecosystem: Cultural Adaptation in the Solomon Islands』Springer)に授与するとの理事会決定が報告されました。なお、学会賞に対して、日本オセアニア交流協会より副賞をいただきました。学会賞選考委員 会からの報告は、以下、別記事として掲載されております。
2. これまで学会の事務局の業務の一部を委託していた大学生協学会支援センターが、業務停止することとなりました。それに伴い、委託していた業務を学会役員に戻すことにしまし た。
3.第35回研究大会・総会は、南山大学の後藤明会員及び沖縄県立芸術大学の小西潤子会員を大会長として開催予定であることが報告されました。

臨時総会の報告

2017年5月27日(土)、神戸大学鶴甲第一キャンパス(M棟301)において、日本オセアニア学会臨時総会が開催されました。臨時総会の議事は、以下の 通りです。

1.会則第2条の変更について
日本オセアニア学会会則第2条の変更について、丹羽典生庶務理事より説明があり、以下の変更案で承認されました。
<変更案>

第2条

本会は事務局を国立民族学博物館丹羽典生研究室(〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1)に置く。

2.会計監査の選出について
会計監査の選出について、丹羽典生庶務理事より説明があり、柄木田康之会員(宇都宮大学)、古澤拓郎会員(京都大学)の2名で承認されました。
報告事項
1.40周年記念大会
山本真鳥学会長より、2018年3月21日〜23日にかけて沖縄での開催を予定している「日本オセアニア学会 40周年記念大会」のプログラム内容と準備状況に関する報告がなされました。

第16回 日本オセアニア学会賞について

pdfをご覧ください。

第17回 日本オセアニア学会賞選考要項

pdfをご覧ください。

【新刊紹介】

小野林太郎(著)『海の人類史――東南アジア・オセアニア海域の考古学』 (雄山閣、2017 年)
 本書は、これまで私が取り組んできたオセアニアや東南アジア海域における研究成果を、人類史というかなり大きなスケールの中に組み込んで論じたもの である。人類史というマクロな視点から俯瞰することで、東南アジアやオセアニアという海域世界を対象とした考古学や人類学的研究の魅力や現時点での限界 を、まず描き出してみかったというのが、本書を執筆した最初の出発点だった。また本書は、とくに海と島からなる海域世界が主な対象となることから、「海の 視点」から人類史を描いてみるという、やや挑戦的なテーマから書き下ろしたものでもある。
そのような訳で、本書は以下にあげた序章・終章+6章での構成となっている。
このうち第1章では、人類誕生の地とされるアフリカにおける猿人の時代まで遡り、人類による水産資源や海洋適応がどのように発展してきたのかを、現時 点で入手できる資料に基づき論じてみた。続く第2章も、前半はアフリカ大陸とその周辺域が主な舞台となるが、やがて新人=ホモ・サピエンスによる出アフリ カ後は、新人のアジア・オセアニア方面への移住・拡散にともない、環太平洋圏へと舞台がシフトしていく。ここでは、人類学的に新たな発見が相次いでいる沖 縄における、新人の海洋適応や島嶼移住に関わる事例も紹介させてもらった。
一方、私自身が実際に取り組んできた研究の成果も踏まえながら、新人によるオセアニアへの移住・拡散や海洋適応について整理したのが、第3・4章とな る。このうち第3章では、主に更新世期に相当する旧石器時代の新人によるオセアニアへの移住や海産資源の利用状況について論じた。また第4章では完新世 期、とくにラピタ人に代表される新石器時代以降の新たなオセアニアへの移住や海洋適応についてまとめた。この時代におけるオセアニアへの人類移住に関して は、これまでにも多くの研究者が日本語でもまとめられているが、本書でとくに心掛けたのは、オセアニアだけでなく、同時期の東南アジア島嶼部における状況 についても触れつつ、両海域におけるヒトの動きを比較の視点から論じた点である。また近年、日進月歩で研究が進む遺伝子研究の成果から見えつつあるヒトの 動きにも注目してみた。
第5・6章は、東南アジアにおいては金属器時代、オセアニアにおいてはラピタ期以降の時代における新たなヒトの移住や海域ネットワークの生成を主題に 論じた。このうち第5章では、ここ数年に私が東インドネシアの島々で継続してきた研究成果を軸としながら、先行研究から見えてきた新たなヒトやモノの動き について紹介している。これに対し、第6章はオセアニアを対象とし、巨石文化をキーワードに、オセアニア島嶼における社会発展やポリネシアに代表される更 なるヒトの移住・拡散と、その背後にある航海術の発達や海洋適応について整理した。
本書で対象とした時代は、この金属器時代とオセアニアにおけるその同時代期までで、それ以降の時代については紙面の関係もあり、論じることができな かった。ただ、これ以降の時代については、『海域世界の地域研究――海民と漁撈の民族考古学』(京都大学学術出版会、2011年)ですでに論じているの で、ご関心ある方はそちらもご参照して頂けると幸いである。
ところで、日本において東南アジア海域やオセアニアを主なフィールドとしている考古学者はまだ極めて少ない現状がある。本書の「あとがき」でも触れさ せて頂いたのであるが、日本考古学を専門とされている方や、一般の方々からも「なぜ日本人でありながら敢えてそうした地域を研究対象にしているのか」と尋 ねられることが少なくない。こうした素朴な疑問に対する私なりの回答を、本書の中にも散りばめてみた。また、専門外の方や学生の方々にも読んでもらいたい との思いもあり、専門的な用語や表現はできる限り控えたつもりでもある。考古以外を専門とされるオセアニア研究者にもぜひ一読頂き、ご批判頂ければ嬉しい 限りである。
(著者)
大谷裕文・塩田光喜(編)『海のキリスト教――太平洋島嶼諸国における宗教と政治・社会変容』(明石書店、2016 年)
 本書は、太平洋地域、とりわけポリネシア・メラネシアにおけるキリスト教と政治・社会変容の関係を歴史人類学的に記述・分析した論文集である。その 目次は以下のとおりである(副題は除く)。
 まず故・塩田光喜氏(1956年生-2014年没)は、聖書の記述に海外伝道活動への志向を読み取り、太平洋地域におけるキリスト教の到来の背景を 記す。興味深いことに、序章は白人到来以前のポリネシア宗教世界を概観したのち、ヨーロッパにおけるキリスト教の動きを辿っていくのだが、なんとロンドン 伝道協会の誕生で終わってしまう。塩田氏が「書きかけた」かに思えるその後の展開は、続く各論に引き継がれる。大谷論文(第1章)はトンガ、塩田論文(第 2章)はパプアニューギニア、内藤論文(第3章)はニュージーランドを対象に、植民地期から現代に至るキリスト教と政治・社会のダイナミックな関係史を描 き出す。一方で、石森論文(第4章)と馬場論文(第5章)はともに特定の教会やカリスマ的指導者に焦点を当て、それぞれソロモン諸島・ニュージョージア島 とパプアニューギニア・マヌス島の社会変容とともに、キリスト教のローカル化を民族誌的に描き出す。かくして、塩田氏の独特の筆致で誘われた本論文集は、 壮大な「海のキリスト教」史を部分的かつ多角的に再構成しながら、太平洋のキリスト教の特質を浮き彫りにしていくのである。
 ところで、本書は、通常の共同研究成果論文集には見られない特異点がいくつかある。まず、本書は、編者の一人、大谷氏が後書きで述べているように、 「難産の末に生まれた論文集」である。実に、本書のもととなった研究会は、もう一人の編者、塩田氏が1997年に勤務先のアジア経済研究所ではじめた共同 研究「太平洋島嶼諸国におけるキリスト教と政治・社会変容」であった。1997年と言えば、アジ研が現在の海浜幕張に移る前、市ヶ谷にあった時代であり、 第4・5章の執筆者はまだ学部生である。いずれにせよ、研究会発足から20年目にしてようやく陽の目を見たわけである。詳細な経緯については後書きを参照 していただきたいが、出版に至るまでの長い時間のなかで、もともと共同研究のメンバーではなかった研究者が漸次的にこの論文集に寄稿するという事態が発生 した。
 次に、本書における塩田氏の圧倒的なプレゼンスは強調してもし過ぎることはないだろう。実に、塩田氏の執筆箇所はなんと約3分の1(337頁のうち 117頁)を占めている。これは、キリスト教に対する塩田氏の並々ならぬ関心を反映している。振り返れば、塩田氏の文明論は国家、宗教(キリスト教)、貨 幣経済(資本主義)の三本柱から成るものだった(NL109号の「塩田光喜追悼文」参照)。本書は、生前の彼が自らパプアニューギニアのインボング族の民 族誌(『石斧と十字架』)を包摂する壮大な「海のキリスト教」史に着手していたことの確かな証である。後書きがもう一つの「序論」とも思えるような本書の “いびつな”構成は、編者がこうした塩田氏の遺志を汲んだからであろう。そして出版年から決して「新刊紹介」の部類には入らない本書を筆者があえてここに 掲載したのも、塩田氏の遺志と成果を忙しない日々がもたらす忘却の淵から再度救いたいという自戒を込めた思いからである。
(共著者・馬場淳)

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ニューズレターNo.117から

第34回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

こちらのページをご覧ください。

2016年度関東地区例会の報告

こちらのページをご覧ください。

2016年度関西地区例会の報告

こちらのページをご覧ください。

【新刊紹介】

窪田幸子(監修)窪田幸子・カーティ、ジョン・ダヴェンポート、カーリー・池澤夏樹・石井竜也・石川直樹・上橋菜穂子・北川フラム(著)『ワンロード ――現代アボリジニ・アートの世界』(現代企画室、2016年)

記憶されることなく老人たちの頭のなかにある、過去に起こった出来事について私たちは話したい。鉛筆や紙はない。白人の歴史はこれまで語られて きたし、それは書物に記録されている。しかし、私たちの歴史は記録されない。私たちは絵画を通して歴史を語らなくてはならないのだ。

クリフォード・ブルックス(2007年)
(本書101ページ掲載)

本書は、2016年6月より、大阪・国立民族学博物館を皮切りにして、香川県立ミュージアム、そして千葉県にある市原湖畔美術館で開催された現代アボ リジニ・アートの展覧会「ワンロード展」の公式カタログである。
タイトルにある「ワンロード」とは、オーストラリア大陸の西部地域を南北に縦断する1850キロメートルにもおよぶ一本道のことである。食肉用の牛を 北部の牧場地から南部にある食肉市場に移動させるために1906年に拓かれたこの道は、その測量を行ったアルフレッド・キャニングにちなんで<キャニング 牛追いルート>と命名された。1959年に閉鎖されるまで、この道はオーストラリアの西部地域を支える重要な役割を果たしたのだった。
キャニング牛追いルートは、ヨーロッパからやって来た入植者たちによる開拓の歴史を象徴するもののひとつである。しかしその裏には、先住民であるアボ リジニたちの迫害や抑圧の歴史もあった。キャニング牛追いルートは、アボリジニたちが生きてゆくためだけでなく、精神的にも重要な水場を奪い、また、彼ら の精神的な支柱であるカントリーを分断して建設された。しかし、こうしたヨーロッパ系入植者たちによる開拓の歴史が、オーストラリアの歴史の表舞台におい て、アボリジニたちの視点から語られることは、これまでほとんどなかった。
キャニング牛追いルートが拓かれてから約100年後の2007年、西オーストラリア州のパースを拠点に活動する非営利団体FORMとオーストラリア国 立博物館が中心となって「キャニング牛追いルート・プロジェクト」が始められた。このプロジェクトは、キャニング牛追いルートの歴史を、アボリジニたちの 視点から描く試みである。かつてそのルートに住んでいたアボリジニとその子孫である60名あまりのアボリジニ・アーティストたちが6週間をかけてそのルー トを旅し、その途中でワークショップを開催して絵を描いた。彼らは、絵画を通して、自分たちのカントリーやドリーミングを、「白人」たちと遭遇し、そこで 起こった出来事を、そしてキャニング牛追いルートが彼らの生活に与えた影響を、自らの視点から表現し語ったのである。最終的に、このプロジェクトを通じ て、120点あまりの絵画のほか、映像や写真、オーラルヒストリーなどが、彼らの記憶・歴史として残された。
ワンロード展は、このプロジェクトから生まれた作品を中心として、2010年にオーストラリア国立博物館で開催された展覧会「イワラ・クジュ:キャニ ング・ストック・ルート」をもとに企画されたものである。本書には、今回の展覧会のために、オーストラリア国立博物館が所属するキャニング牛追いルート・ コレクションの中から選び抜かれた33点の絵画が、色鮮やかなカラー写真で収録されている。各作品には、その詳細な解説とアボリジニたち自身の語りやメッ セージも掲載されており、アボリジニ・アートの魅力とその奥深さを感じ取ることができる。さらに本書に収められているジョン・カーティ、カーリー・ダヴェ ンポート、窪田幸子らによる解説文は、今回のワンロード展とその背景を、そして現代アボリジニ・アートの世界をより深く理解するための手助けとなってい る。
最後に、昨年から全国各地を巡回してきたワンロード展は4月7日~5月7日まで北海道の釧路市立美術館で開催される。機会があれば、ぜひ足を運んでい ただきたい。(訳者=川崎和也)
里見龍樹(著)『「海に住まうこと」の民族誌――ソロモン諸島マライタ島北部における社会的動態と自然環境』(風響社、2017年)
南西太平洋、ソロモン諸島マライタ島の北東岸に広がるサンゴ礁には、アシ(海の民)またはラウと呼ばれる人々が岩を積み上げて築いた人工の島が90以 上点在している。本書は、アシの人々が営んできた特徴的な海上生活、現地語では「海に住まうこと(トーラー・イ・アシ)」を取り巻く現代的動態を、多角 的・総合的に明らかにする民族誌である。なお本書のもととなった博士論文は、一高記念賞ならびに第15回アジア太平洋研究賞(井植記念賞)を受賞してい る。
一見伝統的な生活を営んでいるかに見える今日のアシには、一方で自分たちの「海に住まうこと」の現状を受け入れつつ、他方で同時に、それとはまったく 異なる生活のあり方を不断に想像しているという、不安定で二面的な状況が認められる。このことは例えば、人口増と耕地不足への懸念から、近い将来にマライ タ島内陸部に移住しようという多くの人々の構想に見て取れる。本書では、そのように人々が異なる居住・生活の可能性の間で揺れ動き続けている状況を、「住 まうこと」の偶有性(別様でありうること)として概念化する。その上で本書の各章は、親族関係、歴史意識や生業活動など多様な主題に即して、アシの「海に 住まうこと」がいかにしてそうした偶有性を帯びるに至っているかを分析していく。
アシの海上居住の現状と調査地について概説する第1章に続き、第2章では、祖先の移住に関する口頭伝承を詳細に検討し、今日に至るアシの移住・居住史 を再構成することで、「人々と土地との本源的な結び付き」という通念とは対照的に、アシがごく偶発的な契機に基づいて島を築き、また島から島へと移り住ん できたことを明らかにする。第3章では、島々の間で死者の頭蓋骨を移送する伝統的葬制に注目し、海上居住に関連するアシの親族関係の諸側面について分析す る。本章では、とくに女性の死者の扱いに着目することで、アシの葬制に「死者の集合性」と「個別性」が逆説的なかたちで併存しており、そのことが、アシに おける移動と定住の両義的関係を表現していることを指摘する。第4章では、キリスト教が一般的に受容されている現状の中に、人工島をはじめ、非キリスト教 的な過去に関わる様々な痕跡が点在しており、「教会/カストム」のそのような併存が、アシの居住・生活に独自の揺れ動きをもたらしていることを示す。
第5章では、アシの基本的生業である漁撈活動を、GPS端末の利用を含む多角的な手法によって検討し、海洋環境との実践的な関わりが、「海に住まうこ と」の継続可能性をめぐる人々の二面的な意識と不可分であることを明らかにする。第6章では自給的農耕に注目し、自らの居住・生活をめぐるアシの意識や実 践が、放っておけばすぐに耕地を覆い尽くす草木に具現される、旺盛な「自然」の力との関わりの中でのみ理解されうることを示す。第5章・第6章の考察が示 すように、そのような人間を超えた「自然」の力こそ、本書全体の主題である「住まうこと」の偶有性の基底にあるものに他ならない。第7章では、太平洋戦争 直後の反植民地主義運動、マーシナ・ルールをめぐるアシの記憶について考察する。この運動において父母たちが、大規模集落や集団農園などまったく新しい居 住・生活様式を創出したという記憶は、今日なお、日常的景観の中の様々な痕跡を通じて想起され、アシの人々に別様な生の可能性を指し示し続けている。
結論では、アシの「海に住まうこと」に内在する偶有性に関する本書の考察を、いわゆる存在論的転回や「自然/文化」概念の再考といった現代の人類学理 論の流れの中に位置付け、その意義を明示する。(筆者)

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新入会員

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

*2016年度をもって事務委託をしていました大学生協学会支援センター が終了します。これに伴い、ご所属やメールアドレス変更、退会希望の場合も、secretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。

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論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。

(執筆希望の方はご一報ください)




ニューズレターNo.116から

第16回 日本オセアニア学会賞選考要項

2016年度日本オセアニア学会賞選考委員会

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2015年1月1日から2016年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者 のものに限定する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、 FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象となる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書の タイトル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文をオセアニア学会事務局に送付することが望ましいが、送付されていない場 合でも受理する。なお、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2016年11月1日から2017年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE- mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会事務局)
    〒424-8610 静岡県静岡市清水区折戸3-20-1 東海大学海洋学部小野林太郎研究室宛て
    TEL 054-334-0411 FAX 054-337-0216
    E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net
  7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。
  8. 2017年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
  2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定はこちらのページに掲載していま す。


第34回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

第34回日本オセアニア学会研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお待ちしております。ご出欠につきましては、下記 の申込用フォームをご利用の上、2017年2月5日(日)までにお知らせください。

日時
2017年3月26日(日)14:00 〜27日(月)12:00 (予定)
(理事会26日(日)11:00〜12:00、評議会26日(日)12:00〜13:00)
一般参加者の方は26日(日)12:30より受付を開始いたします。
会場
松江しんじ湖温泉 夕景湖畔 すいてんかく
〒690-0852 島根県松江市千鳥町39
TEL:0852-21-4910(代表)
Website:http://www.suitenkaku.co.jp/
大会会場について
宍道湖の北側湖畔に面した温泉地「松江しんじ湖温泉」は、効能豊富な豊富に湧き出す77度の天然温泉と、四季折々に変化する宍道湖の眺望をお楽し みいただけます。宍道湖は全国で7番目の広さを誇り、文豪小泉八雲がこよなく愛した宍道湖を眺めながら贅沢な時間が過ごせます。
交通
●自動車でお越しの場合(ホテルに無料駐車場があります)
 山陰道「松江西ランプ」より車10分
●電車でお越しの場合
 岡山駅より「特急やくも」でJR松江駅まで2時間45分。
 そこからバス(20分、210円)かタクシー(10分、1,000円程度)。
●飛行機でお越しの場合
 出雲空港より空港連絡バス(40分、1,130円)で「松江しんじ湖温泉駅」まで直通。
 そこから徒歩3分。
 詳細はホ テルウェブサイトよりご確認ください。
 またご不明な点は大会事務局までお問い合わせください。
大会参加費
●有職者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等も含む)
・・・・・・・・・・19,000円(参加費・懇親会費・宿泊費込)
●無給者(大学院生、学生等)
・・・・・・・・・・12,000円(参加費・懇親会費・宿泊費込)
・学会参加のみは7,000円となります。懇親会参加費や宿泊費は含まれません。
・大会参加費は当日に会場受付で徴収いたします。
・領収書に会費と宿泊費を分けて記載する必要がある方は、その旨を参加申し込み時にお知らせください。
・申込期限を過ぎた場合、宿の手配ができない可能性があること、また、直前のキャンセルはキャンセル料を徴収することを予めご了承ください。
・お部屋は和室相部屋となります。個室、洋室等をご希望の方は、ご相談くださいませ。
参加・発表申し込み
研究大会に参加される方は、出張依頼書の有無、研究発表の可否、発表される場合には「発表題目」と「使用機器」について申込用フォームにご記入く ださい。また、フォームがご利用できない場合は、ご氏名と連絡先を明記の上、郵便で必要事項を大会・総会事務局にお知らせください。発表時間は演題数 にもよりますが、質疑応答を入れて20〜25分程度を予定しています。
第34回研究大会・総会事務局
島根大学法文学部 福井栄二郎
〒690-8504 島根県松江市西川津町1060
TEL:0852-32-6188
e-mail:fukui[アットマーク]soc.shimane-u.ac.jp

関東地区例会のお知らせ

こちらをご覧ください。

関西地区例会のお知らせ

こちらをご覧ください。

【新刊紹介】

丹羽典生(編)『〈紛争〉の比較民族誌――グローバル化におけるオセアニアの暴力・民族対立・政治的混乱』(春風社、2016年)
筆者は、2000年頃からフィジーを中心に社会人類的フィールド調査を行い、研究成果を公表してきた。2000年とは、まさにフィジーにおける3 度目のクーデタが起きた直後のことであった。そのため、博士論文では、フィジーの村落部で共産主義者と呼ばれ、独特な社会運動を起こした人々について の歴史と現状の解明を試みたが、紛争については、つねに頭の片隅に置いていた。
本書は、筆者のこれまでの関心のひとつであった紛争についての書物である。オセアニア諸社会における紛争に焦点を当てている。民族学や文化史的事 象としての紛争というよりは、独立やグローバル化と呼ばれる時代を迎えた現代において生起している政治的諸問題を題材としている。括弧つきで紛争とい う用語を用いているように、いわゆる死者数で定義する様な政治学的見方を離れて、検討していくことを試みている。オセアニア全体の状況をみていくこと は、筆者個人の力では及ばないため、国立民族学博物館の共同研究(「オセアニアにおける独立期以降の〈紛争〉に関する比較民族誌的研究」)を利用する ことで、研究を推進した。本書はその成果としてある。
類似した著作としては、『現代オセアニアの〈紛争〉――脱植民地期以降のフィールドから』を、2013年に昭和堂から出版している。こちらは、オ セアニアの紛争に関する基本的な情報を日本語で整理することを目的としていた。実際、日本語では紹介されることも少ないオセアニアの数々の政治的諸問 題について、基本的な政治的事件と概要を選び出し、背景について紹介することを試みている。
それに対して、本書では、個別事例の専門的分析を行っている。章立ては、以下となる。
序章 「イノセンスの終焉にて――オセアニアにおける〈紛争〉の比較民族誌的研究にむけて」(丹羽典生)
第1部 暴力
第1章 「イフォガ――サモア社会の謝罪儀礼」(山本真鳥)
第2章 「トンガにおける都市性と他者性の現在――暴力の発露としての首都暴動再考」(比嘉夏子)
第3章 「先住民と暴力――マオリ像の変遷に関する試論」(深山直子)
第2部 民族対立
第4章 「敵と結婚する社会――ニューギニア高地における紛争の拡大と収束の論理」(深川宏樹)
第5章「紛争下の日常を生きる人々――ソロモン諸島ガダルカナル島北東部における紛争経験」(石森大知)
第6章 「分裂と統合のはざまで――フィジーにおける2000年クーデタと西部政体の樹立運動」(丹羽典生)
第3部 政治的混乱
第7章 「脱植民地化過程における軋轢の胚胎――バナバ人とキリバス人の境界生成」(風間計博)
第8章 「ウェストミンスター型とビッグマン型政治――パプアニューギニア現代政治の分水嶺」(岩本洋光)
第9章 「太平洋諸島フォーラム諸国によるフィジーへの介入――地域安全保障協力をめぐる動態」(小柏葉子)
本書の構成は、暴力、民族対立、政治的混乱の三部とした。本書が、局所的に発現するミクロな身体的あるいは個人的な水準での暴力の発現から、中間 集団である民族レベルでの対立、そして国際関係的な水準も含めた対立としての政治的混乱までをカバーしているからである。
以上を通じて、本書の序章1-1末尾で書いたように、本書は、「グローバル化以降の変動をオセアニア諸社会がいかに受けとめ、対応したのかを、そ の時代に起きた広い意味での政治的抗争に着目することを通じて考察」している。オセアニアは、そもそも「政治人類学的研究を含めて、地域間比較研究の 実験場としてあった。本書では、オセアニアという地域の枠組みから、グローバル化を経た現在の紛争形態の変化を視野に入れつつ研究を行っていきたい。 古典的な研究としての存在感と比較したとき、現在の紛争について考察する研究は、質量ともに端緒についた段階に過ぎないのである。そして以上の作業を 通じて、他の地域の紛争との比較の第一歩を切り開いて」いければと考えている。(編者)
比嘉夏子(著)『贈与とふるまいの人類学――トンガ王国の〈経済〉実践』(京都大学学術出版会、2016年)
この現代社会を覆う閉塞感のなかでオルタナティヴな経済システムを模索するべく、贈与経済についての論考やモースをはじめとする著作は再度脚光を 浴びている。それでもなお、贈与というあまりにも根源的で古典的なテーマを、あえて今、しかもその議論のルーツともいうべきオセアニア地域を対象にし て改めて取り組むことの難しさは、言うまでもないだろう。伝統/近代、贈与/市場、モノ/貨幣、といった使い古された枠組みを超え、いったい何を提示 することができるのか。本書はそうした壮大な問いに対する、ひとつの民族誌的回答である。
本書が試みているのは、贈与という事象を、人びとがモノを伴って「ふるまいあう」相互行為場面として検討することで、その場をとりまく人びとの感 情や行動を含めながら、贈与という営みを動態的かつ包括的に描きなおすことである。既存の研究の多くが、贈与儀礼の構造やプロセス、贈与する行為者の 関係性や贈与されるモノの性質や歴史性・象徴性について入念な記述や分析を行ってきたが、そこで実際に交わされている行為の動態、なかでも特に非言語 的なコミュニケーションの領域については、必ずしも注視されてこなかった。いわゆる儀礼的な場面のみならず、贈与がより日常に根ざしたインフォーマル な形態であればなおさらのこと、相互認知環境や周囲の状況に伴う判断、そして即興的な行為という一連の環境のなかにこそ、贈与は埋め込まれている。こ のような点も含め、「ふるまい」として贈与を捉えることの妥当性は、本書の全編にわたって複数事例から提示されている。
本書の特色のもうひとつに、贈与を必ずしも伝統的な文脈においてのみ理解するのではなく、キリスト教実践や海外移民の経済活動のなかで見られる現 代的な贈与実践について、詳細に検討している点が挙げられる。伝統財だけでなく近代貨幣を用いた贈与の分析に多くを割くことによって、経済活動として の贈与の定量的データを示したいっぽう、その実践場面の分析からは、近代貨幣さえも人びとの贈与のふるまいの一部に組み入れられ、それがもつ可触性 tangibilityを発揮しながら活発にやりとりされている点も明らかにした。
トンガの贈与は、所有に対するローカルな価値観に支えられながら、贈与の場面を取り巻く人びとのまなざし、そして日々の協働的な「ふるまい」の総 和のなかで、今もなお豊かに展開されている。人類学分野における経済人類学や贈与論の位置や流行り廃りにかかわらず、オセアニアの人びとの生の諸側面 において、贈与という営みが決して看過できないことを、少なくとも本書は提示しているのではないだろうか。(筆者)
三尾裕子・遠藤央・植野弘子(編)『帝国日本の記憶――台湾・旧南洋群島における外来政権の重層化と脱植民地化』(慶應義塾大学出版会、2016 年)
本書は、日本学術振興会科学研究費補助金(基盤A(海外学術)「日本を含む外来権力の重層下で形成される歴史認識――台湾と旧南洋群島の人類学的 比較」)(研究代表者:東京外国語大学教授(当時)三尾裕子、課題番号2251012)の成果報告である。他に,日本文化人類学会が発行する『文化人 類学』(81巻2号、2016)に特集「外来権力の重層化と歴史認識―台湾と旧南洋群島の人類学的比較」として、序および4本の論文が掲載されている のでご参照いただけると幸いである。 目次は次のとおりである(副題略)。
まえがき(遠藤 央)
「台湾と旧南洋群島におけるポストコロニアルな歴史人類学の可能性」(三尾裕子)
第1部 日本の植民地支配と国際環境
「委任統治・信託統治と「日本」」(遠藤 央)
「台湾における日本仏教の社会事業」(松金公正)
「言語接触と植民地」(林 虹瑛)
第2部 複数の文明・政権を跨ぐ記憶
「パラオの語りに見る植民地経験のリアリティ」(三田 牧)
「植民地台湾の生活世界の「日本化」とその後」(植野弘子)
「台湾における「日本語」によるキリスト教的高齢者ケア」(藤野陽平)
第3部 脱植民地化の試み
「パラオ・サクラ会」(飯高伸五)
「交錯する「植民地経験」」(石垣 直)
「台湾の植民地経験の多相化に関する脱植民地主義的研究」(上水流久彦)
あとがき(植野弘子)
本研究は、台湾と旧南洋群島でフィールドワークや歴史研究に長年従事していた研究者が、帝国日本、記憶、歴史認識、外来政権の重層化、脱植民地 化、というキーワードのもとに相互の研究を参照しながら、新たな視点の獲得を試みたものである。
三尾の序論から問題意識を引けば、「彼ら自身の植民地経験や、戦後の日本からの支配離脱後の生活過程の中で、日本に統治されたことや、日本を通し て取り込まざるを得なかった「日本語」「日本文化」などが、彼らの歴史認識形成や、現在の文化の構築にどのように関係しているのかを明らかにし、両地 域の比較研究を行うことを目的」としている。
相互に台湾と旧南洋群島を歩くことから研究は開始された。旧南洋群島でのフィールドワーク経験からみると、日本語リテラシーの差はあきらかであっ た。「あのひとはひらがな、カタカナだけでなく、漢字が読める」といわれてしまう旧南洋群島と、帝国大学が設置され、教育勅語が教えられた台湾では、 同じレベルで比較ができるのか最初は危惧したほどである。
たしかに、植民地政策それ自体をみれば、皇民化教育、神社の設置、民間人の移民、ハンセン病の隔離政策など比較可能な部分はあるが、委任統治領、 戦略的信託統治領を経験した後に、独立や自治領などのことなる政治的地位を獲得した旧南洋群島と台湾の比較はなかなか困難な面も存在した。しかし、台 北の中央研究院でのシンポジウム、日本台湾学会、日本オセアニア学会での分科会などを通して、研究が進展していく過程は新鮮な経験であった。
台湾と旧南洋群島は日本では「親日」というくくり方が頻繁になされるが、「親日言説」、「反日言説」は研究会で幾度となく話題になった。そのいい 方の底流に何があるのかを本書から読みとっていただければ、幸いである。
第1部は、支配する側がそれぞれの地域にどのような視点をもってのぞみ、統治しようとしたかをとりあげている。
第2部は、異質な文明、文化にいくつか接してきたパラオ、台湾の人びとの経験をあつかっている。
第3部は、戦後新たな支配層が外からはいってきたという環境のなかで、台湾とパラオがどのように脱植民地化を試みたかを論じたものである。
現在までの帝国研究の蓄積からは、植民地が脱植民地化を試みるだけではなく、たとえば英国のように旧植民地からの移民流入とともに、旧宗主国も脱 帝国化されると指摘されている。しかし、日本は「日本から分離された地域」との旧来の関係をきちんと精算しなかったため、脱帝国化を回避したかたちで 「戦後」が開始されてしまったと考えられる。帝国日本と戦後日本の連続性、不連続性の解明は、さまざまなかたちで研究されているが、そうした研究にあ らたな視点を付け加えることができれば、望外の喜びである。(編者=遠藤央)

学会通信

第16回評議員選挙について

今年度は評議員選挙の年となり、2017年1月半ば頃までに被選挙人名簿と投票用紙をお送りします。2月初旬には開票作業を行う予定ですので、皆様のご 協力どうぞ宜しくお願いいたします。

所属変更

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されています。

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。

(執筆希望の方はご一報ください)




ニューズレターNo.115から


第33回総会の報告

2016年3月18日(金)、第33回日本オセアニア研究大会会場(マホロバ・マインズ三浦)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。総会 の議事は以下の通りです。

1.2015年度決算(会計理事・会計監査)
*2015年度決算(2015年3月1日~2016年2月29日)について、石森大知理事より説明があり、承認されました。(別紙参照:ウェブで は公開しません)
・会計監査は、遠藤央氏および小谷真吾氏によって行われました。
2.2015年度事業報告
*下記2015年度事業報告が審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.31の刊行(59pp.:論文2本)
・NEWSLETTER no.112,113, 114の刊行(論文5本)
・研究例会の実施
  関東地区 2015年12月19日 和光大学 発表2本
  関西地区 2016年1月23日 京都大学 発表2本
・第33回研究大会・総会の実施
2016年3月18-19日 マホロバ・マインズ三浦 別館(大会長:倉田誠氏)
・日本学術会議等関連の活動(深山理事)
・石川榮吉賞の選考と授与
・第15回日本オセアニア学会賞の選考と授与
3.2016年度事業計画
*下記2016年度事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.32の刊行
・NEWSLETTER no.115、116、117の刊行
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・第34回研究大会・総会の実施
・第16期日本オセアニア学会評議員選挙の実施
・第16回日本オセアニア学会賞の募集
・石川榮吉賞の選考
・日本学術会議等関連の活動
4. 2016年度予算(別紙参照:ウェブでは公開しません)
*2016年度予算案(2016年3月1日~2017年2月28日)について、石森大知理事より説明があり、承認されました。

報告事項

  1. 第15回日本オセアニア学会賞を法政大学の長島怜央氏(受賞作品『アメリカとグアム――植民地主義、レイシズム、先住民』に授与するとの理事会決 定が報告されました。なお、学会賞に対して、日本オセアニア交流協会より副賞をいただきました。学会賞選考委員会からの報告は、別 記事として掲載されております。
  2. 第15期日本オセアニア学会理事会が、石川榮吉賞の受賞候補者として吉岡政德氏を推薦し、その受賞が評議員会で決定され、第33回総会時にてその 授与式と受賞者によるスピーチ並びに受賞講演が行われました。吉岡氏の推薦理由、および本学会における経歴については、別 記事として掲載されております。
  3. 第34回研究大会・総会は、島根大学の福井栄二郎会員を大会長として開催予定であることが報告されました。

第16回 日本オセアニア学会賞選考要項

2016年度日本オセアニア学会賞選考委員会

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2015年1月1日から2016年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者 のものに限定する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、 FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象となる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書の タイトル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文をオセアニア学会事務局に送付することが望ましいが、送付されていない場 合でも受理する。なお、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2016年11月1日から2017年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE- mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会事務局)

    〒424-8610 静岡県静岡市清水区折戸3-20-1 東海大学海洋学部小野林太郎研究室宛て

    TEL 054-334-0411 FAX 054-337-0216

    E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

  7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員長へ郵送する。
  8. 2017年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内に PCOへ投稿することが望まれます。
  2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

学会賞規定

【新刊紹介】

白川千尋・石森大知・久保忠行(編)『多配列思考の人類学――差異と類似を読み解く』(風響社、2016年)

本書は、吉岡政德先生のご退職を記念し、先生から教えを受けた研究者が中心となって編まれた文化人類学の論文集である。ただし、本書はよくある退職記念 論文集とは少し趣を異にしている。一般に恩師の退職や還暦、古希などを記念した論文集の出版にあたっては、弟子たちが恩師の与り知らないところで秘密裏に 進めるようである。この点からすれば、本書はつぎの二点において常道から外れているように思う。

一つ目として、本書の企画段階から吉岡先生(以下、敬称略)に深く関与していただいた点があげられる。そのさい、全体的な内容や構成だけではなく、少な からぬ執筆者に対して具体的な論文テーマが与えられ、「私の主張を批判するように」という注文まで付けられた。二つ目は、本書所収のすべての論文を受け、 吉岡からの応答が記された点である。そのなかで吉岡は、マリノフスキーが弟子たちに容赦なく議論を挑んだという話を引きながら、「大人げないと言えば大人 げないが、自分の考えを批判する弟子に、さらに反論を試みるマリノフスキーは、私にとって一つの理想だった」(本書360頁)と述べているが、自らも本書 においてそれを実践するのである。

吉岡がこれまでに取り組んできた研究テーマは多岐にわたるが、本書では、多配列の概念および思考方法を彼の人類学のエッセンスと位置付けている。吉岡の 研究に通底する学術的姿勢は、一貫してフィールドワークを重要視し、個別社会研究から比較研究を志向するものといえるが、そのために依拠した理論的な枠組 みが多配列と考えるからである。本書の各執筆者は、多配列の概念を直接的もしくは間接的に参照し、自らと吉岡の研究との結節点を探りながら、少々粗削りで も斬新な発想を捻り出すことに専念した。

本書は、三つの部を構成する一四の論文(うち七論文がオセアニアを対象とする)からなる。第一部から第三部を通して、各論文はその参照の仕方に濃淡があ るものの、多配列との関連で議論を展開している。第一部「多配列思考」では、多配列思考の系譜を批判的に検討するとともに、同概念の広がりと可能性につい て考察を行った。各論文は、人種、宗教、病気概念、コミュニティなどに関する位相を分析し、いわば吉岡が取り組んできた多配列思考の人類学を再考もしくは 発展的に継承することを目指した。

第二部「差異と類似の捉え方」は、多配列思考を念頭に置きながら、差異と類似について考察する論文からなる。各論文は、吉岡が展開した反・ポストコロニ アル人類学の議論に触発される形で、自文化と異文化、伝統と近代、マイノリティとマジョリティなどの二分法を考察対象とし、これらの差異と類似をいかに捉 えるかについて検討した。それはまた、単配列的な二元論を超克し、多配列思考の社会的現実に接近する試みでもある。

第三部「多声的リアリティへの接近」の各論文では、民族誌的権威やフィールドの多声性に留意しつつ、いかにして人類学的実践を遂行するのかを考察した。 なかでも特に吉岡が著した実験的民族誌を議論の出発点として、調査する側の見方の相対化、調査者と調査地、人類学者とインフォーマントとの関係性などの再 検討を迫るものである。

以上の後に、吉岡による論考「フィールドからの声と人類学的議論──各論を受けて」が続く。吉岡は、各論に対する応答を通して、比較研究をめぐるニーダ ムとレヴィ=ストロースの論争が、その後の人類学的な知のあり方を決定づけたとし、その結果、民族誌的事例の吟味よりも理論的に都合の良い解釈が優先され る今日の状況に警鐘を鳴らしている。これは、存在論的転換が叫ばれる現在の人類学的知の状況に対する吉岡からの応答、あるいは怒りと言っても過言ではな い。多配列思考を踏まえて民族誌的事実と向き合うことを提唱する本書が、人類学の視点から現実を捉えなおすための有効なアプローチとなり、その一助となる ならば、編者として望外の喜びである。(石森大知)

【新刊紹介】

吉岡政德(著)『ゲマインシャフト都市――南太平洋の都市人類学』(風響社、2016年)

本書は、南太平洋の都市におけるフィールドワークに基づいた都市人類学的議論である。第1章から第8章までの構成となっているが、第1章では、本書全体 を貫く理論的立ち位置を明確にするために、都市社会学や都市人類学の成果を整理しつつ、都市とは何かという問題を考えている。議論の起点となるのは、社会 学者ルフェーブルの提起した「都市的なるもの」という概念である。それは、ルフェーブルが本来の都市の在り方として捉えたもので、そこでは、異質なモノが 異質なまま併存するという特質を見出すことができるという。こうした異質性が発現する場を彼はヘテロトピーと呼んでいるが、都市にみられるヘテロトピーと いう性質は、近代の浸透とともに同質的で画一化された場であるイゾトピーに侵食されていったという。例えば、細く曲がりくねってはいるが生き生きとした街 路が、都市計画などによってまっすぐな大通りに変更され、ごちゃごちゃとしていたが生活の息づかいが感じられた小さな家屋群は、きれいだが無機的なビルに 建て直されることは、まさしくイゾトピーがヘテロトピーを侵食していく事例だというのである。つまり、ヘテトロピーに満ちた「都市的なるもの」を侵食して いくイゾトピーとは、近代的な都市のイメージ、つまり「都市らしさ」ということになろう。

ところで、従来の都市社会学の議論では、都市は常に村落と対比される形で論じられてきた。この対比でしばしば用いられてきたのが、古典的な社会学的研究 の中でテンニースが提示した、ゲゼルシャフトとゲマインシャフトという概念である。ゲゼルシャフトとは、人為的、機械的、打算的な社会関係をさしており、 一般には都市にみられる社会関係として捉えられている。一方ゲマインシャフトというのは、地縁や血縁や友情などで結びついた自然発生的な社会関係を指す。 これは村落共同体、つまり村落における社会関係を示す概念として用いられてきた。しかし、南太平洋の都市は、これら社会学における議論にみられるように村 落と二分法的に対比されたものとして成立してはいない。「農耕する都市」は各地で見出され、村落共同体的な居住地が都市の中に作り出されている。都市の中 に村落が入り込んだような南太平洋の都市。第1章ではそれを社会学の常識に逆らって、「ゲマインシャフト都市」と名付けることを提案している。そして本書 では、この新たに命名されたゲマインシャフト都市の在り方を「都市的なもの」「都市らしさ」あるいはヘテロトピーとイゾトピー概念を使って論じようとして いる。

続く第2章では、南太平洋の二大都市であるパプアニューギニアの首都ポートモレスビーとフィジー共和国の首都スヴァ、そして、二都市と同じメラネシアに 位置するヴァヌアツ共和国の首都ポートヴィラをとりあげ、植民都市としての成立の過程を見ながら、近代都市の中におけるメラネシア的な都市生活のあり方を 考える。第3章は、第2章とは逆に、最も小さな首都であるツヴァルのフナフチをとりあげる。ツヴァル自体が、人口1万人程度の独立国家であり、首都フナフ チの人口は4000人程度に過ぎないが、他の島の村落とは別格の存在であり、そこにゲマインシャフト都市としての姿が見いだせる。続く第4章、第5章、第 6章は、ヴァヌアツの地方都市ルガンヴィルを舞台として、その成立の歴史、隆盛するカヴァ・バーからみた都市生活、都市におけるエスニシティの誕生を論じ ている。最後の2つの章、第7章と第8章では、ゲマインシャフト都市における共同体の在り方を、理論的に、そして具体的な事例を交えながら論じている。第 7章では、社会学でしばしば議論の対象となってきた公共圏や親密圏という概念を整理して批判的に検討した後、これらの概念が、南太平洋の人々の都市生活に おいて適用できるのかどうかについて論じる。第8章では、ゲマインシャフト都市と名付けた南太平洋の都市における共同体がどのような性質を持っているのか を考察し、第7章で検討した社会科学的な共同体概念への批判を踏まえ、それとは異なる共同体の在り方を提案している(筆者、本書「序」より抜粋、一部改 変)。

学会通信

次回大会日程について

次回研究大会が2017年3月26~27日に島根県松江市内(詳細未定)で実施されることになりました。大会参加方法など詳細は次号のニューズレターお よび学会ウェブサイトでお知らせいたします(大会長:福井栄二郎)。

後援事業

日本オセアニア学会の後援にて、以下の講演会が開催されます。

日時:
2016年7月16日(土曜日) 14:30-17:00(開場14:00)
場所:
法政大学市ヶ谷キャンパスボワソナードタワー25階 C会議室
講演者:
ンガフィア・テ・アウェコトク(ワイカト大学元教授)
報告題目:
MAORI : elements of cultural resilience and the indigenous people of Aotearoa/ New Zealand.(邦題:「マオリ:ニュージーランド先住民文化のレジリエンス」)
詳細URL:
http://www.t.hosei.ac.jp/~matoriy/Ngahuia.pdf
コメンテータ:
深山直子(首都大学東京 准教授)
司会:
山本真鳥(法政大学 教授)
使用言語:
英語
主催:
法政大学経済学部学会
後援:
日本オセアニア学会
問合せ先:
山本真鳥(matoriy[atmark]hosei.ac.jp)

論文の寄稿について


日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。

(執筆希望の方はご一報ください)




ニューズレターNo.114から


第33回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

第33回日本オセアニア学会研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。

日時
2016年3月18日(金) 13:30.19日(土)12:00
(理事会18日(金)11:00.12:00、評議会18日(金)12:00.13:00)
18日(金)12:30より受付を開始いたします。
会場
マホロバ・マインズ三浦
[理事会・評議会]別館10階小会議室
[研究大会・総会]別館10階大会議室
[宿泊]本館客室
〒238-0101 神奈川県三浦市南下浦町上宮田3231
TEL:046-889-8900(大代表)
Website:http://www.maholova-minds.com
<大会会場について>
大会会場・宿泊先は、三浦半島のほぼ先端に位置し、浦賀水道を挟んで房総半島を一望することができます。近隣には、景勝地である城ヶ島やマグロの 水揚げで有名な三崎漁港があります。天候に恵まれればホテルから富士山も臨めます。
大会参加費
有職者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等も含む):19,000円(参加費・懇親会費・宿泊費込)
無給者(大学院生、学生等):12,000円(参加費・懇親会費・宿泊費込)
・学会参加のみは7,000円となります。懇親会参加費や宿泊費は含まれません。
・大会参加費は当日に会場受付で徴収いたします。
・領収書に会費と宿泊費を分けて記載する必要がある方は、その旨を参加申し込み時にお知らせください。
・申込期限を過ぎた場合、宿の手配ができない可能性があること、また、直前のキャンセルはキャンセル料を徴収することを予めご了承ください。
交通
・自動車でお越しの場合(ホテルに200台分の無料駐車場があります)
横浜横須賀道路「佐原IC」より車15分
・電車でお越しの場合
品川駅で京急快速「三崎口行」に乗車、三浦海岸駅で下車して徒歩6分
・飛行機でお越しの場合
羽田空港より京急空港線で京急蒲田駅へ。京急蒲田駅で京急快速「三崎口行」に乗車、三浦海岸駅で下車して徒歩6分
三浦海岸駅からホテルまでは30分間隔で無料送迎バスが運行されています。時刻表は下記のサイトをご確認ください。
無料送迎バス時刻表:http://www.maholova-minds.com/access/index.php
第33回研究大会・総会事務局
〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
東京医科大学医学部
倉田誠
TEL:03-3351-6141(内線)771
e-mail:m-kurata[アットマーク]tokyo-med.ac.jp

研究大会・総会プログラム

3月18日(金)
11:00 理事会
12:00 評議会
( 12:30 受付開始 )
13:30 開会・会長挨拶
<第1セッション> 座長:深山直子(東京経済大学)
13:40 猪飼美帆(神戸大学大学院)「ソロモン諸島における食の現在」
14:00 田所聖志(秋田大学)・梅崎昌裕(東京大学) 「パプアニューギニア高地における天然ガス開発が人々の食生活に与えた影響」
14:20 土井冬樹(神戸大学大学院) 「『マオリ的』な活動の場としての観光施設 仕事から『マオリ的』な活動への読み替え」
14:40 小林誠(首都大学東京大学院) 「『沈む島を見に行こう』 気候変動の被害とツバルにおけるダークツーリズム」
( 15:00 コーヒーブレイク )
<第2セッション> 座長:小野林太郎(東海大学)
15:10 石村智(東京文化財研究所)「気候変動と文化遺産」
15:30 臺浩亮(慶應義塾大学大学院) 「植民地期の造形物 獨領ニューアイルランドで収集されたマランガン彫像の意匠分析とその時空間分布」
15:50 印東道子(国立民族学博物館) 「ファイス島からみたカロリン諸島の先史文化」
16:10 古澤拓郎(京都大学) 「インドネシア・スンバ島在来暦法の生態学 ゴカイ類群泳・農耕・宇宙から」
( 16:30 コーヒーブレイク )
16:40 石川榮吉賞授賞式・受賞講演
吉岡政德「オセアニアと文化人類学研究」
17:10 総会・日本オセアニア学会賞授賞式(18:00 終了予定)
19:00 食事・懇親会
3月19日(土)
8:00 食事
8:30 ミニ・シンポジウム打ち合わせ
<第3セッション> 座長:山本真鳥(法政大学)
9:00 矢野涼子(神戸大学大学院) 「1870年代サモアにおける『政府』の設置」
9:20 倉光ミナ子(天理大学) 「『日本で20年以上を生きて』 在日サモア人妻たちの経験」
9:40 吉田裕美(岡山大学) 「ハワイアン、『ローカル』、ハオレ 語りの中で構築されるアイデンティティ」
10:00 井上昭洋(天理大学) 「先住ハワイ人『主権』運動の現在 アロハ・アイナ・ユニティ・マーチを通して考える」
( 10:20 コーヒーブレイク )
<ミニ・シンポジウム>
10:30 『オセアニアの感染症』 司会:古澤拓郎(京都大学)
山本真鳥(法政大学)「趣旨説明」
中澤港(神戸大学)「オセアニア地域のデング熱」
塚原高広(東京女子医科大学) 「オセアニア地域におけるマラリアとその対策」
一盛和世(元WHO) 「オセアニア地域におけるリンパ系フィラリア症対策計画(PacELF)とその成功」
コメンテータ:関根久雄(筑波大学)
12:00 閉会

2015年度日本オセアニア学会関西地区例会の報告

【日時】
2016 年1 月23 日(土)13:00~17:00
【場所】
京都大学吉田南キャンパス総合人間学部棟1207 教室
【プログラム】
13:00~14:00 発表1:深田淳太郎(三重大学人文学部) 「遺骨収集の終わり方:ガダルカナル島の遺骨収容活動における遺/残された骨をめぐって」
14:15~15:15 発表2:新井隆(一橋大学大学院社会学研究科博士課程・学振特別研究員(DC2)) 「グアムにおける戦争の記憶の「もつれ」:記念・顕彰と追悼・慰霊のはざまで」
15:30~15:50 コメント1:飯高伸五(高知県立大学文化学部)
15:50~16:10 コメント2:粟津賢太(南山大学宗教文化研究所)
16:10~17:00 全体討論

本年度の関西地区例会は、「オセアニアと日本の戦後」と題して、個人発表二名、それに対するコメンテーター二名で開催した。深田会員の個人発表は、ソロ モン諸島ガダルカナル島で実施されている遺骨収容活動について、収容活動の現場における遺骨のモノとしての存在と、遺骨収集事業の成果として数えられる 「○柱の遺骨」のあいだの齟齬がどのように作られ、また埋められるのかについて論じた。また新井会員の個人発表は、グアムで実施されている太平洋戦争での 死者の慰霊、追悼行事の中で、現地のチャモロ人とアメリカそして日本の三者が様々な形で絡み合っている現在の状況について報告した。発表終了後、飯高会員 はパラオをはじめとする太平洋の他の地域との比較という観点から、また粟津賢太氏からは宗教学の観点からコメントがなされた。発表者とコメンテーターとの 議論が終わった後には、会場全体に議論を開き、寒波到来の中集まった計十名の参加者のあいだで活発な議論が交わされた。

(関西地区例会幹事:深田淳太郎)

【新刊紹介】

飯田卓(著)『身をもって知る技法――マダガスカルの漁師に学ぶ』(フィールドワーク選書8)(臨川書店、2014年)

本書は、著者がマダガスカル南西部の漁村でおこなったフィールド調査(主として博士研究としておこなったもの)が展開していくプロセスについて述べたも のである。フィールド調査の成果のほうは、すでに別の本として刊行されている(『海を生きる技術と知識の民族誌――マダガスカル漁撈社会の生態人類学』世 界思想社、2008年)。本書では、フィールドに入る準備や調査地探し、村人に受けいれられるまでの日常など、調査の初期段階をとくに詳しく記しており、 とりわけ初心者にとっての利便を意識して書かれている。

オセアニア学会員の読者にとっては、この「フィールドワーク選書」シリーズ全体の編纂に関わった印東道子や白川千尋の巻のほうが、本書よりも魅力的に映 るにちがいない(それぞれ、ミクロネシアとメラネシアが記述対象)。わたしはそれをあえて咎めず、両書の後に本書を手にとっていただくよう、会員諸氏にお 勧めしよう。マダガスカルがオーストロネシア語族言語の分布の西端に位置し、広い意味でのオセアニア研究の対象となることのほか、本書は以下の理由によ り、広くオセアニア学会員の議論の対象になると考えている。

冒頭で著者が述べるところによると、文化人類学と生態人類学はいずれも、「身をもって他者を知る学問」だという。本書に主張があるとするなら、この方法 によって人の暮らしを解き明かすことが学問たりうること、それ以外の主張は考えられまい。本書の叙述は徹頭徹尾、身をもって知るとはいかなることか、どの ようにそれをおこなうかという問いに貫かれており、それに沿って著者の体験が述べられている。

たとえば象徴的なのは、村に住みはじめた頃には金や薬や写真撮影をやたらにねだられたのに、住む時間が長くなるとその度合いが軽減していったというエピ ソードだろう。著者はこの事実をとりあげて、何かを要求することは、人間関係を築こうとする意思のあらわれなのだと説明する。この説明の是非について、読 者は著者の意見を受けいれるほかないが、少なくとも言えるのは、そのような理解がフィールドという世界への投企によってのみ導かれるということである。

研究者の存在が受けいれられることによって、研究者の立場や考えかたが変わり、人間関係のしくみも理解されていく。また、現地の事象についての理解が増 すにつれ、人間関係も深まっていく。このことは、さまざまなかたちで、大部分の読者が多かれ少なかれ感じていることではなかろうか。 以上のとおり本書は、広義のオセアニア研究の本としてのみならず、フィールドワーク論や研究方法論、場合によっては認識論としても読むことができる。時代的には20年も前 のことであり、現代のフィールド調査には当てはまらない点もなくはないが、だからこそ、古今にかかわらないフィールド調査の知恵というべき点も見えてく る。すでにフィールド調査の洗礼を終えられた研究者も、ぜひご一読いただきたい。(筆者)

学会通信

新入会員

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されています。

論文の寄稿について


日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.113から


第33回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

第33回日本オセアニア学会研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお待ちしております。ご出欠につきましては、下記 の申し込み用フォームをご利用の上、2016年1月31日(日)までにお知らせください。

日時
2016年3月18日(金) 13:30.19日(土)12:00
(理事会18日(金)11:00.12:00、評議会18日(金)12:00.13:00)
18日(金)12:30より受付を開始いたします。
会場
マホロバ・マインズ三浦
[理事会・評議会]別館10階小会議室
[研究大会・総会]別館10階大会議室
[宿泊]本館客室
〒238-0101 神奈川県三浦市南下浦町上宮田3231
TEL:046-889-8900(大代表)
Website:http://www.maholova-minds.com
<大会会場について>
大会会場・宿泊先は、三浦半島のほぼ先端に位置し、浦賀水道を挟んで房総半島を一望することができます。近隣には、景勝地である城ヶ島やマグロの 水揚げで有名な三崎漁港があります。天候に恵まれればホテルから富士山も臨めます。
大会参加費
有職者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等も含む):19,000円(参加費・懇親会費・宿泊費込)
無給者(大学院生、学生等):12,000円(参加費・懇親会費・宿泊費込)
・学会参加のみは7,000円となります。懇親会参加費や宿泊費は含まれません。
・大会参加費は当日に会場受付で徴収いたします。
・領収書に会費と宿泊費を分けて記載する必要がある方は、その旨を参加申し込み時にお知らせください。
・申込期限を過ぎた場合、宿の手配ができない可能性があること、また、直前のキャンセルはキャンセル料を徴収することを予めご了承ください。
参加・発表申し込み
研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるか、研究発表をされるか、発表される場合には「発表題目」と「使用機器」について申し込み用 フォームにご記入ください。
また、フォームがご利用できない場合は、ご氏名と連絡先を明記の上、郵便で必要事項を大会・総会事務局にお知らせください。発表時間は演題数にも よりますが、質疑応答を入れて20.25分程度を予定しています。
なお、本研究大会では、3月19日(土)に「太平洋地域の感染症」に関するミニ・シンポジウムを予定しています。現在のところ、発表者は、一盛和 世氏(元WHO職員)、塚原高広氏(東京女子医科大学)、中澤港氏(神戸大学)の3名を予定していますが、他に希望者がいらっしゃいましたら、ご参加 お申し出ください。
交通
・自動車でお越しの場合(ホテルに200台分の無料駐車場があります)
横浜横須賀道路「佐原IC」より車15分
・電車でお越しの場合
品川駅で京急快速「三崎口行」に乗車、三浦海岸駅で下車して徒歩6分
・飛行機でお越しの場合
羽田空港より京急空港線で京急蒲田駅へ。京急蒲田駅で京急快速「三崎口行」に乗車、三浦海岸駅で下車して徒歩6分
三浦海岸駅からホテルまでは30分間隔で無料送迎バスが運行されています。時刻表は下記のサイトをご確認ください。
無料送迎バス時刻表:http://www.maholova-minds.com/access/index.php
第33回研究大会・総会事務局
〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
東京医科大学医学部
倉田誠
TEL:03-3351-6141(内線)771
e-mail:m-kurata[アットマーク]tokyo-med.ac.jp

2015年度 日本オセアニア学会関西地区例会のお知らせ

■日時:
2016年1月23日(土)13:00-17:00
■場所:
京都大学吉田南キャンパス 総合人間学部棟 1207教室
(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_ys.html)
地図の79番の建物です
※市バス「京大正門前」へは下記のバスが便利です。
・JR 京都駅 ・・・206系統「東山通 北大路バスターミナル」行
・阪急河原町駅 ・・・201系統「祇園・百万遍」行
(いずれも循環系統ですので、逆回りにご乗車にならないよう、ご注意ください。)
※吉田南キャンパスへは市バス「京大正門前」下車後、東一条交差点を東(吉田神社方面)にお進みください。
※右手の門(時計台とは反対側)から入ってすぐ、左図 79番の建物が研究会場です。
※建物へは北側(道路に面した側)のドアからお入りください。 目の前の階段を2階へ上がると1207教室があります。
※京阪「出町柳駅」から研究会場へは徒歩約20分、市バス「百万遍」からは徒歩約10分です。
■プログラム
13:00-14:00 発表1
深田淳太郎(三重大学人文学部)
「遺骨収集の終わり方―ガダルカナル島の遺骨収容活動における遺/残された骨をめぐって」
(休憩15分)
14:15-15:15 発表2
新井隆(一橋大学大学院社会学研究科博士課程・日本学術振興会特別研究員(DC2))
「グアムにおける戦争の記憶の「もつれ」―記念・顕彰と追悼・慰霊のはざまで」(仮)
(休憩15分)
15:30-15:50 コメント1 飯高伸五(高知県立大学文化学部)
15:50-16:10 コメント2 粟津賢太(南山大学宗教文化研究所)
16:10-17:00 全体討論
※発表順、時間などは入れ替わったり、ズレたりする可能性があります。
※終了後、百万遍周辺で懇親会を行ないます。
■お問い合わせ先:
深田淳太郎 j.fukada[アットマーク]human.mie-u.ac.jp
(関西地区例会幹事:深田淳太郎)

2015年度 日本オセアニア学会関東地区例会の報告

2015年度の関東地区研究例会は、12月19日(土曜日)、和光大学にて行われました。

■発表1「パプアニューギニア村落における小児の病気に対する治療――どのような治療がなぜ利用されるのか?」
発表者:塚原高広さん(東京女子医科大学)
コメンテータ:澤田康幸さん(東京大学)
塚原さんは、パプアニューギニアのヘルス・システムを概観したのち、調査地(東セピック州)を対象に行った大規模な調査データから、小児のマラリ ア発症に対する住民の行動選択を経済学の分析モデル(混合ロジットモデル)を用いて明らかにしました。そこでは同時に、2011-2012年のデータ と2015年のデータを比較することで、当地における医療サービスの変化も明らかになりました。それに対して、澤田さんからのコメントでは、Save the Childrenによって導入されたVHV(ヴィレッジ・ヘルス・ボランティア)とヘルスセンターの代替性についての疑義や複数選択を視野に入れた別の分析モデルの提案な どがなされました。会場からは、女児と男児で異なる治療選択行動をどう解釈するか、ヘルス・システムに対する住民の価値づけ・序列化はいかなるものな のかなど多くの議論が提起されました。
■発表2「植民地研究の対象としてのハンセン病隔離施設――フィジー・マコンガイ保護収容所から」
発表者:倉田誠さん(東京医科大学)
コメンテータ:春日直樹さん(一橋大学)
倉田さんは、ハンセン病対策の世界的動向を視野に入れつつ、イギリス領南太平洋の公衆衛生体制におけるマコンガイ保護収容所の実態を歴史人類学的 な手法で迫りました。そこでは、植民地行政官や教会関係者などの「白人」と太平洋島嶼民が共在するコンタクト・ゾーンとしての、また独自の秩序をもっ た「生活の場」としての収容所の姿が明らかにされました。それに対して、春日さんのコメントは、1990年代にこの収容所を題材にした映画の試写会に 行った記憶からはじまり、収容所の活動にメラネシア的な特性が反映されていること、植民地研究を越えてフーコー的な視点にもとづく国家と収容所をめぐ る一般研究への接合可能性など、多岐にわたりました。会場からは、収容所の社会統制やハンセン病の「流行」の可否などが提起され、医学的な見解を交え た議論がなされました。

発表者・コメンテータを含む13名が参加した本例会は盛況のうちに終わりました。

(関東地区例会幹事:馬場淳)

【新刊紹介】

白川千尋(著)『南太平洋の伝統医療とむきあう――マラリア対策の現場から』(フィールドワーク選書20)(臨川書店、2015年)

本書は、先にNEWSLETTER 112号の新刊紹介コーナーで取り上げられた印東道子さんの『南太平洋のサンゴ島を掘る』と同じく、臨川書店のフィールドワーク選書の1冊である。

フィールドワークは、文化人類学に関わるさまざまな営為のなかでも中核的な位置を占めるものであり、なおかつもっとも刺激的で魅力的なものであろう。か つては欧米に比べると限られていたものの、近年では日本でもそれに関する入門書や解説書が次々と出版されるようになっている。そこではフィールドワークの ノウハウや個々の研究者の経験などが取り上げられていることが多い。その反面、一つの研究の始点から終点までのプロセスをフィールドワークに軸足を置きな がら描き出したもの、言い換えるならば、フィールドワークを介してフィールドで得られた知見が、いかにして最終的な研究成果へと形を成していったかを跡付 けているものは、意外と少ない。もとより文化人類学の研究の主たる成果物には民族誌があるが、そこでは研究成果のみがまとめられた形で提示される一方、 フィールドワークについては概略しか触れられておらず、その具体的なプロセスに関する詳細な記述はほとんどなかったり、あっても断片的であったりすること の方が一般的である。

そこで、前述の印東さん、国立民族学博物館(民博)で彼女と同僚の関雄二さん(アンデス考古学・文化人類学)、そして私の3人は、一般の読者に対して文 化人類学、および考古学のフィールドワークの魅力や、フィールドワークが研究成果とどのように結びついているのかといったことを広く知ってもらうことを意 図して、フィールドワーク選書というシリーズを立ち上げた。全20巻のこのシリーズでは、20人の研究者(私を除き全員民博所属)がそれぞれ1冊ずつ書き 下ろす形で、各自の行ったフィールドワークを詳細に取り上げている。

さて、本書では、かつての私の本『カストム・メレシン――オセアニア民間医療の人類学的研究』(風響社、2001年)で提示した研究成果が、どのような フィールドワークを経て形を成してきたかを描き出そうとした。『カストム・メレシン』は博士論文をもとにしているので、本書は言うならばそのメイキングの プロセスに焦点を当てたものと言える。

博士論文では、ヴァヌアツ・トンゴア島の人々が伝統医療と近代医療をどのような関係のもとに位置づけており、そうした認識はいかなる社会的背景のもとで 成立しているのかという問いをめぐって考察を行った。これらの問いは直接的には医療人類学における多元的医療論の議論と関係するものだが、従来の議論では 伝統医療と近代医療が相互補完関係にあり、互いに対処する病気の領域を異ならせながら並存しているとの指摘が一般的だった。しかし、博士論文では、トンゴ ア島民の例に関しても同じような側面が認められる一方で、それとは異なる側面、より具体的に言うと、伝統医療が近代医療の守備範囲を包摂して行くような側 面も無視できないことや、そうした側面が顕在化している背景には伝統医療をめぐるマスメディアの報道や政府の政策をはじめとして、ヴァヌアツ内外のさまざ まな社会的動向があることを指摘した。

以上のような結論に行き着くまでに、どのような調査プランを立て、いかにして情報収集を行ったのか。そもそも伝統医療と近代医療の関係に関する人々の認 識を研究テーマにしたり、ヴァヌアツやトンゴア島をフィールドワークの対象地に選んだりしたのはなぜなのか。私はトンゴアでフィールドワークを行う数年 前、ヴァヌアツに青年海外協力隊員として派遣され、マラリア対策に従事していた。上の二つの問いのうち、とくに後者はそのときの経験と深く関係している。 そのため本書では協力隊員として活動していた時期にまで溯り、そこを始点として先述の結論に行き着くまでを、現地での私の日常生活や人間関係の様子などに も触れながらクロノロジカルに描いた。この点で、本書はフィールドワークや伝統医療などに関心をもつ方々だけでなく、国際協力や感染症対策に携わっている 方々などにも読んでいただけるようなものになっているのではないかと思っている。(筆者)

【新刊紹介】

関根久雄(著)『地域的近代を生きるソロモン諸島――紛争・開発・「自律的依存」』(筑波大学出版会、2015年)

はじめてソロモン諸島を訪れたのは、1987年4月29日のことである。青年海外協力隊員として現地に赴任した私は、飛行機のタラップを降りる時に感じ た熱帯の湿気を帯びた生暖かさに一瞬たじろいだことを今でも覚えている。東京にしか住んだことのなかった当時の私にとって、気候だけでなくはじめて見る南 の島の街はあまりにも小さく、道行く車や行き交う人々のゆったりした動きは異文化社会そのものであった。

それから20年以上が経過した。ソロモンの街の様子や村落の景観にそう大きな変化はない。しかしその間、ソロモンは独立国として経済成長や社会開発に邁 進するための国家開発計画を幾度となく策定し、それを援助国や国際機関の思惑とすり合わせ、他者への依存状態を維持しようとしてきた。そこでソロモン諸島 民がこだわったのは、自律性(自らが状況を律する)である。開発計画は自律性を備えた依存状態を維持するための交渉ツールであり、それを通じて外国からの 援助を期待し続けてきた。それは、産業振興を基盤にした「健全」とされる自立状態からは程遠い状況ではある。それでもソロモンは、あるいは、それだからこ そソロモン諸島は、経済成長を指向し、合理的な企業経営と労務管理システムを国内で一般化し、GDPの持続的上昇を果たさなければならないのであろうか。 そうでなければ「貧困」のラベルを背負い続けることになるのだろうか。本書は、1987年にはじめてソロモンを訪れて以来、現地の都市や村落の暮らしに身 を置くたびに繰り返し抱き続けてきたこれらの素朴な疑問に対する、私なりの一つの答えである。

何度目かのソロモン諸島でのフィールドワークを終え帰国の途についた際、途中飛行機の乗り継ぎのためオーストラリアのブリスベン国際空港に立ち寄った。 ソロモン諸島の首都ホニアラから2135キロメートル(飛行機で約2時間30分)の距離である。それまでソロモンの村で過ごし、電気もガスも水道もない暮 らしに慣れていた私にとって、わずか3時間弱で目にしたブリスベンの「近代的」光景は、はじめてソロモンに着いた時に感じた驚きをそのまま裏返したような 感情を抱かせた。ほんの数時間移動するだけで大きく異なる世界が現存している。一方は物やシステムが西洋近代的に洗練されているのに対し、他方はそれに類 する物や事が著しく「立ち遅れている」ように見えるのである。このギャップを本書では地域的近代や自律的依存という概念で埋め、「立ち遅れている」ように 見えるソロモンの姿を積極的に捉え直すことに努めた。地域的近代のありようは排除や同化(西洋近代化)の対象としてあるのではなく、同国の活力を促すもの として捉え返すべきものであり、そのように思考(指向)することでソロモンの明日も「開けてくる」のかもしれない。ソロモンを、オセアニアを眺めるには、 このような楽観主義(オプティミズム)が必要であると信じている。(筆者、本書「あとがき」より抜粋、一部改変)

学会通信

新入会員

所属変更

メールアドレス変更

*会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されています。

論文の寄稿について


日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.112から


日本オセアニア学会ヴァヌアツ災害義捐金について

日本オセアニア学会
会長 山本真鳥
[会長印省略]

本年3月13日から14日にかけて、ヴァヌアツ共和国を南太平洋では史上最大規模のサイクロンが直撃しました。首都ポートヴィラや南部の島々を中心に、 多数の家屋が倒壊し、死傷者が出るなど、多くの方々が被災されております。そこで日本オセアニア学会では、3月20日より、会員メーリングリストおよび学 会ホームページを通じて復興支援の一助となるべく義捐金の募集をおこない、27名以上の方からご寄附をいただき、4月30日に締め切りました。また、募集 開始時において未決定であった義捐金の委託先は下記の通り決定し、全額を委託させていただきましたことをご報告いたします。

皆様のご協力に心より感謝申し上げます。

義捐金額:
415,000円
義捐金の委託先および使途:
「特定非営利活動法人 難民を助ける会」に、5月14日、全額託しました。
委託先の選定理由:
サイクロン後のヴァヌアツにおける緊急支援に関わる活動はおおむね終了したものの、被害の甚大さから、引き続きコミュニティレベルを対象とした中 長期的な復興支援が不可欠なものとなっています。したがって、この義捐金はそれに関わる活動に使われるべきものと判断し、長年にわたって世界各地で同 種の活動を行ってきた実績のある「難民を助ける会」による活動に役立てていただくこととしました。同会は今回のサイクロン被害においても緊急支援段階 からヴァヌアツで活動を行っており、活動に当たっては定評ある現地NGO のVFHA(Vanuatu Family Health Association)とも協働しております。
なお、この義捐金を使った同会による今後の活動につきましては、追って事後的にご報告いただくことになっております。

以上

第32回 総会の報告

2015年3月27日(金)、第32回日本オセアニア学会研究大会会場(田沢湖公民館)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。総会の議事 は以下の通りです。

(審議事項)

1.会長について
下記の会長が承認されました
・会長 山本真鳥
2.2014年度事業について
下記の2014年度事業報告が審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.30の刊行(105pp.:論文6本)
・NEWSLETTER no.109, 110, 111の刊行(論文6本)
・日本オセアニア学会モノグラフシリーズ第2号の刊行(前川真裕子氏著『Reconsidering Orientalism/Occidentalism: representation of a Japanese martial art in Melbourne』)
・研究例会の実施
  関西地区 2014年11月15日 国立民族学博物館 発表3本
  関東地区 2014年12月13日 立教大学 発表4本(個人発表1名、パネル発表3名)
・第32回研究大会・総会の実施
2015年3月27-28日 田沢湖公民館(大会長:夏原和美・田所聖志)
・日本学術会議等関連の活動
・第14回日本オセアニア学会賞の選考と学会賞の授与
受賞者:渡辺文(立命館大学)
 対象著作:『オセアニア芸術―レッド・ウェーヴの個と集合』
*日本オセアニア交流協会より副賞をいただきました。なお、学会賞選考委員会からの報告は、以下、別 記事として掲載されております。
・ヴァヌアツ災害義捐金の募金窓口の開設と募金収集
3.2014年度会計報告
 2014年度決算について(2014年3月1日~2015年2月28日)、石森大知理事より説明があり、承認されました(別紙参照:ウェブには 掲載しません)
会計監査は、須田一弘および山内太郎によって行われました。
4. 2015年度事業計画
 下記の2015年度事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.31の刊行
・NEWSLETTER no.112、113、114の刊行
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・第33回研究大会・総会の実施
・第15回日本オセアニア学会賞の募集
・第4回石川榮吉賞の募集と検討
・日本学術会議等関連の活動
5.2015年度予算(別紙資料:ウェブには掲載しません)
 2015年度予算案について(2015年3月1日~2016年2月28日)、石森大知理事より説明があり、承認されました。

(報告事項)

第15期新役員について

・新評議員の互選により理事が選出され、その役割分担が以下のように決まりました。

庶務 小野林太郎
会計 石森大知
編集(PCO) 栗田博之・古澤拓郎
編集(ニューズレター) 飯高伸五
研究集会・情報化 中澤港
渉外・モノグラフ 深山直子

・下記の新役員が選出されました。

会計監査 遠藤央・小谷真吾
幹事(庶務) 馬場淳
幹事(会計) 倉田誠
幹事(研究例会) 深田淳太郎(関西地区)
馬場淳(関東地区)

2015年度 日本オセアニア学会関東地区例会のお知らせ

日時:
2015年12月19日(土) 13:00~17:00
場所:
和光大学ぱいでいあ教室(小田急線鶴川駅北口から1分)
https://www.wako.ac.jp/access/campus.html(スクールバス発着所の前です)
発表1
発表者:塚原高広(東京女子医大)
発表題目:「パプアニューギニア村落における小児の病気に対する治療:どのような治療がなぜ利用されるのか?」
コメンテータ:澤田康幸さん(東京大学)
発表2
発表者:倉田誠(東京医科大学)
発表題目:「20世紀前半のイギリス領南太平洋における民族政策と公衆衛生:フィジー・マコンガイ島のハンセン病収容施設の事例から」
コメンテータ:春日直樹(一橋大学)

※発表順序は、暫定的であり、変更になることがあります。

※研究会終了後、鶴川駅周辺で懇親会を行います。

お問い合わせ先:

馬場 淳(和光大学)

メール:junbaba[アットマーク]wako.ac.jp

【新刊紹介】

印東道子(著)『南太平洋のサンゴ島を掘る』(フィールドワーク選書4)(臨川書店、2014年)

 本書で紹介しているファイス島は、ミクロネシアのカロリン諸島西部に位置する隆起サンゴ島である。従来のオセアニア研究においてほとんど無名であった ファイス島であるが、筆者が行った3回の発掘調査の結果、ほぼ定説化していたオセアニアにおける居住の歴史や、島嶼居住に関する認識を再考せざるを得ない 重要な発見が相次いだ。

 20メートルの海抜高度を持つファイス島は、周辺の環礁島での発掘に比べて深い堆積を調査できるという大きな利点をもつ。実際、1991年に行った第 一次調査では、3メートルを越す文化堆積が見つかり、多くの予想外の出土遺物に恵まれた。

 たとえば、紀元後200年ごろから人間がファイスに居住しはじめたこと、居住初期から定期的にヤップ産の土器をファイスへ持ち込んでいたこと、土器以 外にも東南アジアのクマネズミを持ち込み、イヌ、ブタ、ニワトリというオセアニアの基本的な家畜セットをすべて持ち込んで飼育していたこと、紀元後 1000年ごろにはソロモン諸島で使われていた特徴的な形をしたトローリング用ルアー(真珠母貝製)が伝わっていたことなど、多くの島嶼間接触を示す遺物 が出土した。

 ファイス島周辺には多くの環礁島が散在し、西方のヤップ島を頂点とするサウェイ交易網を歴史時代まで形成していたことはよく知られている。ファイス島 の考古資料は、その起源を考える上で重要な存在になるであろう。しかも、言語学研究から指摘され、考古学者もおおむね受け入れてきたミクロネシア中央部へ の人類の拡散ルートに関しても、見直しが必要かもしれない。言語に基づく従来の説では、ファイス島の人びとは東方から移住してきたとされていたが、もしそ うなら、ミクロネシア中東部の他の島々からも3種類の家畜が見つかってしかるべきである。しかし、ミクロネシア東部からはイヌ以外はニワトリでさえほとん ど見つかっていない。特に、ブタに関しては、ファイス島のブタがミクロネシアでは唯一、そして最古の証拠であり(年代不詳のラモトレックや、パラオの例を 除く)、継続的に飼育していた可能性も同位体分析を使って証明できたことは、小さなサンゴ島ではブタの継続飼育はできないとするC. Giovas(2006)の説を否定することになった。

 さらに、ファイス出土のニワトリ骨からDNAを採取して行われた遺伝研究の結果、ラピタ集団が西部ポリネシアへ持ち込んだ初期のニワトリと同じ型であ ることがわかったことから、カロリン諸島内の小島であるファイス島が、一躍、オセアニア先史文化の解明作業において重要な資料を提供する存在になりつつあ る。

 本書は、ファイス島における上記の発掘調査の始点から終点までを紹介したものである。そもそもなぜファイス島で調査を行ったかにはじまり、調査中に下 す様々な決断、予想外の出土遺物の多様な分析法の模索など、調査者の視点から記述されている。フィールドワーク選書シリーズ(臨川書店)の一冊として執筆 されたため、考古学的な記述は最小限に抑えてあるが、ファイス島の伝統文化に加え、上記のようなファイス島での発見の重要性が、専門外の読者にもわかりや すく理解できる構成になっている。考古学にあまりなじみがなくても、日本考古学とはひと味違ったオセアニア考古学の醍醐味に触れることができる。(筆者)

Giovas, C. (2006). No pig atoll: Island biogeography and the extirpation of a Polynesian domesticate. Asian Perspectives 45(1): 69-95.

【新刊紹介】

三田 牧(著)『海を読み、魚を語る――沖縄県糸満における海の記憶の民族誌』(コモンズ、2015年)

1995年夏、私は初めて沖縄を訪問した。沖縄について知りたい、知らなければならないと、思っていた。なぜか?自分の属する日本という国がどんな国 か、知らなければならないと感じていたから。そしてそれは、アイヌや沖縄の人の目を通してこそ、見えてくるものだと考えていた。

最初の沖縄訪問で、市場(マチグワー)に惹かれた。そこには大和化を拒む、確固とした沖縄らしさがあった。市場に満ちている「沖縄らしさ」ってなんだろ う。それが最初の問いだった。

市場に売られているものを手掛かりに、沖縄の生活文化を学ぼうと思った。サンゴ礁の色とりどりの魚がならんでいる魚屋(イユヤー)を調査対象に決め、漁 師町糸満を調査地としてフィールドワークを始めたのは、1996年、23才の時のことだった。

魚売りのアンマー(お母さん)は、いかに魚を読み、魚を語ってきたのか。海人(ウミンチュ、ウミンチュー/漁師)は、広大な海に向き合い、いかに海を読 んで魚をとってきたのか。この問いに、地道に向き合った。

魚の方言名をひとつひとつおぼえることから始め、魚屋を手伝いながらアンマーと買い手のやりとりに耳を澄ませた。広大なイノー(礁池)が埋め立てられた ことによる海洋環境の変化を、海人の漁場開拓の変遷から追った。時化の日に海人のおじさんをつかまえては、海底地形や地質、天気、潮がどのように読めるか を教えてもらった。

このような調査を続ける中で、1990年代の糸満を考えるうえで重要な、いくつかの問題が見えてきた。①相対売りの衰退と魚食文化の変遷、②イノーの埋 め立てによる海洋環境の変化、そして③漁撈技術や天気予報の進歩による海との向き合い方の変化、である。研究の成果は博士論文にまとめたものの、本にはし ていなかった。

糸満での本格的な調査を終えてから約10年後の2010年、私は、日本復帰以来断続的に行われてきた大規模な埋め立てがほぼ完成し、町の姿がすっかり変 わった糸満を見ることになる。新しい埋立地に町の中心が移ったことで、海との暮らしの記憶が蓄積された「旧糸満」は活力を失い、漂白されたサンゴのように 乾いた印象を受けた。そして、漁業に従事する人の数も、私の調査した頃の約半数に減っていた。

ここに至って私は、気づいたのだった。私が見てきた糸満は、日本復帰以降の歴史的流れの中ではじめて理解できることを。

漁師町糸満が、母なるイノーを埋め立てるに至った背景には、沖縄振興策が深く関わっている。土木建築による開発は、その目的の一部に新漁港浚渫などの漁 業開発も組み込んではいたが、結果的には糸満漁業を衰退させた。日本復帰は、糸満を「海人の町」でなくしてしまうような出来事だったともいえる。

埋め立てが完成した糸満の姿は、日本復帰がいかに沖縄の暮らしを変容させ、そのアイデンティティをも脅かすものであるかを象徴しているように思えた。も しも糸満が、海とともに培ってきた暮らしの記憶を失うならば、日本による沖縄支配が完了してしまうとさえ、思った。その危機感から私は、博士論文をもとに 本書を書くことを決意した。

本書は、糸満の人びとの「海とともにある暮らしの記憶」をもとに、「糸満が糸満であるところのもの」、すなわち文化を問うものである。そして、大和の大 学院生であった私が、糸満の海人とアンマーから多くを教わった、その記録でもある。私に話を聞かせてくれた人たちは、自分たちの経験や知識が記録に残され ることを見込んで話してくれたと思う。その意味で、本書はよそ者の独り言では決してない。私と糸満の人との関わりの結果が本書である。(筆者)

【新刊紹介】

長島怜央(著)『アメリカとグアム――植民地主義、レイシズム、先住民』(有信堂高文社、2015年)

 グアムについて調べ始めて間もない2004年6月後半、現地調査中に何かの用でスーパーマーケットに入ると、入り口付近に陳列されていた白地のTシャ ツ――真ん中にひとつの星があり、そのなかに赤と青のグアムの旗と星条旗が合成されたデザインがプリントされたもの――に目を引かれた。「GUAM LIBERATION DAY」「1944」「2004」「60TH ANNIVERSARY」「60 years of liberty & prosperity」という文字や数字が使われている。第2次世界大戦において日本占領下のグアムに米軍が再上陸したのが1944年7月21日であり、 その後同日が解放記念日となった。毎年6月から8月にかけて同戦争に関連したさまざまな行事が開かれる。それに合わせて、スーパーマーケット等はセールを 行い、関連商品の販売を行うところもある。筆者が目にしたのは、解放60周年を記念した商品のひとつであった。だが、米軍による土地接収の問題などのアメ リカの不正義を訴えるチャモロ人の社会運動に関心を持って現地にやってきた筆者は、そのTシャツから受けるアメリカ愛国主義的な印象に若干戸惑った。 9.11後の「対テロ戦争」のさなかということもあり、空軍基地や海軍基地を抱える島のあちこちでそうした印象を受けた。

 アメリカには太平洋やカリブ海に非編入領土という政治的地位の島々がある。グアムはアメリカの非編入領土のままであると同時に、国際連合における非自 治地域のまま、要するにアメリカの植民地のままである。だが当時、現地で調査を続けても、チャモロ・ナショナリズムもグアムの脱植民地化を求める運動も 1980年代や1990年代ほど盛り上がっていないように筆者は感じた。しかし2000年代後半には、沖縄からの海兵隊の移転を含む米軍増強への関心が地 元でも高まっていくなかで、徐々に脱植民地化やチャモロ・ナショナリズムへの関心も再燃していくのを目の当たりにした。その一方で、チャモロ・ナショナリ ズムに対する批判的な見解や運動、いわばバックラッシュについて考えることの重要性を認識するようになった。チャモロ人の土地権や自己決定権によって白人 等の非チャモロ人が差別やレイシズムの被害を受けるという逆差別の問題は早くから提起されていた。これには2000年の連邦最高裁のハワイ先住民局 (OHA)に関するライス判決も影響している。

 なぜグアムはこのような状況にあるのか。本書は、冒頭に挙げたような戦争の記憶、歴史認識、アイデンティティに関する問題などに目を向けながらも、ア メリカの歴史的不正義と関連づけてチャモロ人の運動を捉え、アメリカ本土やハワイでも見られる「肌の色を区別しない」というカラーブラインド・イデオロ ギーのグアムでの広がりに着目している。グアムではそれがレイシズムというよりむしろ植民地主義としての効果を発揮しているのである。(筆者)

学会通信

次回大会日程について

次回研究大会が2016年3月18~19日に実施されることになりました。会場については、神奈川県三浦市のマホロバマインズ (http://www.maholova-minds.com/)を予定しております。大会参加方法など詳細は次号のニューズレターおよび学会ウェブサ イトでお知らせいたします

(大会長:山本真鳥・倉田誠)。

新入会員

所属変更

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されています。

寄贈図書

渡辺 文(著)『オセアニア芸術――レッド・ウェーヴの個と集合』京都大学学術出版会、2014年(京都大学学術出版会より寄贈)

論文の寄稿について


日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.111から


第32回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

 前号ニューズレターでお知らせいたしましたように、日本オセアニア学会研究大会・総会を以下のとおり開催いたします。
 
■第32回研究大会・総会事務局
夏原和美(日本赤十字秋田看護大学)
田所聖志(秋田大学)
連絡先住所:
〒010-8502 秋田県秋田市手形学園町1-1 秋田大学国際資源学部 田所聖志
Tel:018-889-3253(直通)
Fax:018-889-3012(代表)

■日時:2015年3月27日(金)14:00 ~ 28日(土)12:00(予定)
(新旧合同評議員会(予定): 27日11:00?14:00)
27日の 12:30 から受付、14:00 から研究大会を開始します。
研究大会終了は28日12:00です。

■会場:
●27日の研究大会:
田沢湖公民館(田沢湖総合開発センター)大集会室
〒014-1201 仙北市田沢湖生保内字宮ノ後27
Website: http://www.city.semboku.akita.jp/facility_sys/tazawakosokai.html

●宿泊・28日の研究大会:
プラザホテル山麓荘
〒014-1201 秋田県仙北市田沢湖生保内駒ケ岳2-32
Tel: 0187-46-2131 Website: http://sanrokusou.com/

■大会参加費
・有職者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む) 18,000円(大会参加費3,000円、宿泊費15,000円)
・無給者(大学院生、学生等)12,000円(大会参加費2,000円、宿泊費10,000円)
○27日の宿泊費を含みます(27日夜以外の宿泊については各自でお申し込みください)。
○大会参加費は、当日会場でのみ徴収いたします。
○大会詳細については参加者に第二次サーキュラーにてお知らせいたします。
○領収書は、会費と宿泊費に分けて記載します。

*宿泊費と大会参加費の領収書を別に作成する必要のある方は、その旨をあらかじめお知らせ下さい。また、申し込み期限を過ぎました場合、宿の手配が出来 ない可能性があること、直前のキャンセルは、キャンセル料を徴収することを御了承下さい。ご不明な点があればメールにてお尋ねください。

■会場までのアクセス
●電車でお越しの場合
会場の最寄り駅であるJR田沢湖駅は、JR東京駅より新幹線で2時間49分(16,510円)、JR盛岡駅からは在来線で47分(760円)の場所にあり ます。27日の研究大会の会場である田沢湖公民館へは、JR田沢湖駅より徒歩10分であり、タクシーもご利用できます。研究大会終了後、バスでプラザホテ ル山麓荘に移動します(30分)。
●飛行機でお越しの場合
秋田空港より「乗合タクシー秋田エアポートライナー乳頭号(前日まで要予約制)」ご利用で約1時間40分。必ず「事前予約」をお願いいたします。(予約受 付 キングタクシー / 電話:018-867-7444 )
秋田エアポートライナーホームページ http://www.airportliner.net/

■積雪が予想されますので、しっかりした足回りでいらしてください。
■プラザホテル山麓荘には、乳頭温泉より5キロほどの場所にあり、乳頭温泉と同一源泉から引湯したお風呂がございます。学会終了後、乳頭温泉での宿泊を予 定されている方は、なるべく早く予約なさることをおすすめします。
乳頭温泉ホームページ:http://www.nyuto-onsenkyo.com/
■ホテル近隣に、たざわ湖スキー場があります。学会のある3月下旬はシーズン終盤であるもののまだ滑れます。スキーを楽しむご予定のある方は、スキー場の ホームページよりゲレンデコンディションなどをご確認の上、ご計画なさってください。
たざわ湖スキー場ホームページ http://tazawako-ski.com/index.html

研究大会プログラム

3月27日(金)
12:30-14:00  受付開始
14:00-14:10  会長挨拶(および大会事務局より連絡)

〈第一セッション〉 座長:小谷真吾(千葉大学)
14:10-14:35  榊原真美(神戸大学)
心血管疾患に対する保健行動に影響を与える文化的要因
―ソロモン諸島首都におけるエスノグラフィー―
14:35-15:00  中原聖乃(中京大学)
放射能被害和解を阻むもの
―マーシャル諸島核実験被害地の事例―
15:00-15:25  山本真鳥(法政大学)
近くて遠い隣人たち
―ふたつのサモア社会―
15:25-15:35  コーヒーブレイク

〈第二セッション〉 座長:石村 智(奈良文化財研究所)
15:35-16:00  丹羽典生(国立民族学博物館)
消えた日本人移民
―19世紀フィジーにおける実験とその記録―
16:00-16:35  小野林太郎(東海大学)
古代香料交易期のモルッカ諸島における埋葬と物流
―モロタイ島アル・マナラ遺跡の発掘事例から―
16:35-17:00  総会
17:00-17:30  懇親会場・宿舎へ移動
19:00-21:00  懇親会

3月28日(土)
〈第三セッション〉座長:馬場 淳(首都大学東京)
9:00-9:35  前川真裕子(国立民族学博物館)
オーストラリアにおける冗談とレイシズム
9:35-10:05  槌谷智子(東京大学)
開発と土地所有法人の変遷
―パプアニューギニア、フォイの事例から―
10:05-10:30   竹川大介(北九州市立大学)
グローバル化する情報社会とローカルな島嶼社会の間で重奏するリアリティと人類学者の役割
―国際的環境保護団体と伝統的イルカ漁の葛藤事例から―
10:30-10:40  コーヒーブレイク

〈第四セッション〉座長:丹羽典生(国立民族学博物館)
10:40-11:10  小杉 世(大阪大学)
環境と芸術
―ヴァヌアツ・キリバスのコミュニティシアターとレミ・ポニファシオ(MAU)の舞台芸術―
11:10-11:35  佐本英規(筑波大学)
竹笛(アウ)はだれのものか
―ソロモン諸島アレアレにおける竹製パンパイプス・アウの多面性
と「所有」―
11:35-12:00  小西潤子(沖縄県立芸術大学)
パラオの歌心
―ウタホンとレコーディングをめぐって―
12:00 終了


【新刊紹介】

中原聖乃(著)『放射能難民から生活圏再生へ――マーシャルからフクシマへの伝言』(法律文化社、2012年)

本書は、アメリカの核実験によるマーシャル諸島の放射能汚染と被ばくの問題に焦点を当て、研究者とともに一般読者をも対象としたものである。被ばく補償 金を得ながら進められる公共の復興に対し、生活者レベルの対応について考察した。
本書の第一の目的は、アメリカの核実験によって受けたロンゲラップ共同体の混乱を、アメリカとの関係のなかで考察することである。第二は、アメリカの支配 に抵抗する「被ばく共同体の力」を、原状回復や補償要求などをはじめとする加害責任の追及だけではなく、コミュニティを再建する共同体としての力を描き出 していくことである。これまで核実験被害に関する研究は、パワー・ポリティクスを背景として、加害者の責任を明らかにし、加害者による被害者の「文化的包 摂」を分析したものが多かったが、本書はそうした研究とは一線を画す。
本書は、平和研究、文化人類学という二つの学問領域にまたがる研究である。平和研究からすれば、文化人類学のような特定の価値判断を忌避するようなスタン スは現実問題からの逃避と映り、文化人類学にとって平和研究はイデオロギー的と映る。本書は、平和研究のスタンスで、アメリカとマーシャル諸島に横たわる 権力格差を明らかにするとともに、文化人類学的アプローチで現地社会の生活文化をありのままに分析した。
本書は、第1章で安全保障の不平等性について、第2章でサンゴ礁世界の特徴について、第3章で放射能汚染の被害の実証について、第4章で核実験賠償請求に ついて、第5章で帰還プロジェクトについて、第6章でふつうの人びとの動態について論じた。
1954年3月1日のアメリカによるブラボー水爆実験は、マーシャル諸島全土を放射能汚染させ、とりわけ、ロンゲラップ共同体は甚大な被害を受けた。被ば く者は急性放射線障害、挽発性放射線障害を体験し、現在でも故郷を離れた避難生活を送っている。
現在進められている除染とインフラ整備を中心とした「再定住計画」においては、自給自足の暮らしはほとんど考慮されず、人びとの希望する故郷の生活とは全 く異なる「復興の形」が創られつつある。
人々は、ロンゲラップに集団帰還することに付随する放射能リスクを回避しようと、他の場所やメジャト島への残留を画策し、結果的に人々の居住地はマーシャ ル諸島全土、およびアメリカ本土に拡散してしまっている。ただし、拡散してしまった居住地は親族ネットワークに従来からみられる日常的実践によってつなが れ、ロンゲラップ人としてのアイデンティティは保持されている。
本書では、影響の不確実な放射能汚染に恣意的な安全基準値を設けたり、安全宣言を出したりする行政の政策に対して、人々の居住地の拡散とつながりを保持す る文化を、放射能リスクをコントロールする有効なリスク回避手段として評価した。マーシャル諸島の被ばく地域の事例は、上からの復興ではなく、下からの復 興の事例として、3.11以降の日本においても重要な意味をもつ。福島原発事故の影響下にある方々に本書を読んでもらいたいと思っている。(著者)


学会通信

オセアニア学会モノグラフシリーズについて
「The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Series」の第二巻として、会員である前川真裕子氏の著作『Reconsidering Orientalism/Occidentalism: representations of a Japanese martial art in Melbourne』が刊行されました。会員の皆様にお届けします(渉外、モノグラフ担当理事)。

新入会員

上水流久彦(県立広島大学)
田中幸織(一般財団法人沖縄美ら島財団 総合研究センター[美ら島研究センター])

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されています。

寄贈図書


江戸淳子(著)『ニューカレドニア カナク・アイデンティティの語り――ネーションの語り・共同体の語り・文化の語り』明石書店、2015年(著者より 寄贈)。


論文の寄稿について


日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。

ニューズレターNo.110から

第14回 日本オセアニア学会賞選考要項

2014年度日本オセアニア学会賞選考委員会

1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2013年1月1日から 2014年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。

2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。

3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mail アドレス)を明記するものとする。

4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象となる著書または論文名 を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編者名)、出版社、 出版年を明記する。この場合も、著書または論文を日本オセアニア学会事務局宛に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦 理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。

5. 応募期間は2014年11月1日から2015年1月15日まで(必着)とする。

6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailでも受け付けるこ ととする。

(日本オセアニア学会事務局)
〒424-8610 静岡県静岡市清水区折戸3-20-1 東海大学海洋学部 小野林太郎研究室 宛て
TEL 054-334-0411 FAX 054-337-0216
E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員へ郵送する。

8. 2015年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>
1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
2.選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
3.オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。

附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

第32回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

 前号ニューズレターで日程をお知らせしていましたが、日本オセアニア学会研究大会・総会を以下の要領で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお 待ちしています。
ご出欠につきましては、学会ホームページの申し込み用フォームをご利用のうえ、2015年1月31日(土)までにお申し込みください。
皆様と一緒に、フィールド調査の成果を勉強し、乳頭温泉のお湯につかり、雪を眺めながら、秋田のお酒をご一緒できることを楽しみにしております。

■第32回研究大会・総会事務局
夏原和美(日本赤十字秋田看護大学)
田所聖志(秋田大学)

連絡先住所:
〒010-8502 秋田県秋田市手形学園町1-1 秋田大学国際資源学部 田所聖志
Tel:018-889-3253(直通)
Fax:018-889-3012(代表)

■日時:2015年3月27日(金)14:00 ~ 28日(土)12:00(予定)
(新旧合同評議員会(予定): 27日11:00?14:00)
27日の 12:30 から受付、14:00 から研究大会を開始します。
研究大会終了は28日12:00です。

■会場:
●27日の研究大会:
田沢湖公民館(田沢湖総合開発センター)大集会室
〒014-1201 仙北市田沢湖生保内字宮ノ後27
Website: http://www.city.semboku.akita.jp/facility_sys/tazawakosokai.html

●宿泊・28日の研究大会:
プラザホテル山麓荘
〒014-1201 秋田県仙北市田沢湖生保内駒ケ岳2-32
Tel: 0187-46-2131 Website: http://sanrokusou.com/

■大会参加費
・有職者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む) 18,000円(大会参加費3,000円、宿泊費15,000円)
・無給者(大学院生、学生等)12,000円(大会参加費2,000円、宿泊費10,000円)
○27日の宿泊費を含みます(27日夜以外の宿泊については各自でお申し込みください)。
○大会参加費は、当日会場でのみ徴収いたします。
○大会詳細については参加者に第二次サーキュラーにてお知らせいたします。
○領収書は、会費と宿泊費に分けて記載します。

■参加申し込み・発表申し込み
研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについても、 フォームにご記入下さい。また、フォームのご利用が不可能な場合には、御氏名、連絡先を明記の上、FAXか郵便で、必要事項を大会・総会事務局にお知らせ ください。
発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて20~25分程度を予定しています。発表は口頭発表を基本としますが、発表者多数の場合は、ポスター発 表をお願いしたり、時間の短縮をお願いする場合があります。最終的には、事務局で調整して発表時間をご連絡いたします。

研究大会参加申し込みフォーム: http://www.jsos.net/meeting2015.html

*宿泊費と大会参加費の領収書を別に作成する必要のある方は、その旨をあらかじめお知らせ下さい。また、申し込み期限を過ぎました場合、宿の手配が出来 ない可能性があること、直前のキャンセルは、キャンセル料を徴収することを御了承下さい。ご不明な点があればメールにてお尋ねください。

■会場までのアクセス
●電車でお越しの場合
会場の最寄り駅であるJR田沢湖駅は、JR東京駅より新幹線で2時間49分(16,510円)、JR盛岡駅からは在来線で47分(760円)の場所にあり ます。27日の研究大会の会場である田沢湖公民館へは、JR田沢湖駅より徒歩10分であり、タクシーもご利用できます。研究大会終了後、バスでプラザホテ ル山麓荘に移動します(30分)。
●飛行機でお越しの場合
秋田空港より「乗合タクシー秋田エアポートライナー乳頭号(前日まで要予約制)」ご利用で約1時間40分。必ず「事前予約」をお願いいたします。(予約受 付 キングタクシー / 電話:018-867-7444 )
秋田エアポートライナーホームページ http://www.airportliner.net/

■積雪が予想されますので、しっかりした足回りでいらしてください。
■プラザホテル山麓荘には、乳頭温泉より5キロほどの場所にあり、乳頭温泉と同一源泉から引湯したお風呂がございます。学会終了後、乳頭温泉での宿泊を予 定されている方は、なるべく早く予約なさることをおすすめします。
乳頭温泉ホームページ:http://www.nyuto-onsenkyo.com/
■ホテル近隣に、たざわ湖スキー場があります。学会のある3月下旬はシーズン終盤であるもののまだ滑れます。スキーを楽しむご予定のある方は、スキー場の ホームページよりゲレンデコンディションなどをご確認の上、ご計画なさってください。
たざわ湖スキー場ホームページ http://tazawako-ski.com/index.html

2014年度 日本オセアニア学会関東地区例会の報告

日時:2014年12月13日(土)13:00~18:00
場所:立教大学池袋キャンパス1号館1204教室

第一部:個人発表
発表者:佐本英規会員(筑波大学)
発表題目:「ソロモン諸島アレアレにおける竹製パンパイプスをめぐる交換関係の動態:演奏への「支払い」の不確かさを焦点に」
コメンテーター:諏訪淳一郎会員(弘前大学)

第二部:パネル発表
パネル題目:「オセアニアにおける「インターマリッジ」の現代的諸相:マジョリティとマイノリティの観点から」
第一発表者:市川哲(立教大学)
発表題目:「母系社会と父系社会における混血の立場:ニューアイルランド島およびフィジーにおける先住民と華人の通婚」
第二発表者:飯高伸五会員(高知県立大学)
発表題目:「母系的社会における「ハーフ」の潜在化と顕在化:ニッケイ・パラオ人の埋葬に注目して」
第三発表者:深山直子会員(東京経済大学)
発表題目:「ニュージーランド・マオリと「インターマリッジ」」

本年度の関東例会では個人発表1名、個人発表に対するコメンテーター1名、パネル発表3名で開催した。個人発表をした佐本会員は、ソロモン諸島での フィールドワークに基づき、現地の竹製パンパイプスの演奏をめぐる交換関係の動態を、支払の不確かさという観点から論じた。コメンテーターの諏訪会員から は自身のパプアニューギニアにおけるフィールドからの視点に基づいたコメントがなされた。続くパネル発表では、科学研究費プロジェクト「太平洋島嶼部にお けるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究」(代表:風間計博会員、京都大学)の共同研究の一環として、オセアニア島嶼部における主流派とマ イノリティとの関係を、通婚や混血、出自観といった観点から、パプアニューギニア、フィジー、パラオ、ニュージーランド・マオリといった異なる事例を比較 検討する発表がなされた。
(関東地区例会幹事 市川哲)



2014年度 日本オセアニア学会関西地区例会の報告

2014年11月15日(土)、国立民族学博物館において、2014年度日本オセアニア学会関西地区例会が開催された。今回の例会では来日中であったオ レゴン大学のフィッツパトリック氏にもご発表いただけることとなり、学会員2名を含む計3名による英語発表が行われた。発表に続いて、各コメンテーターに よるコメント、フロアからの質疑が寄せられ、活発な議論が展開された。発表者、発表題目、コメンテーターは下記の通りである。

発表者:Scott M. Fitzpatrick (University of Oregon) 
発表題目:Life and Death at the Chelechol ra Orrak Rockshelter : 3000 Years of Occupation in Palau, Micronesia
コメンテーター:印東道子(国立民族学博物館)

発表者:飯田晶子(東京大学) 
発表題目: Environmental Impacts on the Babeldaob Island of Palau under Japanese Administration
コメンテーター:遠藤央(京都文教大学)

発表者:石村智(奈良文化財研究所) 
発表題目:Cultural Heritage under Threat of Negative Impact from Climate Change: Cases in Tuvalu and Kiribati
コメンテーター:野嶋洋子(アジア太平洋無形文化遺産研究センター)

 フィッツパトリック氏の発表では、パラオのオラック島における発掘調査から、そこで発見された今から3000?1700年前の埋葬人骨、また動物骨や 共伴した人工遺物についての報告がなされ、それらが示すパラオの人口と社会の変化についての考察が展開された。続いて飯田氏は、日本統治時代のパラオ、バ ベルダオブ島の農地開拓とボーキサイト採掘などの開発によって、原生熱帯雨林の伐採や土壌浸食という、環境への長期的かつ重大な影響が生じた点を指摘し た。また土地利用や植生に基づく詳細なデータから、伝統的集落の景観分析についての報告もあった。石村氏の発表では、ツバルとキリバスの事例から、気候変 化による負の影響は、土地や景観といった有形文化遺産だけでなく、伝統的農業や食物などの無形文化遺産にも及ぶことが報告され、こうした影響を総合的な見 地から考察することの必要性が指摘された。
コメントおよびディスカッションでは、考古学や都市工学など多様なアプローチから提示されたデータについて、より詳細な質疑が行われただけではなく、歴史 的、文化的視点からの分野横断的なコメントもなされ、包括的かつ濃密な議論を行うことができた。
(関西地区例会幹事 比嘉夏子)

【新刊紹介】


大西秀之(著)『技術と身体の民族誌―フィリピン・ルソン島山地民社会に息づく 民俗工芸』(昭和堂、2014年)

あらためて論じるまでもなく、技術は、個々人の日常生活から国際社会の政策・動向に至るレベルまで、現代社会に多大な影響を及ぼしています。このため、 技術と社会の関係性は、アカデミズムのみならず一般社会のなかでも日常的なトピックとなっています。しかしながら、そのような一般社会の関心に対し、アカ デミズムの側が十分な回答をしめしているか、と問われたならばいささか答えに窮せざるをえないのではないでしょうか。
以上の課題を考慮に入れ、本書では、人間が環境に直接的に働きかける技術的実践を対象とした民族誌的・人類学的研究が直面する困難や課題を踏まえつつ、そ の新たな展開や可能性を追究しました。具体的には、フィリピン・ルソン島山地民社会の土器作りや機織りという民俗工芸を対象として、それらの実践を支える 技術の民族誌レベルでの理解を試みました。その結果、まず現地の人びとが行使している知識や技能が、容易には可視化や言語化しえない特徴を有していること を指摘しました。くわえて、そうした技術が、近代の学校教育とは性格を異にする学習教授システムによって伝習されている社会背景を究明しました。
いっぽう、本書では、開発事業や近代化によって技術の実践や伝習が変容した結果、現地社会に及ぼされた影響の読み解きを試みました。その結果、ジェンダー の変容という思わぬ影響を現地社会に及ぼしたことを明らかにしました。また、こうした状況下でも、現地の人びとが自らの技術を「資源」として、グローバ ル・エコノミーに対しても強かに適応している姿を提示しました。
このような検討を踏まえた上で、本書では、近代テクノロジーのあり方を再考するなかから現代社会において技術研究を行う意義を検討しました。とくに、そこ では、産業革命以降の近代テクノロジーが、社会の至る所でまったく個別に行われている技術的実践を連結することによって、ひとつの生産活動を行う巨大な社 会システムとして再構築し、個々人の労働を究極的にまで細分化された分業の網の目に配置したことを指摘しました。これに加え、技術の急速な進歩によって価 値観やライフスタイルが急激に変化するなか、技術が現代社会に及ぼしている影響は、経済危機や環境問題などと同じく民主主義の課題としなければならないこ とを指摘しました。
本書は、近代社会の中核ではなく周辺に身を置いて、技術と社会の関係性の読み解いたものです。いうまでもなく、近代科学に基づくもののみが、人類にとって の唯一の技術ではありません。そういった意味で、本書は、最先端技術に代表される「近代テクノロジー」や「科学技術」を相対化するような、技術と社会の関 係性をめぐる理解を民族誌フィールドから提示しようと格闘したものです。その試みの成否を含め、本書を御一読いただき、忌憚のない御批評をお寄せいただけ れば幸いです。(文責:大西秀之)

【新刊紹介】


田所聖志(著)『秩序の構造――ニューギニア山地民における人間関係の社会人類学』 (東京大学出版会、2014年)

 本書は、パプアニューギニア周縁部のテワーダの人々がつくりだしている人間関係の秩序(リーダーシップ、年齢秩序、男女関係)を、「村の中」「村の 外」「儀礼の場」という3つの場に与えられた意味の違いに注目して考えた民族誌的研究です。構成は次の通りです。
序 章 秩序をめぐる規範と実践の乖離
第1章 テワーダの生活環境
第2章 「村の中」と「村の外」の対立は深いか
第3章 村の中――規範が実践されない場
第4章 村の外――規範と実践が一致する場
第5章 集団魚毒漁――規範が集団で実践される場
第6章 「村の中」と「村の外」における規範・実践・秩序
終 章 人間関係の秩序とメラネシアの村落空間
本書では、テワーダの人々が「私たちのやり方」として語る内容と、「村の中」において彼らが実際に行う振る舞いの間に大きな齟齬がある一方、「村の外」と 「儀礼の場」では両者の一致が見られる理由を、メラネシア研究の知見に引きつけて解釈しようと試みました。
調査を始めた頃、目にした行動の理由を逐一訊ねる私に対し、テワーダの人々は、「これが私たちのやり方である」という返答をしばしばしてきました。ヤーフ ゲという語が、ここで「やり方」と訳した語であり、「正しい方法」「決まり事」とも訳せます。ヤーフゲは、たばこや檳榔のやり取り、食事の取り方、家屋内 外での振る舞い方、結婚相手の選び方、狩猟や漁撈の手法、畑作りや葬送の手順といったさまざまな事柄の説明に使われました。
そうした場面に遭遇する中で、ヤーフゲという語が、男性相互の関係と男女間の関係に関わる事柄に、とりわけよく使われることに気づきました。また同時に、 私にとって不思議だったのは、ヤーフゲとして語られる規範と矛盾する振る舞いを、人々が実際にはたくさん行っていることでした。なぜ、人々は規範と矛盾し た振る舞いを行うのだろうか?
この疑問を解くことができると思ったのは、村から離れた川で行われた集団魚毒漁に参加したときでした。そこでは、ヤーフゲとして語られていた規範が、人々 によって矛盾なく見事に実践されているように思われたからです。このとき以来、私は、「村の中」と「村の外」での振る舞い方の違い、つまり規範と場との関 係について考えるようになりました。
本書は、以上のような疑問に答えを与えようとしてまとめました。焦点は、しばしばヤーフゲに言及されて説明がなされたリーダーシップ、年齢秩序、男女関係 の規範に絞りました。なお、第5章は、植物由来の魚毒を用いる集団漁労についての稀少な記録だと思います。規範と場の関係について考えたい方、ニューギニ ア山地民や魚毒漁に関心ある方に読んでいただけたら嬉しいです。(文責:田所聖志)



学会通信


新入会員

飯田晶子(東京大学大学院)

山極海嗣(琉球大学大学院)

Barbara B. Wavell(アメリカ合衆国)

所属変更

野嶋洋子(アジア太平洋無形文化遺産研究センター)

渡辺 文(立命館大学)

*新入会員の連絡先についてはsecretary[アットマーク]jsos.netにご連絡下さい。問題なければ紹介いたします。

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されています。

寄贈図書
渡辺 文『オセアニア芸術:レッド・ウェーブの個と集合』京都大学学術出版会、2014年(京都大学学術出版会より寄贈)

論文の寄稿について
日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。
・寄稿資格:日本オセアニア学会員に限ります。
・枚数:400字詰め原稿用紙30枚程度(注釈、図表、参照文献リスト等を含む)
・問い合わせ先:
編集委員 飯高伸五(理事)
(執筆希望の方はご一報ください)


ニューズレターNo.109から

第31回 総会の報告

2014年3月21日(金)、第31回日本オセアニア研究大会会場(高知市国民宿舎桂浜荘)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。総会の 議事は以下の通りです。

1.2013年度決算(会計理事・会計監査)
*2013年度決算(2013年3月1日~2014年2月29日)について、石森大知理事より説明があり、承認されました。(別紙参照)
・会計監査は、須田一弘氏および山内太郎氏によって行われました。

2.2013年度事業報告
*下記2013年度事業報告が審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.29の刊行(83pp.:論文3本、通信1本)
・日本オセアニア学会モノグラフシリーズ(JSOS Monograph Series)1号として、The Story of Raga-David Tevimule's Ethnography on his own society, North Raga of Vanuatu- (by Masanori Yoshioka)を刊行しました。
・NEWSLETTER no.106,107(紙媒体)の刊行(論文4本)
・NEWSLETTER no.108(電子版)の刊行(論文1本)
・研究例会の実施
関東地区 2013年12月8日 立教大学 発表1本
関西地区 2014年1月13日 京都大学 発表2本
・ニューズレター掲載論文の電子公開
・第31回研究大会・総会の実施
2014年3月21-22日 高知市国民宿舎桂浜(大会長:飯高伸五)
・日本学術会議等関連の活動
・第13回日本オセアニア学会賞について 
深山直子氏(東京経済大学)
対象著作:現代マオリと「先住民の運動」-土地・海・都市そして環境
*日本オセアニア交流協会より副賞をいただきました。なお、学会賞選考委員会からの報告は、以下、別記事として掲載されております。

3.2014年度事業計画
*下記2014年度事業計画が審議の結果、承認されました。

・People and Culture in Oceania vol.30の刊行
・NEWSLETTER no.109、110、111の刊行
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・評議員選挙の実施
・第32回研究大会・総会の実施
・第14回日本オセアニア学会賞の募集
・日本学術会議等関連の活動

4.2014年度予算(別紙参照)
*2014年度予算案(2014年3月1日~2015年2月28日)について、石森大知理事より説明があり、承認されました。

報告事項
1.第32回研究大会・総会は、日本赤十字秋田看護大学の夏原和美会員および秋田大学の田所聖志会員を大会長として開催予定であることが報告されました。

2. 2013年度よりニューズレターが電子化されることになりましたが、さらにニューズレターの名称変更や、オセアニア関連の日本語文献の書評といった新たな項目を設置すべき かについて検討が行われました。その結果、ニューズレターの掲載項目や内容については現状維持とし、名称変更に関しては事務局より案を検討・提出の上、次 回の総会にて再検討することになりました。

3.PCOについても、科学研究費による学会誌の出版助成枠がなくなり、国際情報発信力を強化する目的での助成のみが申請可能となっている現状や、 PCOへの投稿論文数が極めて少ない現状を踏まえ、海外発信力をさらに強化することでPCOの学会誌、専門誌としての価値を高め、投稿論文数の増加を図る 目的から、現状の電子化状況をさらに発展させる可能性について議論が行われました。その結果、事務局を中心とした電子化に関する検討班を作り、その可能性 と具体案についての検討を行っていくことになりました。

第13回 日本オセアニア学会賞について

1) 第13回 日本オセアニア学会賞受賞者
深山 直子 氏
対象著作:『現代マオリと「先住民の運動」―土地・海・都市そして環境』(風響社 2012年2月刊行)

2)選考理由
深山直子著『現代マオリと「先住民の運動」―土地・海・都市そして環境』は、ニュージーランド・オークランド市および近郊の先住民マオリ・コミュニティで の長期にわたる現地調査ならびにオークランド大学マオリ研究学部を拠点に実施した史料調査の成果に基づき、ニュージーランド・マオリの「先住民の運動」の 特質を歴史的かつ多元的に描き出そうとする野心的な試みである。従来のマオリ研究では、先住民族によって組織化された大規模な政治=社会=文化運動に偏っ て議論の蓄積がなされてきたが、現代のニュージーランドには、こうした組織的な「先住民族運動」に与することができず、あるいは与することを積極的に拒否 しながら、個人ベースでさまざまな主張を発信するマオリの存在が顕在化してきている。
このような多様化する「先住民の運動」は現在土地のみならず、海(慣習的漁撈権、前浜および海底の慣習的所有権)や都市(都市マオリの先住権、マラエの創 設、環境保護意識)を巡っても展開されているが、それを歴史的文脈の中で分析・解釈しようとする本書の手法はきわめて手堅いものであり、その独創性は高く 評価される。マオリ固有の民俗概念を分析概念として用いるという終章に関しては、その適否を巡って議論の余地があろうが、本書の民族誌的価値は極めて高 く、先住民研究全般に対し多大なる貢献を果たすものと言えよう。

3) 第13回 日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長  栗田博之
委員  稲岡 司
須田一弘
片岡 修
関根久雄

第14回 日本オセアニア学会賞選考要項

2014年度日本オセアニア学会賞選考委員会

1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2013年1月1日から 2014年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。

2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。

3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会事務局宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mail アドレス)を明記するものとする。

4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象となる著書または論文名 を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編者名)、出版社、 出版年を明記する。この場合も、著書または論文を日本オセアニア学会事務局宛に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦 理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。

5. 応募期間は2014年11月1日から2015年1月15日まで(必着)とする。

6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailでも受け付けるこ ととする。

(日本オセアニア学会事務局)
〒424-8610 静岡県静岡市清水区折戸3-20-1 東海大学海洋学部 小野林太郎研究室 宛て
TEL 054-334-0411 FAX 054-337-0216
E-mail: secretary[アットマーク]jsos.net

7. 事務局は自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をし、受領書類を選考委員へ郵送する。

8. 2015年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>
1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿することが望まれます。
2.選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
3.オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。

附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

日本オセアニア学会モノグラフシリーズについての申し合わせ

日本オセアニア学会理事会
2014年3 月21日

日本オセアニア学会は、学会員の研究成果の発表促進のため、The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Series(以下、モノグラフシリーズ)を出版する。

1.モノグラフシリーズは不定期刊行物とし、随時原稿を募集する。著者および編者(以下、著(編)者)は過去2年間会費を納入している学会員とする。
2.著(編)者は、応募の際、図版を含め既に完成した原稿をモノグラフシリーズ担当理事に提出する。
3.応募があった場合、モノグラフシリーズ担当理事が審査委員会を招集する。審査委員会を構成する査読者は、学会員1名を含めた3名までとする。審査結果 を踏まえ、モノグラフシリーズ担当理事が出版の可否を決定する。
4.出版が認められた場合、著(編)者は入稿前の原稿修正、印刷業者とのやりとりなど、すべての編集・事務作業に責任を負う。著(編)者は印刷・学会との やりとりにかかるすべての経費を負う。
5.刊行物について、著(編)者は学会が定める部数を学会に寄贈し、日本オセアニア学会は会員・寄贈先への配布を行う。原則として学会は配布にかかるすべ ての経費を負う。配布時期・方法は学会が決定する。
6.原則として使用言語は英語とする。
7.装幀は B5版、横書きとする。
8.原則として出版は単年度1冊とする。

付則 本申し合わせの改正は 2014 年 3 月 21 日から施行する。


【新刊紹介】

渡辺 文(著)『オセアニア芸術――レッド・ウェーヴの個と集合』
(京都大学学術出版会、2014年)

本書が対象とするのは、「民族芸術」の担い手とみなされてきたオセアニア島嶼域にありながら絵画「芸術」を追求する、境界領域における人びとの実践であ る。本書の目的は、これらの実践が既存のアートワールドの指し示す個性(=芸術)と集団性(=民族芸術)という二項対立を超え、「集合性」というあらたな 次元を顕現させる姿を民族誌的記述をつうじて分析することにある。そして、絶えず変化をうみだしながらも、オセアニアらしさとの連続性を保ちつづけていく 集合性の在り方を明らかにする。構成は以下の通り:
第1章 芸術を人類学的に論じる
第2章 芸術、文化、ローカリティの共謀――オセアニアの現代芸術
第3章 芸術の家(ホーム・フォー・アーツ)――オセアニア・センターの生活
第4章 芸術家になるために――ライフ・ストーリー
第5章 反復される絵画――集合芸術のつくりかた
第6章 売れる絵と売れない絵――三つの市場と画家の葛藤
第7章 差異化される絵画――「自分の作品」のつくりかた
第8章 制作の場――描いているのは誰か?
第9章 オセアニアをさがして、再び
1章にて理論的視座を示したのち、2章では、オセアニア地域で芸術との接触が起こった歴史的背景を概観し、芸術が、文化やローカリティという価値領域と共 謀しながら発展した経緯を明らかにする。3章ではエペリ・ハウオファの提唱した「オセアニア」という概念を検討したのち、その理念を礎に設立されたオセア ニア・センター(在スヴァ)の日常のなかで芸術の学びの過程が展開し、オセアニアらしさが定義され、共同性が獲得されていく姿を描く。4章では画家のライ フ・ストーリーを紐解きながら、センターの家としての求心力や、芸術という行為の魅力が個人史の奥底にまで作用していることを論じる。
5章からは集合芸術と呼ばれる絵画作品群に光を当て、モチーフとスタイルという分析概念を用いながら作品群における共通項を導きだし、「オセアニアらし さ」との関連を検証する。6章ではコレクター市場、土産物市場、デザイン市場という連続する3つの市場を明らかにし、それらの期待と交渉を繰りかえす画家 たちの葛藤を描く。そして7章では、彼らが葛藤をつうじて個々の「差異化されたスタイル」をうみだしている過程を追跡する。
8章では描く・見るという行為空間へ視点を転じ、画材-作品-身体の行為連関を論じる。そして9章にて、これらの行為連関とスタイル、オセアニア、集合性 という概念とを総合的に論じることによって、変化を常態とする終わりなき連続体としてのオセアニア芸術の全体像が示される。(著者)

学会通信

新刊紹介について
オセアニア学会ニューズレターでは、オセアニア学に関わる単行本の書評、ご自身の新刊についての紹介文などを随時募集しております。掲載の可否について は、当面ニューズレター担当理事の判断とさせていただくことをご了承ください(庶務担当理事)。


次回大会日程について

次回研究大会が2015年3月27~28日に実施されることになりました。会場については、秋田県仙北市田沢湖周辺を検討しております。大会参加方法など 詳細は次号のニューズレターでお知らせいたします(大会長:夏原和美・田所聖志)。

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されて います。

大島襄二先生を悼む

青柳まちこ(立教大学名誉教授)

 大島先生は今年2014年3月11日94歳で逝去された。先生は名古屋市で生物学者大島廣氏の長男として生まれた。ご両親ともクリスチャンで、お名前 の襄二はジョージ・ワシントンから来ているそうで、ずいぶん日本人離れしたご家庭だったようである。旅券申請など名前のローマ字表記の時、Georgeと 書くと、必ずJojiと直されるとやや不満げに話しておられたのを耳にしたことがある。福岡で少年時代を過ごし、第五高等学校から京都帝国大学文学部史学 科に進み地理学を専攻された。京大では学部は異なるが、梅棹忠夫先生と同期だそうである。
京都大学に提出された学位論文は『水産養殖業の地理学的研究』(東京大学出版会、1972年)で、以後一貫して先生は海とくに水産業、漁村などに深い関心 を寄せている。また一見ひ弱に見えるが、実は山男でもあり、関西学院大学山岳部の部長を務め、オセアニアとの最初の係わりも、1967年、68年、関西学 院大学パラワン島学術調査隊の隊長として学生5人を引率して参加されたことであろう。この時はパラワン島南部の山地に住む人々を主として調査し、その記録 が『幻のケン・エイ族』(毎日新聞社、1968年)として出版されている。
しかしオセアニアにおける本格的なフィールド調査は、文部省の科学研究費を得て実施した1970年代のトレス諸島調査ではないだろうか。これは1975年 から77年、79年と3回にわたって行われ、先生は文化変容、とくにキリスト教の受容に関心を寄せられたようである。大島襄二編『トレス海峡の人々―その 地理学的・民族学的研究―』(古今書院、1983年)は、トレス海峡の人々に関する日本語で出版された最もまとまった報告書ではないだろうか。
その後オーストラリア国立大学へ短期留学をされ、トレス海峡に近い北オーストラリアの調査も開始しているが、また87年にはカナダ東海岸ハリファックスの 大学に留学され、ニューファウンドランド漁村調査に携わった。
93年に関西ニュージーランド研究会(現ニュージーランド学会)を立ち上げ、以降はニュージーランド研究に軸足を移されたように見える。私自身が大島先生 と親しくお付き合いをするようになったのは、この学会の10周年記念事業として計画された『ニュージーランド百科事典』(春風社、2007年)の編集に参 加するようになってからである。会員100人前後の小さな学会の事業としては無謀とも思われる企画であったが、幸い2003年横浜の出版社春風社の好意で 出版が決定した。以降編集委員4人は毎月のように京都に集まり、泊りがけで作業に携わることとなった。当時大島先生は80代半ばを過ぎておられたが、朝か ら夕方まで私たちと一緒に、精力的に活動されていた。とくにご自分の原稿に関しては、何度も何度も訂正をされていたことが印象に残っている。
大島先生は常に黒眼鏡をかけておられたが、それはカナダの氷河地帯調査中、何らかの菌が目に入り、失明して片目が義眼であったためである。もう一方の目も 緑内障だったそうで視野が極端に狭く、細かい活字を読むことは想像以上に大変な作業であったろう。この無理がたたったのか、晩年は白い杖に頼る視力障害者 になられたとのことである。
大島先生は多才な方であった。米寿を記念して出版された『五年目の霧―創作・随想・作曲―』(編集工房ノア、2008年)の中では、カナダ東海岸ハリ ファックスの霧の海に消えた若い漁師と彼を待つ妻の物語が美しく描かれているし、後半には小学校時代から晩年までに作曲されたという童謡、讃美歌、校歌な どが数曲、楽譜付きで収録されている。
また非常に謙虚な方で、はるかに年下の者に対しても、常に敬語を用い礼儀正しい対応をされていた。1974年には沖縄海洋博の文化資料収集責任者として、 多くの若い研究者を各地に資料収集のために派遣されたことも、特筆に値する。これが契機となってオセアニア研究を志した人々も多いであろう。
大島先生がオセアニア研究の発展のために尽くされた功績を感謝し、心からご冥福をお祈りしたい。



「永遠の少年」塩田光喜氏を偲ぶ

熊谷圭知(お茶の水女子大学)

 塩田光喜さんは変わった人だった。人懐こい人だった。少年のような人だった。皆に驚かれ、時には迷惑がられながらも、愛されていた。
彼と初めて会ったのは、私が1年間のパプアニューギニア留学を終えて帰ってきた後、たぶん1981年のことだったと思う。当時都立大の院生だった斎藤尚文 さんたちが主催する研究会に呼ばれて話をした。笑顔を浮かべながら親しげに話しかけてきて、一言一言に目を輝かせながら、オーバーにリアクションする姿が 印象的だった。そしてその印象は、最後まで変わらなかった。
アジア経済研究所の研究会では、2回、4年間にわたって一緒に仕事をした。研究会はたいてい土曜日の午後に開催されたが、主宰者である彼が定刻に現われる ことはほとんどなかった。1時間以上遅れてくることもふつうだった。それでも皆はいつものように待ち続け、やがて悪びれることなく、彼はいつもの笑顔で やって来た。彼と意見は合わなかった(しかし気が合わなかったわけではない)。編集段階でどんなやり取りをしたか、よく覚えていない。今思えば、よく2冊 も共著で本を出せたと思うが*、アジア経済研究所の編集スタッフが優秀だったせいか、特段の支障は感じなかった。
調査中に、時たまポートモレスビーの街で彼とばったり出会うことがあった。アウトドア用のポケットがたくさん付いたベストに、重たそうなウェストポーチを 付け、汗を拭きながら現われた。たいてい村人を何人か付き従えていたから、いつも立ち話程度だった。
最後に会ったのは、昨年末、東京でのパプアニューギニア友の会の席上だった。「熊谷さん、わたしもうフィールドに行けなくなっちゃったんですよ」。心臓が 悪く、医者から止められているのだという。その時はその言葉をそれほど深刻には受け止めなかった。 
亡くなる1週間ほど前、彼は研究所内で倒れた。病院に行き、主治医の診察も受けたという。しかし大切な出版打ち合わせに現われなかった彼を、不審に思った 職員が一人暮らしの自宅を訪ねて、彼の死が発見された。
突然の訃報が届いて4か月後、6月27日夕、東大駒場キャンパス内で、塩田光喜氏を「偲ぶ会」が催された。それは彼の人柄を反映した、特筆すべきものだっ た。主宰したアジア経済研究所の同僚のほか、高校、大学時代の同窓生、畑中幸子さん、山本真鳥さん、内藤暁子さん、風間計博さんなどオセアニア研究者…、 40名近くが集まり、全員が一言ずつ塩田氏への言葉を語った。通常の、儀礼的な悲しみに溢れた会とはおよそ異なり、会場にはむしろ明るい空気が流れてい た。高校・大学時代の同級生は、彼の頭の回転の早さや知識の豊富さを語った。大学院の入試で面接官を怒らせて不合格となったエピソードも紹介された。一緒 に仕事をした同僚や仲間たちは、彼のユニークな言動にいかに振り回されたかを、生き生きと仔細に語った。会場の片隅のテーブルには、モノクロの彼の小さな 写真が置かれていた。あまりに皆が「悪口」ばかり言うので、今にも彼が「わたしにも一言いわせてくださいよ…」と自ら現われそうだった。
私は、塩田さんが「永遠の少年」で、成熟しないことを自ら選び取った、ナルシストだったと言い、そのような人生を送れたのは、幸せだったのだろうと話し た。パプアニューギニアというのは、誤解を恐れずに言えば、甘えを許す社会であり、またそれによって人を招き続けるフィールドでもある。パプアニューギニ アというフィールドが彼を招き、そして彼自身がそれを引き寄せ、愛し続けた。それは塩田さんにとって何よりも幸せなことだったに違いない。

* 熊谷圭知・塩田光喜(編)
1994『マタンギ・パシフィカ―太平洋島嶼国の政治・社会変動』アジア経済研究所
2001『都市の誕生―太平洋島嶼諸国の都市化と社会変容』アジア経済研究所

塩田光喜先生とはどのような研究者だったのか?―追悼の辞に代えて―

馬場 淳(首都大学東京 客員研究員)

 私が塩田光喜先生とはじめてお会いしたのは、大学院の先輩の誘いで、アジア経済研究所(以下、アジ研)が市ヶ谷から海浜幕張に移転する際の研究室整理 に伺ったときだった。二人一組で使う研究室は、薄い仕切り板を挟んで対照的だった。塩田先生の領域は、書籍やコピー類で埋め尽くされ、これまで見たことの ない光景が広がっていた。当時はいかにも研究者らしい部屋だとの印象を抱いたものだが、それが先生の片づけられない性格によるものだということを知ったの は後のことである。とにかくこの出会いをきっかけに、公私にわたる付き合いが始まった。いつしか先生は、私を「バビー」と呼ぶようになった。
塩田先生がアジ研所蔵の著書や論文を大量にコピーできるよう便宜を取り計らってくださったこともあり、大学院生の私は先生を頼りにアジ研通いをするように なっていった。ときに、私は先生の論文執筆をお手伝いするバイトとして雇われたこともあった。先生はタイピングを苦手としていたから、その仕事はもっぱら 手書き原稿をタイプするというものだった。もっとも印象に残っているのは、原稿用紙換算で約1500枚にのぼる先生の主著『石斧と十字架』(彩流社、 2006年)をひたすら打ち込んだあの「過酷」な夏休みである。やがて先生は、私をアジ研の共同研究に呼んでくださり、新しい知的環境を与えてくださっ た。そのほか、プライベートでのお付き合いもあった。食事はもちろんのこと、何度か塩田先生のお宅にお邪魔したこともある。何より電話で話した時間は計り 知れない。先生は、私の生活パターンを「学習」し、定刻に電話をかけてきた。家族の誰もが(会ったこともない)塩田先生に親近感を抱くようになったほど だ。あまりの頻度に居留守を使ったこともあるが、電話に出ないと、留守電に先生の怒りのメッセージが残るのがオチだった。私の結婚パーティでは、大好きな オペラを堂々と独唱してくださった。完全に自分の世界に入っていたが、先生の歌声はいつの間にか新宿の小粋なレストランをオペラハウスに変えてしまったの だった。
塩田先生と交流のあった人なら、この種のエピソードを挙げることは容易いだろう。先生は、多くの人と親密な関係を築き、強烈な個性を臆面もなく発揮しなが ら――ときにそれが裏目に出ることもあったようだが――交流してきた。だから、先生絡みのネタは尽きることがないのである。
普通なら、上述のエピソードを「思い出」に変えて、塩田先生を偲ぶところだが、ここではもう少し紙幅を頂き、塩田先生の研究者像をまとめてみようと思う。

■塩田先生は、文明史家だった。
パプアニューギニア研究者として知られる塩田先生のキャリアは、東京大学にて、パプアニューギニアの人間観についての卒業論文研究を行ったことからはじ まった。アジ研に入所した後、1985年から1987年まで、南部高地州に暮らすインボング族を対象に人類学的フィールドワークを行った。その後は、ポー トモレスビーで一攫千金を夢見るインボング族たちの調査を断続的に行っていた。先生は、これらの研究を「インボング人類学」と呼んでいた。
なお大学院については、面接時に教官らと激しく議論したことによって、その進学は潰えたと言われている。しかしアジ研は、文化人類学を専攻していた塩田先 生を、かなりの期待をもって迎えたという(アジ研関係者談)。その期待どおり、アジ研では、共同研究を精力的に組織し、着実に刺激的かつ独創的な成果を世 に出していった。
ここで、インボング人類学がより壮大な研究テーマの中に包摂されていることを指摘しておきたい。具体的にそのテーマとは、国家、宗教(キリスト教)、貨幣 経済(資本主義)の三本柱から成る文明論である。塩田先生の論考を読めば、たとえローカルな事象を取りあげているとしても、文明論を意識して書かれている ことがわかるはずだ。遺作となった『太平洋文明航海記』(明石書店、2014年)は言うまでもないが、実はインボング人類学の代表作『石斧と十字架』も文 明論である。文明史家よろしく、先生の知識と関心は文化人類学を越えて、さまざまな分野に及んだ。今どき、文明論を声高に叫ぶ文化人類学者がいるだろう か。先生の業績については後に詳細な検討がなされるだろうが、ここで強調しておきたいのは、私たちが稀有な研究者を失ったということである。

■塩田先生は、ユニークな表現者だった。
上記の研究活動は、独特の仕方で表現された。まずインボング族との会話は、方言(讃岐弁)で記されている。先生曰く、「俺にはインボング語が讃岐弁のよう に聞こえるんだ」。その是非はともかく、この方法は著述に異化効果を及ぼしている。次に強調したいのは、文筆活動――ワープロではなく、手書き――が音楽 と不即不離だったこと。塩田先生は、常にCDプレーヤーでクラシックやオペラを聞きながら、モノを書いていた。先生曰く、「音楽を聞きながらでないと書け ない」らしい。
これらが、独特な「作品」を生み出した背景にある。それを感得したいのならば、『石斧と十字架』を手にとってみればよい。この書物は、移調や転調に満ちて おり、すこぶる演劇的・音楽的な「作品」であることがわかるはずだ。なお先生の論考は、このことから、通常のアカデミックなそれと趣を異にしている。それ は、「俺のスタイルはアカデミズムに馴染まないのだ」「一般の人に読んでもらえるものを書きたい」と語っていたように、本人も重々自覚していたことであ る。たとえそれが裏目に出たとしても、最期まで自分のスタイルを貫いたのだった。

■塩田先生は、ニューギニア高地人にたかられていた。
先生は、上記の研究を遂行するうえで、現地人の「たかり」を必然として受け止めていた。私は、研究室で、先生がインボング族の「たかり」に電話で応対して いた光景を目撃したことがある。学費や冠婚葬祭などの儀礼的費用を送金するほか、さまざまなモノも段ボールに詰めて現地に送っていた。パソコンを買ってあ げたとも言っていた。現地に行けば、インボング族の友人の生活を惜しみなく支援していた。これについて、先生は「ビッグマンの運命」と真面目に語ってい た。実際、「たかり」に応じた先生は、逆に現地のインボング族をほしいままに動かし、調査に必要な便宜を享受していたのである。

■塩田先生は、大学で講義をしたことがあった。
アジ研所員という立場から大学の教壇に立つ先生の姿は想像しがたいものだが、先生は2年間、東京都立大学(現・首都大学東京)の非常勤講師として文化人類 学を講じたことがあった。これは、首都大学東京の伊藤眞先生の尽力によるものである。二人の交流は、伊藤先生の院生時代――当時、塩田先生は東京都立大学 社会人類学研究会にしばしば顔を出していた――から続いていた。伊藤先生の結婚式に際しては3次会まで付き合ったということから、二人の関係、そして縁を 大切にしていた塩田先生の人柄が伺えよう。伊藤先生は、一コマを使ってずっとギアツの『ジャワ人の宗教』を講じたと情熱的に語る塩田先生の笑顔を今でも覚 えている。私も塩田先生の講義を一度でいいから聴いてみたかったと思う。

以上、研究生活に焦点を当てて塩田先生の人物像を私なりに書き記してみた。やや長くなり、しかも部分的に酷い表現(暴露話)が含まれており、追悼文には そぐわない内容かもしれないが、短い人生を全身全霊で研究に捧げた塩田先生の人柄を理解する一助となることを願ってのことだと理解していただきたい。「塩 田先生を書く」ことは、約15年にわたって公私共々お世話になり、生前十分に感謝の気持ちを伝えられなかった私が今できる/すべき恩返しなのである。感謝 の気持ちを込めて、ここに追悼の辞を捧げたい。
末筆ながら、塩田先生のご冥福を心よりお祈りいたします。

論文の寄稿について
日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。
・寄稿資格:日本オセアニア学会員に限ります。
・枚数:400字詰め原稿用紙30枚程度(注釈、図表、参照文献リスト等を含む)
・問い合わせ先:
編集委員 飯高伸五(理事)
(執筆希望の方はご一報ください)



ニューズレターNo.108から


2013年度 日本オセアニア学会関東地区例会の報告

日時:2013年12月8日(日)13:30~
場所:立教大学池袋キャンパス1204号教室(本館一号館)

発表者:河野正治(筑波大学大学院)
発表題目:「現代ポーンペイの初物献上における時間性の社会的構成―土地の豊饒性に還元されない首長への貢納をめぐって―」
コメンテーター:柄木田康之(宇都宮大学)

本発表では、現代オセアニアの首長制のなかにあってなお、初物献上がミクロネシア連邦ポーンペイにおいて実践されているという事象を取り上げた。慣習の領 域だ けで変わらずに続いているように見える初物献上だが、在地の暦に照らすと、本来の実施時期よりもかなり早い時期に行われている。発表者は、こうした暦と実際の 実施時期のズレに着目し、近代化による社会関係の再編のもとで社会活動を組織化するために、いかに暦の調整がなされるのかを見るという観点から初物献上の 実践 を検討した。その際、初物献上のクライマックスとされる礼の祭宴が、象徴的意味だけではなく物質的利害を持つ点に着目した。
発表者は、初物献上の暦と実施時期が異なる背景を明らかにするための事例を紹介した。第一に、ヤムイモの展示によって死者の名誉を示すために、村人の偶発 的な 死を契機として、ヤムイモの展示にかかわる礼の祭宴が緊急に実施されるという事例について、映像を交えながら紹介した。第二に、最高首長が自身の所属するキリ スト教会の行事を成功させるために、演説をとおして初物献上の時期を調整し現金を獲得するという事例を紹介した。このようにつくられる初物献上の時間性 は、神 の代理としての首長を媒介として収穫に感謝し翌年の豊饒を祈念するという、土地を介した神・首長・人間の一元的な交換に還元できるものではない。むしろ、それ は、慣習的な暦だけではなく、村人の死期や、キリスト教の行事、現金の必要性などによって左右されることを明らかにした。
コメントと質疑応答では、季節性だけではなく人間の一生も視野に入れて、初物献上の時期の変化と個人のライフコースの変化を両方見たほうがよいという指摘 や、 ヤムイモの展示について植民地以前にまで遡って検討するべきという指摘、初物献上の時期が他の出来事との関係でいかに調整されるのかではなく、慣習の領域に軸 足を置かずにむしろ様々な次元がどのように調整されるのかという枠組みで理解すべきという指摘がなされた。

(文責:河野正治)

2013年度 日本オセアニア学会関西地区例会の報告

2014年1月13日(月)、京都大学吉田南キャンパスにおいて、2013年度日本オセアニア学会関西地区例会が開催された。当日の参加者総数は20名 近く にのぼり、盛況な会となった。今回は学会員2名による研究発表の後に、各コメンテーターからのコメント、フロアからの質疑が寄せられ、活発な議論が展開され た。発表者、発表題目、コメンテーターは以下の通りである(所属は開催当時のもの)。

発表者:町聡志(岡山大学大学院・博士後期課程)
発表題目:「『土地の声』からSNSへ―ミクロネシア連邦ヤップ州における新たな言説空間の出現―」
コメンテーター:柄木田康之(宇都宮大学)

発表者:栗田梨津子(国立民族学博物館・外来研究員) 
発表題目:「オーストラリア都市先住民のアイデンティティの変容-若者の生活体験に着目して」
コメンテーター:深山直子(東京経済大学)

 町氏の発表では、ミクロネシア連邦ヤップ州で近年生じた、海外資本による大型観光開発計画についての、州政府、首長会議、地域住民の対応が報告された。 州政 府および首長会議による独断的な計画の推進に対して地域住民は不信感を強め、反対意思を表明するステッカーの拡散や、SNSを中心とするインターネット上での 情報共有を活発に行っていた。主として若い世代によって構成されるこれらの新たな言説空間の分析を通して、伝統的な合意形成を基盤とした「土地の声」とは 異な る回路による言説が生まれつつあることを町氏は指摘した。
 栗田氏の発表では、オーストラリア、アデレードの都市アボリジニにおける、世代間のアボリジナリティの変容について、三世代にわたるライフストーリーに 基づ く考察が行われた。事例から栗田氏は、白人主流社会への抵抗としての、第一、第二世代によるアイデンティティの政治とは対照的に、第三世代においては、アボリ ジニ社会と白人主流社会の間で状況に応じた暫定的な位置取りがなされる点を指摘した。さらにそうしたアイデンティティ形成の実態に着目することで、白人主 流社 会への従属あるいは抵抗という従来の枠組みを乗り越える可能性が示唆された。
 両者は一見その主題を異にするものの、変容下にある現代オセアニア社会のなかで、若い世代が自らの置かれた状況をいかに認識し、行為しているのかを参照 する うえで重要な議論であった。また言説形成という論点についても、歴史性や階層性といった視座からのより詳細な分析によって、今後さらなる議論の発展が見込まれ ることが、質疑応答において確認された。
 なお今回は、科研費基盤研究(A)「太平洋島嶼部におけるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究」(研究代表者:風間計博)との共催であっ たこ とを付記する。

(関西地区例会幹事 比嘉夏子)

第31回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

前号ニューズレターでお知らせいたしましたように、日本オセアニア学会研究大会・総会を以下のとおり開催いたします。

日時
2014年3月21日(金)13:30 ~ 22日(土)12:30(予定)

(理事会:21日(金)10:30~12:00、 評議員会:21日(金)12:00~13:00)

大会・総会・理事会・評議員会会場および宿泊・懇親会場

高知市国民宿舎 桂浜荘

〒781-0262 高知市浦戸830-25

TEL:088-841-2201 FAX: 088-841-2249

URL:http://www.katsurahama.jp

参加費(前回お知らせ時より、有給者は3000円、無給者は2000円安くなっていま す)

有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む)15,000円。

無給者(大学院生、学生等)9,000円。

いずれも21日の宿泊費、夕食代・朝食代、懇親会費を含む

*桂浜荘に宿泊されない場合の大会参加費(夕食代・朝食代、懇親会費は含まれません):有給者、無休者ともに5000円。

送迎バス

本数が限られていますが、以下の無料送迎バスを運行いたします。
1) 高知龍馬空港から桂浜荘まで(定員40名):
*11時50分ごろ発(参考:ANA1605便[伊丹⇒高知]11時高知着、JAL1487便[羽田⇒高知]:11時35分高知着)
*高知龍馬空港のバス乗り場近くで「桂浜荘」の表示があるバスに乗って下さい。空港連絡バスとは異なりますのでご注意下さい。
2) 高知駅から桂浜荘まで(定員27名):
*12時40分ごろ発(参考:南風5号[岡山⇒高知]12時28分高知着)
*JR高知駅南口(土佐電気鉄道「高知駅前駅」方面)を出て大通りまで進んで左折し、バス停「高知駅前」付近で「桂浜荘」の表示があるバスに乗って下さ い。通 り向こうには日産レンタカーがみえます。次ページ地図の赤色の★マーク付近です。

公共交通

高知まで

・鉄道(JR):JR岡山駅から特急南風号で約2時間40分(1本程度/時間)

・航空機:羽田空港(10便/日)、伊丹空港(6便/日)、福岡空港(3便/日)、名古屋小牧空港(1便/日)から直行便

高知駅から大会会場・宿泊場所まで

・高知県交通バスで約35分(610円):坂本龍馬記念館前下車約2分

・MY遊バスで約50分(1日券1000円、2日券1600円):坂本龍馬記念館前下車約2分

・高知駅からタクシーで約30分(3500円程度)

高知龍馬空港から大会会場・宿泊場所まで

・高知龍馬空港から空港連絡バスで「はりまや橋」まで約40分(700円)。乗り換え、南はりまや橋バス停から高知県交通バスで約30分(560円)

・高知龍馬空港からタクシーで約25分(3500円程度)

高知龍馬空港時刻表:http://www.kochiap.co.jp/index.html

高知県交通時刻表:http://www.kenkoutsu.net/

MY遊バス時刻表:http://www.attaka.or.jp/kanko/kotsu_mybus.php

空港連絡バス時刻表:http://www.kochiap.co.jp/access_bus.html


研究大会プログラム:

3月21日(金)

12:00 受付開始
13:20 会長挨拶(および大会事務局より連絡)

〈第一セッション〉座長:小谷真吾(千葉大学)
13:30 交易ネットワークの構造とその地域性
―パプアニューギニア東部ルイジアード諸島における研究から―
門馬一平(北九州市立大学大学院)
13:55 告白と呪い
―ニューギニア高地におけるキリスト教の実践と感情の民俗理論―
深川宏樹(京都大学)
14:20 パプアニューギニアの土地所有
槌谷智子(東京大学)
14:45 パプアニューギニア・ギデラの伝統医療
―30年間に変わったこと、変わらないこと―
中澤港(神戸大学)・萩原潤(宮城大学)・山内太郎(北海道大学)・山村凌大(北海道大学)・河辺俊雄(高崎経済大学)
15:10 コーヒーブレイク

〈第二セッション〉座長:深山直子(東京経済大学)
15:20 マオリアイデンティティのトランスナショナルな再創造
―シドニーのマオリコミュニティとマラエに注目して―
神山歩未(名古屋大学大学院)
15:45 パラオ現代歌謡の日本語と音楽にみるパラオ的表現
小西潤子(沖縄県立芸術大学)
16:10 ファインマットの旅
―サモアからトンガへ―
山本真鳥(法政大学)
16:35 コーヒーブレイク
16:45 総会
19:00 食事、宴会

3月22日(土)
〈第三セッション〉座長:小野林太郎(東海大学)

9:25 遺物・遺構の組み合わせからみたラッテ期遺跡分布の評価
―グアム島北部における水資源分布を踏まえて―
島崎達也(慶應義塾大学大学院)
9:50 変動する「汀」の環境史
―琉球弧に位置する石垣島のジオアーケオロジー調査から―
山口徹(慶應義塾大学)
10:15 コーヒーブレイク

〈第四セッション〉座長:柄木田康之(宇都宮大学)
10:25 外交儀礼における序列づけの実践
―ポーンペイ主催の歓迎式典にみる最高首長と賓客の出会い―
河野正治(筑波大学大学院)
10:50 放射能汚染からの生活圏再生における文化の役割
―マーシャル諸島核実験被災 地の事例を中心として―
中原聖乃(中京大学社会科学研究所)
11:15 辺縁からみるグローバル化
―フィジー・ヴァヌアツ移民の位置性と戦略―
丹羽典生(国立民族学博物館)
11:40 「民族紛争」と人びとの対応
―ソロモン諸島ガダルカナル島北東部の事例から―
     藤井真一(大阪大学大学院)
12:05 終了


ご連絡・お問い合わせ

第31回研究大会・総会事務局

〒780-0982 高知県高知市永国寺町5-15

高知県立大学文化学部

飯高伸五

Tel:088-873-2156(代表) Fax:088-873-3934(代表)
 e-mail:taikai31[アットマーク]jsos.net


新刊紹介

黒崎岳大(著)

『マーシャル諸島の政治史―米軍基地・ビキニ環礁核実験・自由連合協定』(明石書店、2013年)

 本書は、独立から現在までのマーシャル諸島の現代政治の変遷について、国内政治を担ってきた国会議員や地方政府首長たちが、国際政治と国内世論との間でどのよう な政治選択を行ってきたかという視点に基づいて分析したものである。著者は2003~06年にかけて、マーシャル諸島でフィールドワークを実施してきた が、本 書の 執筆に向けて、国内外の公文書等の一時資料の収集分析と共に、政治家をはじめとした様々な人々への聞き取り調査を行いながら、同国の政局の展開を動態的民族誌とし て記述していくことに努めた。
 本書は3部9章及び補論で構成されている。第Ⅰ部では、マーシャル諸島共和国の建国に至るプロローグとして、マーシャル諸島の伝統的文化や社会構造につ い て、民 族誌的記述をもとに明らかにしていく。特に大航海時代以降、欧米列強や日本との接触が進む中で、それぞれの宗主国側の統治システムの影響を受けながら、マーシャル 人社会の伝統的社会構造がどのように変容していったか、その変遷に注目しながら記述した。第Ⅱ部では、第二次世界大戦後に国連信託統治領ミクロネシアの一 部と して 米国の施政下に置かれ、1970年代以後は独立を果たすために米国との間で自由連合協定を締結し、独立後は米国をはじめ様々な国際社会のドナーと関わりながら自立 に向けて歩んできたマーシャル諸島の近現代政治史について総論としてまとめた。その際、歴代の大統領たちが、米国をはじめとした国際社会の情勢と国内の大 衆世 論を 把握しながら、政権運営及び総選挙での戦いをいかに実施してきたのかについて、世論調査や選挙分析を利用しながら動態的民族誌として記述した。第Ⅲ部では、マー シャル諸島共和国の近現代政治史における各論として、国内問題への対策を担っている国内中央及び地方行政の統治エリートたちの動向について記述した。具体 的に は、 (1)米国からの経済援助に依存する国家経済の政策をめぐる伝統的エリートと新興エリートとの対立関係、(2)クワジェリン環礁米軍基地の土地使用をめぐる交渉や ビキニ環礁を中心とした核実験に対する補償問題など米国との外交関係に影響を受けながら政治を進めていく市長や地方議員などの統治エリートたちの取り組 み、 (3) 第二次世界大戦後に台頭し、国内政治の中心を担った新興エリート層の一翼を担ったマーシャル日系人社会と第二次世界大戦前の宗主国であった日本との関係について説明した。
 本書はミクロネシアの小島嶼国の近現代政治史の詳細な記述に専心してきたが、論を進める中で、同国の独立までの歩みは、日本が第二次世界大戦以降に歩ん でき た道 のりとオーバーラップするところが多いことに改めて気付かされた。米軍基地の土地使用交渉問題や核実験の被害補償問題などのテーマは、今日の日本の政治・社会問題 を考える上でも共有できる視点を示すことができたと考える。本書が、島嶼国の近現代政治史の流れを示すに留まらず、今日の日本の諸課題を考えていく上での 一助 とな れば幸いである(著者)。


学会通信

ニューズレターの電子化について

オセアニア学会ニューズレターは今号から紙媒体での送付を終了し、学会メーリングリストを通じて頒布されます。スパム対策の観点から、新入会員のメールアドレスなどを掲載 しておりません。新入会員の連絡先などに関してはsecretary[アットマーク]jsos.netまでおたずね下さい。また、掲載論文と学会通信の一 部は 従来通り学会ウェブサイトに掲載されます(ニューズレター担当理事)。

後援事業

日本オセアニア学会の後援にて、以下の公開研究会が開催されます。


発表題目:Tosiwo Nakayama, Macronesia, and Japan
発表者:David Hanlon (Department of History, University of Hawai`i at M?noa)
日時:2014年3月26日 14:00~16:30
場所:〒183-8534 東京都府中市朝日町 3-11-1
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 大会議室
    URL:http://www.aa.tufs.ac.jp/ja/about/access
言語:英語
主催:科学研究費補助金・基盤研究A「日本を含む外来権力の重層下で形成される歴史認識―台湾と旧南洋群島の人類学的比較」(研究代表者:三尾裕子)
後援:日本オセアニア学会
定員:50名程度
参加申込:不要。直接会場にお越し下さい
お問い合わせ先:〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・研究機関研究員・藤野陽平
電子メール:fujino[アットマーク]aa.tufs.ac.jp

プログラム概要
14:00 Opening Remark
: Mio Yuko (Tokyo University of Foreign Studies)
14:15 Tosiwo Nakayama, Macronesia, and Japan
: David Hanlon (University of Hawai`i at M?noa)
15:15 Break
15:30 Comments
     : Greg Dvorak (Hitotsubashi University)
: Izumi Kobayashi (Osaka Gakuin University)
15:50 Open Discussion
16:30 Closing Remark


新入会員

栗田梨津子(国立民族学博物館)

如法寺慶大(南山大学大学院)

橋爪太作(東京大学大学院)


論文の寄稿について

論文の寄稿について
日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。





ニューズレターNo.107から


2013年度 日本オセアニア学会関東地区例会のお知らせ

日時:2013年12月8日(日)13:30~
場所:立教大学池袋キャンパス1204号教室(本館一号館)
JR池袋駅からのアクセスおよびキャンパス内の地図 http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro /direction/
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/

発表者:河野正治(筑波大学大学院)
発表題目:「現代ポーンペイの初物献上における時間性の社会的構成―土地の豊饒性に還元されない首長への貢納をめぐって―」
コメンテーター:柄木田康之(宇都宮大学)

発表内容:
ミクロネシア・ポーンペイ(旧ポナペ)は首長制社会として知られている。本発表では首長制の一部を構成するものとしての初物献上に焦点を当てる。ドイツ植 民地 行政によって首長の第一次土地権が否定された後もなお、土地の耕作者がその季節に初めて収穫した農作物を初物として首長に献上するという慣習的な実践が続けら れている。初物献上の「慣習」(tiahk)は、パン果とヤムイモの成長と収穫のリズムにもとづく在地の暦に規定される。それは、雨期にほぼ対応する「パ ン果 の季節」(rahk)と乾期にほぼ対応する「ヤムイモの季節」(isol)から成る。こうした在地の収穫暦にもとづいて初物献上が実施されるというのが「慣 習」による説明である。
 ところが、発表者の調査によると、実際に行われる初物献上は、必ずしも在地の収穫暦にもとづく時宜では実施されず、毎年異なる。たとえば2012年の事 例に おいて、ある首長国の最高首長に対して行われた礼の祭宴(初物献上のクライマックスとされる祭宴)は、在地の暦よりも半年も早い6月に行われている。初物献上 の時間性が、土地の豊饒性にもとづく時間性(農作物の成長と収穫のリズム)に必ずしも規定されないとすれば、その時間性とはいかなる関係から構成されてい るの か。本発表の目的はキリスト教や現金経済と首長制の関係、そして葬儀という偶発的な出来事との関係に焦点を当て、現代ポーンペイにおける初物献上の時間性が、 土地の豊饒性に還元されるのではなく、いかに様々な社会的関係から構成されているのかを明らかにする。

お問い合わせ
市川哲(立教大学観光学部助教)
(関東地区例会幹事 市川哲)

2013年度 日本オセアニア学会関西地区例会のお知らせ

日時:2014年1月13日(月)13:30~
場所:京都大学吉田南キャンパス 総合人間学部棟 1207教室
   http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_ys.htm

発表1
発表者:町 聡志(岡山大学大学院・博士後期課程)
発表題目:「『土地の声』からSNSへ―ミクロネシア連邦ヤップ州における新たな言説空間の出現―」
コメンテーター:柄木田康之(宇都宮大学)

発表2
発表者:栗田梨津子(国立民族学博物館・外来研究員)
発表題目:「オーストラリア都市先住民のアイデンティティの変容―若者の生活体験に着目して―」
コメンテーター:深山直子(東京経済大学)

※本年度の関西地区例会は、科研費基盤研究(A)「太平洋島嶼部におけるマイノリティと主流社会の共存に関する人類学的研究」(研究代表者:風間計博)と の共 催です。

お問い合わせ
比嘉夏子(日本学術振興会特別研究員PD/国立民族学博物館)
(関西地区例会幹事 比嘉夏子)

第31回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

前号ニューズレターで日程をお知らせしていましたが、日本オセアニア学会研究大会・総会を以下の要領で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお待ちしていま す。ご出欠につきましては、学会ホームページの申し込み用フォームをご利用のうえ、2014年1月31日(金)までにお申し込みください。

日時:2014年3月21日(金)13:30 ~ 22日(土)12:30(予定)

(理事会:21日(金)10:30~12:00、 評議員会:21日(金)12:00~13:00)

大会・総会・理事会・評議員会会場および宿泊・懇親会場

高知市国民宿舎 桂浜荘

〒781-0262 高知市浦戸830-25

TEL:088-841-2201 FAX: 088-841-2249

URL:http://www.katsurahama.jp

研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについても、フォーム にご記入下さい。また、フォームのご利用が不可能な場合には、御氏名、連絡先を明記の上、FAXか郵便で、必要事項を大会・総会事務局にお知らせくださ い。発 表時 間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて20~25分程度を予定しています。

研究大会参加申し込みフォーム:  http://www.jsos.net/meeting2014.html

参加費

有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む) 18,000円(予定)。

無給者(大学院生、学生等) 11,000円(予定)。

いずれも21日の宿泊費、懇親会費を含む

*宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)、あるいは宿泊費と大会参加費の領収書を別に作成する必要のある方は、その旨をあらかじめお知らせ下さい。宿 泊なさらない場合の参加費は、7000円程度を予定しております。また、申し込み期限を過ぎました場合、宿の手配が出来ない可能性があること、直前のキャ ンセ ル は、キャンセル料を徴収することを御了承下さい。

《大会会場について》

大会会場・宿泊先は、長宗我部元親の城跡にあり、徒歩圏内には桂浜、県立坂本龍馬記念館、坂本龍馬像、桂浜水族館などがあります。展望風呂からは太平洋が一望でき ます。

交通

高知まで

・鉄道(JR):JR岡山駅から特急南風号で約2時間40分(1本程度/時間)

・航空機:羽田空港(10便/日)、伊丹空港(6便/日)、福岡空港(3便/日)、名古屋小牧空港(1便/日)から直行便

高知駅から大会会場・宿泊場所まで

・高知県交通バスで約35分(610円):坂本龍馬記念館前下車約2分

・MY遊バスで約50分(1日券1000円、2日券1600円):坂本龍馬記念館前下車約2分

・高知駅からタクシーで約30分(3500円程度)

高知龍馬空港から大会会場・宿泊場所まで

・高知龍馬空港から空港連絡バスで「はりまや橋」まで約40分(700円)。乗り換え、南はりまや橋バス停から高知県交通バスで約30分(560円)

・高知龍馬空港からタクシーで約25分(3500円程度)

高知龍馬空港時刻表:http://www.kochiap.co.jp/index.html

高知県交通時刻表:http://www.kenkoutsu.net/

MY遊バス時刻表:http://www.attaka.or.jp/kanko/kotsu_mybus.php

空港連絡バス時刻表:http://www.kochiap.co.jp/access_bus.html


第31回研究大会・総会事務局

〒780-0982 高知県高知市永国寺町5-15

高知県立大学文化学部

飯高伸五

Tel:088-873-2156(代表) Fax:088-873-3934(代表)


第13回 日本オセアニア学会賞選考要項

2013年度日本オセアニア学会賞選考委員会

委員長 栗田博之

1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2012年1月1日から 2013年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。

2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。

3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。送付に際し、連絡先(住 所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。

4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象となる著書または論文名 を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編者名)、出版社、 出版 年を 明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由が必要であると判断する場合 は、200字以内の推薦文を添付してもよい。

5. 応募期間は2013年11月1日から2014年1月15日まで(必着)とする。

6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE-mailかFaxでも受け 付けることとする。

(日本オセアニア学会賞選考委員長)栗田博之

〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1 東京外国語大学 大学院総合国際学研究院

Tel/Fax:042-330-5373

7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。

8. 2013年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、 掲載 したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿するこ とが 望まれます

2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍ま たは 論文につ いては、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。

3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象と なっています。


日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

新刊紹介

丹羽典生・石森大知(編)
『現代オセアニアの〈紛争〉――脱植民地期以降のフィールドから』(昭和堂、2013年)

 冷戦以降の第三世界における民族紛争の増加や、低強度紛争の出現など、従来とは異なる新たな紛争形態が出現している。本書はそうした問題認識を背景に、 オセ アニアにおける政治的諸問題を扱っている。実際、植民地時代の政治闘争後の政治的に安定した時期を経て独立をはさみ、1990年代後半以降、暴動から民族対 立、クーデタまでのさまざまな政治的問題を目にすることができる。ところが、そうした現状の反面、既存の紛争研究の枠組みの問題もあり、オセアニアにおけ る紛 争研究は進行途上にある。本書は、さまざまなレベルの政治的軋轢を広く<紛争>としてとらえ返すとともに、オセアニアの政治的諸問題に関する基礎的研究の不足 を補うことも志して書かれたものである。
 本書では、脱植民地期以降という時代的限定を設けた上で、オセアニアの政治的問題を現在の状況に鑑みて明らかにすることに焦点をあてた。執筆者は、そう した 意図にあわせて、2000年以降にフィールド調査を行っている方々を中心に選んだ。
 扱っている地域と問題点は、メラネシアを中心に多岐にわたる。パプアニューギニアにおける諸問題、具体的には、首都ポートモレスビーの都市開発と部族抗 争 (岩本洋光)という都市部から、ニューギニア高地における部族間抗争の変容についてまで(深川宏樹)、また、オセアニア地域の紛争のなかではおそらく一番知ら れているブーゲンヴィル紛争について、その現状と問題点にまで踏み込んで扱っている(宮澤優子)。
 ついで、同じメラネシアでも島嶼部の、ソロモン諸島、フィジーという2000年あたりに特に政治的問題の起きた地域について、それぞれ、「民族紛争」 (石森 大知)、クーデタの連鎖(丹羽典生)という視点から扱っている。両地域とは若干毛色は異なっているが、やはり島嶼部において、独立と先住をめぐって流血の事態 となったニューカレドニアについて、これまでの出来事の経緯と現代の動向について、その過程の中心に位置したチバウに焦点を当てることで整理している(尾 立要 子)。
 また、本書ではメラネシア以外に、ミクロネシア・ポリネシアにおける諸問題も取り上げている。パラオにおける自由連合協定をめぐる対立と社会不安(三田 貴)、またトンガ王国の首都暴動と「民主化」への流れ(比嘉夏子)、そして最後に、フランス領ポリネシアにおける核実験への抗議暴動と独立運動までを扱っ てい る(桑原牧子)。
本書を通じて、オセアニアにおける<紛争>の問題をすべてカバーしたと主張するつもりは毛頭ないが、現代オセアニアの政治的諸問題の現代的動向の一側面を 呈示 することができていればと考えている。また本書をもとに、小規模な国家がひしめくオセアニアという場所での<紛争>を考えることで、他地域での問題を再考する よすがになれば幸いである。(文責:丹羽典生)

学会通信

ニューズレターの電子化について

第30回総会でご報告いたしましたように、オセアニア学会ニューズレターは経費節減の必要性から近々電子化されます。これに伴って冊子の郵送は廃止され、来年 度は試験的に学会メーリングリストによって会員への配付を行う予定です。現在学会メーリングリストをご利用でない会員におかれましては、早めに学会メーリ ング リストへの登録を進めて頂きますようよろしくお願いいたします。ニューズレターの電子化について、ご不明な点がございましたら、下記までご連絡下さい(ニュー ズレター担当理事)。

〒780-0982 高知県高知市永国寺町5-15
高知県立大学文化学部
飯高伸五(ニューズレター担当理事)
Tel:088-873-2156(代表) Fax:088-873-3934(代表)


学会メーリングリストへの登録について

学会メーリングリストに登録を希望される場合は、下記までご連絡下さい。

〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33
千葉大学文学部行動科学科
小谷真吾(情報化担当理事)
Tel&Fax: 043-290-2298(直通)
e-mail:secretary@jsos.net

オセアニア学会モノグラフシリーズについて

「The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Series」の第一巻として、会員である吉岡政博ケ瓩涼・遏彝he Story of Raga: David Tevimule’s Ethnography on His Own Society, North Raga of Vanuatu』が刊行されました。記念すべき初巻として、会員の皆様にお届けします(渉外・モノグラフ担当理事)。

所属変更

新入会員

小杉 世(大阪大学大学院)

町 聡志(岡山大学大学院)

牧野章子((株)緑政計画研究所)


所属変更

長戸結未(京都産業大学)

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されて いま す。


論文の寄稿について

論文の寄稿について
日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.106から


2012年度 関西地区例会の報告

2013年2月8日(金)、京都大学稲盛財団記念館にて2012年度日本オセアニア学会関西地区例会が開催されました。2名の研究発表が行われ、活発な 議論 が行わ れました。発表者、発表題目、コメンテーターは以下の通りです(所属は当時のもの)。
2013年2月8日(金)、京都大学稲盛財団記念館にて2012年度日本オセアニア学会関西地区例会が開催されました。2名の研究発表が行われ、活発な議 論が 行わ れました。発表者、発表題目、コメンテーターは以下の通りです(所属は当時のもの)。

発表者:藤井真一(大阪大学大学院人間科学研究科・博士後期課程)
発表題目:紛争を(やり)過ごす方法―ソロモン諸島ガダルカナル島北東部の人びとが経験した「エスニック・テンション」
コメンテーター:古澤拓郎(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

発表者:比嘉夏子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
発表題目:贈与と貨幣のタンジビリティ―トンガにおける経済実践
コメンテーター:早川真悠(大阪大学グローバルコラボレーションセンター招へい研究員)

 藤井真一氏の発表では、2011年に実施された現地調査に基づいて、ソロモン諸島におけるエスニック・テンションとその後の社会不安に対するガダルカナ ル島 北東 部の人々の対応が報告された。エスニック・テンションの政治的および歴史的背景、マライタ島出身者とその他の地域に暮らすソロモン諸島民との間の土地紛争など、対 立の構図を提示したうえで、発表者はガダルカナル島北東部の生業に関する民族誌データをもとに、「紛争に翻弄される悲惨な避難民」という既存のイメージを 再検 討す る必要性を説いた。また、人々がイサタンブ解放運動などの武装勢力に対して貝貨を贈与しながら回避するなど、「紛争をやり過ごす」柔軟な戦略をとっていることが報 告された。質疑応答では、エスニック・テンションに至る歴史的背景を植民地期までさかのぼって検討する必要性、ガダルカナル島北東部の生態学環境を再検討 する 必要 性などが指摘された。
 比嘉夏子氏の発表は、京都大学大学院人間・環境学研究科に提出された博士論文『相互行為から生成する経済―トンガ王国村落における贈与とふるまいの民族 誌』 の一 部に基づいて行われた。本発表では、トンガにおける献金行事や寄付行事の事例から、「近代貨幣」が価値尺度として用いられるだけでなく、相互行為としての贈与実践 のなかに取り込まれていることが報告された。寄付集めの行事コニセティでは、伝統的な踊りを踊る身体に貨幣を貼る行為ファカパレが行われるが、この行為に は社 会的 承認と経済的援助との双方の役割が認められるという。質疑応答では、タパなどの伝統的な贈与財が売買されるという現象が補足的に説明された。その他、贈与と市場経 済の関係、メソジスト教会の経済的戦略などに関する議論が行われた。

(関西地区例会幹事[当時] 飯高伸五)

第30回 総会の報告

2013年3月23日(土)、第30回日本オセアニア研究大会会場(日光総合会館)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。総会の議事は以 下の 通りです。

審議事項

1.会長の承認について(庶務理事)
 *印東道子氏が新会長となることが承認されました。

2.理事・幹事の分担について(庶務理事)
 *理事・幹事の分担が以下のように承認されました。
 <理事> 庶務:小野林太郎、会計:石森大知、PCO:遠藤央・古澤拓郎、ニューズレター:飯高伸五、研究 集会・情報化:小谷真吾、渉外・モノグ ラ フ:深山直子
 <幹事> 庶務・会計:田所聖志、研究例会:市川哲(関東)・比嘉夏子(関西)

3.2012年度決算(会計理事・会計監査)
 *2012年度決算(2012年3月1日~2013年2月28日)について、須田理事より説明があり、承認されました。 (別紙参照:Web上では 掲載 しません)
 ・会計監査は、高坂宏一氏および塚原高広氏によって行われました。

4.2012年度事業報告
 *下記2012年度事業報告が審議され、承認されました。
 ・People and Culture in Oceania vol.28の刊行(115pp.:論文4本、通信2本、書評1本)
 ・NEWSLETTER no.103,104,105の刊行(論文6本)
 ・研究例会の実施
  関東地区 2012年12月22日 東京大学 発表2本
  関西地区 2013年2月8日 京都大学 発表2本
 ・ニューズレター掲載論文の電子公開
 ・第30回研究大会・総会の実施
 2013年3月23日~24日 日光総合会館(大会長:柄木田康之)
 ・第12回日本オセアニア学会賞の選考
 ・日本学術会議等関連の活動

5.2013年度事業計画
 *下記2013年度事業計画が審議の結果、承認されました。
 ・People and Culture in Oceania vol.29の刊行
 ・NEWSLETTER no.106、107、108の刊行
 ・関西地区・関東地区研究例会の実施
 ・第31回研究大会・総会の実施
 ・第13回日本オセアニア学会賞の募集
 ・日本学術会議等関連の活動

6.会計監査の選出について 
 *会計監査として、須田一弘氏および山内太郎氏が選出されました。

7.7.2013年度予算(別紙参照:Web上では掲載しません)
 *2013年度予算案(2013年3月1日~2014年2月29日)について、石森大知理事より説明があり、承認されま した。

報告事項

1.第12回日本オセアニア学会賞を東京外国語大学の馬場淳氏(対象著作:『結婚と扶養の民族誌―現代パプアニューギニアの伝統とジェンダー』) に授 与するとの理事会決定が報告されました。なお、学会賞に対して、日本オセアニア交流協会より副賞をいただきました。学会賞選考委員会からの報告は、以下、 別記事として掲載されております。

2.2013年度以降、ニューズレターの電子化を視野に入れた検討を理事・幹事を中心に行う計画があることが報告されました。その理由として、 (1)2013年度より科学研究費補助金による収入がなくなるため、これまでの支出額を維持する場合、数年で赤字になる恐れがあること、(2)ニューズレ ターを紙媒体にする必要性が低下しつつあることが指摘されました。ただし2013年度予算案にありますように、2013年度においては紙媒体での発送 が予 定されております。

3.第31回研究大会・総会は、高知県立大学の飯高伸五会員を大会長として開催予定であることが報告されました。

第12回 日本オセアニア学会賞について

1)第12回 日本オセアニア学会賞授賞者
  馬場 淳 氏
  対象著作:『結婚と扶養の民族誌―現代パプアニューギニアの伝統とジェンダー』(彩流社 2012年2月刊行)

2)選考理由
 馬場淳著『結婚と扶養の民族誌―現代パプアニューギニアの伝統とジェンダー』は、パプアニューギニア、マヌス島をフィールドとし、そこで村落に暮らす 「普通 の 人々」の結婚と扶養をめぐる諸現象に焦点を当て、彼らがカストムと向かいあう多様な様相を記述したものである。本書では、結婚や扶養の実態が綿密に描き出されてい るが、本書の特徴は、それを従来型の親族組織中心の議論で整理するのではなく、離婚やシングルマザーの登場という今日的な状況のなかで扶養という慣行がど のよ うに 機能しているかを分析し、そうした現実が、人々の考えている「カストム=伝統」とどのように関連しているのかを考察しているところにある。そしてそれらの事例を通 して、カストムは具体的な生活を支え、家族の相互扶助を可能にする「振る舞い」を規定するものであり、現在においても社会生活を成立させる基本であること を実 証す ることに成功している。また本書は、カストムを、男性と女性が衝突し交渉する力動的過程(=ジェンダーの政治学)の渦中にあるものとして捉えようとしている点でも 斬新な視点を提供し、結婚については、婚姻慣行、婚資のやりとりだけではなく、経済活動、避妊の実践、紛争処理など、そして扶養については、離別、子供の 処遇 だけ ではなく、扶養費訴訟なども視野にいれた具体的で詳細なフィールドデータを提示し、カストムの現在に迫った力作であると言える。

3)第12回日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長  吉岡 政徳
 委員  後藤  明
窪田 幸子
風間 計博
塚原 高広

第13回 日本オセアニア学会賞選考要項

2013年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 栗田博之

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2012 年1月1日から2013年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2013年11月1日から2014年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にE- mailかFaxでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)栗田博之
    〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1 東京外国語大学 大学院総合国際学研究院
    Tel/Fax:042-330-5373
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2014年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 応募者はPCOに論文を掲載したことがあるか、 掲載したことがない場合は、受賞後数年内にPCOへ投稿する こと が望まれます
  2. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍また は論 文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

学会通信

新刊紹介について

オセアニア学会ニューズレターでは、オセアニア学に関わる単行本の書評、ご自身の新刊についての紹介文などを随時募集しております。掲載の可否について は、 当面ニューズレター担当理事の判断とさせていただくことをご了承ください(庶務担当理事)。

次回大会日程について

次回研究大会が2014年3月21日~22日に高知市内で実施されることになりました。会場、大会参加方法などは次号のニューズレターでお知らせいたし ます (大会長:飯高伸五)。

所属変更

新入会員
前田建一郎(洗足学園音楽大学)
Dominik Schieder(一橋大学)
紺屋あかり(京都大学大学院)
前澤祐子(バイロイト大学/ドイツ)
平野智佳子(神戸大学大学院)


所属変更
小西潤子(沖縄県立芸術大学)
山下孝雄(東北電力株式会社)
三田 牧(神戸学院大学人文学部)
紙村 徹(神戸市看護大学看護学部を退職)

*ご所属やメールアドレスに変更がある場合は、事務局(大学生協学会支援センター オセアニア学会係)までご一報ください。連絡先は裏表紙に記載されて いま す。


寄贈図書

論文の寄稿について

論文の寄稿について
日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.105から


2012年度日本オセアニア学会関西地区例会のお知らせ

日時:
2013年2月8日(金)17:00~19:30
場所:
京都大学稲盛財団記念館3階・中会議室(薬学部構内)
*場所の詳細は下記URLをご参照ください
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_m.htm
研究発表(1) 17:00~18:10
発表者:藤井真一(大阪大学大学院人間科学研究科・博士後期課程)
発表題目:紛争を(やり)過ごす方法―ソロモン諸島ガダルカナル島北東部の人びとが経験した「エスニック・テンション」
コメンテーター:古澤拓郎(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
研究発表(2) 18:20~19:30
発表者:比嘉夏子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
発表題目:贈与と貨幣のタンジビリティ:トンガにおける経済実践
コメンテーター:早川真悠(大阪大学グローバルコラボレーションセンター招へい研究員)
お問い合わせ先
飯高伸五(高知県立大学文化学部)
(関西地区例会幹事 飯高伸五)

2012年度日本オセアニア学会関東地区例会の報告

 去る2012年12月22日(土)、東京大学本郷キャンパスにて、下記のプログラムのとおり2012年度の関東地区研究例会が開催されました。

【報告1】
発表題目:「ワイタンギ審判所と人類学的研究の「流用」-ニュージーランド、チャタム諸島における漁業権請求の裁判記録を手がかりに」
発表者:前田建一郎(洗足学園音楽大学)
コメンテーター:深山直子(東京経済大学)
【報告2】
発表題目:「遺跡出土貝類遺体からみる先島諸島の先史資源利用」
発表者:小林竜太(慶應義塾大学大学院文学研究科)
コメンテーター:名島弥生(日本考古学協会会員)

 前田氏は、白人人類学者によるニュージーランド先住民マオリの口頭伝承の収集および記録の過程におけるマオリ自身の関与を明らかにした後で、それが チャタ ム諸島民の慣習漁業権をめぐる裁判にどのような影響を及ぼしたのかについて発表をおこなった。深山氏によるコメントの後、発表全体の内容構成のほか、マオリの 中でのチャタム諸島民の位置づけ、人類学者(および人類学的研究の成果)と現地社会の関わり合い、本質主義と政治的正しさなどをめぐって熱心な議論が交わ され た。

 つぎに小林氏は、先島諸島の先史時代における資源利用形態をテーマに発表をおこない、マングローブの存在しない隆起サンゴ礁島でも出土するマングロー ブ産 貝類・シレナシジミの分析をとおして、水陸問わず多様な資源を組み合わせる生業戦略の重要性を明らかにした。名島氏によるコメントの後、調査の方法論に関する 質問にはじまり、貝類資源利用の様相とシレナシジミの生態、生業と移住の因果関係およびその背景としての社会的条件の設定などをめぐって活発に議論がおこ なわ れた。

 参加者は12名と決して多いとはいえないが、各発表テーマに精通するコメンテーターによる的確な補足的解説およびコメント・質問の後、フロアーからも 途切 れることなく多くの質問が出され、またそれを受けて発表者からは真剣な応答がなされるなど、定められた時間を超えるほどの白熱した議論が交わされた。(文責: 石森大知)


第30回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

 前号のNEWSLETTERでもお伝えしましたとおり、日本オセアニア学会第30回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。今回はミニシンポジ ウム 「旧南洋群島と台湾における日本イメージの形成~植民地支配に関わるモノを通じて」が企画され、全部で18題の演題が予定されております。オセアニア研究の発 展を期し、活発な意見交換がなされることを願っております。ご不明点などありましたら大会事務局までお問い合わせ下さい。春の日光にてお会いできること楽 しみ にしております。

日時:
2013年3月23日(土)13:00 ~ 24日(日)12:00 (予定)
(新評議員会:3月23日10:00~11:00、 新旧合同理事会:11:00~12:00、 新旧合同評議員会:12:00~13:00  於・中 会議室)
大会・総会・理事会・評議員会会場:
日光総合会館
〒321-1264 栃木県日光市安川町2-47
TEL:0288-54-1631
URL:http://www.kousha.or.jp/sougou.php
宿泊・懇親会場:
ホテル春茂登
〒321-1264 栃木県日光市安川町5-13
TEL:0288-54-1133 FAX:0288-53-3509
URL:http://www.hotel-harumoto.com/
《大会会場・日光について》
大会会場・宿泊先は世界遺産に登録された東照宮、二荒山神社、輪王寺に徒歩圏内の景勝地です。日光国立公園の入り口となる大谷川に掛かる神橋は平 成 17年に足掛け9年間に亘る大改修を終え現在は一般公開されています。
交通:
大会会場・宿泊場所まで
・JR日光駅、東武日光駅からバス5分(西参道下車)、徒歩1分
・JR日光駅、東武日光駅からタクシー5分
日光まで
・JR東京 →東北新幹線→ 宇都宮 →JR日光線→ 日光(1時間30分)
・東武浅草 →東武鉄道→ 東武日光(1時間40分)
・首都高速(川口Jct)→ 宇都宮I.C(東北自動車道 1時間30分)→ 日光I.C(宇都宮日光道路 20分)
(日光東照宮のすぐそばです)
研究大会プログラム
3月23日(土)
12:00     受付開始
13:00     会長挨拶(および大会事務局より連絡)
研究発表
13:10 <ミニ・シンポジュウム>座長:三尾裕美子(東京外国語大学)
「旧南洋群島と台湾における日本イメージの形成~植民地支配に関わるモノを通じて」
・日本植民地時代の建築物の現在 ―消費される「日本」―
上水流久彦 (県立広島大学)
・〈牡丹社事件〉をめぐるモノの記憶と政治
宮岡真央子 (福岡大学)
・慰霊碑に照射される日本イメージの変容 ―ミクロネシアにおける戦後日本との関係の再形成と限界―
黒崎岳大 (国際機関太平洋諸島センター)
・コメント
松金公正 (宇都宮大学)、 飯高伸五(高知県立大学)
<第1セッション>座長:棚橋 訓(お茶の水大学)
14:30 ソロモン諸島マライタ島南部アレアレにおける竹製パンパイプの商業的展開 ―社会的効果をめぐる連続と断絶に着目して―
佐本英規 (筑波大学大学院)
14:50 伝統についての「合意」を形成する ―ツバルにおける「憲章」作成プロジェクトを事例に―
小林誠 (日本学術振興会)
15:10 儀礼交換と文化政策 ―サモアにおけるファインマット復興事業の展開―
山本真鳥 (法政大学)
15:30 コーヒーブレイク
<第2セッション>座長:窪田幸子(神戸大学)
15:40 研究の集大成としてのカナク・アイデンテイテイの語り ―ネーションの語り、共同体の語り、文化の語り―
江戸淳子 (杏林大学)
16:00 ニュージーランド・マオリのタトゥー、モコと2011年ラグビーワールドカップ
秦 玲子(京都大学大学院)
16:20 パブリックがつくるアート、アートがつくるパブリック ―米国ハワイ州における公共芸術をめぐって―
渡辺 文 (日本学術振興会)
16:40 サンゴの伝統的利用 ―沖縄・ 石垣島における左官の事例を中心に―
深山直子(東京経済大学)
17:00 総会
3月24日(日)
<第3セッション>座長:須田一弘(北海学園大学)
9:00 現代メラネシアの「海の民」における漁撈・居住・「資源」 ―ソロモン諸島マライタ島北部の事例から―
里見龍樹 (東京大学大学院総合文化研究科)
9:20 ソロモン諸島ロヴィアナ社会における植物資源利用と生物多様性の保全
古澤拓郎 (京都大学)
9:40 フィリピン・パラワン島先住民モルボッグの採捕漁
辻 貴志(国立民族学博物館外来研究員)
10:00 An Essay on the Boserupian Model
中野和敬 (鹿児島大学名誉教授)
10:20 コーヒーブレイク
<第4セッション>座長:片岡 修(関西外語大学)
10:40 ラッテ期遺跡と水資源の空間分布に関する検討 ―グアム島北部の事例から―
島崎達也(慶応義塾大学大学院)
11:00 バンクス諸島祭祀遺構群の現状と課題 ―遺跡調査・保護と人々の意識について―
野嶋洋子 (国際日本文化研究センター)
11:20 ツバル・フナフチ環礁のジオアーケオロジー調査
山口徹(慶應義塾大学)
11:40 遷移帯としての北マルク諸島:先史時代の事例から
小野林太郎 (東海大学)
pdf 版プログラム
第30回研究大会・総会事務局
〒321-8505 宇都宮市峰町350 宇都宮大学国際学部
柄木田 康之
Tel:028-649-5207
Fax:028-649-5171

学会通信

後援事業

日本オセアニア学会の後援にて、一般公開シンポジウム『暮らしの中のサンゴ礁――サンゴと人がひらく南島の人類誌――』が開催されます。

日時:
2013年3月30日(土) 13:00-17:30(12:30開場)
会場:
沖縄県立博物館・美術館 講堂(212席)
〒900-0006 沖縄県那覇市 おもろまち3丁目1-1
http://www.museums.pref.okinawa.jp/index.jsp
主催:
平成20年度文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究)『サンゴ礁学―複合ストレス下の生態系と人の共生・共存未来戦略』
後援:
日本サンゴ礁学会、日本オセアニア学会
備考:
予約不要・入場無料・当日先着順
事務局:
慶應義塾大学文学部・山口徹研究室
連絡先:電話 / 03-3453-4511 (内線 23366)
住所 / 〒108-8345 東京都港区三田2-15-45

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。




ニューズレターNo.104から


第30回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会研究大会・総会を以下の要領で開催いたします。会員の皆様の多数のご参加をお待ちしています。

ご出欠につきましては、学会ホームページの申し込み用フォームをご利用のうえ、2012年12月28日(金)までにお知らせください。宿 泊先 との関係で例年より締め切りが早くなっているのでご注意ください。

日時:
2013年3月23日(土)13:00 ~ 24日(日)12:00 (予定)
(新評議員会:3月23日10:00~11:00、 新旧合同理事会:11:00~12:00、 新旧合同評議員会:12:00~13:00)
大会・総会・理事会・評議員会会場:
日光総合会館
〒321-1264 栃木県日光市安川町2-47
TEL:0288-54-1631
URL:http://www.kousha.or.jp/sougou.php
宿泊・懇親会場:
ホテル春茂登
〒321-1264 栃木県日光市安川町5-13
TEL:0288-54-1133 FAX:0288-53-3509
URL:http://www.hotel-harumoto.com/
研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などにつ いて も、フォームにご記入下さい。また、フォームのご利用が不可能な場合には、御氏名、連絡先を明記の上、FAXか郵便で、必要事項を大会・総会事務局にお知 らせください。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて例年20~25分程度です。
研究大会参加申し込みフォーム:
http://www.jsos.net/meeting2013.html
参加費:
有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む) 19,000円
無給者(大学院生、学生等) 12,000円(予定)。
いずれも23日の宿泊費、懇親会費を含む。
*旅館への宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)、あるいは宿泊費と大会参加費の領収書を別に作成する必要のある方は、その旨をあら かじ めお知らせ下さい。その場合、大会参加費は7,000円を予定しております。また、申し込み期限を過ぎました場合、宿の手配が出来ない可能性があること、 直前のキャンセルは、キャンセル料を徴収することを御了承下さい。
《大会会場・日光について》
大会会場・宿泊先は世界遺産に登録された東照宮、二荒山神社、輪王寺に徒歩圏内の景勝地です。日光国立公園の入り口となる大谷川に掛かる神橋は平 成 17年に足掛け9年間に亘る大改修を終え現在は一般公開されています。
交通:
大会会場・宿泊場所まで
・JR日光駅、東武日光駅からバス5分(西参道下車)、徒歩1分
・JR日光駅、東武日光駅からタクシー5分
日光まで
・JR東京 →東北新幹線→ 宇都宮 →JR日光線→ 日光(1時間30分)
・東武浅草 →東武鉄道→ 東武日光(1時間40分)
・首都高速(川口Jct)→ 宇都宮I.C(東北自動車道 1時間30分)→ 日光I.C(宇都宮日光道路 20分)
第30回研究大会・総会事務局
〒321-8505 宇都宮市峰町350 宇都宮大学国際学部
柄木田 康之
Tel:028-649-5207
Fax:028-649-5171

2012年度 日本オセアニア学会関東地区例会のお知らせ

日時:
2012年12月22日(土)14:00~17:45
開催場所:
東京大学本郷キャンパス医学部教育研究棟13階第7セミナー室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_09_j.html
プログラム:
【報告1】14:00~15:45
発表題目:「ワイタンギ審判所と人類学的研究の『流用』-ニュージーランド、チャタム諸島における漁業権請求の裁判記録を手がかりに」
発表者:前田建一郎(洗足学園音楽大学)
コメンテーター:深山直子(東京経済大学)
【報告2】16:00~17:45
発表題目:「遺跡出土貝類遺体からみる先島諸島の先史資源利用」
発表者:小林竜太(慶應義塾大学大学院文学研究科)
コメンテーター:名島弥生(日本考古学協会会員)
お問い合わせ:
日本オセアニア学会関東地区例会幹事
石森大知(武蔵大学社会学部)

第12回 日本オセアニア学会賞選考要項

2012年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 吉岡政徳

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2011 年1月1日から2012年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、e-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、e-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2012年11月1日から2013年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはe-mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)吉岡 政徳
    〒657-8501  兵庫県神戸市灘区鶴甲1-2-1
    神戸大学大学院国際文化学研究科
    Fax:078-803-7430
    e-mail:yoshioka[atmark]tiger.kobe-u.ac.jp
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

【新刊紹介】

馬場 淳 著
『結婚と扶養の民族誌――現代パプアニューギニアの伝統とジェンダー』
(彩流社、2012年)

現代パプアニューギニア諸社会の生活世界は、19世紀後半の植民地化から1975年の独立を経て、持続可能な経済社会を模索するマクロな過程と連動した 地域 社会固有の近現代史によって成型されている。本書の目的は、著者が1999年以来、断続的に人類学的調査を行ってきたマヌス州マヌス島・クルティ社会を対象 に、そうした生活世界における結婚と扶養の多相的かつ逆説的な諸相をカストム(ピジン語で伝統的慣習を意味する)とジェンダーの視点から記述・分析するこ とで ある。本書は、理論的問題を扱う2つの章(第1章・終章)と、クルティ社会の民族誌となる7つの章(第2章~第8章)で構成される。民族誌記述のうち、第4・ 5章は結婚、第7・8章は扶養の問題について取りあげ、第6章はそれら結婚と扶養の問題領域をつなぐ役割を果たす。そして第2・3章では、これらの経験的 位相 を記述・分析していく上での歴史的・社会的脈絡化を図る。  結婚と扶養という二つのテーマは、本書のなかでシークエンスとして描かれる。こんにち、結婚生活やパートナー関係はすこぶる不安定であり、子どもをもちなが らも男女が離別してしまう――結果として「シングルマザー」の産出――という事態は、クルティ社会でしばしば見られる光景である。これが、離別後のパート ナー の生活や子どもの扶養に注目する問題意識となっている。かくして著者は、人々の日常的な実践や語りにもとづいて、これら一連のプロセスを明らかにする。結婚と いう行為そのものがひどく議論の余地のある、複雑かつ多義的なプロセスであることや結婚をめぐる国家法と慣習的実践のズレは、後続する「シングルマザー」 や近 代型裁判に関する議論と連結する。また扶養については、在地の生を支える慣習的実践と近代型裁判(扶養費請求訴訟)それぞれの実態と接合が具体的な事例を通し て論じられる。なお社会文化的文脈を踏まえた扶養費請求訴訟に関する議論は、脆弱国家パプアニューギニアにおける国家法のあり方、ひいてはクルティ社会が 具現 する「近代」のあり方を如実に浮き彫りにする。

理論的には、本書は、カストム論とジェンダー研究を接合させる試みである。歴史的にも、文脈的(結婚と扶養をめぐる現象)にも、カストムは多様かつダイ ナ ミックに客体化されている。一方で、本書は、原理的・肯定的・否定的という三つの軸を設定することで、カストムの多様な客体化に一定の輪郭を与え、そのダイナ ミズムを示す。他方で、本書は、ジェンダーの政治学――男性と女性がときに協同し、ときに衝突しながら(結婚と扶養の)現象を創造・成型する諸実践――が いか にカストムの多様な客体化に関わっているのかを例証し、ジェンダーがカストムの発明や再生産を捕捉するうえでの重要な分析枠組みであることを強調・提示する。 (著者)

学会通信

後援事業

日本オセアニア学会は、以下の国際シンポジウムを後援いたします。

国立民族学博物館主催国際シンポジウム
「グローバル化における紛争と宗教的社会運動-オセアニアにおける共生の技法」

日時:
平成25年1月26日(土)10時~17時10分
国立民族学博物館第4セミナー室 (70名)
http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/news/corp/20130126
お問い合わせ:
丹羽典生(国立民族学博物館)

新入会員

所属変更

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.103から


第29回総会の報告

2012年3月24日(土)、第29回日本オセアニア学会研究大会会場(倉敷市芸文館)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。総会の議事 は以 下の通りです。

審議事項

1.2011年度事業報告
 下記2011年度事業報告が審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.27の刊行(109pp.:論文5本、書評1本)
・NEWSLETTER no.100,101,102の刊行(論文3本、特別寄稿3本)
・研究例会の実施
関西地区 2011年12月10日 京都大学 発表2本
関東地区 2012年1月28日 東京大学 発表2本
・ニューズレター掲載論文の電子公開
・第29回研究大会・総会の実施
倉敷市芸文館(大会長:吉備国際大学 末吉秀二) 2012年3月24~25日
・日本学術会議等関連の活動
・第11回日本オセアニア学会賞の選考
2.2011年度会計報告
 2011年度決算(2011年3月1日~2012年2月29日)について、須田理事より説明があり、承認されました(別紙参照――webには掲 載し ません)
 会計監査は、高坂宏一氏および塚原高広氏によって行われました。
3.2012年度事業計画
 下記2012年度事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.28の刊行
・NEWSLETTER no.103, 104, 105の刊行
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・第30回研究大会・総会の実施
・第12回日本オセアニア学会賞の募集・選考
・日本学術会議等関連の活動
4.名誉会員の推薦
 北尾陽之介氏が名誉会員に推薦され、了承されました。
5.会則の変更
 日本オセアニア学会会則第1章第2条の変更が了承されました。
(変更前)
日本オセアニア学会会則
第1章 総則
第2条
本会は事務局を東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻人類生態学教室に置く。
(変更後)
日本オセアニア学会会則
第1章 総則
第2条
本会は事務局を大学生協学会支援センター日本オセアニア学会係に置く。
6.2012年度予算(別紙参照――webには掲載しません)
 2012年度予算案(2012年3月1日~2013年2月28日)について、須田一弘理事より説明があり、承認されました。

報告事項

1.第11回日本オセアニア学会賞候補の理事会決定について、事務局より報告されました。
・日本オセアニア交流協会より副賞をいただきました。なお、学会賞選考委員会からの報告は、以下、別記事として掲載されております。
2.第30回研究大会・総会について
第30回研究大会・総会は、宇都宮大学の柄木田康之会員を大会長として開催予定であることが報告されました。

第11回 日本オセアニア学会賞について

1)第11回オセアニア学会賞受賞者
  石森大知 氏
2)対象著作:
『生ける神の創造力―ソロモン諸島クリスチャン・フェローシップ教会の民族誌』(世界思想社 2011年2月刊行)』
3) 選考理由
 石森大知著『生ける神の創造力―ソロモン諸島クリスチャン・フェローシップ教会の民族誌』は、ソロモン諸島・ニュージョージア島で展開されてい る社 会宗教運動としてのクリスチャン・フェローシップ教会を対象とした文化人類学的研究である。この教会は、創始者が聖霊憑依によって神の啓示を受け、「生け る神」として神格化されたことをきっかけに、もともと属していたメソジスト教会から分離・独立したもので、西洋世界からの一切の干渉を排除した自律的 な生 活を実現することを目指した運動を展開している。本書は、クリスチャン・フェローシップ教会の歴史的形成過程、組織の在り方、信徒たちによって営まれる共 同生活の現実とその背景にある世界観などを、歴史資料や長期のフィールドワークによって得た資料をもとに詳細に記述・分析したものであり、これまでそ の内 実があまり知られていなかったこの社会宗教運動の実態を明らかにした民族誌として、高く評価できるものとなっている。また、従来の人類学的研究では、オセ アニアで生起する様々な社会宗教運動は、カーゴカルトかプロ・ナショナリズムかどちらかの概念と関連付けて論じられてきたが、本書では、どちらの概念 でも 捉えることのできないクリスチャン・フェローシップ教会を、新たにモダニティ概念と関連付け、その運動を、宗教的技術改革をとおして権利や自治の獲得を目 指す近代的な新しい改革運動と位置づけている。従来の人類学的研究の批判的検討には説得力があり、新たな視点から社会宗教運動を論じる方向性を示した 点 に、文化人類学的理論への貢献を認めることができる。

第11回日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長  吉岡 政徳
 委員  後藤  明
     窪田 幸子
     中澤  港
     風間 計博


第12回 日本オセアニア学会賞選考要項

2012年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 吉岡政徳

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2011 年1月1日から2012年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2012年11月1日から2013年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)吉岡 政徳
    〒657-8501  兵庫県神戸市灘区鶴甲 1-2-1
    神戸大学大学院国際文化学研究科
    Fax:078-803-7430
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2013年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

学会通信

所属変更

以下,新所属のみ掲載します。

寄贈図書

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。


ニューズレターNo.102から


2011年度 日本オセアニア学会関西地区例会の報告

2011年12月10日、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科川端キャンパスにて、2011年度日本オセアニア学会関西地区例会を開催した。 今回 の例会には10名が参加し、2名の研究発表が行われた。発表題目、発表者などは以下の通りである:

言語芸術の継承――ベラウチャントの事例から
発表者:紺屋あかり(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
コメンテーター:遠藤 央(京都文教大学)
制度をこえる集まり――絵画を描く/見る
発表者:渡辺 文(日本学術振興会/一橋大学)
コメンテーター:丹羽典生(国立民族学博物館)

紺屋あかり氏の発表では、最新のフィールドワークのデータから、ベラウ(パラオ)のチャント(古典歌謡)の継承をめぐる人々の実践を、単なる「伝統文化 の継 承」としてだけでなく、言語芸術が生み出される場として捉え直す試みがなされた。継承形態が多様化する都市部の事例と、親族関係に基づいた継承形態が維持され る村落部の事例との双方から、人々が社会関係の変化に対応しながらチャント継承の場を再形成していく様子が提示された。コメンテーターの遠藤央氏からは、 ベラ ウにおいて文字化されない知識がもつ権力性、学校教育を通じた文字習得の影響、「伝統文化の継承」のために近年行われるようになった知識の文字化の影響などが 指摘された。その後、古典歌謡を継承ないし文字化する意図・目的、ベラウの古典歌謡の定義およびジャンルの区分、技能の伝承と知識の伝承の区分などに関す る質 疑応答がなされた。

渡辺文氏の発表では、フィジーのオセアニア・センター(Oceania Center for Arts and Culture)における絵画作品群(レッド・ウェーブ・アート)の制作現場を事例として、民族芸術の担い手たちは、グローバルな市場の要請や芸術生産の制度によって一方 的にコントロールされているわけではなく、芸術活動の行為遂行性、すなわち芸術家としての身体感覚を動員した人間とモノとの相互作用を通じて、諸制度の制 約を 換骨奪胎するような創造性を発揮していることが報告された。コメンテーターの丹羽典生氏からは、芸術研究からみたオセアニア芸術の位置づけ、芸術をめぐる諸制 度のとらえ方とその定義、芸術作品と作者との関係性、芸術の個性を生み出す要因などに関する指摘がなされた。その後、フロアからの質疑をふまえて、レッ ド・ ウェーブ・アートにおいて人とモノとの関係性が特に重要視されている理由、エペリ・ハウオファをとりまくオセアニアの芸術家の動向などが議論された。

(関西地区例会幹事:飯高伸五)


2011年度 日本オセアニア学会関東地区例会の報告

2012年1月28日(土)、東京大学本郷キャンパスにて、下記のプログラムのとおり2011年度の関東地区研究例会が開催された。

海を渡る生者たちと死者たち
 ――ソロモン諸島マライタ島北部の「海の民」ラウにおける移住、親族関係、葬制
発表者:里見龍樹(東京大学大学院)
コメンテーター:石森大知(東京外国語大学)
ハワイアン・ホームステッドをめぐる血の系譜――オアフ島ワイアナエ地区を事例に
発表者:四條真也(首都大学東京大学院)
コメンテーター:深山直子(東京経済大学)

まず里見氏が、マライタ島の海上居住者による伝統的葬制(トロラエア)を取り上げ、男性と女性の事例を比較検討しつつ、頭蓋骨の移送と埋葬地のネット ワーク について報告した。石森のコメントの後、ラウの伝統的信仰、移住と葬制の関係性、居住様式と女性の埋葬のあり方などについて議論がなされた。

つぎに四條氏が、西欧社会との接触後のハワイに、法律を媒体として持ち込まれた血統の概念がどのようにハワイ社会に影響を及ぼしているのかについて報告 し た。深山氏がコメントした後、現代ハワイにおける親族観の捉え方、そしてハワイ人の土地利用形態の変容などをめぐって議論がおこなわれた。

参加者は11名と小規模ではあったが、フィールドワークを終えたばかりの若手研究者の報告に対して、フロアのほぼ全員が質疑応答をおこない、発表者との 間で 白熱した議論が交わされる研究例会となった。

(関東地区例会幹事:石森大知)


第29回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

前号のNEWSLETTERでもお伝えしましたとおり、日本オセアニア学会第29回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。今回は20題を超える 演題 が予定されております。オセアニア研究の発展を期し、活発な意見交換がなされることを願っております。ご不明点などありましたら大会事務局までお問い合わせ下 さい。春たけなわの倉敷にてお会いできること楽しみにしております。

日時:
     2012年3月24日(土)13:00 ~ 25日(日)12:00(予定)
     (理事会 3月24日11:00~12:00、評議員会 12:00~13:00)
大会会場:
     倉敷市芸文館(http://www.kcpf.or.jp/hall/geibu/
宿泊場所:
     旅館御園(http://misono21.com/
交通:
・大会会場まで
JR倉敷駅から徒歩約15分(南口より南へ1km左側)
・宿泊場所まで
JR倉敷駅から徒歩約8分(南口より西へ約400m。香川銀行を南へ200m右側)

交通の便は以下の通りです:
・電車……山陽新幹線(下り)を利用する場合は、岡山駅で在来線の山陽線か伯備線に乗り換えて倉敷駅へ行くのが便利です。(岡山駅からの所要 時間 約15分)
・飛行機……岡山空港からJR倉敷駅北口へのバスが出ています。(所要時間約35分)
時刻表は岡山空港HP http://www.okayama-airport.org/ をご覧ください。
・自動車……山陽自動車道倉敷ICから。(所要時間約20分)

参加費:
     有給者 18,000円
     無給者 11,000円(予定)。いずれも24日の宿泊費、懇親会費を含む。
第29回研究大会・総会事務局
〒716-8508 岡山県高梁市伊賀町8 吉備国際大学社会学部
末吉秀二
Tel:0866-22-9375 / Fax:0866-22-8133

研究大会プログラム


【3月24日(土)】

理事会・評議員会
11:00~12:00 理事会
12:00~13:00 評議員会
研究大会
12:00     受付開始
13:00     会長挨拶(および大会事務局より連絡)
研究発表
<第1セッション 座長:印東道子(国立民族学博物館)>
13:15 つながる陸と海の環境史:八重山諸島石垣島のジオアーケオロジー調査報告
    山口徹、小林竜太(慶應義塾大学、慶應義塾大学大学院)
13:30 西ポリネシアの環礁島における植民と海の資源利用:トケラウ・アタフ環礁の事例から
    小野林太郎(東海大学海洋学部)
13:45 グアム島ハプト遺跡に於けるラッテ期村落について
    片岡修、RK・オルモ(関西外国語大学国際言語学部)
14:00 持続可能な文化遺産保護に向けて:ミクロネシア連邦ナン・マドール遺跡において
    石村智(奈良文化財研究所)
<第2セッション 座長:大西秀之(同志社女子大学)>
14:15 フィジーにおける神話の再解釈と首長即位儀礼
    浅井優一(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科)
14:30 「カラウ」事件とは何だったのか-日豪間の認識差と事件から68年後の新証言をめぐって
    山田真美(お茶の水女子大学)
14:45 ソロモン諸島の華人の生活史
    有松由衣(北九州市立大学社会システム研究科)
15:00 ソロモン諸島~ラバウルの貝殻輸出入ネットワーク:ある仲買人のライフヒストリーから
    深田淳太郎(一橋大学大学院社会学研究科)
15:15 コーヒーブレーク
<第3セッション 座長:栗田博之(東京外国語大学)>
15:30 生理用品と女性の身体:パプアニューギニア・アベラム社会における月経期間の過ごし方から
    新本万里子(広島大学大学院総合科学研究科)
15:45 パプアニューギニア・ポートモレスビー市のタリ人セトルメントにおける人口流動
    田所聖志・梅崎昌裕(東京大学人類生態学教室)
16:00 「場所」の生成とその論理:パプアニューギニア、ブラックウォーター、クラインビット村 地誌のための覚書
    熊谷圭知(お茶の水女子大学)
16:15 パプアニューギニア 東セピック州ワシクク丘陵トングシェンプ村のマネー・カルト
    紙村徹(神戸市看護大学看護学部)
16:30 総会
17:30 宿泊・懇親会会場へ移動(送迎マイクロバスまたは徒歩)

【3月25日(日)】

9:00~ 大会会場へ移動(送迎マイクロバスまたは徒歩)
<第4セッション 座長:柄木田康之(宇都宮大学)>
9:30 ウチナーンチュ大会からみた沖縄的国際交流
    小出友視
9:45 ツバル・ナヌメア環礁における人類学者の元調査助手による伝承の「正しさ」の探求
    小林誠(首都大学東京大学院)
10:00 現代パラオ社会における「家族」の考察
    紺屋あかり(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
10:15 パラワン島における丘陵地農業の変容過程の解明にむけて
    増野高司(国立民族学博物館)
10:30 フィリピン・パラワン島先住民の家畜飼育
    辻貴志(国立民族学博物館)
10:45 コーヒーブレーク
<第5セッション 座長:後藤明(南山大学)>
11:00 トンガ人の成長パターンと肥満の年齢変化
    権田絵里
11:15 現金消費の抑制と契機:トンガの積み立てグループにおける個々の実践
    比嘉夏子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
11:30 ニュージーランド・マオリのタトゥー、モコの復興
    秦玲子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
11:45 「障害の文化」は生まれるか? サモアにおける障害者福祉活動の展開から
    倉田誠(神戸学院大学)
12:00 ニューカレドニアにみる先住民としてのカナクの慣習的地位
    江戸淳子(杏林大学)
12:15 終了

学会通信


新入会員(webでは所属のみ掲示します)

増野高司
国立民族学博物館 外来研究員

藤井真一
大阪大学大学院


所属変更(webでは新所属のみ掲示します)

根岸洋
青森県教育庁文化財保護課



論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。




ニューズレターNo.101から


第29回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第29回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。会員の皆様の多数ご参加をお待ちしております。

日時:
2012年3月24日(土)13:00 ~ 25日(日)12:00(予定)
(理事会:3月24日 11:00 ~ 12:00、評議員会:12:00 ~ 13:00)
大会・総会・理事会・評議員会会場:
倉敷市芸文館
〒710-0046 岡山県倉敷市中央1-18-1
TEL:086-434-0400 / FAX:086-434-0448
URL:http://www.kcpf.or.jp/hall/geibu/
宿泊場所:
旅館御園
〒710-0826 岡山県倉敷市老松町3-4-1
TEL:086-422-3618 / FAX:086-421-0371
URL:http://misono21.com/
参加費:
  • 有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む)18,000円
  • 無給者(大学院生、学生等) 11,000円(予定)。
※いずれも24日の宿泊費、懇親会費を含む。
※旅館への宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)、あるいは宿泊費と大会参加費の領収書を別に作成する必要のある方は、その旨をあら かじ めお知らせ下さい。その場合、大会参加費は7,000円を予定しております。また、申し込み期限を過ぎました場合、宿の手配が出来ない可能性があること、 直前のキャンセルは、キャンセル料を徴収することを御了承下さい。
出欠確認:
 ご出欠につきましては、学会ホームページに設置された申し込み用フォームをご利用のうえ、2012年1月13日(金)までにお知らせください。
・研究大会参加申し込みフォーム: http://www.jsos.net/meeting2012.html
(フォームのご利用が不可能な場合には、御氏名、連絡先を明記の上、FAXか郵便で、必要事項を大会・総会事務局にお知らせください。)
 研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などに つい ても、フォームにご記入下さい。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて例年20~25分程度です。
交通:
・JR倉敷駅まで
1)電車
山陽新幹線をご利用の方は、岡山駅で在来線の山陽線か伯備線に乗り換えて倉敷駅までが便利(所要時間約15分)
2)飛行機
岡山空港~JR倉敷駅北口(所要時間約35分)
3)自家用車
山陽自動車道倉敷IC(所要時間約20分)
・大会会場まで
JR倉敷駅から徒歩約15分(南口より南へ1km左側)
・宿泊場所まで
JR倉敷駅から徒歩約8分(南口より西へ約400m。香川銀行を南へ200m右側)
《大会会場・倉敷のご案内》
 倉敷は、江戸時代に幕府の直轄地・天領として栄え、いまでも美観地区の白壁にその面影を残しています。その周辺には、美術館や博物館、コンサー ト ホールが並び、文化の香るまちでもあります。また3月の瀬戸内海はメバルのシーズンです。倉敷のまちの散策とともに釣りを楽しんでいただけたらと思いま す。懇親会では瀬戸内海の春の幸を用意しております。会員の皆様方には、ふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。
 研究大会のプログラムにつきましては、次号ニューズレターにて改めてお知らせする予定です。
第29回研究大会・総会事務局
〒716-8508 岡山県高梁市伊賀町8 吉備国際大学社会学部
末吉秀二
Tel:0866-22-9375 / Fax:0866-22-8133

第11回 日本オセアニア学会賞選考要項

2011年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 吉岡政徳

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2010 年1月1日から2011年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2011年11月1日から2012年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会賞選考委員長)吉岡 政徳
    〒657-8501  兵庫県神戸市灘区鶴甲 1-2-1
    神戸大学大学院国際文化学研究科
    Fax:078-803-7430

  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2011年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

新刊紹介

石森大知
『生ける神の創造力:ソロモン諸島クリスチャン・フェローシップ教会の民族誌』
(京都、世界思想社、2011年2月、383ページ)

 ソロモン諸島にクリスチャン・フェローシップ教(CFC)という、驚くべき教会がある。CFCは「生ける神」として信仰される宗教的指導者を頂に置 き、太 平洋では比肩すべき存在がないほどの規模と持続力を誇るなど、同地域の近代史のなかで燦然たる異彩を放つ。本書で試みるのは、この「生ける神」が創造し、そし て信徒たちに受容されてきた生活様式や行動規範に注目しつつ、CFCの全体像に迫ることである。

 CFCを創始したのは、ニュージョージア島出身の現地人説教師、サイラス・エトである。エトは、聖霊憑依とともに神の啓示を受け、あらゆる側面で西洋 人の 干渉を受けない自立的な生活、すなわち「新しい生活」の実現を目指して運動を開始する。やがてエトらは、聖霊の解釈をめぐって主流派メソジスト教会と対立し、 妨害を受けつつも、1966年にCFCとして分離・独立を果たす。その過程でエトは三位一体の位格に並ぶ存在として神格化され、それ以降、CFCのすべて の事 象はこの「生ける神」を中心に展開してきた。

 本書の目的は、CFCの歴史的な形成過程の把握とともに、「生ける神」によって創造され信徒たちに営まれる共同生活の現代的動向、およびその背景にあ る世 界観を明らかにすることにある。本書は、序章と終章に挟まれた3部(9章)から構成される。まず第Ⅰ部「運動から教会へ」では、エトの運動が聖霊憑依による宗 教的熱狂にはじまり、やがてエトの神格化がなされ、メソジスト教会から独立を果たす過程を考察する。第Ⅱ部「パラダイスに暮らす」では、エトの意匠で建設 され た本拠地・パラダイス村の事例を扱い、CFC信徒が営む日常生活の実態を明らかにする。そして第Ⅲ部「聖霊の働きと生ける神」では、各種の教会儀礼(主日礼 拝、洗礼式、結婚式、葬式)、「生ける神」の位置づけ、信仰に関する語りなどの事例をとおして、CFCの世界観の包括的な理解を試みる。

 従来の研究において、太平洋の諸運動は概してカーゴカルトかプロト・ナショナリズムに振り分けられ、CFCは前者として扱われてきた。しかし、著者が 終章 で提示する新たな分析枠組みに基づけば、CFCは従来の位置づけには該当しない。CFCは構造レベルの技術的行為という点で前者とは異なるし、単線的発展論= 近代化論に依拠する後者に類するわけでもない。「生ける神」が創造した時空間の統制、運動形態の階層的組織化、生活様式の体系的知識化などの事例に注目す れ ば、それらは既存のメラネシア的秩序とは相容れず、モダニティの一端を示すものと解釈される。こうした考察に基づき、CFCは、宗教的領域の技術的な改革をと おして権利や自治の獲得を目指す近代的な「新しい改革運動」と位置づけられるのである。(著者)


小野林太郎
『海域世界の地域研究:海民と漁撈の民族考古学』
(地域研究叢書24、京都大学学術出版会、2011年3月、524ページ)

 本書は、東南アジア島嶼部やオセアニアに代表される海域世界を対象とした地域研究として書かれた研究書である。これまでの地域研究では、国家を単位と して 対象とする研究が主流であった。こうした風潮に対し、本書では「海域」という単位でも地域研究の対象となりうることを、考古学や民族学、歴史学的なアプローチ を積極的に採用することで総合的に検討する。 より具体的には、東南アジアに位置するセレベス海とそれを取り囲むスール諸島からミンダナオ島南岸、ボルネ オ島 北東部沿岸、サンギヘ・タラウド諸島とスラウェシ北岸からなる海域世界を、その歴史・文化的特性より「セレベス海域」と定義したうえで、この海域における過去 から現在に至る人々の生活と文化の移り変わりを、漁撈活動を中心とする海産資源の利用にみられる変化を軸に検証を試みていく。

 このような本書の意義は大きく三つある。その一つは、セレベス海域をはじめとするこの海域世界に人類(の痕跡)が登場してから現代まで、という長期的 で人 類史的な視点からの地域研究となっている点にある。この視点を踏まえることで、本書は従来の研究で超えることが難しかった「東南アジア」や「オセアニア」とい う枠組みを取り外し、隣接する「海域世界」として「オセアニア」世界と「東南アジア」世界とを比較・検討することを可能にする。同じく「海域世界」の一つ とし て「東南アジア」を再検討することで、改めて東南アジア海域世界を解体し、その地域像に迫るという、よりマクロで長期的な「海域」の視点から論じることに成功 した。

 いっぽう本書のもう一つの意義は、おもに東南アジア島嶼部を対象とした先行研究で指摘されてきた「フロンティア」や「移動分散型社会」といった文化・ 社会 的要素が、「セレベス海域」ではオーストロネシア語族と推測される新たな人々の移動や植民により、約3500年前頃に始まる新石器時代期に形成された可能性 を、旧石器時代から植民地時代にいたる多様な先史遺跡群の発掘調査と、そこで出土した魚骨や貝類等の自然遺物や土器や石器、貝製品等の人工遺物を対象とし た考 古学的な分析より明らかにしたところにある。

 また研究方法においては、これまで地域研究を行う上での主な研究法とはあまり見なされてこなかった考古学を積極的に援用し、この分野で発展し、「現 在」に もアプローチできる民族考古学の手法から地域研究の実践が可能であることを証明した点も、その意義の一つである。 この成果がもっとも顕著に示される本書の後半部では、セレベス海域を含む東南アジア海域に広く居住するサマやバジャウと呼ばれる海民の漁撈活動や資源利用に関する現在が紹 介され、同時にこれらの民族学的な情報が、文字記録のない先史時代における人々の漁撈活動や生業戦略を検討する際にも有効な情報となりうる可能性を垣間見 るこ とができよう。

 このほかに本書の魅力としてあげられるのが、海域世界の自然や海と共に生きる人々の漁撈や生活風景を写した豊富な写真群であり、各章の前後にはカラー 写真 によって紹介された内容紹介のページや、本書のテーマとは少し異なる視点から海域世界を描写したコラムも挿入されている。東南アジアからオセアニア地域を対象 とした地域研究や人類学を行う研究者や学生の方々には、ぜひ一読してもらいたい作品である。(著者)


学会通信

 本号より、ニューズレターに「新案紹介」コーナーを設けることになりました。会員の皆様には、オセアニア学にかかわる単行本の書評・ご自身の新刊につ いて の紹介文など、オセアニア学についての情報を投稿してくださるようお願いいたします。なお、掲載の可否については、当面、ニューズレター担当理事の判断とさせ ていただくことをご了承ください(庶務担当理事)。

新入会員(webでは所属のみ掲示します)

三田 牧
日本学術振興会特別研究員

秦 玲子
京都大学大学院

山田 真美
お茶の水女子大学大学院

所属変更(webでは新所属のみ掲示します)

倉田 誠
神戸学院大学地域研究センター

片岡 修
関西外国語大学

夏原 和美
日本赤十字秋田看護大学大学院



論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。




ニューズレターNo.100から

「日本オセアニア学会モノグラフシリーズについての申し合わせ」改正について

モノグラフシリーズ旧担当理事・柄木田康之

モノグラフシリーズの応募状況に鑑み,2011年3月21日に開催された理事会において,原稿は年一回ではなく随時募集するよう申し合わせが改正されま し た。以下に改正された申し合わせを掲載します。下線は改正部です。

日本オセアニア学会モノグラフシリーズについての申し合わせ


日本オセアニア学会理事会
2011年 3月 21日


日本オセアニア学会は、学会員の研究成果の発表促進のため、The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Series(以下、モノグラフシリーズ)を出版する。

  1. モノグラフシリーズは不定期刊行物とし、随時原稿を募集する。著者および編者(以下、著(編)者)は過去2年間会費を納入して いる 学会員とする。
  2. 著(編)者は、応募の際、図版を含め既に完成した原稿をモノグラフシリーズ編集担当理事に提出する。
  3. 応募があった場合、モノグラフシリーズ編集担当理事が審査委員会を招集する。審査委員会を構成する査読者は、学会員1名を含めた3名までとす る。 審査結果を踏まえ、モノグラフシリーズ編集担当理事が出版の可否を決定する。
  4. 出版が認められた場合、著(編)者は入稿前の原稿整理、校正などすべての編集作業に責任を負う。
  5. 編集事務(印刷業者との原稿の受け渡し等)は、モノグラフシリーズ編集担当理事が責任をもっておこなう。
  6. 刊行は原則として次の日程で行う。原稿の応募,査読審査(応募後2カ月間),原稿修正(査読後1カ月間),入稿(査読受理後),出版
  7. 装幀は、A5版、横書きとする。
  8. 刊行物の配布は著(編者)が行う。著(編者)は一定数の刊行物を日本オセアニア学会が定める機関に寄贈するものとする。

付則 本申し合わせの改正は2011年3月21日から施行する。

第28回総会の報告

2011年3月21日(月)、第28回日本オセアニア学会研究大会会場(東京大学本郷キャンパス)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。 第 28回大会・総会は、当初、千葉県・館山市での開催が予定されていましたが、震災の影響により代替地での開催となりました。総会の議事は以下の通りです。

審議事項

1.稲岡司氏が、新会長(任期2011年4月1日~2013年3月31日)となることが承認されました。
2.2010年度事業報告
下記2010年度事業報告が審議され、承認されました。
  • People and Culture in Oceania vol.26の刊行(147pp.:論文5本、通信1本)
  • NEWSLETTER no.97,98,99の刊行(論文4本)
  • 研究例会の実施
    • 関東地区 2010年12月11日 東京大学 発表2本
    • 関西地区 2011年2月19日 国立民族学博物館 発表2本
  • ニューズレター掲載論文の電子公開
  • 第28回研究大会・総会の実施
    2011年3月21日 東京大学(館山大会の代替開催)
  • 石川榮吉賞の選考
  • 第10回日本オセアニア学会賞の選考
  • 日本学術会議等関連の活動
3.2010年度会計報告
2010年度決算(2010年3月1日~2011年2月28日)について、稲岡司理事より説明があり、承認されました(別紙参照→注:webでは 公開 しません)
会計監査は、栗田博之氏および江戸淳子氏によって行われました。
4.会費の値上げについて
2011年度より、会費を、通常会員6000円、学生会員4000円とすることが承認されました。
5.2011年度事業計画
下記2011年度事業計画が審議の結果、承認されました。
  • People and Culture in Oceania vol.27の刊行
  • NEWSLETTER no.100、101、102の刊行
  • 関西地区・関東地区研究例会の実施
  • 第29回研究大会・総会の実施
  • 第11回日本オセアニア学会賞の募集
  • 日本学術会議等関連の活動
6.会計監査の選出について
2011年度の会計監査として、高坂宏一氏と塚原高広氏が選出されました。
7.2011年度予算(別紙参照→注:webでは公開しません)
2011年度予算案(2011年3月1日~2012年2月29日)について、須田一弘理事より説明があり、承認されました。

報告事項

1.2011~2012年度の理事・幹事の分担について報告されました。
・理事……庶務:梅崎昌裕、会計:須田一弘、PCO:印東道子・遠藤央、ニューズレター:内藤暁子、研究集会・情報化:中澤港、渉外:関根久雄
・幹事……庶務・会計:田所聖志、ニューズレター:行木敬、研究例会:飯高伸五(関西)、石森大知(関東)
2.モノグラフ・シリーズの現況について、柄木田理事より報告されました。
3.石川榮吉賞を片山一道氏に授与するとの評議員会決定が報告されました。
受賞理由と、片山一道氏の「石川榮吉賞を受賞して」という文章が以下に掲載されています。
4.第10回日本オセアニア学会賞を松本和子氏に授与するとの理事会決定が報告されました。なお、学会賞に対して、日本オセアニア交流協会より副 賞を いただきました。
5.第29回研究大会・総会は、吉備国際大学の末吉秀二会員を大会長として、岡山県で開催予定であることが報告されました。

石川榮吉賞について

2011年3月21日の日本オセアニア学会総会において、片山一道氏(京都大学名誉教授)に石川榮吉賞が授与されました。授賞理由は、以下の通りです。

授賞理由:

片山一道氏は、1980年に仏領ポリネシア、ツアモツ諸島のレアオ島でポリネシア人を対象とする現地調査を開始した。それ以来、古人骨調査と生体調査を 基軸 にした定点調査を通じて、ポリネシア人身体特徴のユニークさの本質と理由を解明する独特の研究活動を続けてきた。1989年からは先史ポリネシア人の拡散に関 する広域調査を主導し、ポリネシアを中心とする南太平洋でのフィールドワークは、クック諸島をはじめ合計11か国におよんでいる。

特にラピタに関する研究では、形質人類学的側面から活発な講演・執筆活動を行い、日本におけるラピタ文化の知名度を上げ、日本におけるオセアニア学を普 及さ せるために大いに貢献してきた。

学会活動については、その揺籃期の頃から評議員や理事などを歴任して学会活動を支えるとともに、2003年から2007年にかけて2期4年間、会長を勤 める ことで、その発展に寄与した。

以上のように、オセアニア研究の振興に多大なる寄与を果たしたこと、くわえて、長年にわたり日本オセアニア学会の発展に貢献してきたことから、片山氏を 石川 榮吉賞受賞者として推薦する。

石川榮吉賞選考委員会


石川榮吉賞を受賞して

片山 一道

このたび石川榮吉賞を受賞する恩典に浴しましたことにつき、日本オセアニア学会の皆さま方に心から御礼申し上げます。石川先生の御芳名をいただいた賞を 授け られるなど、ともかく私には、夢でも見るような話ですから、ことのほか嬉しく思っているような次第です。また、天にまします石川先生には、あらためて謝恩の意 を表したいと存じます。それでもなお、先生の恩義に感謝する私の念は十分ではなく、百万遍の言葉でもたりないでしょう。

はじめてポリネシアの島を訪れ、そこで人類学の現地調査に参加する機会に恵まれたのは、齢おそく、すでに30歳代のなかば近くになっていました。 1980年 のこと、フレンチ・ポリネシアのレアオ環礁でした。今から考えても、よくも行くことができた、と思うほどに遠い世界でした。そのうえ、このうえないような貧し い小さな離島でした。それまでに抱いていたポリネシア世界に対する憧れのイメージは儚くも消え失せてしまい、ピンからキリまで何から何までもが無駄にでき ない ような無いものづくしの現地生活は、ともかくカルチャーショックではありました。でも、ある意味、人類学のフィールドとしては理想的な場所だったのかもしれま せん。よくもまあ人間という動物、こんな島にまで渡り来て、わざわざ生業を成り立たせているものよのう、と。そんな驚嘆を肌で感じることができたからで す。そ の思いこそが、今日にいたる私のポリネシア人研究の原点となったのかもしれません。

そんな頃に座右の書となったのが石川先生の御高著です。先生の「南太平洋の民族学」(1978、角川選書)、「南太平洋」(1979、角川書店)、「南 太平 洋物語」(1984、力富書房)などは、テランギ・ヒロアの「南太平洋のバイキング」やR. サッグスの「ポリネシアの島文明」やP. ホートンの「最初の ニュージーランド人」などとともに、当時の私にはバイブルがごときでした。また、どんどんポリネシア研究の深みにはまる契機となったのが、先生との邂逅で あ り、ビールのごとく溢れる貴重なる御経験談でした。洒脱で矍鑠とした乗せ上手の先生の語り口は、遅れてきた者をノリノリに乗せていく気流のようでした。

こんなわけですから、このたびいただいた石川榮吉賞の表彰状は、私の大切にすべき存在証明のようなものです。レアオ環礁の調査で始まった左腎臓のいくつ かの 結石、ポリネシアの島々で暮らしつつ次々と歯をなくしてきた上下顎、マンガイア島のサンゴ礁で怪我したときにできた右手第5中手骨の遠位端周辺の傷跡などとと もに、長らく私がポリネシア研究に血道をあげてきたことを示す証となるわけです。これからの生涯の誇りなのです。


第10回 日本オセアニア学会賞について

第10回日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長  山本 真鳥
稲岡  司
大角  翠
棚橋  訓
山口  徹

1)選考過程
・2011年1月15日から対象著作類の回覧、メール会議による厳選
・2011年2月26日、受賞候補者の内定
2)第10回オセアニア学会賞受賞候補者
・松本和子氏(東京大学)
・対象著作:Kazuko Matsumoto. The role of social networks in the post-colonial multilingual island of Palau: Mechanisms of language maintenance and shift. Multilingua 29: 133-165.
3)選考理由
本論文は、西太平洋パラオ共和国における多言語状況を観察・分析し、言語の維持とシフトのメカニズムを明らかにしようとする斬新な試みである。従 来、 言語の維持・シフト・消滅のプロセスの研究は移民の多い都市や、威信言語と接触状態にある少数言語集団などを中心に行われ、世代別ないし世代間の言語の使 用状況、個人や社会の言語に対してもつ言語意識、言語政策に視点を置く研究や、個人の社会的位置を示す社会経済的な階層/階級といった要素から分析す る研 究が主流であった。一方のパラオ社会は、スペイン、ドイツ、日本、アメリカと宗主国が入れ替わる植民地状況の中で、現在パラオ語、英語、日本語が併用され る多言語状況の中にある。1997年以来、断続的にパラオをフィールドとして調査を行っている著者は、ここで話者の社会的ネットワークに注目する。時 系列 的に考えれば、古い植民地勢力の日本語はより早く廃れ、英語にとって代わられるはずである。しかし、それぞれの植民地の存在様式や人々との交流のあり方が 異なる故に、単純にそのような結果が導かれるわけではない。
著者は、パラオ社会が現地住民や移民のコミュニティ、都市部やそれ以外のコミュニティで言語間の接触状況の異なること、民族学的要因が要になって いる ことを挙げ、言語の維持・シフトのプロセスを推進する社会的メカニズムを理解するためにはこの社会的ネットワークを理解する必要があるとした。調査ではパ ラオ人家族と在パラオ日本人家族(戦後日本に引き揚げてからパラオに再度移住した日本国籍者家族)と、日系パラオ人家族(パラオ国籍)の3グループに 分 け、社会的ネットワークをもとに言語行動を調査した。パラオに特有の文化的カテゴリーとして著者はsiukangとmusingを挙げており、これらを通 して人々がつながりをもって交換活動をしていることが理解できる。これらは現地調査によるデータに基づいて、定性的かつ定量的に詳細に検討される。
本論文は理論的・方法論的な斬新さだけではなく、パラオの言語接触の歴史研究としても非常に興味深い見解を提示している。あるいは視点を変えれ ば、日 常的に利用する言語資源の選択戦略を通じて、パラオの人々はいかに、いま歴史を生きているのかということが本論文には詳細に示されているともいえよう。
本論文は、パラオのみならずオセアニアのポストコロニアル状況下における、社会、行為主体としての個人、言語の関係を分析対象とする論考として、 ま た、多言語社会の言語動態を分析対象とする論考として、抜きんでた存在である。同時に、オセアニア研究から広く地域の枠を越えて、社会言語学、文化人類 学、言語社会学、コロニアル・スタディーズ等々の関連分野においても影響を及ぼすべき、高い理論的発信性を有している。
着実性、独創性、新規性、発信性を兼ね備えた仕事であると評したい。

第11回 日本オセアニア学会賞選考要項

2011年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 吉岡政徳

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2010 年1月1日から2011年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2011年11月1日から2012年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)吉岡 政徳
    〒657-8501  兵庫県神戸市灘区鶴甲 1-2-1
    神戸大学大学院国際文化学研究科Fax:078-803-7430
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2012年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。なお、第10回オセアニア学会賞選考員会より、論文の場合には、副論文として もう 一編論文の提出をみとめてはどうかという提案がだされています。この件については、理事会における審議が完了次第、会員へ周知する予定です。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満 の者 とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

学会通信

1.会費の値上げについて
第27回総会にて、来年度の総会にむけて会費を値上げする方向で検討することが会長より提案され、承認されました。提案の理由として、オセアニア 学会 の従来の会費が、同様の規模の学会に比較しても低く抑えられていること、また、近年、学会活動が多方面にわたるようになったことで、収入を支出が上回る状 況が続いていること、さらに、今後の学会の発展をみすえ、新しい事業を展開するための経済的な基盤を整える必要があることなどが挙げられました。それ を受 けて、第28回総会にて、具体的な審議をおこない、(1)あらたに学生会員という区分を設けること、(2)会費は、通常会員6000円、学生会員4000 円とすることが決定されました。この決定は、2011年度分の会費より適用されます。
庶務担当理事
2.ニューズレター掲載論文の電子公開について
ニューズレター97号以降に掲載された論文には、以下のサイトにPDFファイルとして電子公開されています。
http://www.jsos.net/nlpapers/index.html

新入会員(webでは所属のみ掲示します)

山本宗立
鹿児島大学国際島嶼教育研究センター

所属変更(webでは新所属のみ掲示します)

深山直子
東京経済大学コミュニケーション学部

寄贈図書

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。




ニューズレターNo.99から

石川榮吉賞を受賞して
              須藤 健一

 オセアニア研究に船出する機会をつくってくださった私の恩師、石川榮吉先生の偉業を記念した本賞の受賞にあたり、オセアニア学会のみなさまに心から感 謝も うしあげます。

 石川先生に初めてお会いしたのは、私が東京都立大学(現首都大学東京)の修士生で、先生(立教大学教授)が私の出身大学・埼玉大学に非常勤講師に来て いた 1970年です。石川先生のメラネシアの村落共同体の講義を聞き、もっとフィールドワークの話をしてほしいと思ったのを記憶しています。

 1972年春に石川先生は都立大に赴任され、私のミクロネシア調査が実現しました。それは、1975年に開催された沖縄海洋博覧会の政府出展館、「海 洋文 化館」に展示する物質文化を1年程度の調査によって収集するプロジェクトでした。全国から15名の大学院生がその計画に参加しました。都立大では大学紛争直後 で沖縄復帰記念の博覧会に対する議論をしましたが、海外フィールドワークが困難であった当時、私は「節操もなく」参加を希望しました。その収集団の責任者 が梅 棹忠夫、委員が大島襄二、石川榮吉らの先生で、参加者は私のほか、吉岡政徳、船曳建夫、小林繁樹、大谷裕文さんら現オセアニア学会員でした。

 第一次オイルショックで海洋博予算が縮減し、計画は5ヶ月ほどの収集調査になりましたが、私たちが収集したモノは75年7月から半年間、広大な海を表 現し た海洋文化館に展示され500万人の観客の目を楽しませました。(その海洋文化館は、現在、後藤明会員(南山大学)さんをリーダーとする委員会によって改修計 画が進められています。)その後、石川先生には、創設間もない国立民族学博物館の助手に推薦してもらい、その後もオセアニア研究への情熱、オセアニア学の 発 展、若手研究者の養成など、いろいろな石川構想を酒の場でお聞きするのが楽しみでした。

 近年私を研究者に育ててくださった恩師と相次いで死別しています。石川榮吉先生のほか、埼玉大学で文化人類学ことはじめの手ほどきをうけた友枝啓泰先 生、 そしてみんぱくで研究者魂を叩き込んでくださった梅棹忠夫先生です。この石川榮吉賞の受賞を機に恩師のご遺志を生かすことの責任を改めて痛感しております。

 日本オセアニア学会の会員のみなさまのご研究のいっそうのご進展と学会のさらなる発展を期待します。

2010年度 日本オセアニア学会関東地区例会の報告

 去る2010年12月11日(土)に東京大学本郷キャンパスにて、2010年度の関東地区研究例会が開催された。

 まず早稲田大学の北原卓也氏が、「トンガ王国における企業と文化―日系ノニジュース生産工場の事例から」という演題で、工場とトンガ社会が相互に及ぼ す影 響について報告を行った。首都大学東京の小林誠氏がコメントをした後に、ノニの文化的位置付けの変化や親族構造と企業組織との関係等について議論が行われた。

 次に筑波大学の深川宏樹氏が、「集団関係と血の交渉―ニューギニア高地における母方親族への贈与」という演題で、葬儀の際に死者の父方クランにおいて 母方 親族への贈与をめぐり展開される交渉について報告を行った。東京大学の田所聖志氏がコメントをした後に、その交渉をサブスタンス論に関連付けて解釈する有効性 と限界等について議論が行われた。

 参加者は15名程度と小規模であったが、若手会員の熱心な報告をもとに、ほぼ全員が意見した刺激的な研究例会であった。(文責:深山直子)

第13期評議員選挙報告

日本オセアニア学会
第13期評議員選挙管理委員会
委員長 須田一弘

 日本オセアニア学会第13期評議員選挙の開票が、評議員選出規則に則り、2011年2月7日(月)に東京大学本郷キャンパスにおいて行われました。

 その結果、下記の方々が当選されましたので、ご報告致します。

日本オセアニア学会第13期評議員当選者(得票上位15名:50音順・敬称略)

稲岡 司 印東 道子 梅崎 昌裕 遠藤 央 小谷 真吾
風間 計博 窪田 幸子 後藤 明 須田 一弘 関根 久雄
棚橋 訓 内藤 暁子 中澤 港 山内 太郎 山本 真鳥

第28回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

 前号のNEWSLETTERでもお伝えしましたとおり、日本オセアニア学会第28回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。今回、一般演題の発 表に 加えて、「オセアニア考古学の最前線と可能性」と題しましたミニシンポジウムを企画しております。考古学関連分野はもちろん、全てのオセアニア研究の発展を期 し、活発な意見交換がなされることを願っております。ご不明点などありましたら大会事務局までお問い合わせ下さい。春たけなわの館山にてお会いできること 楽し みにしております。

日時:
2011年3月21日(月)13:00 ~22日(火)12:00
(新評議員会:3月21日10:00~、新旧合同理事会:11:00~、新旧合同評議員会:12:00~)
研究大会・総会・理事会・評議員会会場:
たてやま夕日海岸ホテル
〒294-0047 千葉県 館山市 八幡 822
TEL 0470-23-8111 / FAX:0470-23-8110
URL http://www.yuhikaigan.com/index.html
参加費:
有給者18,000円、無給者10,000円(いずれも21日の宿泊費、懇親会費を含む)
交通:
会場はJR館山駅から徒歩10分です。館山駅までの交通機関は以下の通りです:
1)高速バス
東京駅~館山駅 JRバス関東(所要時間約2時間)
房総なのはな13号:東京駅八重洲南口 10:20発~館山駅 12:08着
房総なのはな11号:東京駅八重洲南口 9:50発~館山駅 11:48着
電話予約:JRバス関東 03-3844-0497
千葉駅~館山駅 京成バス(所要時間約1時間半、詳細は京成バスホームページへ)
2)電車
東京駅~館山駅 特急ビューさざなみ(所要時間約100分)
時刻表はJR東日本ホームページなどでご確認ください。
3)自家用車
東京→東京湾アクアライン→木更津南I.C.→富津中央I.C.(富津館山道路)→富浦I.C.→国道127号(所要約2時間)
研究大会プログラム:
【3月21日】
ミニシンポジウム:『オセアニア考古学の最前線と可能性』
(オーガナイザー:印東道子・小野林太郎)
13:00-13:20 片岡修(片岡修・山野ケン陽次郎・Richard K. Olmo連名)
グアム島ハプト遺跡の重要性
13:20-13:40 小林竜太
サンゴ礁発達の地域差をふまえた石垣島先史遺跡分布の評価 ―リモートセンシングによるサンゴ礁発達の推定を通して―
13:40-14:00 小野林太郎
西ポリネシアの環礁島における植民と海の資源利用:トケラウ・アタフ環礁の事例から
14:00-14:20 印東道子(印東道子・A. Storey連名)
ファイス島のニワトリ:出土骨のDNA分析が示す人類移動
14:20-14:30 休憩
14:30-14:50 原本知実(原本知実・石村智・片岡修連名)
文化遺産国際協力コンソーシアムによるナン・マドール遺跡調査と将来の展望
14:50-15:10 石村智
フィジーにおけるESDプログラムの開発
15:10-15:40 討論
15:40-15:50 休憩
一般演題
15:50-16:15 荒木晴香
移動、分散するツバル人家族の生活戦略
16:15-16:40 小林誠
チーフになった元調査助手 ―ツバル・ナヌメア環礁における民族誌と伝承の「正しさ」をめぐる一考察
16:40-17:05 里見龍樹
カストムの景観としての人工島:ソロモン諸島マライタ島北部の「海の民」ラウ/アシにおける文化変容と歴史意識
17:05-17:30 前川真裕子
日本を巡る他者表象 ― オーストラリアの剣道道場を事例として
17:30-18:00 特別講演
【3月22日】
9:00-9:30 総会
一般演題
9:30-9:55 江戸淳子
ニューカレドニアにみる先住民カナクの慣習法的身分
9:55-10:20 大角翠
ニューカレドニアの言語の存在動詞と fwi(ティンリン語)の浮動性
10:20-10:45 紺屋あかり
現代ベラウにおける口伝形態 ―ベラウ詠唱文化、歌詞伝承の事例から―
10:45-10:55 休憩
10:55-11:20 塚原高広
パプアニューギニア東セピック州村落のヘルスボランティア活動状況(続報)
11:20-11:45 中澤港
ソロモン諸島の健康転換モデル
11:45-12:10 安高雄治(*高ははしご高
マダガスカルの自然保護区内における森林伐採:ベザ・マハファリ特別保護区の事例から
連絡先:
第28回研究大会・総会事務局
小谷真吾(千葉大学文学部)
〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学文学部
Tel&Fax 043-290-2298
URL http://www.jsos.net/meeting2011.html

学会通信

  1. メール理事会の報告
     2010年11月30日に、吉岡会長の招集により、メール理事会が開催されました。日本オセアニア学会ニューズレターに掲載された論文を学会ホーム ペー ジで電子公開するという議題について審議が行われ、承認されました。
     論文を電子公開するアドレスは以下の通りです:
    http://www.jsos.net/nlpapers/index.html
    日本オセアニア学会庶務担当理事 梅崎昌裕

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.98から

第2回 石川榮吉賞について
日本オセアニア学会第12期理事会

日本オセアニア学会第12期理事会は、第2回石川榮吉賞の受賞候補者として須藤健一氏(国立民族学博物館)を推薦し、その受賞が評議員会で決定されまし た。 それを受けて、第27回日本オセアニア学会研究大会において、須藤健一氏には賞状が贈呈されました。以下に受賞理由を掲載します。なお、須藤健一氏には、「石 川榮吉賞を受賞して」と題したお言葉を、次号のニューズレターにお寄せいただく予定です。

<受賞理由>

須藤健一氏は、1974年以来、ミクロネシア連邦のチューク州・ヤップ州を中心としたミクロネシア地域において、また、1988年からはトンガ王国を中 心と したポリネシア地域において調査に従事し、オセアニアにおける文化人類学的フィールドワークを主導してきた。また、様々な著書、編著書、論文を通して、日本に おけるオセアニア学の確立に大きく貢献してきた。

学会活動で言えば、須藤氏は、日本オセアニア学会創立当初から評議員、理事などの活動を通して学会を支え、1999年から2003年にかけて2期4年間 会長 を勤めた。会長就任直前の1999年には創立20周年記念国際シンポジウム「南太平洋のフロンティア」の実行委員としてシンポジウムの成功に貢献し、会長退任 直前の2003年には、創立25周年記念国際シンポジウム「太平洋の21世紀-新たな文化とアイデンティティの創成」を主催し、日本オセアニア学会のプレ ゼン スを国内外に示した。

以上のように、オセアニア研究の振興に多大なる寄与を果たしてきたこと、くわえて、長年にわたり日本オセアニア学会の発展に貢献してきたことから、須藤 氏を 石川榮吉賞受賞者として推薦することを決定した。

第10回 日本オセアニア学会賞選考要項

2010年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 山本真鳥

日本オセアニア学会賞の候補者を募集しています。該当する著書・論文のあるかたは、ご応募ください。

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2009 年1月1日から2010年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2010年11月1日から2011年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)山本真鳥
    〒194-0298 東京都町田市相原 4342  法政大学経済学部
    FAX: 042-783-2552
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2011年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

2010年度 日本オセアニア学会関東地区例会のお知らせ

関東地区例会を以下の要領で開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちしています。

日時:
2010年12月11日(土)14:00~17:30 ※終了後に懇親会を行います
場所:
東京大学 本郷キャンパス 医学部教育研究棟 2階 第4セミナー室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_09_j.html
(最寄駅は地下鉄丸の内線または都営大江戸線の本郷三丁目です)
プログラム:
1.「トンガ王国における企業と文化 ―日系『ノニジュース』生産工場の事例から―」
発表者:北原卓也(早稲田大学)、
コメンテーター:小林誠(日本学術振興会/首都大学東京)
2.「集団関係と血をめぐる交渉 ―ニューギニア高地における葬儀時の母方親族への贈与―」
発表者:深川宏樹(筑波大学)、
コメンテーター:田所聖志(東京大学)
[関東地区例会幹事 深山直子(日本学術振興会/お茶の水女子大学)]

2010年度 日本オセアニア学会関西地区例会のお知らせ

関西地区例会を以下の要領で開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちしています。

日時:
2011年2月19日(土)13:30~17:00 ※終了後に懇親会を行います
場所:
国立民族学博物館 2階 第3セミナー室
交通案内:
http://www.minpaku.ac.jp/museum/information/access.html
プログラム:
1.「オーストラリア南東部先住民の環境管理ための先住民運動――ネットワーク型社会における環境問題」(仮題)
発表者:友永雄吾(日本学術振興会特別研究員/国立民族学博物館)
2.「漁業開発は成功したか――マーシャル諸島における総合的漁業開発プロジェクトを事例に」(仮題)
発表者:吉村健司(総合研究大学院大学・文化科学研究科)
コメンテーター:丹羽典生(国立民族学博物館)
[関西地区研究例会幹事 丹羽典生(国立民族学博物館)]

第28回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第28回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。会員の皆様の多数ご参加をお待ちしております。

日時:
2011年3月21日(月) 13:00 ~ 22日(火) 12:00(予定)
(新評議員会: 3月21日 10:00~、新旧合同理事会: 11:00~、新旧合同評議員会:12:00~)
大会・総会・理事会・評議員会会場:
たてやま夕日海岸ホテル
〒294-0047 千葉県館山市八幡822
TEL:0470-23-8111 / FAX:0470-23-8110
URL:http://www.yuhikaigan.com/index.html
参加費:
有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む)18,000円
無給者(大学院生、学生等) 10,000円の予定。
いずれも21日の宿泊費、懇親会費を含む。
*ホテルへの宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)、あるいは宿泊費と大会参加費の領収書を別に作成する必要のある方は、その旨をあ らか じめお知らせ下さい。その場合、大会参加費は7,000円(有給者の場合)を予定しております。また、申し込み期限を過ぎました場合、宿の手配が出来ない 可能性があること、直前のキャンセルは、キャンセル料を徴収することを御了承下さい。
ご出欠につきましては、学会ホームページの申し込み用フォームをご利用のうえ、2011年1月14日(金)までにお知らせください。研究大会に参 加さ れる方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについても、フォームにご記入 下さい。また、フォームのご利用が不可能な場合には、御氏名、連絡先を明記の上、FAXか郵便で、必要事項を大会・総会事務局にお知らせください。発 表時 間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて例年20~25分程度です。
研究大会参加申し込みフォーム: http://www.jsos.net/meeting2011.html
交通:
JR館山駅から徒歩10分。交通の便は以下の通りです。
1)高速バス
※東京駅~館山駅(所要時間約2時間)・・・詳しくはJR バス関東のホームページ
※千葉駅~館山駅(所要時間約1時間半)・・・詳しくは京 成バスのホームページ
2)電車
東京駅(特急ビューさざなみにて100分)→館山駅
※時刻表はJR東日本 ホー ムページなどをご覧ください
3)自家用車
東京→東京湾アクアライン→木更津南I.C.→富津中央I.C.(富津館山道路)→富浦I.C.→国道127号(所要約2時間)

《大会会場・館山のご案内》

館山は、千葉県南房総の先端に位置し、黒潮の影響を受け、冬でも花が咲く温暖な気候と変化に富んだ海岸線、緑あふれる野山、新鮮な海の幸・山の幸に恵ま れた 自然豊かなまちでございます。ホテル目の前の館山湾(北条海岸)は、天気の良い日には、水平線の向こうに富士山も望めます。千葉県は、伊勢海老の漁獲量が全国 一、そしてこの地域では良質のアワビも獲れます。懇親会では、美味しい新鮮な海の幸を食べていただけるように手配しております。

会員の皆様方には、ふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。

本研究大会・総会につきましては、次号ニューズレターにて改めてお知らせする予定です。

第28回研究大会・総会事務局

〒263-8522千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学文学部
小谷真吾
Tel&Fax:043-290-2298

学会通信

1.メール理事会の報告

2010年10月7日に、吉岡会長の招集により、メール理事会が開催されました。国立情報学研究所の学協会情報発信サービスが、平成23年度末に停止さ れる ことへの対応として、学会ホームページを管理するサーバーをjsos.netというオセアニア学会のドメインネームサービスを提供している会社の運用するもの に移行することという議題について審議が行われ、承認されました。

庶務担当理事 梅崎昌裕

新入会員(webではメールアドレスは記載しません)

松舘文子
JICAプロジェクト調整員
小林竜太
慶應義塾大学文学研究科史学専攻民族学考古学分野

寄贈図書

Kagiya, Akiko (2010) Female Culture in Raijua: Ilats and everlasting Witch-Worship in Eastern Indonesia. Japan Publications 0(鍵屋明子氏より寄贈)

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。


ニューズレターNo.97から

2010年度日本オセアニア学会モノグラフシリーズの公募について

日本オセアニア学会では次の要領で2010年度刊行のモノグラフシリーズの公募を行います。会員の皆様にはふるって応募ください。

  1. 公募期間:2010年8月1日~9月30日
  2. 提出物:カメラ・レディー原稿・モノグラフ・タイトル、著者氏名、所属、連絡先(住所,メール・アドレス等)を含む送り状
  3. 提出先:モノグラフシリーズ担当理事
    〒321-8505 宇都宮市峰町350 宇都宮大学国際学部
    柄木田研究室 
  4. 印刷費:刊行されるモノグラフシリーズの印刷費は著者が負担する。
  5. 著作権:モノグラフシリーズの形式的著作権は日本オセアニア学会に帰属する。
  6. 配布:刊行物の会員への配布は日本オセアニア学会が行う。その他の配布先への配布は著者が行う。

参考:日本オセアニア学会モノグラフシリーズについての申し合わせ

日本オセアニア学会理事会
2008年3月27日

日本オセアニア学会は、学会員の研究成果の発表促進のため、The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Series(以下、モノグラフシリーズ)を出版する。

  1. モノグラフシリーズは不定期刊行物とし、年1回会長名で公募する。著者および編者(以下、著(編)者)は過去2年間会費を納入している学会員とす る。
  2. 著(編)者は、応募の際、図版を含め既に完成した原稿をモノグラフシリーズ編集担当理事に提出する。
  3. 応募があった場合、モノグラフシリーズ編集担当理事が審査委員会を招集する。審査委員会を構成する査読者は、学会員1名を含めた3名までとする。 審査 結果を踏まえ、モノグラフシリーズ編集担当理事が出版の可否を決定する。
  4. 出版が認められた場合、著(編)者は入稿前の原稿整理、校正などすべての編集作業に責任を負う。
  5. 編集事務(印刷業者との原稿の受け渡し等)は、モノグラフシリーズ編集担当理事が責任をもっておこなう。
  6. 学会の会計年度は、毎年3月1日から翌年2月28日であるため、刊行は次の日程で行う。会長名で公募の公示(3月末)、応募期間(8・9月)、査 読審 査(10・11月)、原稿修正(12月)、入稿(1月上旬)、出版(3月上旬)
  7. 装幀は、A5版、横書きとする。

第27回総会の報告

2009年3月18日(木)、第27回日本オセアニア学会研究大会会場(犬山市・名鉄犬山ホテル)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。 総会 の議事は以下の通りです。

<審議事項>

1.事業について
下記2009年度事業報告が審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.25の刊行(107pp.:論文3本、通信2本、書評1本)
・NEWSLETTER no.94, 95, 96(論文6本)の刊行
・研究例会の実施
  • 関東地区 2009年7月25日 慶応義塾大学 発表4本
  • 関西地区 2010年1月30日 国立民族学博物館 発表2本
・30周年記念出版「『オセアニア学』吉岡政徳(監修)遠藤央、印東道子、梅崎昌裕、中澤港、窪田幸子、風間計博(編)京都大学学術出版会」の刊 行
・第27回研究大会・総会の実施:2010年3月17日・18日 名鉄犬山ホテル
・日本学術会議等関連の活動
・石川榮吉賞の選考
・第8回日本オセアニア学会賞の選考
2.2009年度会計報告
2009年度決算(2009年3月1日~2010年2月28日)について、稲岡司理事より説明があり、承認されました(別紙参照:webには掲載 しま せん)。
会計監査は、栗田博之および江戸淳子によって行われました。
3.事務局機能の一部外注について
積極的な学会運営を可能にするためのひとつの方策として、事務局業務を一部外注することが提案され、承認されました。
4.2010年度事業計画
下記2010年度事業計画が審議の結果、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.26の刊行
・NEWSLETTER no.97、98、99の刊行
・モノグラフ・シリーズの募集・編集
・関西地区・関東地区研究例会の実施
・第28回研究大会・総会の実施
・第10回日本オセアニア学会賞の募集
・日本学術会議等関連の活動
5.2010年度予算(別紙資料 p.27~:webには掲載しません)
2010年度予算案(2010年3月1日~2011年2月28日)について、稲岡司理事より説明があり、承認されました。
6.会費の値上げについて
吉岡会長より、来年度の総会にむけて会費を値上げする方向で検討することが提案され、承認されました(詳細は学 会通信を参照)。

<報告事項>

1.モノグラフ・シリーズについて、柄木田康之理事より報告されました。
2.第9回日本オセアニア学会賞候補の理事会決定について、事務局より報告されました。
・丹羽典生著『脱伝統としての開発―フィジー・ラミ運動の歴史人類学』(2009年2月刊行、明石書店)
*総会終了後、授与式が行われました。副賞は例年通り、日本オセアニア交流協会から頂きました。なお、学会賞選考委員会からの報告は、以下別記事 に掲 載されております。
3.第28回研究大会・総会の実施
第28回研究大会・総会は、千葉大学の小谷真吾会員を大会長として開催されることが報告されました。

第9回 日本オセアニア学会賞について

第9回日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長  山本 真鳥
稲岡  司
菊澤 律子
棚橋  訓
山口  徹

1)選考過程
2010年1月15日から対象著作類の回覧、メール会議による厳選
2010年3月10日、受賞候補者の内定
2)第9回オセアニア学会賞受賞候補者
丹羽典生氏(国立民族学博物館)
対象著作:『脱伝統としての開発―フィジー・ラミ運動の歴史人類学』(明石書店、2009年)
3)丹羽典生氏を受賞候補者として推薦する理由:
丹羽典生著『脱伝統としての開発―フィジー・ラミ運動の歴史人類学』は、フィジー諸島共和国におけるラミという社会集団に焦点をあて、フィジー人 社会 にとって重要な課題である伝統的価値観と近代化の調和と相克に、ラミの人々がどのように挑戦したかを、歴史人類学の視点を用いつつ、様々な角度から検討し た民族誌である。2001年、2002年、2004年に実施した総計27ヶ月に及ぶフィジー地域社会(ヴィティレヴ島のバ地方とナンロガ・ナヴォサ地 方の 5村落を中心とする13村落)での社会人類学的な現地調査の成果と同時期にフィジー国立古文書館・南太平洋大学等で併行して実施した綿密な史料調査(英語 史料、フィジー語史料)から得られた成果を接合しようとする手堅い手法に裏打ちされた作品であると評せよう。また、同書は、これまで実証的な研究蓄積 に極 めて乏しく、憶測に基づいて「珍奇」な運動としての表面的な評価しか下されてこなかったフィジーのラミ運動に関する国内外初の本格的な総合研究の試みとし て高く評価されるものと理解している。共同組合運動という一側面からではあるが、20世紀中葉以降のフィジーの近現代史を俯瞰するためには好著である だろ う。また、オセアニア文化研究のなかから展開してきた歴史人類学の流れや、その主要トピックである客体化や創出(インベンション)についてのレビューとし ても高いクオリティを備えている。

第10回 日本オセアニア学会賞選考要項

2010年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 山本真鳥

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2009 年1月1日から2010年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2010年11月1日から2011年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)山本真鳥
    〒194-0298 東京都町田市相原 4342  法政大学経済学部
    FAX: 042-783-2552
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2011年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

学会通信

会費の値上げについて

第27回総会にて、来年度の総会にむけて会費を値上げする方向で検討することが吉岡会長より提案され、承認されました。その理由としては、現在の会費 (通常 会員4,000円)が、同様の規模の学会に比較しても低く抑えられていること、また、近年、学会活動が多方面にわたるようになったことで、収入を支出が上回る 状況が続いていること、さらに、今後の学会の発展をみすえ、新しい事業を展開するための経済的な基盤を整える必要があることなどが挙げられました。また、 値上 げ後の会費については、あらたに学生会員という区分を設け、通常会員6,000円、学生会員5,000円をたたき台として検討することが提案され、承認されま した。

なお、会費の値上げは総会での審議事項となるため、2011年度会費(会計年度2011年3月~2012年2月)については、第28回の総会終了後に徴 収を 開始いたします。2010年度会費(会計年度2010年3月~2011年2月)については、これまで通り(通常会員4,000円)徴収いたします。

庶務担当理事 梅崎昌裕

新入会員(webでは氏名と所属のみ掲載します)

四條 真也
首都大学東京大学院
長戸 結未
大阪学院大学国際学研究科

所属変更(webでは氏名と新所属のみ掲載します)

春日 直樹
一橋大学社会学研究科
東 賢太郎
名古屋大学文学研究科

寄贈図書



ニューズレターNo.96から

第27回 研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第27回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。

1.日時
2010年3月17日(水)13:00 ~ 18日(木)11時00分まで(予定)
・理事会:11:00~12:00、評議員会:12:00~13:00
・大会受付開始:3月17日(水)12:00~
※なお、本大会のオプションとして、野外民族博物館リトルワールド見学会を予定しています(バス送迎有:大会会場→リトルワールド)
2.大会・総会・理事会・評議員会会場・懇親会・宿泊会場
名鉄犬山ホテル(http://www.m-inuyama-h.co.jp
〒484-0082 愛知県犬山市大字犬山字北古券107-1
TEL (0568)61-2218 / FAX (0568)62-5750
3.参加費
有給者(学術振興会特別研究員等を含む)
・22,000円(リトルワールド見学会参加の場合)
・20,000円(リトルワールド見学会不参加の場合)
無給者(大学院生、学生、定年等の退職者等)
・15,000円(リトルワールド見学会参加の場合)
・13,000円(リトルワールド見学会不参加の場合)
※いずれも17日の宿泊費・懇親会費を含みます。宿泊せず、懇親会不参加の場合、大会参加費は8,000円です。
4.交通のご案内
東海道新幹線・名古屋駅下車の場合:
・JR名古屋駅から徒歩にて名鉄名古屋駅へ(約3分)。
・快速特急・特急(犬山線「新鵜沼行」)に乗り、「犬山遊園駅」下車(乗車時間約30分)。または、急行・準急(犬山線「新鵜沼行」または、「犬 山経 由・岐阜行」)に乗り、「犬山遊園駅」下車(乗車時間約35~40分)。
航空機利用の場合:
・中部国際空港(セントレア)より、名鉄電車快速特急「新鵜沼行」に乗車し、「犬山遊園駅」下車(乗車時間約1時間)。
車利用の場合:
・東名高速/小牧I.C.から25分 中央道/小牧東I.C.から20分
(宿泊会場の駐車場をご利用下さい)
 名鉄犬山ホテルの最寄駅は「犬山遊園駅」です。すべての電車が停車します。駅の前に、木曽川があります。名鉄犬山ホテルまでは、木曽川左岸を下 流方 向に8分程あるけば、左手に見えます。(犬山城を見ながら歩いていくといいです。ホテルはお城のふもとにあります。)かなり単純な道のりですから、迷うこ とはまずありません。ちなみに、犬山駅からも徒歩圏内でもあります。ただ、犬山遊園駅のほうが、近いですし、道も単純です。みなさまには犬山遊園駅で 下車 されるようお勧めします。
11時の理事会に間に合うには――
(新幹線等で名古屋に来る方)
・名鉄名古屋駅発09:52~犬山遊園着10:20(名鉄名古屋本線快速特急・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発09:59~犬山遊園着10:33(名鉄名古屋本線急行・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発10:06~犬山遊園着10:36(名鉄名古屋本線ミュースカイ・新鵜沼行)
(飛行機で来る方)
・中部国際空港発09:37~犬山遊園着10:36(名鉄空港線ミュースカイ・新鵜沼行)
13時の大会開始に間に合うには――
(新幹線等で名古屋に来る方(名鉄名古屋本線犬山・岩倉方面))
・名鉄名古屋駅発10:52~犬山遊園着11:20(快速特急・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発10:59~犬山遊園着11:33(急行・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発11:06~犬山遊園着11:36(ミュースカイ・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発11:22~犬山遊園着11:50(快速特急・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発11:29~犬山遊園着12:03(急行・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発11:52~犬山遊園着12:20(快速特急・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発11:59~犬山遊園着12:33(急行・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発12:06~犬山遊園着12:36(ミュースカイ・新鵜沼行)
・名鉄名古屋駅発12:22~犬山遊園着12:50(快速特急・新鵜沼行)
(飛行機で来る方)
・中部国際空港発10:37~犬山遊園着11:36(名鉄空港線ミュースカイ・新鵜沼行)
・中部国際空港発11:37~犬山遊園着12:36(名鉄空港線ミュースカイ・新鵜沼行)
地図
<第27回研究大会・総会事務局>
〒466-8673
名古屋市昭和区山里町18
南山大学人文学部人類文化学科
後藤 明
電話 052 - 832 - 3111(内 3181)
Fax 052 - 832 - 3159

第27回 日本オセアニア学会研究大会・総会 プログラム

3月17日(水)
11:00 - 12:00 理事会
12:00 - 13:00 評議員会
12:00 (受付開始)
13:00 - 13:10 会長挨拶と事務連絡
研究発表
13:10 - 13:30 川崎 和也
「家屋から個室へ:アボリジニ、ティウィのキョウダイの住み方の現状をめぐって」
13:30 - 13:50 高橋 玲
「南アジア系ディアスポラの文化とアイデンティティー:インド系フィジー人を中心に」(仮)
13:50 - 14:10 石村 智
「オセアニアにおける文化的景観」
14:10 - 14:20 (休憩)
14:20 - 14:40 山本 真鳥
「ニュージーランド在住太平洋諸島出身アーティストのアート活動」
14:40 - 15:00 荒木 晴香
「ツバル・ニウタオ島のチーフ制度に見る『伝統文化』の復興」
15:00 - 15:20 江戸 淳子
「カナク口承の遺産:チバウ文化センターのプロジェクトから」
15:20 - 15:40 宮里 孝生
「多文化共生時代における民族展示の意味:野外民族博物館 リトルワールドの模索」
15:40 - 15:50 (休憩)
15:50 - 16:10 飯高 伸五
「アンガウル島における燐鉱採掘と太平洋戦争の記憶」
16:10 - 16:30 里見 龍樹
「現代メラネシアの海上居住民における移住/歴史/社会性:ソロモン諸島マライタ島北部のラウの事例から」(仮)
16:30 - 16:50 立山 博邦
「ドゥクドゥク・マスク(ニューブリテン島)収集に関する歴史的考察」(仮)
16:50 - 17:10 中澤 港
「エスニックテンション後のガダルカナル島民の塩分摂取・肥満・血圧の変化」
17:15 - 18:15 総会
3月18日(木)
9:00 - 9:30 石川榮吉賞授賞式と受賞者講演
9:30 - 9:50 塚原 高広
「パプアニューギニア東セピック州におけるヘルスボランティアの導入」
9:50 - 10:10 馬場 淳
「パプアニューギニアにおける法主体の誕生:福祉事務所での対話過程と権力作用」
10:10 - 10:30 新本 万里子
「月経小屋の消滅と高床式家屋の出現:パプアニューギニア、アベラム社会の性と『家族』」
10:30 - 10:50 深川 宏樹
「友好関係を修復する調停と報復手段としての村落裁判:ニューギニア高地エンガ州における争いの事例から」
10:50 終了
11:00 リトルワールワールド・エクスカーション出発

学会通信

1.メール理事会の報告

2009年1月12日に、吉岡会長の招集により、メール理事会が開催されました。

日本オセアニア学会が2009年12月から2011年11月の地域研究学会連絡協議会の幹事学会となることを議題に審議が行われ、承認されました。

2. 関西地区例会の報告

 2010年1月30日に国立民族学博物館にて、日本オセアニア学会関西地区例会を開催しました。発表者と発表のタイトル、コメンテータは以下の通りで す。

[関西地区例会担当幹事:丹羽典生]

新入会員(webでは氏名と所属名のみ掲載します)

所属変更(webでは氏名と所属名のみ掲載します)

(2009年度にご連絡いただいた所属変更をまとめて掲載しております)

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。

(執筆希望の方はご一報ください)

ニューズレターNo.95から

第27回 研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第27回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。

1.日時
2010年3月17日(水)13:00~18日(木)11時00分まで(予定)
・理事会:11:00~12:00、評議員会:12:00~13:00
・大会受付開始:3月17日12:00~
※なお、本大会のオプションとして、野外民族博物館リトルワールド見学会を予定しています(バス送迎有:大会会場→リトルワールド)
2.大会・総会・理事会・評議員会会場・懇親会・宿泊会場
名鉄犬山ホテル(http://www.m-inuyama-h.co.jp)
〒484-0082 愛知県犬山市大字犬山字北古券107-1
TEL (0568)61-2218 / FAX (0568)62-5750
地図
3.参加費
有給者(学術振興会特別研究員等を含む)
・21,000円(リトルワールド見学会参加の場合)
・20,000円(リトルワールド見学会不参加の場合)
無給者(大学院生、学生、定年等の退職者等)
・14,000円(リトルワールド見学会参加の場合)
・13,000円(リトルワールド見学会不参加の場合)
※いずれも18日の宿泊費・懇親会費を含みます。
宿泊せず、懇親会不参加の場合、大会参加費は8,000円です。
4.交通
交通の便は以下の通りです:
東海道新幹線・名古屋駅下車の場合
・JR名古屋駅から徒歩にて名鉄名古屋駅へ(約3分)。
・快速特急・特急(犬山線「新鵜沼行」)に乗り、「犬山遊園駅」下車(乗車時間約30分)。
または、急行・準急(犬山線「新鵜沼行」または、「犬山経由・岐阜行」)に乗り、「犬山遊園駅」下車(乗車時間約35~40分)。
・犬山遊園駅より木曽川下流方向(南西)に沿って歩いて約8分。会場は左手に見えます。

航空機利用の場合
・中部国際空港(セントレア)より、名鉄電車快速特急「新鵜沼行」に乗車し、「犬山遊園駅」下車(乗車時間約1時間)。
・犬山遊園駅より木曽川下流方向(南西)に沿って歩いて約8分。会場は左手に見えます。

車利用の場合(宿泊会場の駐車場をご利用下さい)
・東名高速/小牧I.C.から25分 中央道/小牧東I.C.から20分

 研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについ て、申し込み用フォームにご記入下さい。申し込み用フォームがご利用にな れない方 は、電話またははがきにてお申し込みください。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて例年20~25分程度です。

大会参加・宿泊申し込みは1月31日、発表は1月15日が締め切りです。

 また、名鉄犬山ホテルに宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)方は、その旨をお知らせ下さい。その場合、大会参加費は、8,000円を予 定し ております。

 なお、学会の前後に南山大学人類学博物館および収蔵資料(埼玉県鶴ヶ島市にあるオセアニアコレクションの一部を収蔵予定)をごらんになりたい方は、下 記ア ドレスまでメールでお問い合わせください。できる限り対応させていただきます。

 本研究大会・総会の詳細につきましては、NEWSLETTER次号にてお知らせする予定です。

<第27回研究大会・総会事務局>
〒466-8673 名古屋市昭和区山里町18 南山大学人文学部人類文化学科
後藤 明
電話 052-832-3111(内 3181)/Fax 052-832-3159


2009年度 関西地区例会のお知らせ

 日本オセアニア学会2009年度関西地区例会を以下の要領で開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちしています。

日時:
2010年1月30日(土)
場所:
国立民族学博物館第5セミナー室
プログラム:
13:30~14:30 三田貴(大阪大学グローバルコラボレイションセンター特任研究員)
「ミクロネシア諸国の経済的脆弱化と国家運営:パラオの事例を中心に(仮題)」
14:30~15:30 質疑応答・休憩
15:30~16:30 豊平豪(大阪大学大学院博士課程)
「フィジーにおけるパートユーロピアン(仮題)」
16:30~17:15 質疑応答

(関西地区例会幹事: 丹羽典生)



第9回 日本オセアニア学会賞選考要項

2009年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 山本真鳥

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2008 年1月1日から2009年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2009年11月1日から2010年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会賞選考委員長)山本真鳥
    〒194-0298 東京都町田市相原4342 法政大学経済学部
    FAX 042-783-2552 

  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2010年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満 の者 とする。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。


学会通信

メール理事会の報告

  1. 2009年11月19日に、吉岡会長の招集により、メール理事会が開催されました。(1)オセアニア学会の機関誌であるPeople and Culture in Oceania(以下、PCO) を国内外で開催されるオセアニア関連する学会などで特別割引して販売すること。(2)販売価格は定価の50%引きとし、その対象は当該年度よりも前に刊行された巻とするこ との2つの議題について審議が行われ、承認されました。
  2. 2009年11月25日に、吉岡会長の招集により、メール理事会が開催されました。(1)事業仕分けにおける若手研究者育成についての競争的資金 の大 幅削減の要請がだされたことに対して、地域連絡協議会が提出する声明文に賛意を表明し、学会として名前を連ねることを議題に審議が行われ、承認されまし た。

(日本オセアニア学会庶務担当理事 梅zア昌裕)

関東地区例会の報告

 2009年7月25日に慶應義塾大学三田キャンパスにて、日本オセアニア学会関東地区例会を開催しました。地区例会は「ツバルとサンゴ礁―人間共生系 研究 の最前線―分析と解釈をめぐる対話」と題したシンポジウムとして行われ、サンゴ環礁世界においてのサンゴ礁と人間社会の共生をめぐる諸問題について議論が行わ れました。発表者と発表のタイトル、コメンテータは以下の通りです。

発表:
・山口徹(慶應義塾大学)"Geoarchaeology of 'a Drowning Island': Prehistoric Human Settlement and Geomorphologic Formation of Funafuti Atoll, Tuvalu"、
・山野博哉(国立環境研究所)"Intrinsic Vulnerability of Fongafale Islet, Tuvalu: A View from Geomorphology"、
・深山直子(日本学術振興会)・石森大知(東京外国語大学AA研)"Who are the Fongafale Islanders? : The Construction of Localness in Tuvalu's Capital",
・小林 誠(首都大学東京大学院), "Tuvaluans on the Move: Migration and Kinship Networks between Funafuti and Outer Islands"
コメンテータ:Niko Besnier(アムステルダム大学/早稲田大学)

(関東地区例会担当幹事:深山直子)

後援事業

大東文化大学・第1回太平洋諸島シンポジウム(2009年7月11日)を後援しました。

新入会員(webではお名前と所属のみ掲載します)

神山歩未
名古屋大学大学院文学研究科

吉村健司
総合研究大学院大学文化科学研究科

松本和子
東京大学大学院総合文化研究科

立山博邦
立命館アジア太平洋大学

寄贈図書

Language and Linguistics in Oceania Vol. 1 (April, 2009)(帝塚山学院大学岡村徹氏より寄贈)

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。



ニューズレターNo.94から

第26回総会の報告

2009年3月20日(木)、第26回日本オセアニア学会研究大会会場(別府市・ホテルニューツルタ)において、日本オセアニア学会総会が開催されまし た。 総会の議事は以下の通りです。

<審議事項>

1.第12期会長について下記の会長が承認されました。
・会長 吉岡政徳
2.事業について
下記2008年度事業報告が審議され、承認されました。
  • People and Culture in Oceania vol.24の刊行(89ページ、論文3本、通信1本、書評1本)
  • NEWSLETTER no.91(論文2本), 92(論文2本), 93(論文1本)の刊行
  • 研究例会の実施
    関東地区:
    2008年10月10日 H. Nelson氏講演会(共催:立教大学アジア地域研究所)
    2009年1月24日 東京大学本郷キャンパス 発表2本
    関西地区:
    2009年1月31日 国立民族学博物館 発表5本
  • 第26回研究大会・総会の実施
    2009年3月19日・20日 ホテルニューツルタ
  • 日本学術会議等関連の活動
  • 第12期評議員選挙の実施
    2009年2月11日 東京大学本郷キャンパスにて開票
3.2008年度会計報告
2008年度決算(2008年3月1日~2009年2月29日)について、豊田由貴夫理事より説明があり、承認されました(別 紙参照)。
会計監査は、後藤明および内藤暁子によって行われました。
4.2009年度事業計画
下記2009年度事業計画が審議の結果、承認されました。
  • People and Culture in Oceania vol.25の刊行
  • NEWSLETTER no.94、95、96の刊行
  • 30周年記念出版「オセアニア学(仮題)」(京都大学学術出版会)の刊行
  • モノグラフ・シリーズの募集・編集
  • 関西地区・関東地区研究例会の実施
  • 第27回研究大会・総会の実施
  • 第9回日本オセアニア学会賞の募集
  • 日本学術会議等関連の活動
  • 学会HPのデザイン変更
5.2009年度予算(別紙参照
下記2009年度予算案(2009年3月1日~2010年2月28日)について、豊田由貴夫理事より説明があり、承認されました。
6.会則変更について
事務局の変更
旧 第2条 本会は事務局を筑波大学大学院人文社会科学研究科歴史・人類学専攻に置く。
新 第2条 本会は事務局を東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻人類生態学教室に置く。
付則 本会則の改正は、平成21年4月1日より施行する。

<報告事項>

1.第12期新役員について
・新評議員の互選により理事が選出され、その役割分担が以下のように決まりました。
庶務 梅崎昌裕
会計 竹川大介
編集(PCO) 印東道子・白川千尋
編集(NL) 内藤暁子
研究集会・情報化 中澤 港
モノグラフ 柄木田康之
・下記の新役員が選出されました。
会計監査 栗田博之・江戸淳子
幹事(NL) 行木敬
幹事(PCO) 丹羽典生
幹事(研究例会) 深山直子(関東地区)
丹羽典生(関西地区)
2.30周年記念出版事業の経過について、遠藤央理事より報告されました。
3.モノグラフ・シリーズについて、柄木田康之理事より報告されました。
4.第8回日本オセアニア学会賞候補の理事会決定について、事務局より報告されました。
2009年学会賞授与山 内太郎(北海道大学)
対象著作:Modernization, nutritional adaptability and health in Papua New Guinean Highlanders and Solomon Islanders'(単著、第6章、pp.101-126), In; "Health Change in the Asia-Pacific Region", Ryutaro Ohtsuka (University of Tokyo) and Stanley J. Ulijaszek (University of Oxford), eds., Series: Cambridge Studies in Biological and Evolutionary Anthropology, Cambridge University Press, 2007.
*総会終了後、授与式が行われました。副賞は例年通り、日本オセアニア交流協会から頂きました。なお、学会賞選考委員会からの報告は、以下別記事 に掲 載されております。
5.会計報告
2008年度決算,2009年度予算,30周年記念事業決算,石川榮吉基金決算が承認されました(詳細は省略します)。
* 石川榮吉基金は2006年3月22日に特別会計として一般会計から組み入れられ、第23回総会において承認されたものです。


第8回 日本オセアニア学会賞について

2008年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長  片山一道
委 員  斉藤尚文
高坂宏一
多賀谷昭
豊田由貴夫

1.選考過程
2009年1月16日から2月27日の間、対象著作類の回覧
2009年3月2日、各選考委員による選考結果を集計
2009年3月4日から3月9日の間、メールによる委員会開催
2009年3月9日、受賞候補者の内定
2.第8回オセアニア学会賞受賞候補者
山内太郎氏(北海道大学)
対象著作:Modernization, nutritional adaptability and health in Papua New Guinean Highlanders and Solomon Islanders'(単著、第6章、pp.101-126), In; "Health Change in the Asia-Pacific Region", Ryutaro Ohtsuka (University of Tokyo) and Stanley J. Ulijaszek (University of Oxford), eds., Series: Cambridge Studies in Biological and Evolutionary Anthropology, Cambridge University Press, 2007.
3.山内太郎氏を受賞候補者として推薦する理由:
 ニューギニア高地とソロモン諸島における近代化と、人々の栄養および健康状態との関係について、山内氏が長年にわたりたずさわってきた生態人類 学的 研究の集大成である。ページ数はさほど多くないが、近代化とともに村落社会の人々の身体が変貌したプロセスを多角的に解明するオリジナリティの高い学術的 に優れた研究成果と言えよう。近年、人々の身体活動と栄養摂取の変化による肥満と、それが引き起こす様々な健康上の問題は、オセアニアの各地で非常に 大き な問題となってきており、この研究はその対策を講ずる上で重要な方策を提供するものとなろう。研究のスケール、統合的なパースペクティブ、提示された研究 成果の重要性において、第一級の研究論文である。


第9回 日本オセアニア学会賞選考要項

2009年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 山本真鳥

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2008 年1月1日から2009年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2009年11月1日から2010年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)山本真鳥
    〒194-0298 東京都町田市相原4342 法政大学経済学部
    FAX: 042-783-2552
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2010年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている書籍または論文については、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。


2009年度日本オセアニア学会モノグラフシリーズの公募について

日本オセアニア学会では次の要領で2008年度刊行のモノグラフシリーズの公募を行います。会員皆様にはふるって応募ください。

  1. 公募期間:2009年8月1日~9月30日
  2. 提出物:カメラ・レディー原稿・モノグラフ・タイトル,著者氏名,所属,連絡先(住所、メール・アドレス等)を含む送り状
  3. 提出先:モノグラフシリーズ担当理事
    〒321-8505 宇都宮市峰町350 宇都宮大学国際学部
    柄木田研究室
  4. 印刷費:刊行されるモノグラフシリーズの印刷費は著者が負担する。
  5. 著作権:モノグラフシリーズの形式的著作権は日本オセアニア学会に帰属する。
  6. 配布:刊行物の会員への配布は日本オセアニア学会が行う。その他の配布先への配布は著者が行う。


【参考】日本オセアニア学会モノグラフシリーズについての申し合わせ

日本オセアニア学会理事会
2008年3月27日

日本オセアニア学会は、学会員の研究成果の発表促進のため、The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Series(以下、モノグラフシリーズ)を出版する。

  1. モノグラフシリーズは不定期刊行物とし、年1回会長名で公募する。著者および編者(以下、著(編)者)は過去2年間会費を納入している学会員とす る。
  2. 著(編)者は、応募の際、図版を含め既に完成した原稿をモノグラフシリーズ編集担当理事に提出する。
  3. 応募があった場合、モノグラフシリーズ編集担当理事が審査委員会を招集する。審査委員会を構成する査読者は、学会員1名を含めた3名までとする。 審査 結果を踏まえ、モノグラフシリーズ編集担当理事が出版の可否を決定する。
  4. 出版が認められた場合、著(編)者は入稿前の原稿整理、校正などすべての編集作業に責任を負う。
  5. 編集事務(印刷業者との原稿の受け渡し等)は、モノグラフシリーズ編集担当理事が責任をもっておこなう。
  6. 学会の会計年度は、毎年3月1日から翌年2月28日であるため、刊行は次の日程で行う。会長名で公募の公示(3月末),応募期間(8・9月),査 読審 査(10・11月),原稿修正(12月),入稿(1月上旬),出版(3月上旬)
  7. 装幀は、A5版、横書きとする。


学会通信

1.メール評議員会の報告
2009年6月12日に、吉岡会長の招集により、特例によるメール評議員会が開催されました。(1)メール評議員会を特例として開催すること、 (2) 竹川大介会計担当理事の辞任、(3)稲岡司会計担当理事の就任、(4)須田一弘会計担当幹事の就任の4つの議題について審議が行われ、承認されました。こ こにご報告もうしあげます。 

日本オセアニア学会庶務担当理事 梅崎昌裕

2.後援事業
大東文化大学・第1回太平洋諸島シンポジウム(2009年7月11日)を後援しました。

新入会員

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吉田真理子
慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科
浅井優一
立教大学異文化コミュニケーション研究科

所属変更

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岡村 徹
旧 帝塚山学院大学文学部
新 帝塚山学院大学リベラルアーツ学部
大塚柳太郎
旧 国立環境研究所
新 財団法人自然環境研究センター
須藤健一
旧 神戸大学国際文化学部
新 国立民族学博物館
行木敬
旧 龍谷大学ほか非常勤講師
新 神戸山手大学現代社会学部

メールアドレス変更

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宮内泰介

寄贈図書

(Australian National University より寄贈)

(南山大学大学院人間文化研究科人類学研究室より寄贈)

(第17回AASSREC 隔年総会組織委員会委員長・伊藤達雄氏より寄贈)

論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。


ニューズレターNo.93から

第26回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

前号のNEWSLETTERでもお伝えしましたとおり、日本オセアニア学会第26回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。

1.日 時:
2009年3月19日(木)13:00~20日(金)12時05分まで(予定)
*新評議員会:3月19日10:00~11:00、新旧合同理事会:11:00~12:00、新旧合同評議員会:12:00~13:00
*大会受付開始:3月19日12:00~
2.大会・総会・理事会・評議員会会場・懇親会・宿泊会場:
別府 竹瓦温泉 ホテルニューツルタ (下記地図参照)
〒874-0920 大分県別府市北浜1-14-15
TEL(0977)22-1110 / FAX(0977)21-1019 
http://www.newtsuruta.com/
会場地図
3.参加費:
有給者(学術振興会特別研究員等を含む)18,000円
無給者(大学院生、学生、定年等の退職者等)10,000円
*いずれも19日の宿泊費・懇親会費を含みます。宿泊せず、懇親会不参加の場合、大会参加費は7,000円です。
4.交通:
交通の便は以下の通りです。
1)山陽新幹線・小倉駅下車の場合
小倉駅から日豊本線にのりかえ、特急ソニックで約1時間。「別府駅」下車。別府駅より駅前通を海岸の方へ徒歩約7分。小倉-別府間は、割安の指定 席特 急券つき特別切符(2枚きっぷまたは4枚きっぷ)があります。
2)航空機利用の場合
大分空港より、空港特急バス・エアライナーにのりかえ約45分。「別府駅」の一つ手前の「北浜」でおりると会場が目の前です。
http://www.oita-airport.jp/
3)車利用の場合(宿泊会場の駐車場をご利用下さい)
大分自動車道を別府ICで降り駅方向へ。海岸ぞいの北浜公園の向かい側。
4)北九州空港・福岡空港は比較的格安便も多く、もよりの空港として利用できます。
四国(八幡浜)・大阪方面はフェリーの利用も可能です。
5.大会プログラム(変更の場合もあります)
<3月19日(木)>
10:00~11:00 新評議員会、
11:00~12:00 新旧合同理事会
12:00~13:00 新旧合同評議員会
(12:00 大会受付開始)
一般発表(発表:20分間 質疑応答:5分間)



13:00 会長挨拶(+連絡事項等)
13:15 オルタナティブを模索する―バヌアツ共和国フツナ島におけるJICA草の根事業の中間報告― 木下靖子(JICA草の根支援プロジェクト)
13:40 地域資源としてのウツボ―フィリピン・マクタン島のウツボ筌漁を事例に― 辻 貴志(総合地球環境学研究所)
14:05 オセアニアでColocasiaタロの連作が少ない理由をめぐって 中野和敬
14:30 休憩(10分)
14:40 メラネシアにおけるポスト・ラピタ段階の設定とその意義 根岸 洋(東京大学)
15:05 オセアニアにおけるユネスコ世界遺産の動向 石村 智(奈良文化財研究所)
15:30 時を越えるカヌー―沖縄海洋文化館収蔵 タヒチ型ダブルカヌー30年ぶりの調査から― 後藤 明(南山大学)
15:55 休憩(5分)
16:00 特別講演 日本におけるオセアニア学の誕生―沖縄海洋博覧会、国立民族学博物館、オセアニア学― 大島襄二
17:00 総会
<3月20日(金)>



09:00 パプアニューギニアにおける資源開発とエスニック・アイデンティティーの相互作用―ガルフ州における石油試掘の事例から― 田所聖志(東京大学)
09:25 文化共同体のパラダイムの中で、ポピュラー・カルチャーは如何に位置づけられるか―ニューカレドニアのカナク・ポップミュージッ クか らの一考察― 江戸淳子(杏林大学)
09:50 ツバル離島の饗宴からみた親族ネットワーク 荒木晴香(広島大学)
10:15 パラオにおける慰霊塔の人類学的研究に向けて 飯高伸五(日本学術振興会)
10:40 休憩(10分)
10:50 近代化と正統性の変化 高橋 玲(関西大学)
11:15 パプアニューギニア村落における小児の発熱に対する保護者の対応 塚原高広(東京女子医科大学)
11:40 ガダルカナル島首都近郊村落で進行中の再近代化による健康影響 中澤 港(群馬大学)
12:05 終了
*重要 <発表者のかたへ>
・発表会場では、パワーポイント2003が使えるコンピュータと、それに接続するプロジェクターを用意しています。データをUSBメモリーなどに 入れ お持ち下さい。
・映像など特殊なファイルを表示したい場合は、ご自分でコンピュータとプロジェクターのアダプターをご用意下さい。
レジュメや発表要旨などの配布物は、各自で印刷して会場にお持ち下さい。部数は60部お願いします。
・不明な点があれば、研究大会事務局までご連絡下さい。
第26回研究大会・総会事務局:
〒802-8577 北九州市小倉南区北方4丁目2-1
北九州市立大学文学部
竹川 大介 TEL& FAX: 093-964-4167

第12期評議員選挙報告

第12期評議員選挙について

日本オセアニア学会
第12期評議員選挙管理委員会
委員長 内藤暁子
委 員 桑原牧子
古澤拓郎
山口 徹
風間計博

日本オセアニア学会第12期評議員選挙の開票が、評議員選出規則に則り、2009年2月11日(水)に東京大学本郷キャンパスにおいて行われました。

その結果、下記の方々が当選されましたので、ご報告致します。

日本オセアニア学会第12回評議員当選者

(得票上位15名:50音順・敬称略)

稲岡 司  印東道子  梅崎昌裕  柄木田康之  斉藤尚文  白川千尋

須藤健一  関根久雄  竹川大介  棚橋 訓  内藤暁子  中澤 港

橋本和也  山本真鳥  吉岡政徳

学会通信

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新入会員

山野博哉 国立環境研究所 地球環境研究センター

城戸俊一郎 東京都立大大学院

寄贈図書

21st Pacific Science Congress Proceedings June 12-June 18, 2007, Okinawa, Japan,第21回太平洋学術会議事務局より寄贈

「Global COE Program 生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」(2009年2月)京都大学東南アジア研究所より寄贈


ニューズレターNo.92から

第26回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第26回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。ご出欠につきましては、学会ホームページ(URL:http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsos/meeting2009.html) の申し込み用フォームをご利用のうえ、2009年1月30日(金)までにお知らせ下さい。

また、申し込み用フォームのご利用が不可能な場合には、本ニューズレターに同封の返信用ハガキ(お手数ですが切手をお貼り下さい)をご利用下さい。多数 の会 員の皆様のご参加をお待ちしております。

日 時:
2009年3月19日(木)13:00 ~ 20日(金)12時まで
(新評議員会:3月19日10:00~11:00、新旧合同理事会:11:00~12:00、新旧合同評議員会:12:00~13:00を予定)
大会・総会・理事会・評議員会会場・懇親会・宿泊会場:
別府 竹瓦温泉 ホテルニューツルタ (webサイト)
〒874-0920 大分県別府市北浜1-14-15
TEL(0977)22-1110 / FAX(0977)21-1019
参加費:
有給者(学術振興会特別研究員等を含む)19,000円
無給者(大学院生、学生、定年等の退職者等)12,000円の予定
(いずれも19日の宿泊費・懇親会費を含む)
交通:
交通の便は以下の通りです。
1)山陽新幹線・小倉駅下車の場合
小倉駅から日豊本線にのりかえ特急ソニックで約1時間。「別府駅」下車。別府駅より駅前通を海岸の方へ徒歩約7分。小倉-別府間は、割安の指定席 特急 券つき特別切符(2枚きっぷまたは4枚きっぷ)があります。
2)航空機利用の場合
大分空港より、空港特急バス・エアライナーにのりかえ約 45 分。「別府駅」の一つ手前の「北浜」でおりると会場が目の前です。
3)車利用の場合(宿泊会場の駐車場をご利用下さい)
大分自動車道を別府ICで降り駅方向へ。海岸ぞいの北浜公園の向かい側。
4)北九州空港・福岡空港は比較的格安便が多く、もよりの空港として利用できます。四国(八幡浜)・大阪方面はフェリーの利用も可能です。

研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについて、申し込み用フォーム(もしくは返信用ハガキ)にご記入下さい。また、ホテルニューツル タへ の宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)方はその旨をお知らせ下さい。その場合、大会参加費は7,000円を予定しております。発表時間は演題数 にもよりますが、質疑応答を入れて例年20~25分程度です。

本研究大会・総会の詳細につきましては、NEWSLETTER次号にてお知らせする予定です。

<第26回研究大会・総会事務局>
〒802-8577 北九州市小倉南区北方4丁目2-1
北九州市立大学文学部
竹川 大介 TEL&FAX: 093-964-4167

第8回 日本オセアニア学会賞の公募について

前号でもお知らせしました通り、今年度の日本オセアニア学会賞の公募が2008年11月1日より始まっております。締め切りは2009年1月15日(必 着) です。

自薦・他薦、研究分野を問いませんので、ふるってご応募下さい。

第8回 日本オセアニア学会賞選考要項

2008年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 片山一道
委 員 斉藤尚文
高坂宏一
多賀谷昭
豊田由貴夫

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2007 年1月1日から2008年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2008年11月1日から2009年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会賞選考委員長)片山一道
    〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
          京都大学大学院 理学研究科 動物学教室 自然人類学研究室
    FAX: 075-753-4083

  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2009年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている作品は、速やかに応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

2008年度 第2回日本オセアニア学会関東地区研究例会のお知らせ

来る2009年1月24日(土)、東京大学本郷キャンパスにおいて、「最新のオセアニア文化研究:ハワイとヴァヌアツ」と題して、本年度第2回日本オセ アニ ア学会関東地区研究例会を開催致します。皆様のご参加をお待ちしております。

開催日時:
2009年1月24日(土)14:00~17:30
場所:
東京大学本郷キャンパス医学部教育研究棟(通称:医学部新棟)2階第4セミナー室
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_09_j.html
※ 終了後に懇親会を行います
<発表プログラム>
【報告1】
「観光文化と先住ハワイアン文化の正統性:ハワイ音楽の歴史と今日」
発表者:古賀まみ奈(東京大学大学院 総合文化研究科)
コメンテーター:清水昭俊(国立民族学博物館名誉教授)
【報告2】
「ヴァヌアツ北部地域における食文化の多様性と技術選択」
発表者:野嶋洋子(日本オセアニア学会)
コメンテーター:小谷真吾(千葉大学文学部)
<連絡先>
関東地区研究例会幹事 古澤拓郎(東京大学国際連携本部)

2008年度 日本オセアニア学会関西地区研究例会のお知らせ

来る2009年1月31日(土)、国立民族学博物館において、日本オセアニア学会関西地区研究例会を開催致します。皆様のご参加をお待ちしております。

開催日時:
2009年1月31日(土)13:00~17:30
場所:
国立民族学博物館 第3セミナー室
<発表プログラム>
13:00~13:25   深田淳太郎(日本学術振興会/大阪大学大学院人間科学研究科)
「使えない貨幣と人の死:トーライ社会における貝貨の一形態“ロロイ”を事例に」
13:25~13:40   コメント 中川理(大阪大学)
13:40~13:50   質疑応答
13:50~14:15   千田俊太郎(京都大学非常勤講師)
「ドム語と地理について」
14:15~14:30    コメント 大西正幸(総合地球環境学研究所)
14:30~14:40   質疑応答
14:40~15:00   休憩
15:00~15:25   新本万里子(広島大学大学院社会科学研究科)
「「女が肩から網袋を提げる」ということ」
15:25~15:40   コメント 青木恵理子(龍谷大学)
15:40~15:50   質疑応答
15:50~16:15   栗田梨津子(広島大学大学院社会科学研究科)
「多文化主義下の都市アボリジニによるアイデンティティ構築の動き」
16:15~16:30   コメント 須藤健一(神戸大学)
16:30~16:40   質疑応答
16:40~17:05   東 賢太朗(宮崎公立大学)
「表象・イメージ・現実―在・滞日フィリピン人女性表象の変遷から」
17:05~17:20   コメント 遠藤央(京都文教大学) 
17:20~17:30   質疑応答
<連絡先>
関西地区研究例会幹事 福井栄二郎(島根大学法文学部)

2008年度 第1回日本オセアニア学会関東地区研究例会の報告

日本オセアニア学会理事 豊田由貴夫
 関東地区研究例会幹事 古澤拓郎

下記の通り、関東地区研究例会が立教大学アジア地域研究所との共催により開催されましたので報告します。

日時:
10月10日(金)18:30~20:30
場所:
立教大学太刀川記念館3階多目的ホール
講演タイトル:
Third World States, Labels and Realities
「第三世界の国々:その呼称と実態」
講演者:Hank Nelson氏(オーストラリア国立大学名誉教授)
司会・解説:豊田由貴夫(立教大学観光学部教授)

Hank Nelson氏について

太平洋史、特にパプアニューギニアを中心とする太平洋諸国とオーストラリアの関係史が専門。著書は、Papua New Guinea: Black, Unity or Black Chaos, Black, White and Gold: Goldmining in Papua New Guinea 1878-1930, Taim Bilong Masta: The Australian Involvement with Papua New Guineaなど、多数。

講演内容:
現在、10億以上の人々が「破産した国」とでも呼べるような国家に住んでいる。それらの国々は「遅れた」「もろい」「機能障害を起こした」など、 様々 な名称で呼ばれている。しかしそれらは分析的な呼称と言えるだろうか。パプアニューギニアという国での長期間の滞在と研究から、これらの国々が先進国家と どのように異なるのかを考えたい。これらの国々の実態を理解しない限り、外からの援助は効率的なものとはならないであろうし、正しい理解が無ければ、 この 最下層の10億の人々は、彼ら/彼女たちが出来ないことを外から求められ、したくないことを外から求められ続けるのである。

第12期 評議員選挙のお知らせ

次期評議員選挙を2009年1月から2月にかけて実施する予定です。年明けに事務局から投票用紙を送付致しますので、ご面倒かと思いますが、投票方宜し くお 願いします。


学会通信

webではメールアドレスは掲載しません

新入会員

宇和川 蓉子:神戸大学大学院 国際文化学研究科

Elena Gregoria Chai Chin Fern:東京外国語大学大学院 アジア・アフリカ言語文化研究科

所属変更

福井栄二郎:(新)島根大学法文学部(旧)日本学術振興会特別研究員・国立民族学博物館

メールアドレス変更

江戸淳子:杏林大学外国語学部

古澤拓郎:東京大学国際連携本部

寄贈図書

『人類学で世界をみる―医療・生活・政治・経済―』春日直樹(編)ミネルヴァ書房 2008年

『南山考人』第36号 南山大学大学院 人間文化研究科人類学研究室 2008年

Archaeological Survey in the High Llanos and Andean Piedmont of Barinas, Venezuela, Redmond, E.M. and Spencer, C.S., American Museum of Natural History, 2007


ニューズレターNo.91から

第25回総会の報告

 2008年3月27日(木)、第25回日本オセアニア学会研究大会会場(淡路市・岩屋健康福祉センター)において、日本オセアニア学会総会が開催され まし た。総会(議長:須田一弘氏)の議事は以下の通りです。

<審議事項>

1.2007年度事業報告
*下記2007年度事業報告が審議され、承認されました。
・People and Culture in Oceania vol.23の刊行(109pp.:論文3本、通信1本、書評2本)
・NEWSLETTER no.88(論文2本), 89(論文2本), 90(論文1本)の刊行
・研究例会の実施
  関西地区 2007年12月9日 京都文教大学 発表3件
  関東地区 2007年12月22日 東京大学本郷キャンパス 発表2件
・第25回研究大会・総会の実施
  2008年3月27日・28日 岩屋保健福祉センター「すこやかセンター」
・日本学術会議等関連の活動
・共催・後援
  第21回太平洋学術会議
  第17回アジア社会科学研究協議会連盟隔年総会
  国立民族学博物館 オセアニア大航海展
  ホクレア日本航海プロジェクト記念シンポジウム、他
・ソロモン諸島義捐金の募集・寄附
2.2007年度会計報告
*2007年度決算(2007年3月1日~2008年2月29日)について、豊田由貴夫理事より説明があり、承認されました。
*会計監査は、後藤明氏および内藤明子氏によるものです。
3.2008年度事業計画
*2008年度事業計画が審議の結果、承認されました。
4.2008年度予算
*2008年度予算案(2008年3月1日~2009年2月28日)について、豊田由貴夫理事より説明があり、承認されました。
5.特別会計
*特別会計について、関根久雄会計幹事より説明があり、承認されました。
6.モノグラフ・シリーズについて、柄木田康之理事より説明があり、2008年度中に募集が行われることが承認されました。(本号別記事に募集要 項が 掲載されています。)

<報告事項>

1.30周年記念出版事業の途中経過等について、遠藤央理事より報告されました。
2.著作権・電子公開について、菊澤律子理事より報告されました。
3.第7回日本オセアニア学会賞候補の理事会決定について、事務局より報告されました。
 伊藤泰信 『先住民の知識人類学:ニュージーランド=マオリの知と社会に関するエスノグラフィ』世界思想社 2007年
*総会終了後、授与式が行われました。副賞は例年通り、日本オセアニア交流協会から頂きました。なお、学会賞選考委員会からの報告は、以下別記事 に掲 載されております。

第7回 日本オセアニア学会賞について

2007年度日本オセアニア学会賞選考委員会
選考委員  片山一道(委員長)
斉藤尚文
高坂宏一
多賀谷昭
豊田由貴夫

1)選考過程
2008年1月16日から3月7日の間、対象著作類の回覧
2008年3月7日、各選考委員による選考結果を集計
2008年3月7日から3月12日の間、メールによる委員会
2008年3月13日、受賞候補者の内定
2)第7回オセアニア学会賞受賞者
伊藤泰信氏(北陸先端科学技術大学院大学)
対象著作:
『先住民の知識人類学:ニュージーランド=マオリの知と社会に関 するエスノグラフィ 』(単著、単行本)、世界思想社、2007年2月発刊
3)伊藤泰信氏の受賞理由:

対象著作となった『先住民の知識人類学:ニュージーランド=マオリの知と社会に関するエスノグラフィ 』(単著、単行本、世界思想社)は、ニュージーランドでの長期フィールドワークに基づく意欲的な出版物であり、同地の先住ポリネシア人であるマオリの人たち自身の手による 「マオリ学」の構築・受容の過程を、先住民族運動の動向とニュージーランドの歴史・政治・社会に照らして精緻に分析した第一級の民族誌であると評 価で きる。マオリの知識構築過程に関する実証分析を独自の視点から新規性を十分に発揮して成し遂げた卓抜なる研究成果と言えよう。オセアニアの地域研究に とどまらず、文化人類学、社会人類学、民族誌学、知識人類学、知識社会学などの方面、あるいは広く人類学全般に多大なる貢献を果たすものと考えら れ る。

第8回 日本オセアニア学会賞選考要項

2008年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 片山一道
委 員 斉藤尚文
高坂宏一
多賀谷昭
豊田由貴夫

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2007 年1月1日から2008年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2008年11月1日から2009年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。

    (日本オセアニア学会賞選考委員長)片山一道
    〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
          京都大学大学院 理学研究科 動物学教室 自然人類学研究室
    FAX: 075-753-4083

  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2009年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている作品は、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

2008年度日本オセアニア学会モノグラフシリーズの公募について

 日本オセアニア学会では次の要領で2008年度刊行のモノグラフシリーズの公募を行います。会員皆様にはふるって応募ください。

1. 公募期間: 2008年8月1日~9月30日
2. 提出物: カメラ・レディー原稿,モノグラフ・タイトル,著者氏名,所属,連絡先(住所,メール・アドレス等)を含む送り状
3. 提出先: モノグラフシリーズ担当理事
〒321-8505 宇都宮市峰町350 宇都宮大学国際学部
柄木田研究室 (e-mail: karakita[atmark]cc.utsunomiya-u.ac.jp)
4. 印刷費: 刊行されるモノグラフシリーズの印刷費は著者が負担する。
費用の概算はPCO体裁のA5版150頁冊子350-400部で50万円。
ただしモノグラフシリーズとしての表紙等の費用は学会が負担する
5. 著作権: モノグラフシリーズの形式的著作権は日本オセアニア学会に帰属する。
6. 配布: 刊行物の会員への配布(250-300部)は日本オセアニア学会が行う。その他の配布先への配布と残部の管理は著者が行う。

日本オセアニア学会モノグラフシリーズについての申し合わせ

日本オセアニア学会理事会
2008年3月27日

日本オセアニア学会は、学会員の研究成果の発表促進のため、The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Series(以下、モノグラフシリーズ)を出版する。

  1. モノグラフシリーズは不定期刊行物とし、年1回会長名で公募する。著者および編者(以下、著(編)者)は過去2年間会費を納入している学会員とす る。
  2. 著(編)者は、応募の際、図版を含め既に完成した原稿をモノグラフシリーズ編集担当理事に提出する。
  3. 応募があった場合、モノグラフシリーズ編集担当理事が審査委員会を招集する。審査委員会を構成する査読者は、学会員1名を含めた3名までとする。 審査 結果を踏まえ、モノグラフシリーズ編集担当理事が出版の可否を決定する。
  4. 出版が認められた場合、著(編)者は入稿前の原稿整理、校正などすべての編集作業に責任を負う。
  5. 編集事務(印刷業者との原稿の受け渡し等)は、モノグラフシリーズ編集担当理事が責任をもっておこなう。
  6. 学会の会計年度は、毎年3月1日から翌年2月28日であるため、刊行は次の日程で行う。会長名で公募の公示(3月末),応募期間(8・9月),査 読審 査(10・11月),原稿修正(12月),入稿(1月上旬),出版(3月上旬)
  7. 装幀は、A5版、横書きとする。

学会通信

(以下メールアドレスは非掲載とします)

新入会員

宇和川蓉子:神戸大学大学院・国際文化学研究科 文化相関専攻

関根弘和:筑波大学大学院・人間総合科学研究科 ヒューマン・ケア科学専攻

滝川加乃:有限会社 兎屋

所属変更

大西秀之:(旧)総合地球環境学研究所→(新)同志社女子大学現代社会学部社会システム学科

丹羽典生:(旧)日本学術振興会 特別研究員PD→(新)国立民族学博物館研究戦略センター

野中健一:(旧)地球環境研究所→(新)立教大学文学部

橋本裕之:(旧)千葉大学文学部日本文化学科→(新)盛岡大学文学部日本文学科

寄贈図書

ニューズレターNo.90から

第25回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

前号のニューズレターでもお伝え致しましたが、日本オセアニア学会第25回研究大会・総会を下記の要領で開催致します。

1.日時
2008年3月27日(木)13:00 ~ 28日(金)12:15(終了予定)
(理事会:3月27日10:00~11:00、評議員会:11:00~12:00)
尚、受付は27日12:00から始める予定です。
2.大会・総会・理事会・評議員会会場
岩屋保健福祉センター「すこやかセンター」
〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋1514-18
TEL: 0799-72-5112 FAX: 0799-72-5113
http://www.city.awaji.hyogo.jp/
* 大会会場と宿泊・懇親会会場の間はマイクロバスまたは徒歩(10~15分)での移動となります。
3.宿泊・懇親会会場
淡海荘(淡路島・岩屋温泉)
〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋3559-4
TEL: 0799-72-4111 FAX: 0799-72-4113
http://www.tankaiso.co.jp/
4.参加費
有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む)19,000円
無給者(大学院生、学生等)10,000円
* いずれも27日の宿泊費・懇親会費を含みます。大会のみ参加される方(宿泊せず、懇親会も不参加の方)は、大会参加費7000円となります。
5.交通
1)新幹線利用の場合
新神戸駅バス乗り場山 陽新幹線・新神戸駅前で本四海峡バス「大磯号」に乗り換えて淡路島の「淡路夢舞台前」で下車(所要時間59分)、そこから送迎マイクロバスまたはタク シー で会場まで約10分です。
* 山陽新幹線・西明石駅経由も可能ですが、新幹線を利用する場合に最も便利が良いのはこのルートです。但し、利用する本四海峡バス「大磯号」には指定席が8席しかありません ので(自由席は補助席含め40席有り)、万が一、満席で乗車できない場合は次の便を待っていただくことになります。通常、満席になることは殆どないよ うで すが、確実に乗車するためには予約が必要です。尚、「大磯号」はJR三ノ宮駅前(三宮バスターミナル(BT))を経由します。
  • 大磯号57号:「JR新神戸駅」発 10:15(三宮BT 10:30)
  • -「淡路夢舞台前」着 11:14 
  • 大磯号59号:「JR新神戸駅」発 11:15(三宮BT 11:30)-「淡路夢舞台前」着 12:14 

(上記以外の時刻についてはhttp://www.honshi-bus.co.jp/jikoku.htmを ご参照下さい)
  予約TEL: 0799-24-3866、0799-62-1816
三宮バスターミナル「淡 路夢舞台前」バス停には、上記2便とも到着時刻に「淡海荘」の送迎用マイクロバス(28人乗り)が待機していますので、お乗り換え下さい。もし一度に 乗り きれない場合はピストン輸送となりますので、少々お待ちいただくことになります。万が一、大磯号59号が満席で乗車できず次の61号(12:15発、 13:14着)に乗車された方がおられた場合は、送迎車を出しますので、乗車前に淡海荘にご連絡下さい。
2)在来線利用の場合(A:高速バス利用、B:フェリー利用)
A)JR舞子駅で下車し、ターミナルビル5階にある「明石海峡大橋シャトル便」のバス停「高速舞子」①番乗り場「岩屋ポート・淡路夢舞台 方面行き」へ移動(徒歩約5分)、「岩屋ポート」に行くバスに乗車(11:25発11:44着、12:15発12:28着)。「岩屋ポート」バス停で下車して会場まで徒歩 約10分ですが、バス停から「淡海荘」に連絡いただければ、会場まで送迎致します(その他の詳細はhttp://www.sanyo-railway.co.jp/bus/kousoku/shuttle.html)。
B)JR明石駅で下車し、南に徒歩約10~15分の明石港から「明石淡路フェリー(たこフェリー)」を利用すれば、明石海峡大橋の下を通り大会会 場す ぐ横の岩屋港(岩屋ポートとは別)に着きます。明石港からは11:40、12:15、12:45発、所要時間は約20分です(その他の詳細はhttp://www.taco-ferry.com/)。 淡路ジェ ノバライン(所要約13分)は岩屋ポートに向かいます。
3)航空機利用の場合
神戸空港・大阪(伊丹)空港とも、①神戸(新幹線・新神戸駅またはJR三ノ宮駅)へ移動し、上記「新幹線利用の場合」の「大磯号」に乗車するか、 ②JR等を利用して舞子駅・明石駅へ移動し、上記「在来線利用の場合」の方法で会場まで来ていただくことになります。尚、JR三ノ宮駅前の三宮バス ターミ ナル(ミント神戸1F:右図)にて「大磯号」に乗車をお考えの場合は、「新幹線・新神戸駅」前乗車の場合よりも席が少ないことにご注意下さい(三ノ宮から 新神戸駅への移動は地下鉄で1駅です)。
4)車利用の場合
明石海峡大橋を渡って淡路ICで降り、料金所を出てすぐの信号を右折、道なりに2km直進し、次の信号(明石海峡大橋の真下)を右折、そこから約 200mです。尚、大会会場の駐車場は狭いので、「淡海荘」または近くの「道の駅」の駐車場をご利用下さい。淡海荘から会場へはマイクロバスでの移動 が可 能です(11:00及び12:00頃に出発)。その他の時間帯は、高速バス利用の方の送迎時に便乗することができますので、淡海荘のフロントにお尋ね下さ い。
6.会場周辺地図
会場周辺地図
7.大会プログラム(変更の可能性が有ります)
<3月27日(木)>
10:00~11:00 理事会
11:00~12:00 評議員会
12:00 受付開始
一般発表(発表:20分間、質疑応答及び発表者交代:10分間の予定)
13:00 会長挨拶(+連絡事項等)
13:15 住民主体の自然保護運動が土地問題を引き起こす -パプアニューギニア・アンデップ社会の事例から- 武田淳(滋賀県立大学人間文化研究科)
13:45 月経小屋の消滅 -パプアニューギニア・アベラム社会の居住空間の分析から- 新本万里子(広島大学大学院社会科学研究科)
14:15 ソロモン諸島ガダルカナル島首都近郊において橋と道路の再開通はQOLをどう変えたか 中澤港(群馬大学大学院医学系研究科)
14:45 コーヒーブレーク
15:00 オセアニア環礁の景観史 -マーシャル諸島マジュロ環礁のジオアーケオロジー調査から- 山口徹(慶應義塾大学)
15:30 サモアにおける考古学教育とパブリック・アーケオロジー 石村智、S・バーンズ、T・アサウア、C・サンド(奈良文化財研究所他)
16:00 ポリネシア人の大きな足とその機能的意味 権田絵里(京都大学大学院理学研究科)
16:30 オセアニア航海カヌーの現代的意義 -2007年ホクレア号日本航海や沖縄海洋文化館のカヌー資料などにふれて- 後藤明(南山大学)
17:00 総会
18:00 宿泊・懇親会会場へ移動(送迎マイクロバス・ワゴン車または徒歩)
<3月28日(金)>
8:30~ 大会会場へ移動(送迎マイクロバス・ワゴン車または徒歩)
9:00 「場」の慣習行動に見られる相同性 高橋玲(大阪市立大学大学院)
9:30 デジタルアーカイブからツールへ -人類学調査・展示・教育におけるコンピューターのより積極的な利用- 行木敬(龍谷大学社会学部)
10:00 ニューカレドニアにみる歴史的闘争の場としての文化顕示 -メラネシア2000フェステイバル- 江戸淳子(杏林大学)
10:30 コーヒーブレーク
10:45 リタイアリーの海外移住に関する文化人類学 -北マリアナ諸島の場合-(仮) 遠藤央(京都文教大学人間学部)
11:15 マーシャル諸島の芸能と欧米文化 小西潤子(静岡大学)
11:45 日本統治下ミクロネシアの二重経済再考 -パラオ人の就労経験の分析から- 飯高伸五(東京都立大学大学院)
12:15 終了
第25回研究大会・総会事務局:
 〒669-1337 兵庫県三田市学園2-1 関西学院大学総合政策学部
            安高 雄治 (注:高はweb表示のために変えました)
     TEL& FAX: 079-565-8156
          日本オセアニア学会30周年記念出版に関する経過報告

 第24回総会において議決・承認されました30周年記念出版の実現に向けて、吉岡政徳(注:web表示のため字体を変えてあります)会長から編集委員 の人 選と依頼がおこなわれ、第1回の編集委員会を2007年6月3日、日本文化人類学会第41回研究大会終了後に開催し、具体的な作業が開始されました。企画案に 沿って、7月に原稿テーマの公募をおこない、多数の応募をいただいたことを感謝いたします。

 片山一道前会長の推薦により、京都大学学術出版会と交渉をおこないました。論集のかたちでの2巻本あるいは1巻本という企画案を提出しましたが、昨今 のき びしい出版事情をかんがみ、出版会の理事会からは、読者層をひろげるために論集よりは事典の企画は考えられないかという提案もあり、何回かやりとりをおこない ました。

最終的に、オセアニア関係の本がまだ京都大学学術出版会から出版されていないという事情もあり、いくつかの条件つきで論集の出版をひきうけてもらうこと にな りました。その条件とは、①学会からの出版助成金、②ばらばらの論文が集まったかたちの論集にはしないで、編集委員会の責任で統一すること、③読者層をひろげ る努力を学会としておこなうこと、④学会として販売への努力をおこなうこと、⑤将来的にオセアニア事典出版の検討をすること、などです。

 現在、公募に応じた方以外にも必要に応じて執筆依頼をおこない、4月の原稿締め切りにむけて編集作業をすすめています。以上の事情を斟酌いただき、よ ろし く原稿執筆へのご協力をお願いいたします。2008年度内に刊行するため、締め切り期日の厳守はもちろん、校正等のスケジュールがきびしくなることもご了解い ただき、今後ともご協力をよろしくお願いいたします。

            日本オセアニア学会30周年記念出版 編集委員会 (印東道子、梅崎昌裕、遠藤央、風間計博、菊 沢律 子、窪田幸子、中澤港)

2007年度 関西地区例会開催の報告

 去る2007年12月9日(日)、京都文教大学において、日本オセアニア学会関西地区例会が開催されました。発表者および題目は下記の通りです。

関西地区例会幹事: 福井栄二郎(日本学術振興会)

学会通信

(以下メールアドレスは非掲載とします)

所属変更

倉光ミナ子:天理大学国際文化学部

メールアドレス変更

夏原和美:福岡県立大学(所属は変更無し)

寄贈図書

『NEWSLETTER グローバルCOEプログラム 生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点』創刊号(2007年11月)京都大学東南アジア研究所より寄贈


ニューズレターNo.89から

日本オセアニア学会賞について

 2007年11月1日(木)より、今年度の日本オセアニア学会賞の募集が始まっております。既に刊行されている作品については、審査の手続きを円滑に 進め るためにも、早めにご応募下さいますようお願い申し上げます。

自薦、他薦どちらでも結構です。また、論文、著書の別も問いません。

第7回 日本オセアニア学会賞選考要項

2007年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 片山一道
委 員 斉藤尚文
高坂宏一
多賀谷昭
豊田由貴夫

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、 2006 年1月1日から2007年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。 送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対 象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。 な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2007年11月1日から2008年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外に FAXあ るいはE-mail(注:下記[at]は半角のアットマークです)でも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)片山一道
    〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
          京都大学大学院 理学研究科 動物学教室 自然人類学研究室
    FAX: 075-753-4083 
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2008年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている作品は、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者 とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

第25回研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第25回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。ご出欠につきましては、学会URL(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsos/meeting2008.html) の申し込み用フォームをご利用のうえ、2008年1月18日(金)までにお知らせ下さい。また、申し込み用フォームのご利用が不可能な場合には、本ニュー ズレ ターに同封の返信用ハガキ(お手数ですが切手をお貼り下さい)をご利用下さい。多数の会員の皆様のご参加をお待ちしております。

日 時:
2008年3月27日(木)13:00 ~ 28日(金)昼頃の予定
(理事会:3月27日10:00~11:00、評議員会:11:00~12:00を予定)
大会・総会・理事会・評議員会会場:
岩屋保健福祉センター「すこやかセンター」
〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋1514-18
TEL: 0799-72-5112 FAX: 0799-72-5113
http://www.city.awaji.hyogo.jp/
懇親会・宿泊会場:
淡海荘(淡路島・岩屋温泉)
〒656-2401 兵庫県淡路市岩屋3559-4
TEL: 0799-72-4111 FAX: 0799-72-4113
http://www.tankaiso.co.jp/
*大会会場と宿泊会場の往復はマイクロバスあるいは徒歩(10~15分)での移動となります
参加費:
有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む)19,000円
無給者(大学院生、学生等)12,000円の予定
(いずれも27日の宿泊費・懇親会費を含む)
交通:
交通の便は以下の通りです。
バスの時刻についてはhttp://www.honshi-bus.co.jp/jikoku.htmを ご参照下さい。
1)山陽新幹線・新神戸駅下車の場合
新神戸駅から高速バス「大磯号」で「淡路夢舞台」下車(約1時間)、送迎マイクロバスまたはタクシー(約10分)。
2)山陽新幹線・西明石駅下車の場合
在来線に乗り換えJR舞子駅で下車、「海峡シャトルバス(高速舞子バス停)」に乗り換え「岩屋ポート」下車、徒歩約10分。または、JR明石駅で 下車 し、徒歩15分の明石港から「たこフェリー」で大会会場すぐ横の岩屋港へ。
3)航空機利用の場合
神戸空港・大阪(伊丹)空港とも、①神戸(三宮)へ移動し、三宮バスターミナルにて上記1の「大磯号」に乗車するか、②JR等を利用して舞子駅・ 明石 駅へ移動(上記2参照)。
4)車利用の場合(大会会場の駐車場は狭いので、宿泊会場の駐車場をご利用下さい)
明石海峡大橋を渡って淡路ICで降り、料金所を出てすぐの信号を右折、道なりに2km直進し、次の信号(明石海峡大橋の真下)を右折、200m。

研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについて、 申し 込み用フォーム(もしくは返信用ハガキ)にご記入下さい。また、淡海荘への宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)方はその旨をお知らせ下さい。そ の場合、大会参加費は7,000円を予定しております。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて例年20~25分程度です。

本研究大会・総会の詳細につきましては、NEWSLETTER次号にてお知らせする予定です。

第25回研究大会・総会事務局: 〒669-1337 兵庫県三田市学園2-1
               関西学院大学総合政策学部
               安高 雄治
               TEL& FAX: 079-565-8156
               
2007年度 関東地区例会開催のお知らせ
来る12月22日(土)、日本オセアニア学会関東地区例会を開催いたします。 今年度は「オセアニアへの移住・適応そして現在」と題しまして、考古学と人類遺伝学の若手研究者お二人をお招きします。学会員のみなさまのご参加をお待ちしており ます。 開催日時: 2007年12月22日(土)13:00-17:00 報告1:根岸洋(東京大学大学院人文社会系研究科・博士課程) 「土器作り民族誌と考古学~ラピタ文化複合後のパプア・ニューギニア~」 コメント:山口徹(慶應義塾大学文学部) 報告2:木村亮介(東海大学医学部) 「オセアニア集団における遺伝子流動と自然選択」 コメント:中澤港(群馬大学大学院医学系研究科) 場所: 東京大学(本郷キャンパス)医学部教育研究棟13階第7セミナー室 http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_09_j.html 東京メトロ丸の内線/都営大江戸線の「本郷三丁目」から徒歩5分。 当日は周辺に案内掲示を出しますので、それに従って会場にお越しください。 連絡先: 関東地区例会幹事 古澤拓郎 東京大学国際連携本部

学会通信

メールアドレス変更

後藤 明(南山大学人文学部人類文化学科)(アドレスはwebには掲載しません)

寄贈図書


ニューズレターNo.88から

第24回総会の報告

2007年3月20日(火)、第24回日本オセアニア学会研究大会会場(静岡市清水区三保園ホテル)において、日本オセアニア学会総会が実施されました。総 会(議長:梅崎昌裕氏)の議事は以下の通りです。

1.第6回日本オセアニア学会賞
第6回日本オセアニア学会賞に、諏訪淳一郎氏の著書『ローカル歌謡の人類学:パプアニューギニア都市周辺村落における現代音楽の聴取と民衆意識』(弘 前大学出版会 2005)が選ばれ、総会会場にて表彰式が行われました。(受賞理由は、本誌別記事に掲載されております。)
2.石川榮吉賞
石川榮吉賞に大塚柳太郎氏が選ばれ、研究大会会場にて表彰式及び受賞記念講演が行われました。(受賞理由及び受賞者の言葉は、本誌別記事に掲載されて おります。)
3.第11期新役員について
・下記の新会長が承認されました。
会長  吉岡政徳(注:web表示のため字体を変えてあります)氏
・新評議員の互選により理事が選出され、その役割分担が下記のように決まりました。
庶務      風間計博氏
会計      豊田由貴夫氏
編集(PCO)   菊澤律子氏・白川千尋氏
編集(NL)   山口 徹氏
情報化     遠藤 央氏
渉外      柄木田康之氏
・下記の新役員が承認されました。
会計監査   後藤 明氏・内藤暁子氏
幹事(会計)   関根久雄氏
幹事(情報化)  中澤 港氏
幹事(NL)   石森大知氏
幹事(研究会)  古澤拓郎氏(関東地区)・福井栄二郎氏(関西地区)
4.「日本オセアニア学会刊行物等の著作権及び電子公開に関する規約」について
規約が制定されました。(規約の全文は、本誌別記事に掲載されております。)
5.会計について
・2006年度決算(2006年3月1日~2007年2月28日)が承認されました。
6.事業について
・2006年度事業報告として、以下の事項が報告されました。
  • People and Culture in Oceania Vol.22の編集
  • ニューズレター No. 85, 86, 87の発行
  • 第24回研究大会・総会の実施
  • 研究例会の実施
  • *関東地区(2006年12月16日 東京大学・本郷キャンパス)
  • *関西地区(2006年11月23日 京大会館)
  • 評議員選挙の実施
  • 日本学術会議等関連の活動
  • その他:PCO体裁の変更等
・2007年度事業計画として、以下の事項が承認されました。
  • People and Culture in Oceania Vol.23の発行
  • ニューズレター No.88, 89, 90の発行
  • 第25回研究大会・総会の実施
  • 研究例会の実施
  • 第7回日本オセアニア学会賞の公募
  • 日本学術会議等関係の活動
  • 30周年記念特別事業の準備:記念出版委員会の設立
  • その他:第21回太平洋学術会議の共催、民博「オセアニア大航海展」後援等

石川榮吉賞報告

総会報告記事に記したとおり、大塚柳太郎氏に石川榮吉賞が授与されました。

石川榮吉賞推薦理由

日本オセアニア学会理事会

大塚柳太郎氏の研究活動としては、1967年以来、パプアニューギニア(当初はオーストラリア領)において、また、1990年代からはインドネシア、ソロモ ン諸島国、トンガ王国などで、多くの人間集団を対象とする人類生態学の調査研究を主導して刮目すべき成果を挙げてきた。

大塚氏の学会活動としては、日本オセアニア学会設立の一翼を担い、1987年には日本オセアニア学会、Indo-Pacific Prehistory Association及び国立民族学博物館が共催した国際会議‘Isolation and Development in the Pacific’の事務局長を務め、さらには日本オセアニア学会の機関誌である‘Man and Culture in Oceania (現People and Culture in Oceania)’の発刊準備に尽力したのちに第1巻(1985年)から第10巻(1994年)まで同誌の編集委員長の任に当たるとともに、1993年から1999年まで 日本オセアニア学会の会長の役職を果たした。

以上のように、オセアニア地域研究の振興に多大なる寄与を果たしてきたこと、くわえて、長年にわたり日本オセアニア学会の発展に貢献してきたことが、大塚氏 を石川榮吉賞に推薦する理由である。

石川榮吉賞を受賞して

大塚柳太郎(国立環境研究所)

私が心より敬愛する故石川榮吉先生のお名前を冠した賞を受賞する栄誉を授かり、石川先生にはもちろん会員の皆様に深く感謝いたします。

私が石川先生と最初に親しくお話しする機会を得たのは、1984年秋と記憶しています。二人で盃を交わしながら、すっかり先生のペースに引き込まれていった ようです。日本のオセアニア研究を発展させるには、自然科学と人文社会科学の研究者が集まる組織をつくる、日本人研究者の活動を国際的に発信する英文学術誌を 発行する、ということが主題でした。石川先生の巧みな話術と雰囲気に酔わされ、英文誌の刊行は私が責任をもつという羽目になってしまいました。People and Culture in Oceaniaの前身Man and Culture in Oceaniaの第1号は1985年に刊行されたのです。

私自身は理学部生物学科人類学課程を卒業しましたが、大半の時間を医学部人類生態学教室で過ごしました。主たる調査対象はパプアニューギニアの諸集団で、最 初に訪れたのは西部州に住むギデラという2000人ほどからなる言語族です。それは今から40年前、私が大学院の修士課程にはいった1967年のことでした。 その後、ギデラの社会には10回以上滞在し、行動・栄養・人口・健康などにかんする研究を行いました。最初は単独で調査をしたのですが、徐々にギデラの人びと 全体(生態学で個体群といいます)の適応に関心をもち、1980年代からは多くの仲間との共同研究に移行しました。その後、私自身のさらなる関心の広がり、一 方で学生をはじめとする若いメンバーからの刺激を受け、パプアニューギニアの多くの集団、さらにはソロモン諸島、東インドネシアのスンバ島、トンガ王国などで も調査を行う機会を得たのは幸運でした。

思い起こしますと、共同研究者はもちろんですが、石川先生をはじめとするオセアニア学会会員諸兄姉との付き合いのなかで、楽しく充実した研究者生活を送れた と改めて感謝する次第です。学会のますますの発展を心より祈念しています。

受賞者略歴

1945年1月10日生まれ
1967年3月  東京大学理学部生物学科人類学課程卒業
1970年3月  同 大学大学院理学系研究科人類学専門課程修士課程修了
1970年4月  東京大学医学部助手
1981年9月  同 助教授
1992年4月  同 教授
1997年4月  東京大学大学院医学系研究科教授
2005年4月  国立環境研究所理事長

1980年3月  理学博士(東京大学)

第6回 日本オセアニア学会賞報告

2006年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長  口蔵幸雄
委 員  稲岡 司
春日直樹
片岡 修
柄木田康之

2006年度オセアニア学会賞選考委員会として、下記の業績を第6回オセアニア学会賞に推薦いたします。

諏訪淳一郎 著
『ローカル歌謡の人類学:パプアニューギニア都市周辺村落における現代音楽の聴取と民衆意識』 弘前大学出版会(2005年刊)

推薦理由

諏訪氏の著書『ローカル歌謡の人類学:パプアニューギニア都市周辺村落における現代音楽の聴取と民衆意識』ではロコル歌謡の歴史,演奏者の社会関係,演奏作 曲の習得,他ジャンルの音楽との関係,野外コンサートと聴衆,歌詞の言語とモチーフが,マダン市周辺村落の社会文化的コンテクスにそって丹念に分析されてお り,パプアニューギニアの大衆音楽の優れた民族誌となっている。また、諏訪氏の著作は,パプアニューギニアの儀礼における音楽の役割に関する先行研究を発展さ せ,音楽の聴取がもたらす経験やアイデンティティ形成に踏み込んだ優れた研究であると評価できる。またオセアニアの大衆音楽の研究としても先駆的研究として評 価しうる。

以上の点から上記の業績をオセアニア学会賞にふさわしい研究として推薦する。


* 総会報告の通り,日本オセアニア学会選考委員会からの推薦を受け,理事会において諏訪氏の受賞が決定され,評議員会において承認されました。

第7回 日本オセアニア学会賞選考要項について

 2007年度日本オセアニア学会賞選考委員会より、第7回日本オセアニア学会賞選考要項が発表されましたので、お知らせいたします。昨年度から募集期間が 変更された点にご注意下さい。積極的な応募をお待ちしています。(「注記」を参照のこと。)

第7回 日本オセアニア学会賞選考要項

2007年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 片山一道
委 員 斉藤尚文
高坂宏一
多賀谷昭
豊田由貴夫

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2006 年1月1日から2007年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2007年11月1日から2008年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にFAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    (日本オセアニア学会賞選考委員長)片山一道
    〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
          京都大学大学院 理学研究科 動物学教室 自然人類学研究室
    FAX: 075-753-4083  
    
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 2008年1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている作品は、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

日本オセアニア学会出版物の著作権及び電子公開に関する規約について

昨今、著作物等の電子公開化が進み、日本オセアニア学会においても規定を制定する必要が生じました。そのため、下記の規約が理事会において決定され、評議員 会・総会において承認されました。

日本オセアニア学会出版物の著作権及び電子公開に関する規約

第1条(目的)
日本オセアニア学会は、本学会出版物の論文及び記事等に関する著作権を保護する目的で電子公開に関わる規約を制定する。
第2条(対象)
日本オセアニア学会は、本学会出版物に掲載された論文及び記事等に関わる著作権を保有することとする。
日本オセアニア学会出版物とは、以下の印刷物を指示する。
1.People and Culture in Oceania
2.NEWSLETTER
3.その他、本学会の指定した印刷物
第3条(条件)
日本オセアニア学会は、本学会出版物の論文及び記事等について、著作者本人による電子公開を下記の条件下で許諾する。
1.電子公開を認める媒体は営利を目的としない以下のものとする。
  (1)著作者個人のWebサイト
  (2)著作者が所属する機関のWebサイト
  (3)その他、日本オセアニア学会が認めたもの
2.著作者本人が電子公開を行う場合、以下の条件を満たすこととする。
  (1)著作権は日本オセアニア学会が有することを明示する
  (2)出典の出版物を明示する
  (3)出版後、6ヶ月以上経過していること
  (4)論文及び記事等は原則として改変を禁じる
3.以下のものにつき電子公開を認める。
  (1)掲載された形態の論文または記事
  (2)その他、日本オセアニア学会が認めたもの
4.著作者本人は、許諾条件の範囲内において、所定の手続きを経ることなく日本オセアニア学会出版物の論文及び記事等を電子公開することができる。
5.上記の条件に違反した場合、日本オセアニア学会は電子公開を禁止することができる。
附則
1.この規定は平成19年4月1日より施行する。
2.本規約が有効となった日時以前に発行された日本オセアニア学会出版物の論文及び記事についても、本規約における許諾条件に準じて電子公開を認める こととする。

日本オセアニア学会30周年記念出版事業について

先の総会において、本学会30周年記念事業の準備を進めるために、記念出版委員会の設立が認められました。それを受けて下記の通り、記念出版委員会構成員が 理事会において承認されました。そして、第1回記念出版委員会が2007年6月3日に名古屋で開催され、編集方針等について話し合いがもたれました。記念出版 委員会による原稿募集が、2007年7月中に行われる予定です。学会メーリングリスト及びホームページにて募集要項をお知らせしますので、会員の皆様のご協力 をお願い致します。

日本オセアニア学会30周年記念出版委員会

印東道子氏  梅崎昌裕氏  遠藤央氏  風間計博氏
菊澤律子氏  窪田幸子氏  中澤港氏

ソロモン諸島地震義捐金について

日本オセアニア学会会長 吉岡政徳(注:web表示のため字体を変えてあります)

本年4月2日午前7時39分頃にソロモン諸島西部で発生したM8クラスの地震とそれに伴う津波によって、現地では多くの方々が被災されました。そこで日本オ セアニア学会では、4月9日より、会員メーリングリストおよび学会ホームページを通じて復興支援の一助となるべく義捐金の募集をおこない、26名以上の方から ご寄附をいただき、5月1日に締め切りました。それについて下記の通りご報告いたします。

皆様のご協力に心より感謝申し上げます。

義捐金額:
300,000円
義捐金の使途:
募集の際にお知らせしてありましたソロモン諸島復興支援会(NPO法人エーピーエスディーが設立)に、5月16日、全額託しました。
使途の理由:
現地では国連、ユニセフ、多国で活動を展開する大規模NGO等による緊急支援が進み、4月末に国家災害局は事態が「緊急」段階から「復旧」段階に移行 したことを確認しました。よってこの義捐金は、今後の中長期的なコミュニティ復興活動に使われるべきものと判断し、ソロモン諸島国における支援活動に確か な実績があり、かつ被災したウェスタン州における教会組織との間で協働関係にある同支援会の活動に役立ててもらうこととしました。なお、同支援会の今後の 活動動向につきましては、同会ホームページ(http://www.sus-crew.com/) を通じて随時広報されることになっております。

なお、ソロモン諸島復興支援会より、下記の文面による礼状が学会事務局に届いております。

日本オセアニア学会 御中

この度は、ソロモン諸島沖地震の復興支援にご支援を賜り、
誠にありがとうございます。

約5,400名の方が家を失うなど未曾有の大災害ではありますが、
皆さまのご厚意は、地震・津波の被害を受けた
地域住民の方々のために役立たせて頂きます。

ソロモン諸島との繋がりを持つ青年海外協力隊員等の個人・団体、
同国で活動するNGOが連携し、現地のネットワークを
活かしながら、中長期的に直接支援を行ってまいります。

活動状況は随時下記ホームページにてご案内しておりますので、
ご高覧いただければ幸甚です

今後とも皆さまのご支援を宜しくお願い申し上げます。

※ ソロモン諸島復興支援会ホームページ
http://www.sus-crew.com/

平成19年5月18日
ソロモン諸島 復興支援会
スタッフ一同

学会通信

新入会員(webでは氏名と所属のみ掲載します)

河野正治
筑波大学大学院人文社会科学研究科
黒崎岳大
早稲田大学大学院文学研究科
高橋 玲
大阪市立大学大学院経済学研究科
豊平 豪
大阪大学大学院人間科学研究科
深田淳太郎
一橋大学大学院社会学研究科
前川真裕子
神戸大学大学院総合人間科学研究科

所属変更(webでは氏名と新所属のみ掲載します)

桑原牧子
金城学院大学文学部言語文化学科
後藤 明
南山大学人文学部人類文化学科
清水 展
京都大学東南アジア研究所
山内太郎
北海道大学医学部保健学科

メールアドレス変更(webでは氏名のみ掲載します)

千田俊太郎
深川宏樹
福井栄二郎

寄贈図書


ニューズレターNo.87から

第24回日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

1.期日・時間
  2007年3月20日(火)~ 21日(水・「春分の日」)
  受付は20日12:30から、研究大会は13:30から始めます。
研究大会の終了予定は21日12:00ごろです。
2.大会・総会・懇親会・宿泊場所
  静岡市清水区三保 「三保園(みほえん)ホテル」
  〒424-0901 静岡市清水区三保2108
  TEL: 054-334-0111   FAX: 054-334-9978
  http://www.mihoen.jp/
3.参加費
有給者18,000円、学生10,000円。
大会参加費、懇親会費、宿泊費、21日の昼食を含みます。
懇親会の出席・宿泊を希望されず大会のみ参加される方は、7000円です。
4.交通
会場の「三保園ホテル」に行く方法は以下の通りです。
1. 列車利用の場合(送迎バス利用)。
JR東海道線、東海道新幹線をご利用の方は、静岡駅で下車されて、会場直行の送迎バスをご利用されるのが便利です。
 送迎バスは、静岡駅南口付近に待機しています。南口から送迎バスまで案内いたします。バスの発車予定時刻は、11:30ごろです。
2. 列車利用の場合(公共バス、タクシー利用)
 東海道新幹線をご利用の方は、静岡駅で在来線の東海道線上り(熱海、東京方面)に乗換え、清水駅で下車。西口に出てください。静岡駅から清 水駅まで約10分です。
タクシー利用の場合は、西口前の駅前ロータリーにタクシー乗り場があります。会場まで約20分、料金はおおよそ2500円ほどです。
公共バス利用の場合、駅前ロータリーにある「静鉄バス」乗場9番から発車するバスをご利用ください。  「三保灯台下行き」に乗車、終点の「三保灯台下」で下車してください。会場までは、徒歩約1分。12:10発、12:37着が便利です。  あるいは「三保ランド行き」、「三保車庫前行き」に乗車、「三保本町」で下車してください。会場までの案内があります。徒歩約10分。
3. 東京方面から高速バス利用の場合
 東京駅八重洲南口から「しみずライナー」が出ています。発車時刻は、9:40。終点の「折戸車庫」下車。到着は12:29の予定です。料金 は2800円。バス停前で送迎バスが待機しています。
4. 車利用の場合
東名高速道路・清水ICより、国道150号、三保街道を経由して会場へ。清水ICから約25分です。
* JR東海道新幹線 ひかり 時刻表
 東京方面から 
東京 09:06 静岡 10:08
10:06 11:08
11:06 12:08
 大阪方面から 
新大阪 08:19 静岡 10:05
9:19 11:05
10:19 12:05
* JR東海道線、静岡~清水 所要時間10分
上り列車は約10分間隔で発車
* 清水駅前発 静鉄バス 9番のりば 所要時間約25分
「三保灯台下」行き 10:10、11:10、12:10
「三保ランド」行き10時以降 毎時 00 20 30 40 50
5. 会場周辺地図
会場地図1
会場地図2
6. その他・大会前後のオプション
1.)  大林太良文庫の見学
故大林先生の所蔵本のうち、約25000タイトルを東海大学が譲り受けました。現在、「大林文庫」として整理中ですが、大林先生の書斎に配置されてい た状況にそって配架しています。大林文庫は、大会会場から徒歩2分。見学をご希望の方は、当日、大会事務局までご連絡ください。ご案内いたします。
2.)  東海大学 海洋科学博物館、自然史博物館の見学
会場近くには、東海大学海洋科学博物館、自然史博物館と二つの博物館があります。見学をご希望の方は、事前に大会事務局までご連絡いただくと無料でご 案内いたします。見学日は、20日、21日の両日です。
http://www.umi.muse-tokai.jp/
http://www.sizen.muse-tokai.jp/

 ご不明な点、博物館見学の申し込みは、大会事務局までご連絡ください。

〒424‐8610 
静岡市清水区折戸3‐20‐1
東海大学 海洋学部 海洋文明学科
川崎 一平
TEL:054‐337‐0157  FAX:054‐337‐0216

日本オセアニア学会 第24回研究大会 プログラム
<大会1日目> 2007年3月20日(火)
10:00-11:00 新評議員会
11:00-12:00 新旧合同理事会
12:00-13:00 新旧合同評議員会
12:30 受付開始
<一般発表>
セッション1
13:30 「サモア植民地時代の統治と人種カテゴリー:その2」
山本 真鳥 (法政大)
13:45 「国勢調査における先住民の分類方式―ハワイ、ニュージーランド、オーストラリア―」
青柳 まちこ
14:00 「都市におけるティーンエージ・マオリのアイデンティティに関する試論」
深山 直子(東京都立大)
14:15 「ニューカレドニアにみる社会主義の系譜―何故、カナク社会主義が出現したか」
江戸 淳子 (杏林大)
セッション2
14:30 「パプアニューギニア大学とのマラリア研究プロジェクト」
塚原 高広 (筑波メディカルセンター病院)
14:45 「ソロモン諸島におけるソーシャル・キャピタル評価:社会疫学の効用と限界」
中澤 港 (群馬大)
15:00 「子どもの体格と発育は何を語るのか―ソロモン諸島3集団の事例」
山内 太郎 (東京大)
15:15-30  コーヒーブレイク
セッション3
15:30 「ソロモン諸島ロヴィアナ・ラグーン住民の生活における小珊瑚島の機能」
古澤 拓郎 (東京大)
15:45 「サンゴ礁海域の先史漁撈と漁撈戦略:ボルネオ島東岸の事例から」
小野 林太郎(日本学術振興会)
16:00 「環境をめぐる制度と社会的実践―フィリピンの海域資源管理の事例から」
関 恒樹 (広島大)
セッション4
16:15 「パプアニューギニア、ニューアイルランド島の『混血華人』」
市川 哲(国立民族学博物館)
16:30 「パプアニューギニア・トーライ社会における貝貨の数え方と払い方」
深田 淳太郎 (一橋大)
16:45 「社会変容と家族―パプアニューギニア・アベラム社会の事例から―」
新本 万里子 (広島大)
17:00 「ヤップ離島出身者の在外アソシエーション」
柄木田康之 (宇都宮大)
17:15  コーヒーブレイク
17:30   総 会
19:00  三保園ホテル・懇親会会場

<大会2日目> 2007年3月21日(水)
<一般発表>
セッション5
8:45 「日本統治下パラオ、ガラスマオ村落における鉱山開発の記憶」
飯高伸五 (東京都立大)
9:00 「戦没者遺骨収集と人類学・考古学:パラオの事例」
石村 智 (奈良文化財研究所)
9:15 「オーストラリアのポスト・コロニアル状況とマルティカルチュラル・オリエンタリズム」
前川真裕子 (神戸大)
9:30 「オーストロネシア世界における近年のカヌー文化ルネッサンスについて」
後藤 明 (同志社女子大)
9:45   石川榮吉賞 特別記念講演
10:00    コーヒーブレイク
《フォーラム》 「現代オセアニアにおける政治的混乱と都市暴動」
10:15 「趣旨説明」
石森 大知(日本学術振興会)
「民族主義か多民族共生か-フィジーにおける2006年12月のクーデタの特質について」
丹羽 典生(日本学術振興会)
「『民族紛争』が意味するもの―ガダルカナル危機に関する一考察」
石森 大知(日本学術振興会)
「トンガにおける民主化運動と暴動の背景」
比嘉 夏子(日本学術振興会)
「オセアニア諸国における暴動と中国系住民」
市川 哲(国立民族学博物館)
<コメンテーター: 須藤健一(神戸大)、関根久雄(筑波大)>
12:00 終了
終了後、昼食(大会1日目に注文受付)

第11回評議員選挙報告

第11回評議員選挙について

日本オセアニア学会
第11回評議員選挙管理委員会
委員長 山口 轍
委 員 風間計博
関根久雄
中村純子
山内太郎

日本オセアニア学会第11回評議員選挙の開票が、評議員選出規則に則り、2007年2月12日(月)に東京大学本郷キャンパスにおいて行われました。その結 果、下記の方々が当選されましたので、ご報告致します。





日本オセアニア学会第11回評議員当選者

(得票上位15名:50音順)

秋道智彌氏   遠藤 央氏

大塚柳太郎氏  風間計博氏

片山一道氏   柄木田康之氏

川崎一平氏   菊澤律子氏

窪田幸子氏   白川千尋氏

須藤健一氏   豊田由貴夫氏

橋本和也氏   山内太郎氏

山口 徹氏

新入会員

根岸 洋

日本学術振興会特別研究員DC・東京大学人文社会研究科(考古学)

E-mail: (web版では非掲載です)

メールアドレス変更

山田博之(アドレスはweb版では非掲載です)

訂 正

NEWSLETTER 86号34ページ、2006年度日本オセアニア学会賞選考委員会の委員名が抜けおりましたので、訂正致します。正しくは以下の5名です。

2006年度日本オセアニア学会賞選考委員会

委員長  口蔵幸雄

委 員  稲岡 司

春日直樹

片岡 修

柄木田康之


ニューズレターNo.86から

2006年度日本オセアニア学会賞選考要項について

2006年度日本オセアニア学会賞選考委員会より選考要項について、再度お知らせいたします。募集期間が変更され、11月1日より既に公募を開始していま す。

積極的な応募をお待ちしています。(「注記」を参照)

2006年度日本オセアニア学会賞選考要項

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2005 年1月1日から2006年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2006年11月1日から2007年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にFAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    口蔵幸雄(日本オセアニア学会賞選考委員長)
    〒501-1193 岐阜市柳戸1-1 岐阜大学地域科学部
    FAX: 058-293-3118 
    
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注 記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている作品は、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

2006年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 口蔵幸雄
委 員 稲岡 司
春日直樹

第24回研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第24回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。ご出欠につきましては、学 会ウェブサイトの申し込み用フォームを御利用のうえ、2007年1月19日(金)までにお知らせください。 また、申し込み用フォームのご利用が不 可能な場合には、本ニューズレターに同封の返信用ハガキ(お手数ですが切手をお貼りください)をご利用ください。多数の会員の皆様のご参加をお待ちしておりま す。

日 時:
 2007年3月20日(火) 13:00 ~ 21日(水) 昼ごろの予定
 (新評議員会: 3月20日 10:00~、 新旧合同理事会: 11:00~、
 新旧合同評議員会:12:00~)
大会・総会・懇親会・宿泊会場 :
三保園ホテル
〒424-0901 静岡市清水区三保2108
TEL 0543‐34‐0111 FAX 0543-34‐9978
http://www.mihoen.jp/
参加費:
 有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む)18,000円、無給者(大学院生、学生等) 10,000円の予定。いずれも20日の 宿泊費、懇親会費を含む。

交通の便は、以下の通りです。

1 ) 列車利用の場合
東海道新幹線・静岡駅でJR東海道線乗換え「清水駅」下車 、静鉄バス・三保ランド行き、又は三保車庫前行きで「三保本町」下車(約25分)、徒歩 10分。
  尚、大会当日は、JR静岡駅からホテル会場まで送迎バス(約40分)運行予定です。
2 ) 車利用の場合
東名高速道路・清水I.Cより、国道150号、三保街道経由。約25分。
3 ) 高速バス利用の場合
しみずライナー、東京駅八重洲南口から「折戸車庫」(約2時間50分)。折戸車庫から送迎バス(約10分)。

研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについて、申し込み用フォーム(もしくは返信用ハガキ)にご記入下さい。また、三保園ホテルへの宿泊 をご希望にならない(懇親会にも参加されない)方はその旨をお知らせ下さい。その場合、大会参加費は7,000円を予定しております。発表時間は演題数にもよ りますが、質疑応答を入れて例年20分~25分程度です。

《大会会場・三保のご案内》

 旧清水市にある三保は、風光明媚な地として知られています。会場近くには、自然遊歩道が整備されており富士山の眺めは最高です。また清水は、マグロや駿河 湾でとれた新鮮な魚介類も豊富なところです。例年3月下旬ごろから「桜えび」漁も解禁になります。懇親会では、美味しい新鮮な魚を食べていただけるように手配 しております。

会員の皆様方には、ふるってご参加くださいますようお願い申し上げます。

本研究大会・総会の詳細につきましては、NEWSLETTER次号にてお知らせする予定です。

第24回研究大会・総会事務局:
〒424‐8610 静岡市清水区折戸3‐20‐1
東海大学海洋学部
海洋文明学科
川崎 一平
TEL:0543-37-0157 FAX:0543-37-0216(代)

学会通信

新入会員(web版では氏名と所属のみ掲載)

西谷真希子:首都大学東京 大学院人文科学研究科 社会行動学専攻 社会人類学分野

Junichi Hirose:在パラオ日本国大使館

メールアドレス変更(web版では氏名のみ掲載)

橋本和也

山本真鳥

訂正

第85号に掲載したメールアドレス変更欄のお名前が間違っていました。下記の通り、訂正致します。また、新アドレスも併せてお知らせ致します(web版には 非掲載)。

(正)森本利恵  (誤)森本理恵

寄贈図書


ニューズレターNo.85から

第23回総会の報告

2006年3月20日(月),第23回日本オセアニア学会研究大会会場(ラフォーレ倶楽部・那須)において,日本オセアニア学会総会が実施されました。総会 (議長;遠藤央氏)の議事は以下の通りです。

1.第5回日本オセアニア学会賞
・第5回日本オセアニア学会賞に,桑原牧子氏の著書Tattoo: an anthropology (2005)が選ばれ,懇親会場において表彰式が行われました。(選考理由については,別稿に詳細を掲載しました。)
2.石川榮吉賞の制定について
・日本オセアニア学会創設者である故石川榮吉元会長の名を冠した「石川榮吉賞」の制定が提案され,承認されました。(「石川榮吉賞」規定については, 別稿に詳細を掲載しました。)
3.会計について
・2005年度決算(2005年3月1日~2006年2月28日)が承認されました。
・2006年度予算(2006年3月1日~2007年2月28日)が承認されました。
4.事業について
・2005年度事業報告として,以下の事項が報告されました。
  • People and Culture in Oceania Vol.21の発行
  • NEWSLETTER No.82, 83, 84の発行
  • 第23回研究大会・総会の実施:2006年3月19~20日ラフォーレ倶楽部・那須
  • 研究例会の実施
    • 関東地区:2005年12月3日東京大学(本郷)
    • 関西地区:2006年2月18日コープイン京都
  • 石川榮吉記念シンポジウムの実施:2006年3月19日ラフォーレ倶楽部・那須
  • 日本学術会議等関連の活動
・2006年度事業計画として,以下の事項が承認されました。
  • People and Culture in Oceania Vol.22の発行
  • NEWSLETTER No.85, 86, 87の発行
  • 第24回研究大会・総会の実施
  • 研究例会の実施
  • 第6回日本オセアニア学会賞の公募・選考(学会賞選考日程の変更を含む)
  • 石川榮吉賞の選考
  • 日本学術会議等関連の活動
  • 評議員選挙の実施
  • その他:PCO体裁の見直し

第5回日本オセアニア学会賞報告

第5回日本オセアニア学会賞選考結果報告

2005年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 口蔵幸雄
委員 稲岡 司
春日直樹
片岡 修
柄木田康之

2005年度日本オセアニア学会賞選考委員会は,本学会員からの自薦・他薦による学術刊行物を厳正に審査した結果,以下の刊行物を第5回日本オセアニア学会 賞の候補として理事会に推薦した。

<選考理由>

本書の対象は、タヒチを中心とした太平洋地域における伝統的な入れ墨(tattoo)である。本書は、植民地政府およびキリスト教宣教師による入れ墨の禁止 という歴史的変遷の検討に加え、今日の復活・流行現象について、社会・文化的意味を詳細に考察したものである。また本書は、歴史資料を吟味したうえで、長期現 地調査によって収集した一次資料を詳細に分析した総合的研究である。入れ墨に焦点を当てながらも、太平洋地域における西欧諸国との接触による伝統文化の変容, および現代の伝統文化復興運動を射程に収めて考察した斬新できわめて学術的価値の高い研究と評価できる。

当委員会は、本刊行物を第5回日本オセアニア学会賞に十分値することを全員一致で確認した。

なお、対象となる刊行物および著者について「日本オセアニア学会賞規定」第2条,第3条1項を満たしていることを確認した。

日本オセアニア学会理事会報告

日本オセアニア学会理事会は審議の結果、2005年度日本オセアニア学会賞選考委員会の推薦を受けた桑原牧子氏の作品を第5回日本オセアニア学会賞授賞該当 作品として決定し、日本オセアニア学会評議員会において報告し了承を得た。

「石川榮吉賞」の制定について

第23回総会において、石川榮吉賞が制定されました。石川榮吉賞の規定は以下の通りです。尚、第6条にある「石川榮吉基金」には、石川先生御遺族からのご寄 付(30万円)が含まれています。

石川榮吉賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会は、学会のさらなる発展を目的とし、また学会創設者である故石川榮吉元学会長の功績を記念して「石川榮吉賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究の振興に多大なる寄与を行い、かつ長年にわたり学会の発展に貢献してきた個人。
第4条(選考方法)
選考委員会は全理事が構成する。理事会が候補者を推薦し、評議員会で決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・記念品)
受賞者には賞状および記念品を贈呈する。尚、授賞にかかる費用は石川榮吉基金から充当する。
附則
この規定は平成18年4月1日より施行する。

2006年度日本オセアニア学会賞選考要項について

2006年度日本オセアニア学会賞選考委員会より選考要項が発表されましたので、お知らせいたします。

募集期間が従来とは変更された点にご注意下さい。積極的な応募をお待ちしています。(「注記」を参照のこと。)

2006年度日本オセアニア学会賞選考要項

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2005 年1月1日から2006年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 応募期間は2006年11月1日から2007年1月15日まで(必着)とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にFAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    口蔵幸雄(日本オセアニア学会賞選考委員長)
    〒501-1193岐阜市柳戸1-1岐阜大学地域科学部
    FAX: 058-293-3118
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 1月15日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

<注記>

  1. 選考を円滑に進めるため、すでに刊行されている作品は、募集期間が始まり次第、速やかに、応募して下さるようお願いします。
  2. 募集の対象は、単行本だけでなく雑誌に掲載された論文も該当します。
  3. オセアニア地域に関わるあらゆる研究分野の作品が対象となっています。

2006年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 口蔵幸雄
委員 稲岡 司
春日直樹
片岡 修
柄木田康之

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

学会通信

新入会員(氏名と所属のみ掲載します)

所属変更(氏名と新所属のみ掲載します)

メールアドレス変更(web版では氏名のみ掲載します)

寄贈図書


ニューズレターNo.84から

観光における伝統文化の真正性
―ヴァヌアツ・アネイチュム島の事例から―
福井 栄二郎(神戸大学大学院総合人間科学研究科)

(※)web版では本文は掲載しません。

現代オーストラリアにおける先住民の環境知識をめぐる動向
川崎 和也(広島大学大学院社会科学研究科)

(※)web版では本文は掲載しません。

第23回日本オセアニア学会・総会のお知らせ

前号のニューズレターでもお伝えいたしましたが、日本オセアニア学会第23回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。

1. 期日・時間
日時: 2006年3月19日(日曜日)13:00~20日(月曜日)12:20の予定
(理事会:3月19日10:00~11:00、評議員会:3月19日11:00~12:00を予定)
受付は19日12:00から、研究大会は13:00から始める予定です。
なお、大会第一日目には「石川栄吉記念シンポジウム」を開催する予定です。また大会第二日目にミニ・シンポジウム「独立30年後のパプアニューギニ ア」の開催を予定しています。
2. 大会・総会会場
ラフォーレ倶楽部・那須
〒325-0301 栃木県那須郡那須町湯本206-959
TEL: 0287-76-1811
FAX: 0287-76-1804
http://www.laforet.co.jp/lfhotels/nas/index.html
3. 交通
会場までの交通の便は以下の通りです。
1) 東北新幹線・那須塩原駅下車、送迎バス約40分またはタクシー(約30分)
2) 東北自動車道・那須I.C.より那須街道(県道17号)経由約10km(約15分)
3) 高速バス「もみじ号」 新宿駅または東京駅から「一軒茶屋」(約3時間30分)
(一軒茶屋より約700m。連絡によりホテルからの送迎あり)
バスをご利用の方は、もみじ1号(新宿駅南口発8:20/東京駅八重洲南口発9:00 → 一軒茶屋11:59)が便利です。
もみじ号ホームページ http://www.jrbuskanto.co.jp/mn/cjj0010431_1.html
4. 那須塩原駅からホテルまでの交通
那須塩原駅からホテルまでは、宿泊施設であるラフォーレ倶楽部・那須からの送迎バスがあります(西口ロータリーより出発)。時刻表は以下の通りです。
那須塩原発  11:50 14:30 16:10
ラフォーレ発  9:50 13:30 14:50
那須塩原発11:50の便とラフォーレ発13:30の便は大会用に増発される予定です。第一日目、第二日目とも、昼食はホテルで利用できます (1,160円より)。なお、バスを利用する方は、第一日目にホテルで昼食をとると最初の発表には間に合わない可能性があります。新幹線内、バス内で食事 をとるなどで、対処してください。
また、往路11:50/復路13:30の送迎バスをご利用される方は、以下の新幹線が便利です。
往路:なすの253号(東京発9:40 → 那須塩原着10:51)
Maxやまびこ207号(東京発10:20 → 那須塩原着11:35)
復路:なすの274号(那須塩原発14:28 → 東京着15:44)
5. 大会プログラム(変更の可能性があります)
<3月19日(日)>
10:00~11:00 理事会
11:00~12:00 評議員会
12:00 受付開始
一般発表(変更の可能性あり)
13:00 ポリネシア・トンガ人の足部形態の特徴
権田絵里(京都大学霊長類研究所)
13:20 ミトコンドリアDNA分析から推定される卵形赤血球症の起源
塚原高広(東京女子医科大学)
13:40 借入金政策をめぐる抗争:マーシャル諸島ロンゲラップ被曝社会の事例から
中原聖乃(中京大学)
14:00 ミクロネシア・パラオ共和国の葬送儀礼における首長位称号の再確認
飯高伸五(東京都立大学大学院)
14:20 ポーンペイ島の先史時代に於ける首長による支配背景の理解に向けて
片岡修 (関西外国語大学短期大学部)
14:40 ティー・ブレイク
15:00 ジャパニーズの境界―ハワイにおける名乗りと名指しの実践とその根拠
森仁志(東京大学大学院)
15:20 サモア植民地時代の統治と人種カテゴリー その1
山本真鳥(法政大学)
15:40 サモア・ドレスコード狂想曲―「伝統」の復興か、経済の政策か―
倉光ミナ子(お茶の水女子大)
16:00 島嶼地域における農業従事者による共同組合:トンガ王国の事例から
森本利恵(総合研究大学院大学)
16:20 「芸術家」のうまれるとき―フィジー、オセアニア・センターの現代芸術活動を事例に―
渡辺文 (京都大学大学院)
16:40 ティー・ブレイク
17:00 石川栄吉シンポジウム
「日本人のオセアニア観―石川説を基点として―」
オーガナイザー:吉岡政徳
発表予定者:棚橋訓、柄木田康之、白川千尋、豊田由貴夫
<3月20日(月)>
09:00 総会
一般発表
10:00 評価に関わる文法表現と意味―メラネシアを中心とした類型研究
大角翠(東京女子大学)
10:20 パプアニューギニア高地辺縁部における土地保有形態―ガルフ州、テワーダを例として―
田所聖志(東京都立大学大学院)
10:40 ニューギニア高地における貨幣経済の受容と贈与交換
深川宏樹(筑波大学大学院)
11:00 ニューカレドニアの独立運動に見るカナク闘争の戦略
江戸淳子(杏林大学)
11:20 ミニ・シンポジウム
「独立30年後のパプアニューギニア」
オーガナイザー:豊田由貴夫
12:20 解散
6.研究大会事務局
立教大学文学部 豊田由貴夫研究室
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
TEL: 03-3985-2581 FAX: 03-3985-4790(学科共通)

学会通信

新入会員(氏名と所属のみ掲載します)

所属変更(氏名と新所属のみ掲載します)

メールアドレス変更(web版では氏名のみ掲載します)

寄贈図書


ニューズレターNo.83から

品評会、国連デー、ベラウ・フェアー
―ミクロネシア・パラオにおける文化イベントの系譜―
飯高 伸五(東京都立大学大学院社会科学研究科)

(※)web版では本文は掲載しません。

第23回日本オセアニア学会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第23回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。ご出欠につきましては、学 会webサイトの申し込み用フォームを御利用のうえ、2006年1月13日(金)までにお知らせください。 また、申し込み用フォームのご利用が不 可能な場合には、本ニューズレターに同封の返信用ハガキ(お手数ですが切手をお貼りください)をご利用ください。多数の会員の皆様のご参加をお待ちしておりま す。

なお、今回は石川記念シンポジウムを予定しております。

日時:
2006年3月19日(日曜日)13:00~20日(月曜日)昼頃の予定
(理事会:3月19日10:00~11:00、評議員会:3月19日11:00~12:00を予定)
大会・総会・理事会・評議員会会場:
ラフォーレ倶楽部・那須
TEL: 0287-76-1811  FAX: 0287-76-1804
http://www.laforet.co.jp/lfhotels/nas/index.html
参加費:
有給者(定年等の退職者及び学術振興会特別研究員等を含む)20,000円
無給者(大学院生、学生等)13,000円(いずれも19日の宿泊費・懇親会費を含む)
交通の便は以下の通りです。
1)東北新幹線・那須塩原駅下車、送迎バス約40分またはタクシー(約30分)
2)東北自動車道・那須I.C.より那須街道(県道17号)経由約10km(約15分)
3)高速バス「もみじ号」 新宿駅または東京駅から「一軒茶屋」(約3時間30分)
(一軒茶屋より約700m。ホテルからの送迎あり)

研究大会に参加される方は、出張依頼書を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについて、申し込み用フォーム(もしくは返信用ハガキ)にご記入下 さい。

また、ラフォーレ倶楽部・那須への宿泊をご希望にならない(懇親会にも参加されない)方はその旨をお知らせ下さい。その場合、大会参加費は7,000円を予 定しております。

発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて例年20分程度です。本研究大会・総会の詳細につきましては、NEWSLETTER次号にてお知らせする 予定です。

研究大会事務局:
立教大学文学部 豊田由貴夫研究室
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
TEL: 03-3985-2477  FAX: 03-3985-4790(学科共通)

2005年度日本オセアニア学会賞選考要項について

2005年度日本オセアニア学会賞選考委員会より選考要項が発表されましたので、お知らせいたします。

2005年度日本オセアニア学会賞選考要項

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書または論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書または論文は1編とし、2004 年1月1日から2005年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書または論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定 する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書または論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。送付 に際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、および被推薦者の選考対象と なる著書または論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイト ル、編者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書または論文を選考委員長に送付することが望ましいが、送付されていない場合でも受理する。な お、推薦理由が必要であると判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 締切りは、2006年1月末日必着とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書または論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅配便で送付することし、他薦の場合は郵便以外にFAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    口蔵幸雄(日本オセアニア学会賞選考委員長)
    〒501-1193 岐阜市柳戸1-1 岐阜大学地域科学部
    FAX: 058-293-3118   E-mail:  kuchiku@cc.gifu-u.ac.jp
  7. 選考委員長は、自薦および他薦の書類を受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 1月31日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

2005年度日本オセアニア学会賞選考委員会

委員長
口蔵幸雄
委 員
稲岡 司
春日直樹
片岡 修
柄木田康之

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選出方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が受賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

学会通信

関西地区例会のお知らせ

平成17年度関西地区例会を以下のように開催致します。奮ってご参加ください。

テーマ
「オーストラリア・夢の大地」
日時:
平成18年2月18日(土)14:00~17:00
場所:
コープイン京都(京都市中京区柳馬場蛸薬師上ル)
記念講演:
小山修三(国立民族学博物館名誉教授)
コメンテーター: 瀬口眞司(滋賀県文化財保護協会)
研究発表:
南本有紀(岐阜県立美術館)
コメンテーター: 窪田幸子(広島大学)
問い合わせ先(担当幹事)
石村 智 日本学術振興会特別研究員
京都大学大学院 理学研究科 動物学教室 自然人類学研究室
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
Tel & Fax: 075-753-4083

新入会員(※web版では氏名,所属のみ掲載)

櫟本崇恵
天理大学 国際文化学部 英米語コース

所属変更(※氏名と新所属のみ掲載)

安高雄治
関西学院大学総合政策学部
梅崎昌裕
東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 人類生態研究室
大塚柳太郎
独立行政法人 国立環境研究所
白川千尋
国立民族学博物館 先端人類学研究部
城田 愛
大分県立芸術文化短期大学 国際文化学科
夏原和美
福岡県立大学 看護学部看護学科 地域・国際看護学

寄贈図書


ニューズレターNo.82から

第22回総会の報告

2005年3月21日(月),第22回日本オセアニア学会研究大会会場(伊達市歴史の杜カルチャーセンターあけぼの)において,日本オセアニア学会総会が実 施されました。総会(議長:河辺俊雄氏)の議事は以下の通りです。

1.第4回日本オセアニア学会賞
 第4回日本オセアニア学会賞に,菊澤律子氏の論文 “Did Proto-Oceanians Cultivate Cyrtosperma Taro?”(People and Culture in Oceania, vol. 19, 2003) が選ばれ,懇親会場(洞爺サンパレス)にて表彰式が行われました。
2.新役員について
・下記の新会長が承認されました。
 会長  片山一道氏
・新評議員の互選により理事が選出され,その役割分担が下記のように決まりました。
庶務 風間計博氏
会計 関根久雄氏
編集(PCO) 棚橋訓氏・菊澤律子氏
編集(NL) 窪田幸子氏
情報化 中澤港氏
・下記の新役員が承認されました。
会計監査 河辺俊雄氏・斎藤尚文氏
幹事(渉外) 山本真鳥氏
幹事(NL) 白川千尋氏
幹事(研究会) 小谷真吾氏(関東地区)・石村 智氏(関西地区)
3.会則の変更
・下記の会則変更が提案され,承認されました。(下線部,変更箇所)
一,事務局の変更
旧 第 2 条 本会は事務局を神戸大学国際文化学部文化人類学研究室に置く。
新 第 2 条 本会は事務局を筑波大学大学院人文社会科学研究科歴史・人類学専攻に置く。
二, 会計年度の変更
旧 第22条 本会の会計年度は、毎年1月1日に始まり同年12月31日に終る。
新 第22条 本会の会計年度は、毎年3月1日に始まり翌年2月末日に終る。
付則 本会則の改正は、平成17年4月1日より施行する。平成16年度の会計年度は平成16年1月1日から平成17年2月28日とす る。
4.会計について
・2004年度決算(2004年1月1日~2005年2月28日)が承認されました。
・2005年度予算(2005年3月1日~2006年2月28日)が承認されました。
5.事業について
・2004年度事業報告として,以下の事項が報告されました。
・People and Culture in Oceania Vol.20の編集
・ニューズレター No. 79, 80, 81の発行
・第22回研究大会・総会の実施
・研究例会の実施
  • 関東地区(2004年11月27日(土)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
  • 関西地区(2005年3月4日(金)、京都文教大学)
・評議員選挙の実施
・日本学術会議等関連の活動
  • 会員候補者の情報提供
  • 学振審査員の情報提供(5名)
  • 2007年太平洋学術会議(日本学術会議との共催)
・2005年度事業計画として,以下の事項が承認されました。
・People and Culture in Oceania Vol.21の発行
・ニューズレター No.82, 83, 84の発行
・第23回研究大会・総会の実施
・研究例会の実施
・第5回日本オセアニア学会賞について
・日本学術会議等関係の活動(科研審査員の情報提供など)
・その他:ニューズレターの見直し,和文誌創刊についての検討,国立情報学研究所電子ジャーナル契約の見直し,メーリングリスト設置場所の見直し

学会通信

メールアドレス変更(※web版では氏名のみ掲載します)
青柳まちこ
井上昭洋
川村千鶴子
倉光ミナ子
所属変更(※新しい所属のみ掲載します)
伊藤泰信:北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科
小谷真吾:千葉大学文学部行動科学科
千住一:立教大学観光学部
田口理恵:東海大学海洋学部海洋文明学科
寄贈図書
・岡村徹2005『はじめてのピジン語-パプアニュギニアのことば』三修社(著者より寄贈)
・The Asia Pacific Journal of Anthropology, Vol. 6, No. 1 (Australian National University より寄贈)
・『族』第36号・第37号(つくば人類学研究グループ事務局より寄贈)
・『南山考人』第33号(南山考古文化人類学研究会事務局より寄贈)

寄 付

 去る3月27日に御逝去された石川榮吉先生の奥様,石川民惠様より,お香典のなかから30万円の貴重な御寄付を賜りました。石川先生の御逝去を悼みますと ともに、奥様の御厚意に対し,この場を借りて深謝致します。なお,御寄付の使途については,先生の御遺志に沿うべく,現在理事会において案を練っております。

短 信

 個人情報に関する取り扱いが厳しくなってきた昨今の状況を踏まえて,当日本オセアニア学会NEWSLETTERに掲載する会員個人情報に関して,理事会に おいて下記のように決定しましたのでお知らせ致します。

1) 新入会員について: 氏名・所属・専門分野を掲載する

2) 所属変更について: 氏名・所属を掲載する

3) 住所等変更について: 掲載せず

 メールアドレスに関しては,1)多くの方がすでにHP等で公開なさっていること,2)学会の規模からして,公開してもさほど大きな問題にはならないと予想 されることから原則として,新入会員・所属変更等の紹介において掲載することに致します。ご了解下さい。

第23回研究大会・総会のお知らせ

第23回研究大会および総会は,2006年3月19日(日)~20日(月),ラフォーレ倶楽部・那須(http://www.laforet.co.jp/lfhotels/nas/index.html) での開催を予定しています。詳細および申し込み方法は,次号のNEWSLETTERにてお知らせいたします。


ニューズレターNo.81から

トンガのカヴァ飲みの会「カラプ」
-トンガ王国エウア島の事例から-
森本 利恵(総合研究大学院大学文化科学研究科)

本文はwebには非掲載です。

第22回研究大会・総会のお知らせ

1.期日・時間

2005年3月20日(日)~21日(月)

受付は20日12:00から、研究大会は13:10から始めます。研究大会の終了予定は21日13:00です。なお、18~19日に同じ場所で開催される生 態人類学会から続けて参加される方、前日から伊達市にいらっしゃる方には伊達市内のシティホテルを1泊6,000円程度で手配いたします。部屋数に限りがござ いますので、お早めに大会事務局(須田一弘)までご連絡ください。大会は伊達市教育委員会との共催で行い、運営は市民ボランティアの皆様にお手伝いいただくこ とになりました。

2.大会・総会会場

伊達市歴史の杜カルチャーセンターあけぼの
〒052-0012 北海道伊達市松ヶ枝町34番地1
TEL: 0142-22-1515 FAX: 0142-22-1155
http://www.city.date.hokkaido.jp/

3.懇親会・宿泊場所

洞爺サンパレス
〒049-5731 北海道有珠郡壮瞥町字洞爺湖温泉7-1
TEL: 0142-75-1111 FAX: 0142-75-2875
http://www.wise-p.co.jp/sunpalace/

4.参加費

前回のご案内では有給者19,000円、無給者12,000円とお知らせしましたが、伊達市教育委員会との共催という形をとることにより、会場使用料が無料 となりましたため、各区分とも1,000円ずつ値下げし、有給者18,000円、無給者(院生・学生)11,000円に変更させていただきます。なお、宿泊費 を除いた大会参加費の領収書が必要な方は、前もって大会事務局(須田一弘)までご連絡ください。なお、事前の連絡なくキャンセルされた場合は、宿泊先より請求 されたキャンセル料を請求させていただきます。

5.交通

会場の「伊達市歴史の杜カルチャーセンターあけぼの」は、伊達紋別駅から徒歩およそ15分の位置(8.会場周辺略図参照)にあります。タクシーは 700~800円で利用できますが、路線バスは運行しておりません。伊達紋別駅に行く方法は、以下の通りです。

  1. 新千歳空港駅からJR札幌行き快速で隣の南千歳駅まで行き、そこで札幌発の函館行き特急(北斗またはスーパー北斗)で伊達紋別駅下車、タクシーで「あ けぼの」へ(所要時間約1時間40分)。新千歳空港駅から伊達紋別駅までSキップで往復4,700円。
  2. 札幌駅から函館行きのJR特急(北斗またはスーパー北斗)で伊達紋別駅下車、タクシーで「あけぼの」へ(所要時間約1時間50分)。札幌駅から伊達紋 別駅までSキップで5,920円。
  3. 函館駅から札幌行きのJR特急(北斗またはスーパー北斗)で伊達紋別駅下車、タクシーで「あけぼの」へ(所要時間約2時間)。Sキップの設定はありま せん。

上の1と2の場合の時刻表が以下の6.に、3の場合の時刻表が7.に載せてあります。

6.札幌駅または新千歳空港駅 → 伊達紋別駅

*往路
札幌(北斗8号、09:19)→伊達紋別(10:53)
新千歳空港(快速エアポート95号、09:34)→南千歳(09:37)
南千歳(北斗8号、09:47)→伊達紋別(10:53)
札幌(スーパー北斗12号、12:22)→伊達紋別(13:50)
新千歳空港(快速エアポート125号、12:34)→南千歳(12:37)
南千歳(スーパー北斗12号、12:48)→伊達紋別(13:50)
#新千歳空港駅からのウラワザ
新千歳空港(11:04)→南千歳(11:07)
南千歳(スーパー北斗10号、11:19)→洞爺(12:29)
洞爺(スーパー北斗7号、12:37)→伊達紋別(12:47)

スーパー北斗10号は伊達紋別駅に停まらないので、一駅先の洞爺駅で下車し、洞爺駅で函館から札幌へ向かうスーパー北斗7号に乗り換えて伊達紋別駅へ。料金 がどうなるかは分かりません。

*復路
伊達紋別(スーパー北斗9号、13:59)→札幌(15:31)
                  →南千歳(15:03)
南千歳(快速エアポート144号、15:13)→新千歳空港(15:16)
伊達紋別(北斗11号、15:23)→札幌(16:58)
              →南千歳(16:29)
南千歳(快速エアポート160号、16:43)→新千歳空港(16:46)

7.函館 → 伊達紋別

*往路
函館(北斗5号、09:30)→伊達紋別(11:25)
函館(スーパー北斗7号、11:00)→伊達紋別(12:47)
*復路
伊達紋別(スーパー北斗12号、13:50)→函館(15:29)
伊達紋別(北斗14号、14:51)→函館(16:48)

8.会場周辺略図

会場地図

9.大会プログラム

(※)2005年3月4日,事務局からの連絡により修正しました。一日目の時刻が変わっていますのでご 注意ください。

3月20日(日)
10:00~11:00 新評議員会
11:00~12:00 新旧合同理事会
12:00~13:00 新旧合同評議員会
12:00 受付開始
一般発表
<座長:高坂宏一(杏林大学)>
  • 13:10 遺伝的背景と近代化の程度が重なるソロモン諸島ウェスタン州3地域の尿検査からみた健康状態
    中澤港(群馬大学)
  • 13:30 Band 3 遺伝子変異による卵形赤血球症の起源とマラリアによる選択
    塚原高広(東京女子医科大学)
  • 13:50 ニューカレドニアの解放闘争にみる他者との接合
    江戸淳子(杏林大学)
  • 14:10 伝統的首長の内地観光と新村落の形成-日本統治下パラオの東海岸を事例として
    飯高伸五(東京都立大学)
<座長:片岡修(関西外国語大学)>
  • 14:30 玄武岩のアトリエ-米領サモア・ツツイラ島における石斧制作址の分析
    石村智(京都大学)、David Addison(American Samoa Power Authority)
  • 14:50 スラウェシ北部タラウド諸島における考古学的予備調査
    小野林太郎(国立民族学博物館)
  • 15:10 ミクロネシア・トビ島における考古学的予備調査
    印東道子(国立民族学博物館)、小野林太郎
  • 15:30 造られた州島-ツバル諸島フナフチ環礁のジオアーケオロジー
    山口徹(慶応義塾大学)
15:50 コーヒーブレイク
<座長:窪田幸子(広島大学)>
  • 16:00 マオリ文化と観光の相関性
    宮里孝生(愛知県立大学)
  • 16:20 サモア都市部におけるテーラリング活動の発展とその背景
    倉光ミナ子(お茶の水女子大)
  • 16:40 トンガ王国エウア島民の教会献金の捻出
    森本利恵(総合研究大学院大学)
  • 17:00 豚の価値が体現されてゆく過程-トンガ王国ファトム村の事例にみる家畜豚の儀礼的利用とその評価
    比嘉夏子(京都大学)
  • 17:20 オーストラリア・アボリジニのTEK研究に向けて
    川崎和也(広島大学)
17:50 貸し切りバスにて宿泊先(洞爺サンパレス)へ移動
19:00~ 懇親会
3月21日(月)
09:00 貸し切りバスにて大会・総会会場へ移動
09:30 総会
一般発表
<座長:菊澤律子(東京外国語大学)>
  • 10:30 ツツバ語の所有表現
    内藤真帆(京都大学)
  • 10:50 ドム語の「見る」と「聞く」
    千田俊太郎(東京大学)
  • 11:10 フィジーにおける二つの移民コミュニティ-バナバ人(ランビ島)とツバル人(キオア島)の移住経緯に関する比較考察
    小林誠(東京都立大学)
  • 11:30 フィジーにおける土地制度とインド系移民社会
    村田晶子(総合研究大学院大学)
11:50 コーヒーブレイク
<座長:河辺俊雄(高崎経済大学)>
  • 12:00 河川における集団魚毒漁の動員と編成をめぐる社会関係-パプアニューギニア・テワーダを例として
    田所聖志(東京都立大学)
  • 12:20 「私たちのデザイン」の生成-パプアニューギニア・アベラム社会におけるビルムの事例から
    新本万里子(広島大学)
  • 12:40 女をめぐる争い2件-パプアニューギニア東セピック州クォマ族
    紙村徹(神戸市立看護大学)
13:00 解散

10.第22回研究大会・総会事務局(問い合わせ先)

〒062-8605 札幌市豊平区旭町4丁目1-40
北海学園大学人文学部
須田 一弘
TEL: 011-841-1161(内線2578) FAX: 011-824-7729

第10回評議員選挙報告

第10回評議員選挙について
日本オセアニア学会

第10回評議員選挙管理委員会
委員長
梅崎昌裕
委員
風間計博
柄木田康之
菊澤律子
関根久雄

日本オセアニア学会第10回評議員選挙の開票が、評議員選出規則にのっとり、2月12日に東京医科歯科大学において行われました。その結果、下記の方々が当 選されましたので、ご報告いたします。

記

日本オセアニア学会第10期評議員当選者

(得票数上位15名:五十音順)

印東道子氏   遠藤 央氏
風間計博氏   春日直樹氏
片山一道氏   菊澤律子氏
窪田幸子氏   熊谷圭知氏
栗田博之氏   関根久雄氏
棚橋 訓氏   豊田由貴夫氏
中澤 港氏   山本真鳥氏
吉岡政徳氏

学会通信

新入会員

※web版では所属と領域のみ掲載します。

川崎和也 KAWASAKI, Kazuya
〒739-8521 広島県東広島市鏡山1-7-1
広島大学大学院社会科学研究科
文化人類学/オセアニア全般
古賀まみ奈 KOGA, Mamina
〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1
東京大学大学院総合文化研究科
文化人類学/ポリネシア
小林 誠 KOBAYASHI, Makoto
〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1
東京都立大学大学院
社会人類学/オセアニア全般
立山博邦 TATEYAMA , Hirokuni
6303 N.W. Marine Drive, Vancouver, B.C. V6T 1Z1, Canada
Department of Anthropology and Sociology
University of British Colombia
文化人類学/ポリネシア
脇坂美和子 WAKISAKA, Miwako
〒562-8558 大阪府箕面市粟生間谷東8-1-1
大阪外国語大学外国語学部
言語学/オセアニア全般

住所変更(下線があるものは下線部のみ変更)

※web版では氏名のみ掲載します。

所属変更

※新しい所属のみ掲載します。

萩原 潤
〒981-3271 宮城県黒川郡大和町学苑1
宮城大学看護学部
山口 徹
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
慶應義塾大学文学部民族学考古学研究室

寄贈図書


ニューズレターNo.80から

モラトリアム後のヴァヌアツ考古学
野嶋 洋子(ハワイ大学人類学部大学院)

本文はwebには非掲載です。

ソロモン諸島ロヴィアナの開発生態学
-コモンズと移動耕作・現金獲得活動の分析から-
古澤 拓郎(東京大学大学院医学系研究科人類生態学教室)

本文はwebには非掲載です。

2004年度日本オセアニア学会賞選考要項について

2004年度日本オセアニア学会賞選考委員会より選考要項が発表されましたので、お知らせいたします。

2004年度日本オセアニア学会賞選考要項

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書又は論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書又は論文は1編とし、2003年1 月1日から2004年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書又は論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書又は論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。送付に 際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、及び被推薦者の選考対象とな る著者又は論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編 者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書又は論文を選考委員長に送付してほしいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由を必要 と判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 締切は、2005年1月末日必着とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書又は論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅急便で送付することとし、他薦の場合は郵便以外にFAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    須藤健一(日本オセアニア学会賞選考委員長)
    〒657-8501 神戸市灘区鶴甲1-2-1 神戸大学国際文化学部
  7. 選考委員長は、自薦及び他薦の書類などを受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 1月31日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。

2004年度日本オセアニア学会賞選考委員会

委員長
須藤健一
委員
印東道子
遠藤 央
河辺俊雄
多賀谷昭

日本オセアニア学会賞規定

第1条(目的)
日本オセアニア学会はオセアニア地域における人間、文化、社会、環境などの研究の振興を目的とし、「日本オセアニア学会賞」を制定する。
第2条(資格)
日本オセアニア学会員であること。
第3条(対象)
オセアニア地域研究に関し、前年度及び前々年度において最も優秀な著書又は論文を公にした個人。但し、刊行時において原則として満40歳未満の者とす る。
2 賞の授与は各年度1名とする。
第4条(選考方法)
賞の選考は理事会が委嘱した5名の日本オセアニア学会賞選考委員が行う。
2 以上の選考結果に基づき理事会が授賞者を決定する。
第5条(賞の授与)
賞の授与は日本オセアニア学会総会で行う。
第6条(賞状・報奨金)
受賞者には賞状ならびに日本オセアニア交流協会(学校法人園田学園)基金より副賞を贈呈する。
附則
この規定は平成13年4月1日より施行する。

学会通信

新入会員

※web版では所属と領域のみ掲載します。

東 賢太郎 AZUMA, Kentaro
〒464-8601 名古屋市千種区不老町
名古屋大学大学院国際開発研究科
文化人類学/フィリピン
福山祥子 FUKUYAMA, Shoko
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科人類生態学教室
人類生態学/オセアニア全般
村田晶子 MURATA, Akiko
〒565-8511 吹田市千里万博公園10-1
総合研究大学院大学文化科学研究科
社会人類学/メラネシア

住所変更(下線があるものは下線部のみ変更)

※web版では氏名のみ掲載します。

所属変更

※新しい所属のみ掲載します。

小野林太郎
〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1
国立民族学博物館
行木 敬
〒611-0041 京都府宇治市槇島町千足80
京都文教大学
深川宏樹
〒305-8571 茨城県つくば市天王台1-1
筑波大学人文社会科学研究科修士課程

寄贈図書

第22回研究大会・総会のご案内

第22回研究大会・総会のご案内ページができまし た。たいていのブラウザであれば,フォームから申し込みができますので,ご利用ください。


ニューズレターNo.79から

タタウの交換とその研究のあり方について
桑原 牧子(ロンドン大学ゴールドスミス校人類学部)

本文はwebには非掲載です。

第21回総会の報告

2004年3月22日,日本オセアニア学会第21回研究大会会場(嬉野温泉和多屋別荘)において,日本オセアニア学会総会が開催されました。総会(議長:江 戸淳子氏)の議事は以下の通りです。

1.第3回日本オセアニア学会賞
第3回日本オセアニア学会賞に,風間計博氏の著書『窮乏の民族誌-中部太平洋・キリバス南部環礁の社会生活』(大学教育出版,2003年),および田 口理恵氏の著書『ものづくりの人類学-インドネシア・スンバ島の布織る村の生活誌』(風響社,2002年)が選ばれ,授賞式が行われました。
2.会計について
・2003年度決算および2004年度予算が承認されました(詳細は省略します)。
3.事業について
・2003年度事業報告として以下の事項が報告されました。
  • People and Culture in Oceania Vol. 19の発行。
  • ニューズレター No. 76,77,78の発行。
  • ニューズレター No. 76 別冊「日本オセアニア学会会員名簿」の作成,配布。
  • 第21回研究大会と第21回総会の実施。
  • 関東地区研究例会の実施(2004年1月24日、東京医科歯科大学)
    • 発表者:飯高伸五(東京都立大学大学院)「植民地経験と村落景観の創造-パラオ共和国オギワル州のギンザオドリ」
    • 福山祥子(東京大学大学院)「トンガ王国コロバイ村からの海外移住-この20年間に村でおこった変化」
    • コメント:青柳真智子(茨城キリスト教大学)、栗田博之(東京外国語大学)
  • People and Culture in Oceania Vol. 17以降の電子化(国立情報学研究所電子図書館サービス)。
・2004年事業計画として以下の事項が承認されました。
  • People and Culture in Oceania Vol. 20の発行。
  • ニューズレター No. 79,80,81の発行。
  • 第22回研究大会・総会の実施。
  • 研究例会の実施。
  • 評議員選挙の実施。
  • 和文誌刊行の検討。

学会通信

新入会員

※web版では所属と領域のみ掲載します。

城田 愛 SHIROTA, Chika
〒565-8511 吹田市千里万博公園10-1
国立民族学博物館外来研究員・日本学術振興会特別研究員
ポリネシア・その他/文化人類学
持田貴雄 MOCHIDA, Takao
〒300-3257 茨城県つくば市天王台1-1-1
筑波大学大学院地域研究研究科
オセアニア全般/その他

住所変更

※web版では氏名のみ掲載します。

所属変更

※新しい所属のみ掲載します。

諏訪淳一郎
〒036-8560 青森県弘前市文京町1
弘前大学留学生センター
関根久雄
〒305-8571 茨城県つくば市天王台1-1-1
筑波大学大学院人文社会科学研究科国際政治経済学専攻
中澤 港
〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22
群馬大学大学院医学系研究科社会環境医療学講座生態情報学分野(公衆衛生)

寄贈図書

第22回研究大会・総会/2004年度関東地区研究例会のお知らせ

第22回研究大会および総会は、2005年3月20日~21日、「だて歴史の杜カルチャーセンター」(北海道伊達市)と洞爺湖温泉で開催を予定しています。 詳細および申し込み方法はNEWSLETTER次号に掲載いたします。

2004年度関東地区研究例会は、2004年11月27日(土)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で開催を計画しています。発表題目は未定で すが、発表者はDr. Robin Hemley(英文学・インディアナ大学)と、Dr. Lawrence A. Reid(言語学・ハワイ大学名誉教授)の予定です。詳細は別途お知らせいたします。


ニューズレターNo.78から

地名が物語る政治性
-フィリピン・ミンダナオ島南コタバト州開拓村における一事例-
鈴木 伸隆(筑波大学歴史・人類学系)

本文はwebには非掲載です。

第21回研究大会・総会のお知らせ

1.期日・時間
  2004年3月22日(月)~23日(火)
  受付は22日12:30から、研究大会は13:30から開始します。研究大会の終了予定は23日12:00で、昼食(参加費に含む)をとってから 解散します。
2.大会・総会・懇親会・宿泊場所
  佐賀県嬉野温泉「和多屋別荘」
  〒843-0301 佐賀県藤津郡嬉野町大字下宿乙738
  TEL: 0954-42-0210 FAX: 0954-42-0108
  http://www.wataya.co.jp
3.参加費
  有給者20,000円、学生12,000円で、22日の懇親会費・宿泊費と23日の昼食費込みです。
4.交通
会場の「和多屋別荘」は、嬉野温泉の東南部(7.会場周辺案内図参照)にあります。「和多屋別荘」へは以下三つの交通手段が便利です:
  1. 新幹線か飛行機で福岡に来て(JR博多駅か福岡空港)、JR「博多駅」から列車に乗り「武雄温泉駅」で下車し、「嬉野温泉行き」のバスに乗る (会場周辺案内図の「西肥バスセンター」発着)。→時刻表は5.を参照してください。
  2. 上と同様に福岡に来て、JR「博多駅」の北側3階「交通センター」からa)「嬉野温泉行き」(祐徳バス、会場周辺案内図の「祐徳バスセン ター」発着)、あるいはb)「長崎行き」(九州急行バス、同発着)のバスに乗り「嬉野インター」(希に「嬉野温泉」まで行くバスあり)で降りて、 タクシーで5分。→時刻表は6.を参照してください。
  3. 長崎空港に来て、旅館のバスに乗る(ただし7人のみ乗車可)。→旅館のバスに乗りたい方は早めにメールで大会事務局までご連絡ください。
※値段は、1.の場合、JR特急料金+乗車券込みの割引切符があるようですが、2.よりはやや高そうです。なお、2.は片道1,850円、往復 3,300~3,400円。
5.JR博多→武雄温泉→嬉野温泉(会場周辺案内図「JR西肥バスセンター」発着)
 *往路 博多(みどり7号、10:22)→武雄温泉(11:29)
                   武雄温泉(11:45)→嬉野温泉(12:15)
     博多(みどり9号、11:22)→武雄温泉(12:29)
                   武雄温泉(12:45)→嬉野温泉(13:15)
  以下、博多発は1時間ごと、武雄温泉駅からのバスは10分前後の待ち合わせで連絡。
 *復路 嬉野温泉(11:55)→武雄温泉(12:25)
               武雄温泉(みどり14号、13:00)→博多(14:00)
     嬉野温泉(13:15)→武雄温泉(13:45)
               武雄温泉(みどり16号、13:55)→博多(15:00)
  以下、列車はほぼ1時間毎、嬉野温泉からのバスはそれに連絡して運行。
6.JR博多駅北側3階「交通センター」→嬉野温泉(会場周辺案内図「祐徳バスセンター」発着)、または→嬉野インター+タクシー
 *往路 博多駅前(9:31)→嬉野温泉(11:22)
     博多駅前(10:01)→嬉野インター(11:56)+タクシー
     博多駅前(11:01)→嬉野インター(12:56)+タクシー
     博多駅前(12:01)→嬉野インター(13:56)+タクシー
     博多駅前(13:21)→嬉野温泉(15:09)
     博多駅前(14:21)→嬉野温泉(16:21)
     博多駅前(15:31)→嬉野温泉(17:22)
 *復路 嬉野温泉(9:40)→博多駅前(11:24)
     嬉野温泉(10:30)→博多駅前(12:14)
     嬉野温泉(12:04)→博多駅前(13:45)
     タクシー+嬉野インター(12:29)→博多駅前(14:10)
     タクシー+嬉野インター(13:29)→博多駅前(15:10)
7.会場周辺案内図
旅館のウェブ サイト内の地図をリンクしておきます。
8.大会プログラム
3月22日(月)
10:00~11:00 理事会
11:00~12:00 評議員会
12:30 受付開始
一般発表
13:30 パラオ語の類別数詞体系再考  下地理則(東京外国語大学)
13:45 コーヴェ語の所有表現-所有関係と文法構造の階層  佐藤寛子(東京女子大学)
14:00 現代ニュージーランドにおけるマラエの機能-テ・アラワ族の事例より  宮里孝生(愛知県立大学)
14:15 カナクの政治文化  江戸淳子(杏林大学)
<座長:菊澤律子(東京外国語大学AA研)>
14:30 ローカルな祝日と「衣」をめぐる実践-サモアのホワイトサンデーの事例から  倉光ミナ子(お茶の水女子大学)
14:45 網袋製作をめぐる技術と意味の変容-パプアニューギニア、アベラム人社会を事例に  新本万里子(広島大学)
15:00 フィジーにおけるラピタ考古学の新展開  石村 智(京都大学)
15:15 The Origins of Austronesian Seafaring  Barry V. Rolett(ハワイ大学)
<座長:印東道子(国立民族学博物館)>
15:30 コーヒーブレイク
15:45 フィジー諸島共和国における一集団ラミの初期活動展開について  丹羽典生(東京都立大学)
16:00 商業伐採開発地域における多声性-パプアニューギニア西部州における事例  小谷慎吾(国立歴史民俗博物館)
16:15 トンガ人の国際移動と出生力変化  福山祥子(東京大学)
16:30 トンガ人の食生活と糖尿病  夏原和美(東京大学)
<座長:高坂宏一(杏林大学)>
16:45 ミニシンポジウム「パプアニューギニアの開発問題」
1)パプアニューギニアにおける開発的介入とその現地社会への影響  豊田由貴夫(立教大学)
2)セピック丘陵でのNGO活動  川崎一平(東海大学)
3)パプアニューギニアの識字教育  斉藤尚文(中京大学)
4)パプアニューギニアの人々にとって「開発」とは何か?  熊谷圭知(お茶の水女子大学)
<座長:河辺俊雄(高崎経済大学)>
18:45~ 懇親会
3月23日(火)
8:30 総会
9:30 シンポジウム「南太平洋の商品価値-開発と経済的自立への道」
1)海を越えるサカナ-アジア・太平洋における海洋資源の利用と流通をめぐって  田和正孝(関西学院大学)
2)ヴァヌアツ共和国の離島における海洋資源の商品化と流通について-フツナ島での新しい実践  竹川大介(北九州大学)
3)自然を観光資源とした受動的な開発-中国海南島の事例  梅崎昌裕(東京医科歯科大学)
4)クック諸島・観光開発・持続的開発-シェラトン・ホテル誘致のツケ  棚橋 訓(東京都立大学)
5)開発を待つ村、送金を待つ村-PNGとトンガの事例から  須田一弘(北海学園大学)
司会:熊谷圭知(お茶の水女子大学)
コメンテーター 栗田博之(東京外国語大学)
12:30 昼食の後、解散
第21回研究大会・総会事務局: 〒840-8502 佐賀市本庄1丁目
               佐賀大学農学部環境社会学
               稲岡 司
               TEL&FAX: 0952-28-8738
               

学会通信

新入会員

※web版では所属と領域のみ掲載します。

下地理則 SHIMOJI Michinori
東京外国語大学大学院
言語学/オセアニア全域、ミクロネシア
比嘉夏子 HIGA Natsuko
京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻
文化人類学/メラネシア、ポリネシア
宮崎実穂 MIYAZAKI Miho
名古屋大学大学院文学研究科比較人文学講座文化人類学専攻
文化人類学/オーストラリア

住所変更

※web版には掲載しません。

所属変更

※web版では新所属のみ掲載します。

片山一道
京都大学大学院理学研究科動物学教室自然人類学研究室
長嶋俊介
鹿児島大学多島圏研究センター
丸山清志
城西国際大学物質文化研究センター

ニューズレターNo.77から

貝貨タブの可能性
-パプアニューギニア・東ニューブリテン州の貝貨銀行-
小坂 恵敬(オーストラリア国立大学大学院)

本文はwebには非掲載です。

「タフェン」と「所有」の狭間で
-ヤップ土地委員会による所有権確定作業-
則竹 賢(大阪大学大学院人間科学研究科・日本学術振興会特別研究員)

本文はwebには非掲載です。

第21回研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第21回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。御出欠につきましては、学会の申 し込み用フォームを御利用のうえ、2004年1月16日(金)までにお知らせください。また、フォームが利 用できない場合には、ニューズレターに 同封の返信用ハガキを御利用ください。多数の会員の皆様の御参加をお待ちしております。

日 時:
2004年3月22日(月)13:00~23日(火)昼頃の予定
(理事会:3月22日10:00~11:00、評議員会:3月22日11:00~12:00)
大会・総会・懇親会・宿泊会場:
佐賀県嬉野温泉 和多屋別荘
〒843-0301佐賀県藤津郡嬉野町大字下宿乙738
TEL: 0954-42-0210 FAX: 0954-42-0108
web: http://www.wataya.co.jp
参加費:
有給者20,000円、無給者12,000円(22日の宿泊費・懇親会費・翌23日の昼食込み)の予定

交通の便は、以下の1)が便利です。

  1. 1)福岡空港か博多駅 → <JR> → 武雄温泉駅 → <バス> → 嬉野温泉
    バスはJRに連絡しており、特急なら博多駅から約1時間半です。
  2. 2)長崎空港 → <マイクロバス> → 旅館
    旅館のマイクロバスを1台だけ、昼前に長崎空港まで出してもらいますが、7人のみ乗車可です(所用時間約40分)。

研究大会に参加される方は、出張依頼状を希望されるかどうか、研究発表をされるかどうか、発表される場合には発表題目と使用される機器類などについて、申し込 み用フォーム(もしくは返信用ハガキ)にご記入ください。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて例年20~25分程度です。なお、大 会2日目に、シンポジウム「南太平洋の商品価値-開発と経済的自立への道」(仮題)を考えております。

<温泉の宣伝>

嬉野温泉は「日本三大美人の湯」として知られ、弱アルカリのお湯はつるつるして肌にとても優しく、湯上がり後も大変気持ちよく過ごせます。なかでも和多屋別 荘は源泉93度のお湯を水で薄めることなく冷却し、温泉の効能が損なわれないようにしている、嬉野でも屈指の温泉旅館です。内風呂ばかりでなく川のほとりにも 石で囲った浴場があり、本当に温泉を楽しむことができます。この機会に是非一度ご利用ください。

本研究大会・総会に関するより詳しい点につきましては、NEWSLETTER次号にてお知らせする予定です。

第21回研究大会・総会事務局:
〒840-8502佐賀市本庄1丁目
佐賀大学農学部環境社会学
稲岡 司
TEL&FAX: 0952-28-8738

2003年度日本オセアニア学会賞選考要項について

2003年度日本オセアニア学会賞選考委員会より選考要項が発表されましたので、お知らせいたします。

2003年度日本オセアニア学会賞選考要項

  1. 本学会賞受賞資格者は本学会会員で、対象となる著書又は論文の刊行時に原則として40歳未満とする。対象となる著書又は論文は1編とし、2002年1 月1日から2003年12月31日までに刊行されたものとする。なお、該当する著書又は論文が複数の著者によるものの場合は、筆頭著者のものに限定する。
  2. 候補者の応募は自薦あるいは本学会員からの他薦による。他薦による場合は、他薦者は被推薦者(候補者)の了解を得ていることが望ましい。
  3. 自薦の場合は、選考対象となる著書又は論文について、1部以上を日本オセアニア学会賞選考委員長(以下、選考委員長)宛に送付するものとする。送付に 際し、連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)を明記するものとする。
  4. 他薦の場合は、推薦者の氏名と被推薦者(候補者)の氏名、被推薦者の連絡先(住所、FAX番号、E-mailアドレス)、及び被推薦者の選考対象とな る著者又は論文名を明記する。雑誌論文の場合は、雑誌名、巻号、出版年を、著書の場合は著書名(分担執筆の場合は、担当章のタイトルと著書のタイトル、編 者名)、出版社、出版年を明記する。この場合も、著書又は論文を選考委員長に送付してほしいが、送付されていない場合でも受理する。なお、推薦理由を必要 と判断する場合は、200字以内の推薦文を添付してもよい。
  5. 締切は、2004年1月末日必着とする。
  6. 送付先は下記とする。自薦の場合は、著書又は論文を同封する必要があるので、郵便ないしは宅急便で送付することとし、他薦の場合は郵便以外にFAXあ るいはE-mailでも受け付けることとする。
    須藤健一(日本オセアニア学会賞選考委員長)
    〒657-8501 神戸市灘区鶴甲1-2-1 神戸大学国際文化学部
    FAX: 078-803-7509 
  7. 選考委員長は、自薦及び他薦の書類などを受領してから1週間以内に、受領した旨の連絡をする。
  8. 1月31日以降、選考委員会は厳格な審査を行い、その結果を本年度の本学会総会の開催前に理事会に報告する。
  9. 「日本オセアニア学会賞規定」は、2001年12月発行のNEWSLETTER第71号に掲載されています。

2003年度日本オセアニア学会賞選考委員会
委員長 須藤健一
委員  印東道子
    遠藤 央
    河辺俊雄
    多賀谷昭

学会通信

新入会員

※web版では所属と領域のみ掲載します。

宮里孝生 MIYAZATO Takao
愛知県立大学大学院国際文化研究科博士後期課程
文化人類学/ニュージーランド

住所変更

※web版には掲載しません。

所属変更

※web版では新所属のみ掲載します。

野中健一
総合地球環境学研究所

寄贈図書

お詫びと訂正

NEWSLETTER第76号の20頁を以下のように訂正くださるようお願いいたします(web版も2003年12月2日に訂正しました)。

支出の部の表の「印刷費/小計」・「予算額」の項
(誤)「(933,260)」→(正)「(762,600)」


ニューズレターNo.76から

コムニタスづくりとしての「新しいキリスト教」
-ソロモン諸島のクリスチャン・フェローシップ教会の事例より-
石森 大知(神戸大学大学院総合人間科学研究科)

(本文はwebには非掲載です)

日本オセアニア学会25周年記念国際シンポジウムの報告
山本 真鳥(法政大学)

同名のシンポジウムは、「太平洋の21世紀―新たな文化とアイデンティティの創成―」(The Pacific in the 21st Century―Formation of New Culture and Identity―)というタイトルの下、2003年3月21日金曜日午後13時から17時までの間、神戸国際会議場にて行われた。基調講演のエペリ・ハウオファ教授 (Prof. Epeli Hau’ofa、南太平洋大学 University of the South Pacific)が、航空システムの混乱により到着が遅れたため、やや変則ながら先にパネルディスカッションを行い、そのあとに到着したハウオファ教授の講演を続け、10 分間の休憩を挟んで活発な討論が行われた。

パネルディスカッションの先頭は、ラルフ・レゲンヴァヌ氏(Mr. Ralph Regenvanu、ヴァヌアツ文化センター Vanuatu Cultural Centre)で、彼は「ヴァヌアツにおけるカスタムの変貌(The Changing Face of Custom in Vanuatu)」と題した発表を行った。この発表の趣旨は以下の通り。ヴァヌアツは人口約20万人。その90%は土着の人々であり、50%が18歳以下を占める。伝統的 文化すなわち「カストム」は現在のヴァヌアツで社会活動を行う者によって、さまざまに解釈されている。国の「開発」の過程において、メディアなどの論争の場で 「カストム」に関連した論点は数多くある。これらの争点をディスコースと見なし、それらがいかに構成されているかを見ることによって、伝統文化すなわち「カス トム」の概念がいかに使われ、凌ぎあっているかを知ることができる。植民地時代にはミッショナリーや植民地政府によって遅れており唾棄すべきものと考えられて いた伝統文化は、独立とともに一転してメラネシア的価値を表すものとして、独立国家のシンボルともなった。しかし、首長会議の主張、土地所有問題、メラネシア 社会主義の称揚などの過程を経て、今日、政府は「カストム」の概念をあまり使わないようになった。とはいえ若者対象の調査では、若者の多くが「カストム」をポ ジティヴにとらえていることがわかっている。「カストム」は親族、土地、言語、儀礼といった概念を総合するものとされ、社会秩序、生活の基盤を与えるために伝 統的知識の教育が必要であると考えられている。一方、リベラルな人々にとって、「カストム」は人権と相反する部分を持っている。例えば女性の権利を抑圧すると いう意見がある。さらにまた、首長にとってのカスタムの重視は、それに則ってより強力な政治権力を要求するものとなっているのである。

次の演者フランチェスカ・クビロ氏(Ms. Franchesca Cubillo、オーストラリア国立博物館 National Museum of Australia)の発表テーマは「多様な声:オーストラリア公立博物館のアボリジニ文化表象(Too Many Voices: The Representation of Australian Aboriginal Culture within State and National Museums within Australia)」で、趣旨は次の通り。ここで対比するのは、1800年代の半ばよりアボリジニの物質文化を幅広く収集し展示してきたアデレードにある南オーストラリ ア州立博物館と、連邦政府によって1980年に設立され、2001年に開館したばかりのオーストラリア国立博物館である。前者は設立が古く、地域的にも南部、 中部、北部テリトリー、西部キンバリー地域、北クイーンズランド等の広い範囲を対象とする古い収集品を所有し、物質文化を中心として、地域的な違いがわかるよ うな展示が行われている。それに対して、国立博物館は設立が新しく、収集品も新しい。アボリジニ・アートの研究は多くコレクションも充実しているが、民族誌的 な収集品は少ない。またトーレス海峡諸島民も専用の部屋が設けられている。国立博物館では、アボリジニのキュレターを何人も重用し、独自のコンセプトで展示の 構成を行わせている。文字のない文化をありのままに表象するということは難しいが、精神生活など、多様な表象をもつ諸文化の相同性と多様性を伝えることを旨と している。

パネリストの最後は、ライナス・デギミリナ博士(Dr. Linus Digim’Rina)で、パプアニューギニア大学(University of Papua New Guinea)に所属する。彼の発表は、「伝統にもとづく食料保障:樹木と知恵を移植する(Food Security through Traditions: Replanting Trees and Wise Practices)」というものだった。彼の故郷、マリノフスキーで有名なトロブリアンド諸島も今世紀の初め頃から漸次変容してきた。第二次大戦後にとりわけ人口が増加 したし、市場経済の浸透も著しい。独立や自立といった思考も人々の頭の中に入ってきている。近年生じた2回の災害は人々の間に存在様式や将来について啓蒙的な 結果をもたらすこととなった。1992年のサイクロンと1997年のエル・ニーニョである。祖先の英知を受けて、さまざまな果実樹(マンゴー、パンノキ、ココ ナッツ・ツリーなど)を植えることを試みている。こうした事業は最近行われていなかったが、祖先の行いに倣って事業を推進することで食料確保を図っている。恒 常的にこれらの樹木を植え、植え替えを行っていくことが重要である。これらの事業は、島の人々にとって誇りともなり、自然保護の役割も果たす成果をあげてい る。

パネリストの発表が終わったあたりでハウオファ教授が到着して、ようやく基調講演が行われた。エペリ・ハウオファ教授の「現代オセアニア芸術:新しい地域文 化様式の展開(Contemporary Oceanic Arts: The Development of New Regional Cultural Configurations)」と題する基調講演は以下の通り。南太平洋大学オセアニア芸術文化センターは、オセアニアの歴史や伝統のなかからわいてくるイ ンスピレーションや現在の文化環境から生まれる創作を援助している。この試みの主要な目的は、オセアニアの人々の民族的・国家的多様性を超克する、真にオセア ニア的な芸術を生み出すことである。これらすべてを束ねていく力は人々の共有する先祖伝来の遺産である太平洋にある。顕著かつ自律的な芸術のアイデンティティ は、オセアニア的尺度、つまりオセアニアの人々の歴史的業績に基づく基準を必ずや生み出すはずである。自律的な文化アイデンティティは、自立精神を通じてのみ 生まれる。その精神の中で、現在の環境において使うことができる資源を使って、他者にほとんど依存しない、音や動作といった形式の新しい世界を創造するのであ る。現在、オセアニア芸術文化センターは、アーティストが創作に打ち込むためのファンドの提供や、アーティストの作品のプロモーションを行っている。できるだ けオープンなスペースとして、誰でも参加できるような体制にしているためか、次第に参加者が増えており、創作交流の場として活用されるようになってきた。教授 は、センターで創造されているさまざまな芸術作品や芸術活動を、パワーポイントの画像や、新作のCDアルバムを使って紹介した。

10分間の休憩を挟み、残り時間が1時間を切っていたが、質疑応答をクロスしながら行うことで、パネルとフロアを横断・縦断する議論を行った。フロアからの 発言や質問は以下の通り。「言語はアイデンティティの中心ともいえるものだが、現地語や口頭伝承がグローバリゼーションの前に失われつつあるなかで、保存する 努力が必要ではないだろうか?」「ヴァヌアツ文化センターやオーストラリアの博物館について多くの議論がなされたが、個別の活動で他のセンターや博物館に比較 してユニークな活動は何か?」「PNGの場合『カストム』がヴァヌアツに比べて、国民的なディスコースとして使われていないのはどうしてか?」「ハンディクラ フト・ショップで売っている土産品とオセアニア・センターの作品との違いは何か?」「環太平洋地域の都市の、太平洋諸島からの移民の中には、ポップカルチャー や芸術の分野などで独自の活動をしている人たちがいるが、そうした活動とオセアニア・センターの活動とは重なり合うものがあるのではないか?」こうした質問に 対してパネリストの回答があり、パネリストたちの間でも議論が行われた。

この間の議論から明らかにされたことは、およそ以下のことであるだろう。この4人の中で、民族や国家の分断を超えたオセアニアの連帯を作り出す芸術活動を支 援するハウオファ教授が最もラディカルな活動を行っているといえよう。しかし、その他のパネリストたちも文化をかつてのように実在する「伝統文化」ととらえて いるのではなく、ディスコースとしての文化の政治性や文化の多元性という、今日のわれわれの文化のとらえ方に共通の認識をもっているといってよい。さまざまな ディスコースを仕分けしつつ文化センターが若い人々に勧めるべき文化プログラムのあり方を考えるレゲンヴァヌ氏、文化財を資源として考え、その中でいかにアボ リジニを表現するか、ということを考えるクビロ氏、祖先の英知を復活することで、食料確保のみならず文化やアイデンティティの回復をはかる活動を行うデギミリ ナ博士という風に、それぞれに資源としての文化や伝統の活用を考えている点が興味深かった。「アイデンティティの創成」というテーマはともすれば、伝統の創 造=捏造といったきわどい議論へと流れがちであるが、今回は文化を観察する人々ではなく、文化を実践する人々を招待してのシンポジウムであったことが、大きく プラスに働いたといえよう。このあと、オセアニア学会研究大会の懇親会へと会場を移し、さらに雑談を重ねながら、深夜に至るまで議論に花を咲かせることができ た。

基調講演のためにハウオファ教授が持参された、オセアニア芸術文化センターの新作CD“Wasawasa”(Sailaga Tora制作)がありました。あとで問い合わせをしたところ、センターを通じて購入可能とのことです。希望者は8月末までに、山本までメールで連絡先住所とと もに注文してください。F$30.00プラス送料でおそらく2500円程度だと思いますが、若干割引があるかもしれないし、正確な金額はわからないので、現品 到着後にいただきます。

NEWSLETTER No.74「ファファフィネテーラーを追っかけろ!」に関する訂正
倉光 ミナ子(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)

NEWSLETTER No. 74の拙稿「ファファフィネテーラーを追っかけろ!」の1頁、Turnerの引用における「Gay young men」の訳語と解釈に関して、法政大学の山本真鳥先生からご教示をいただきました。その結果、この記述が「ファファフィネ(fa’afafine)」 を指しているという妥当性はなくなりました。これは、私自身の19世紀末における英語への知識が不十分であったこと、同時期のサモアにおける記録にあたってい ないこと、また同時期に他のポリネシア地域では「第3のジェンダー」に関する記録があることから、この当時のサモアに「第3のジェンダー」が存在したと推測し たものに過ぎないとして、ここに訂正いたしたく存じます。このような大切なご指摘をいただきましたことに関して、山本先生には改めて深く御礼申し上げます。

第20回総会の報告

2003年3月22日(土),日本オセアニア学会第20回研究大会会場(有馬温泉ねぎや「陵楓閣」)において日本オセアニア学会総会(議長:須田一弘氏)が 開催されました。総会の議事は次の通りです。

1.新役員について

・下記の新会長が承認されました。
会長 片山一道氏
・評議員の互選により理事が選出され,その役割分担が下記のように決まりました。
庶務 関根久雄氏
会計 柄木田康之氏
編集(PCO) 大塚柳太郎氏・棚橋訓氏
編集・情報化 中澤港氏
編集(NL) 白川千尋氏
研究会 栗田博之氏
・下記の新役員が承認されました。
会計監査 稲岡司氏・窪田幸子氏
幹事(モノグラフ・シリーズ) 林勲男氏
幹事(NL) 風間計博氏・行木敬氏
幹事(研究会) 梅崎昌裕氏・遠藤央氏・菊澤律子氏

2.会計について

・下記の2002年度決算が承認されました。
(webからは削除しました)
・下記の2003年度予算が承認されました。
(webからは削除しました)

3.事業について

・2002年度事業報告として以下の事項が報告承認されました。
・People and Culture in Oceania Vol. 18の発行。
・ニューズレター No. 73, 74, 75の発行。
・第20回研究大会・総会の実施。
・関西地区研究例会の実施。
・第2回日本オセアニ学会賞について(該当無し)。
・創立25周年記念国際シンポジウム「太平洋の21世紀-新たな文化とアイデンティティの創成」の実施。
・2003年度事業計画として以下の事項が報告承認されました。
・People and Culture in Oceania Vol. 19の発行。
・ニューズレター No. 76, 77, 78の発行。
・第21回研究大会・総会の実施(担当稲岡司会員)。
・研究例会の実施。
・The Japanese Society for Oceanic Studies Monograph Seriesの創刊。

4.PCOの電子化について

第18回総会で学会に帰属することが確認されているPCO掲載論文の著作権の,PCO電子化にともなう管理運用を,理事会に一任することが承認されました。

学会通信

日本オセアニア学会25周年記念国際シンポジウム会計報告

(webからは削除しました)

新入会員

※web版では所属と領域のみ掲載します。

蔵本尚子 KURAMOTO Naoko
京都文教大学人間学部
オーストラリア/文化人類学
新本万里子 SHINMOTO Mariko
広島大学大学院
オセアニア全般/文化人類学
比嘉康雄 HIGA Yasuo
大阪学院大学大学院国際学研究科博士課程
メラネシア/地域研究
深川宏樹 FUKAGAWA Hiroki
筑波大学人文学類
オセアニア全般/文化人類学

住所変更

※web版では掲載しません。

所属変更

※web版では新所属名のみ掲載します。

伊藤泰信
大分県立芸術文化短期大学国際文化学科
尾本恵一
桃山学院大学
松園万亀雄
国立民族学博物館

寄贈図書

短  信

日本学術会議より以下の印刷物が事務局に届いています。関心のある会員の方は事務局までご一報ください。

ウェブサイト移転のお知らせ

日本オセアニア学会ウェブサイトは,創設以来,仮の設置場所として東京大学医学部人類生態学教室のサーバーに間借りして運営しておりましたが,既に総会でも お知らせしました通りの事情により,国立情報学研究所の学会ホームヴィレッジに移転することとなり,2003年5月27日に移転が完了いたしました。今後, トップページのURLは,http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsos/と なりますので,よろしくお願い申し上げます。

なお,学会ウェブサイトについて,何かお気づきの点がありましたら,情報化担当理事の中澤まで,お知らせいただければ幸いです。

お詫びと訂正

NEWSLETTER No. 75,20頁を以下のように訂正くださるようお願いいたします。


第20回研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第20回研究大会・総会、および日本オセアニア学会25周年記念国際シンポジウムを、下記の要領で開催します。会員の皆様方のご参加をお 待ちしております。参加ご希望の方は、2003(平成15)年2月14日(金)までにお申し込みくださいま すよう、お願いします。

また、一般的なブラウザをお使いであれば,電子メールアドレスをおもちの方は日本オセアニア学会ホームページ (http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsos/)からもお申し込みいただけます(→申 し込みのページ)ので、ご利用ください。

第20回研究大会・総会・25周年記念行事

期間:
国際シンポジウムと研究大会・総会・懇親会は、2003年3月21日(金)13:00~22日(土)13:00にかけて行う予定です。
1.25周年記念国際シンポジウム(公開)
「太平洋の21世紀-新たな文化とアイデンティティの創生-」(仮題)
日時 2003年3月21日(金)13:00~17:00
会場 神戸国際会館9階大会場
   (神戸市中央区御幸通8丁目1-6,Tel.078-230-3196)
   JR神戸線三宮駅,阪急神戸線三ノ宮駅,阪神本線三宮各駅南側徒歩3分
2.第20回研究大会・総会・懇親会(宿泊先)
日時 2003年3月21日(金)18:30~22日(土)13:00
場所 有馬温泉「陵楓閣」
   (〒651-1401 神戸市北区有馬町1573-2,Tel.078-904-0675)
   国際シンポジウム会場から宿泊先までは,貸切バス等で移動します。
3.参加費
参加費:19,000円(学生・院生 12,000円)を予定しております。
神戸の宿泊先は,名高い有馬温泉より他になく,公共・共済の施設に当たりましたが,県民・市民の条件,改修中等の事情で,民間の旅館にすることになり ました。なお,移動のバス,入湯税,総会・研究発表の会場費は,参加費に含まれます。

25周年国際シンポジウムの案内

「太平洋の21世紀-新たな文化とアイデンティティの創生-」(仮題)
基調講演 Epeli Hau'ofa(南太平洋大学,フィジー)
シンポジウム
コーディネーター 山本真鳥(法政大学)
パネリスト Epeli Hau'ofa(南太平洋大学)
      Ralph Regenvanu(ヴァヌアツ文化センター)
      Linus Digim'Rina(パプアニューギニア大学)
      Franchesca Cubillo(オーストラリア国立博物館)
総合司会  吉岡政徳(神戸大学)

シンポジウムのねらいは,オセアニアの現地で文化の研究と企画・立案に従事している研究者の視点から21世紀の太平洋における国家と地域,伝統と文化な どの新たな展開について発言してもらい,われわれと議論することにあります。

国際シンポジウムと研究大会に参加される方は、出張依頼書、研究発表の希望の有無、発表希望者は、使用される機器類等について返信用はがきにご記入くださ い。なお、研究発表は、3月22日(土)の総会(9:00~10:30)後に行い,5件程度を予定しております。本大会に関する照会は,下記事務局にお願いし ます。

研究大会事務局:
神戸大学国際文化学部吉岡研究室
〒657-8501 神戸市灘区鶴甲1-2-1
Tel・FAX: 078-803-7430

第19回研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第19回研究大会・総会を、下記の要領で開催します。会員の皆様方のご参加をお待ちしております。参加ご希望の方は、2002(平 成14)年1月20日(日)までにお申し込みくださいますよう、お願いします。

なお、経費節減のため、E-mail/FAXをお使いの方には、葉書を同封する代わりに学会事務局から直接ご連絡を差し上げますので、E-mail/FAX でご回答下さい。

また、一般的なブラウザをお使いであれば,電子メールアドレスをおもちの方は日本オセアニア学会ホームページ (http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsos/)からもお申し込みいただけます(→申 し込みのページ)ので、ご利用ください。

第19回研究大会・総会

期間:
3月22日(金)午後1:30~23日(土)昼頃の予定
大会・総会会場:
筑波大学第3学群棟(初日)/筑波山ホテル青木屋(2日目)
懇親会・宿泊 :
筑波山ホテル青木屋(〒300-4352 つくば市筑波753-1 Tel: 0298-66-0311)
参加費:
15,000円前後(22日の宿泊費・懇親会費込み。学生の方はこれよりも低料金にします)。確定料金は次号のニューズレターでご案内します。

なお、会場や交通手段、発表題目などに関する詳しい情報は、次号ニューズレターでご紹介しますが、別途ホームページも立ち上げておりますので、そちらも ご参照ください(適宜アップデートする予定です)。アドレスは、http://member.social.tsukuba.ac.jp/sekine/Oceania/で す。

研究大会に参加される方は、出張依頼状を希望されるかどうか、研究発表されるかどうか、発表される場合には、発表題目、OHP・スライド等をお使いにな るかどうか、ご記入下さい。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて20分程度の見込みです。

なお、2日目に、シンポジウム「ソロモン諸島の地域社会における開発の生物学的及び社会文化的影響」(研究代表者:大塚柳太郎[東京大学]、パネラー: 須藤健一[神戸大学]、山内太郎[東京大学]、田中求[東京大学・院]、古澤拓郎[東京大学・院])をおこなう予定です。

1. 研究大会	(参加      不参加   )
2. 22日筑波山ホテル青木屋に(泊まる    泊まらない )
3. 出張依頼状	(必要      不必要   )
4. 研究発表	(発表する  発表しない)
題目:
スライド	(使用する 使用しない)
OHP	(使用する 使用しない)
氏 名:
所 属:
連絡先:

大会事務局:〒305-8571 つくば市天王台1-1-1
風間計博(筑波大学歴史・人類学系)
            関根久雄(筑波大学社会科学系)

返 送 先:〒305-8571 つくば市天王台1-1-1
      筑波大学社会科学系
      関根久雄
      Tel/Fax: 0298-53-7443(直通)
    


2001年度関西地区例会のお知らせ

下記にあります企画で、日本オセアニア学会関西地区例会を開催いたします。学会員のみなさまのご参加をお待ちしております。

● 開催日程:
12月1日(土)、13:30~17:00
● 会場:
国立民族学博物館2階、第3セミナー室

なお当日は、国立民族学博物館通用口にて、日本オセアニア学会関西地区例会参加の旨を告げて2階までお越し下さい。

● 担当者:
関西地区例会幹事  田口理恵、行木敬
研究会担当理事  秋道智彌
● テーマ
● フィールドワークにおける使途不明金 ●
  村の中のある種の人々に、人情ではなく「義務」で渡さねばならないオミヤゲ。必要以上に頼りになる現地政府のAさんが、必要以上に要求してく る袖の下。「開発」「援助」という外来語を振りかざし、「タバコが必要だ」「ビールを援助してくれ」と詰め寄る村人達――。
 フィールドワークにおけるこの種の出費は、調査地で暮らしていく上で避けられないものであるが、しかし資金を提供してくれたファンドの会計報告 書などには書きようのない出費でもある。どうしてそんな出費が必要になるのか、なぜ断れないのか、それを説明するには、調査地の文化と歴史、そして “私”と彼らの人間関係を一から説明するほかない。ただし、この種の出費に煩わされた経験は、飲み会のネタにされこそすれ、説明する努力も議論も十分 になされてきたとは言い難い。そこで、この種の出費に絡んだ調査地での日々の奮闘とともに、それがなぜ必要なのかという調査地社会の文脈について一か ら説明してもらう機会を設けたいと考え、今回の例会を企画した。
 会計報告書上は「使途不明金」にもなりうるこの種の出費を取り上げるのは、その背景にある調査地固有の文化と歴史が、人類学で扱えるトピックで あり、また扱わねばならないトピックでもあるからだ。そこで本例会では、「使途不明金」というタイトルの下に、調査地における研究者個人と人々の間で の、日常生活レベルの経済的な相互行為を考えていきたい。
 この経済的な交渉は、“私”と彼らの間での、ローカライズされた資本主義同士の差異が最も際立つ最前線とも言えるだろう。フィールドワークにお ける「使途不明金」には、資本主義経済を異なる形で生きてきた個々人が、様々な欲望や期待、戦略、感情とともに、ひそかに、しかし激しくぶつかり続け る、些細にして広大なドラマがあるのだ。
 本例会では、ニューギニアでのドラマを話の糸口とし、「使途不明金」にまつわる具体的例を検討していきたい。世界システムを煮詰めたような舞台 で繰り広げられる濃厚な相互行為を、いかに扱うかという方法上の問題も含めて多角的に検討することで、資本主義の文化的側面についての比較研究を目指 す。
● 個別発表 
   行木敬(総合研究大学院大学)
  「わかちあいをわかちあえるか?―ニューギニア高地・オクサプミンの調査から」
   川崎一平(人間環境大学人間環境学部)
  「セピックのフィールドから」
● コメンテーター
   吉田集而(国立民族学博物館)、太田至(京都大学)、春日直樹(大阪大学)他 


ニューズレターNo. 68(2000年12月20日発行)


第18回研究大会・総会のお知らせ

日本オセアニア学会第18回研究大会・総会を下記の要領で開催致します。多数の会員の皆様のご参加をお待ちしております。2001年1月19日 (金)までに、研究大会事務局までご出欠をお知らせ下さい。

適当な懇親会場が他になく、費用がかさんで申し訳ありませんが、景色と料理は折り紙付きです。なお、経費節減のため、E-mail/FAXをお使いの方に は、葉書を同封する代わりに学会事務局から直接ご連絡を差し上げますので、E-mail/FAXでご返送下さい。

一般的なブラウザをお使いであれば,電子メールアドレスをお持ちの方はこちらのフォームからも申 し込みできますので,ご利用ください。



第18回研究大会・総会

3月26日(月)13:00 ~ 27日(火)13:00の予定

会 場: 長野県看護大学
            〒 399-4117 駒ヶ根市赤穂1694
TEL&FAX  (0265) 81-5133

JR飯田線駒ヶ根駅より徒歩約15分
中央高速道駒ヶ根ICより車で約5分
新宿・横浜・名古屋・大阪から駒ヶ根まで高速バスがあります。
予約センター (03) 5376-2222, (03) 3743-0022, (052) 582-0489,
 (06) 6866-3147
(ただし、大阪と横浜は1日2便のみです。)
宿泊・ 懇親会:ホテル二人静(ふたりしずか)
〒399-41駒ヶ根市赤穂4-161(駒ヶ根高原)
TEL (0265)81-8181

参加費:19,000円 (学生12,000円)の予定 (26日の宿泊費・懇親会費込み)

研究大会に参加される方は、出張依頼状を希望されるかどうか、研究発表されるかどうか、発表される場合には、発表題目、OHP・スライド等をお使いになるか どうか、ご記入下さい。発表時間は演題数にもよりますが、質疑応答を入れて20分から25分程度の見込みです。

1. 研究大会	(参加      不参加   )
2. 26日ホテル二人静宿泊	(泊まる    泊まらない )
3. 出張依頼状	(必要      不必要   )
4. 研究発表	(発表する  発表しない)
題目:
スライド	(使用する 使用しない)
OHP	(使用する 使用しない)
氏 名:
所 属:
連絡先:
返送先:
〒399-4117 駒ヶ根市赤穂1694
長野県看護大学
多賀谷 昭
TEL&FAX (0265) 81-5133 (直通)
E-mail: tagaya@nagano-nurs.ac.jp


2000年度第2回関西地区例会のお知らせ

オセアニア学会関西地区例会を下記の通り開催いたします。ふるってご参加くださいますようにお願いいたします。

タイトル:
Hawaiian Peoples and Their Relationship to Lands and Natural Resources
日 時:
2001年3月10日(土) 午後1時ー3時半
場 所:
国立民族学博物館2階 第4セミナー室
発表者:
Keali'i'olu'olu Gora 氏
Lieutenant Governor, Ka Lahui Hawai'i Lecturer, Center for Hawaiian Studies, University of Hawai'i at Manoa

発表者紹介

Ka Lahui Hawai'iは、ハワイ人の主権運動組織の中でももっとも大規模な組織の一つであり、 アメリカ合衆国およびハワイ州によるハワイおよびハワイ人の植民地支配と厳しく対峙しつつ、政策としてはアメリカ合衆国の枠内で、nation-within-a- nationの方式による主権と自治の実現を目標としています。Gora氏はこのKa Lahui Hawai'iの副知事(行政部門のNo.2)であり、国連のWorking Group for Indigenous Populationsなど、国際的な場にKa Lahui Hawai'iを代表して参加してきました。

なお、国立民族博物館に入館の際には、職員通用口からお入りください。そこに守衛室がありますが、警備員の方に入館の目的をお伝えください。



国立サモア大学夏期講座(JICA後援)のご案内

去る3月、国立サモア大学で日本人を対象とした第1回夏期講座が実施されました。参加者から好評のため、第2回が第1回と同じ時期で開催されることになりま したのでご案内いたします。

国際協力、環境、ポリネシア文化に興味のある方は、下記ホームページにアクセスして下さい。

原 晃 Hara Akira http://village.infoweb.ne.jp/~fwgi4546/indes.htm National University of Samoa



新入会員

※ WEB版では所属と領域のみ掲載します。

梅津弘幸 UMETSU Hiroyuki
        〒 874-8577 大分県別府市十文字原 1-1
                    立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部
                    メラネシア・オーストラリア・ニュージーランド/国際関係論

Michael P. Alpers
                    AUSTRALIA

Ron Crocombe
                    COOK ISLANDS

Pamela Stewart
                    Department of Anthropology
                    3HO1 Forbes Quad
                    University of Pittsburgh
                    Pittsburgh, PA 15260
                    U.S.A.


住所変更/所属先変更

※ WEB版では非掲載とします。



寄贈図書



短信

日本学術会議より、日本学術会議第17期太平洋学術研究連絡委員会地域学研究専門委員会作成の報告書「地域学の推進の必要性についての提言」が届いておりま す。関心のおありの方は、事務局までお問い合わせ下さい。






ニューズレターNo. 66(2000年3月5日発行)より


第17回研究大会のお知らせ

アルカディア・ビレッジ地図

日本オセアニア学会の第17回研究大会ならびに総会を下記の要領で開催致します。

第17回の研究大会が、3月22日、23日の両日、広島県廿日市市のア ルカディア・ビレッジで開催されます。一日目に6人の研究発表と、二日目に「オセアニア研究の市場価値」というシンポジウムを予定しています。申 し込みがお済みでないかたは、急ぎ、大会準備事務局までお知らせ下さい。

アルカディア・ビレッジまでは、JR山陽本線の廿日市駅からホテルの無料バスがでています(時刻表をご参照ください)。今回のオセアニア学会のために 12:30分廿日市駅発の臨時バスを用意していただいております。ご利用下さい。会場は、駅からバスで25分ほど山にはいったところにあります。バスをご利用 にならない場合、タクシーになりますが、3000円弱かかると思います。山の中の小さな施設ですが、一応露天風呂もあります。廿日市は宮島に近く、おかえりに は宮島観光も楽しんでいただけると思います。それでは当日、会場でお目にかかりますのを楽しみにしております。


大会準備事務局:
窪田幸子
〒739-0046東広島市鏡山1-7-1 広島大学総合科学部
電話 0824-24-6370
FAX  0824-24-0753

日程:
3月22日(水)~23日(木)
会場:
アルカディア・ビレッジ
広島市廿日市市原2210
電話0829-38-2221
交通:
JR広島駅→JR廿日市駅 時刻表
  10:58(11:15着) 11:06(11:24着) 11:16(11:33着) 11:26(11:44着)
  11:36(11:53着) 11:46(12:03着) 11:58(12:15着) 12:17(12:35着)
  12:26(12:43着)
アルカディア・ビレッジ バス時刻表(JR山陽本線 廿日市駅発)
9:45 11:45 12:30(学会用特別便) 13:45 15:45 17:45 21:40
 広島空港からJR広島駅への直通バスは頻繁に出ています。
 車でお越しになる方は、地図をご参照下さい。
大会プログラム:
3月22日(水)
10:30~12:00  理事会
12:30~14:00  評議委員会
13:00~ 大会受け付け
(一般発表)
14:00~14:25  中西直和「ヨーク半島・ローラにおける先住民の就労-ローラフェスティバルとCDEP」
14:25~14:50  伊藤泰信「ニュージーランド、マオリにおける学校教育とその周辺:イマージョンプログラムを中心に」
14:50~15:15  朽木量「日系ニューカレドニア移民の生活財」
15:15~15:40  江戸淳子「ニューカレドニアのカナクアイデンティティ」
15:40~16:05  小谷真吾「パプアニューギニア高地辺縁部における女児死亡の構造に関する人類学的研究」
16:05~16:30  梅崎昌裕「パプアニューギニア高地における伝統農耕の環境保全機能」
16:30~17:30  総会
18:30~     懇親会

3月23日(木)
9:30~12:00  シンポジウム「オセアニア研究の市場価値」
(オーガナイザー)春日直樹
(発表者)
 吉岡政徳「商品としてのオセアニア」
 山本真鳥「国境を越えるポリネシア世界」
 宮崎広和「米国における人類学とオセアニア研究」
 山下晋司「公共人類学は可能か?-「移動する文化:アジア・太平洋研究の刷新」プロジェクトから」


新入会員

※ WEB版では所属と領域のみ掲載します。

市川哲 ICHIKAWA Tetsu
        〒 171-8501 東京都豊島区西池袋 3-34-1
                    立教大学大学院
                    メラネシア・マレーシア/文化人類学
北尾陽之介 KITAO Yohnosuke
        〒 661-0012 兵庫県尼崎市南塚口町 1-24-16
                    日本オセアニア交流協会
                    オセアニア全般/国際交流論
森仁志 MORI Satoshi
        〒 171-8501 東京都豊島区西池袋 3-34-1
                    立教大学大学院
                    ポリネシア/文化人類学


住所変更/所属先変更

※ WEB版では非掲載とします。



寄贈図書






ニューズレターNo. 65(1999年12月10日発行)より


第17回研究大会のお知らせ

日本オセアニア学会の第17回研究大会を下記の要領で開催致します。多数の会員の皆様のご参加をお待ちしております。同封の葉書にて、ご出欠を明 年1月20日(木)までに研究大会事務局にお知らせ下さい。尚、経費削減のため、E-mail/FAX をお使いの方に葉書を同封する代わりに、学会事務局から直接ご連絡を差し上げますので、お手数ですがE-mail/FAX でご返送下さい。

一般的なブラウザをお使いであれば,電子メールアドレスをお持ちの方はこちらのフォームからも申 し込みできますので,ご利用ください。



第17回研究大会・総会

     日 程:3月22日(水)・23日(木)                                     
     会 場:アルカディア・ビレッジ                                             
             〒 738-0031 広島県廿日市市原 2210                                  
                         tel.0829-38-2221, fax. 0829-38-2907                    
                         JR山陽本線廿日市駅より無料送迎バスあり               
     参加費:16,000円 (学生 9,000円)の予定(22日の宿泊費・懇親会費込み)     

研究大会に参加される方は、出張依頼状を希望されるかどうか、研究発表されるかどうか、発表される場合には、発表題目、OHP・スライド等をお使いになるか どうか、ご記入下さい。

          1. 研究大会                        (参加      不参加    )          
          2. 22日アルカディア・ビレッジ宿泊(泊まる    泊まらない)          
          3. 出張依頼状                      (必要      不必要    )          
          4. 研究発表                        (発表する  発表しない)          
                  題目:                                                        
                  スライド                    (使用する 使用しない)          
                  OHP                      (使用する 使用しない)          
                                                                                
              氏 名:                                                          
              所 属:                                                          
              連絡先:                                                          
                                                                                
                    返送先:〒 739-8521 広島県東広島市鏡山 1-7-1                
                                        広島大学総合科学部                      
                                        窪田幸子                                
                                        tel. 0824-24-6370 (直通)                
                                        fax. 0824-24-0753 (学科共通)            
                                        





ニューズレターNo. 64(1999年7月25日発行)より


特集 20周年記念国際シンポジウム報告

※ 長いので,参照の便宜を考え,WEBでは別ページにしました。ご了承ください。



第7回評議員選挙の結果について

1999年2月18日、東京外国語大学で、第7回評議員選挙の開票を行いました。その結果、下記の15名の方々(五十音順)が選出されましたので、御報告致 します。

選挙管理委員長 中山和芳

印東道子氏 遠藤 央氏
春日直樹氏 口蔵幸雄氏
窪田幸子氏 熊谷圭知氏
栗田博之氏 合田 濤氏
斉藤尚文氏 棚橋 訓氏
中山和芳氏 橋本和也氏
山本真鳥氏 吉岡政徳氏
吉田集而氏


第16回総会の報告

1999年3月14日、日本オセアニア学会第16回研究大会会場(大仁ホテル)において、日本オセアニア学会総会が開催されました。総会(議長:柄木田康之 氏)の議事は次の通りです。

1 新役員について

・下記の新会長が承認されました。

 会長 須藤健一氏

・評議員の互選により理事が選出され、その役割分担が下記のように決まりました。

 庶務 棚橋訓氏
 会計 栗田博之氏
 編集(MCO) 印東道子氏・山本真鳥氏
 編集(NL) 遠藤央氏
 渉外・研究例会 熊谷圭知氏・橋本和也氏

・下記の新役員が承認されました。

 会計監査 青柳真智子氏・多賀谷昭氏
 監事(研究例会) 石田慎一郎氏・白川千尋氏
 監事(MCO) 梅崎昌裕氏 ・中澤港氏
 監事(NL) 大橋亜由美氏・林勲男氏
 幹事(HP) 中澤港氏


2 会計について

※ WEBでは内容は省略します。1998年度決算と1999年度予算が承認されました。



3 事業について

・1998年度事業報告として以下の事項が報告されました。
  • Man and Culture in Oceania Vol. 14 の発行について
  • ニューズレター No. 61・62・63 の発行について
  • 研究大会・総会の実施について:第16回研究大会と第16回総会
  • 研究例会について:関西地区で1回実施
  • 評議員・理事の改選について
  • 20周年記念事業について
  • 会員名簿の発行
  • 国際シンポジウム『南太平洋のフロンティア』の実施


・1999年度事業計画として以下の事項が報告されました。
  • Man and Culture in Oceania Vol. 15 の出版予定
  • ニューズレターは3回発行予定
  • 第17回研究大会・総会について
  • 研究例会について


4 Man and Culture in Oceania の誌名変更について

・Man and Culture in Oceaniaの誌名をPeople and Culture in Oceaniaに変更することが承認されました。



5 名誉会員の推薦について

・小石秀夫氏を名誉会員に推薦することが承認されました



新入会員

※ WEB版では所属と領域のみ掲載します。

足立浩一 ADACHI Hirokazu
        〒 729-0292 広島県福山市学園町1番地三蔵
                    福山大学経済学部国際経済学科・講師
                    オーストラリア・インドネシア/経済学
石森大知 ISHIMORI Daichi
        〒 657-8501 兵庫県神戸市灘区鶴甲 1-2-1
                    神戸大学大学院総合人間科学研究科
                    メラネシア/文化人類学
江渕一公 EBUCHI Kazuhiro
        〒 261-8586 千葉県千葉市美浜区若葉 2-11
                    放送大学教養学部
                    ポリネシア・ミクロネシア・オーストラリア/文化人類学
川村千鶴子 KAWAMURA Chizuko
        〒 161-0036 東京都新宿区上落合 1-1-15-522
                    多文化教育研究所
                    ポリネシア/文化人類学・言語習得学
倉田誠 KURATA Makoto
        〒 657-8501 兵庫県神戸市灘区鶴甲 1-2-1
                    神戸大学大学院総合人間科学研究科
                    ポリネシア・台湾/社会人類学・人文地理学
権田絵里 GONDA Eri
                    ポリネシア/考古学
則竹賢 NORITAKE Masaru
        〒 565-0871 大阪府吹田市山田丘 1-2
                    大阪大学大学院人間科学研究科
                    ミクロネシア/文化人類学・社会人類学
的野記子 MATONO Noriko
        〒 657-8501 兵庫県神戸市灘区鶴甲 1-2-1
                    神戸大学大学院総合人間科学研究科
                    オーストラリア・インドネシア/文化人類学
森本利恵 MORIMOTO Rie
        〒 565-8511 大阪府吹田市千里万博公園 10-1
                    総合研究大学院大学文化科学研究科
                    ポリネシア/文化人類学
Koji Lum
        〒 106-8569 東京都港区南麻布 4-6-7
                    統計数理研究所


住所変更/所属先変更

※ WEB版では非掲載とします。



寄贈図書



日本学術会議のホームページについて

日本学術会議はホームページ上に「日本学術会議だより」を掲載して行く事になりました。URLは以下の通りですので、関心のおありの方はご覧になって下さ い。

http://www.scj.go.jp



文部省科学研究費について

文部省学術国際局より「科学研究費補助金(基盤研究等)に係る交付業務の日本学術振興会への移管について」という通知が届いております。また、同じく日本学 術振興会より「日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究等)取り扱い要領について」という通知が届いております。関心のおありの方はご連絡下さい。尚、文部 省科学研究費(国際学術研究)の日本学術振興会への事務移管に関しては、日本オセアニア学会会長名で、日本学術振興会に対し、次のような要望書を提出しており ますので、ご参照下さい。


平成11年6月14日

文部省学術国際局研究助成課
課長 磯田文雄殿

日本オセアニア学会会長
須藤健一


要望書

平成11年度から、科学研究費補助金の国際学術研究の交付業務が日本学術振興会に移管されることにより、科学研究費の申請・採択通知、交付金の運用規則など に、若干の変更ないし改正が加えられることにつき、われわれ日本オセアニア学会は大きな関心を持っております。

日本オセアニア学会の会員の多くは,これまでに科学研究費補助金(国際学術研究)の交付を受け、アジア太平洋地域で長期のフィールドワークを実施し、大きな 成果を上げてきております。日本オセアニア学会は、人類学、生態学、文化人類学、先史考古学、政治学、経済学、医学などを専門とする研究者で組織された全国的 学会です(内外学会員、約280名)。

平成12年度科学研究費補助金の公募をひかえ、文部省及ぴ日本学術振興会の関係部門で、「国際学術研究」の「基盤研究」への統合化にともなう実施細則等の検 討を進めておられることと推察しております.この機会に、日本オセアニア学会会員から寄せられている従来の「国際学術研究」の実施内容と、今後のそれとの差異 についての疑問点と要望を下記に期しますのて、ご検討いただけれぱ幸甚に存ずるところです。


1.申請と内定の時期

申請時期11月、内定通知翌年4月、「国際学術研究」の期間4年ということで推移するようですが、最初の年を予備調査に当てれば、海外での調査実施にさほど 不都合は生じないと思われます。しかし、大学によっては、次年度の授業・業務分担を前年度末の教授会等にて決定することになっており、遅くとも内定通知の時期 を2月中旬までにして頂ければ、この問題は解決されます。内定通知時期の繰り上げをお願いします。


2.海外調査にかかる旅費の研究費総額に占める割合について

「基盤研究」においては、海外調査に要する旅費に一定枠(例えば総額の40%以下)を設けていますが.「国際学術研究」の海外調査研究にはその枠を適用せ ず.従来どおり0~100%の予算枠の中で認めて頂きたい。本学会員の海外での調査研究においては、調査地に長期間住み込み、参与観察をはじめ現地の人々から の情報収集、標本採集や発掘作業等を行うために、科研費総額のほとんどを海外旅費に向ける必要があるからです。


3.外国の研究機関の研究者との関係

従来の「国際学術研究」の研究組織においては、外国の研究機関に所属する研究者を「研究分担者」として位置づけ、外国人分担者の研究諸費は研究代表者(研究 機関)の責任において運用してきておりましたが、今後外国人研究者は「研究協力者」の地位扱いにするとの変更がなされると聞いております。この変更は内外の研 究者が、同等の調査研究条件のもとに研究プロジェクトを推進する上で、外国人研究者に多大なる「不信感」を与えることになり、国際学術交流のあり方に障害を来 すことになります。昨年までの文部省の管轄下にあった「国際学術研究」のもとでは、外国人研究者を「研究分担者」として組み込めたものが、日本学術振興会への 移管、つまり「基盤研究」ヘの統合にともなって「研究協力者」に「格下げする」という理由が理解できません。科研経費使用の規定の変更があるからでしょうか。 なにとぞ、従来の「国際学術研究」の外国人「研究分担者」の対応と同様の方策をお願いします。


4.「基盤研究」への統合と「国際学術研究」の位置づけについて

「国際学術研究」が「基盤研究」に一本化されることにより、「設備備品費」の請求が可能になり、また調査期間が拡張されるなど、「国際学術研究」の実施にお いては今までより以上に柔軟に研究を遂行できるようになりました。しかし反面、「国際学術研究」は平成10年度で「廃止」され、上記で要望しましたような不都 合も生じてきております。「基盤研究」への統合後も、従来の「国際学術研究」の運用を継続できる形態、たとえば「基盤研究」A~Cのカテゴリーとは別枠での 「基盤研究」への位置づけをお願いする次第です。






ニューズレターNo. 63(1999年2月2日発行)より


20周年記念国際シンポジウムについて

 前号のニューズレターでお知らせ致しましたように、日本オセアニア学会の創立20周年記念シンポジウムが3月13日(土)、新宿の東京年金基金センター・ セブンシティで開催されます。プログラムは下記の通りですので、皆様ふるってご参加下さい。尚、一般公開のシンポジウムとなりますので、会員以外で関心をお持 ちの方にも是非ご周知下さいますようお願い申し上げます。

日本オセアニア学会20周年記 念シンポジウム
『南太平洋のフロンティア』
Frontiers of Human Settlement in the South Pacific
日時: 平成11年3月13日(土)13:30~17:30
会場: The way to seven city東 京年金基金センター・セブンシティ
(新宿駅西口より徒歩15分)
〒160-0023
東京都新宿区西新宿 4-34-1
tel. 03-3376-5101(代表)
fax. 03-3376-0118
プログラム: 総合司会 青柳まちこ(茨城キリスト教大学)

13:30~13:40 開会の辞 Opening Address
大塚柳太郎(東京大学)

13:40~14:00 印東道子(北海道東海大学)
「南太平洋のフロンティアライン」
Introduction to the South Pacific Frontiers

14:00~14:40 Peter Bellwood(オーストラリア国立大学)
「太平洋のヒト:移住史をめぐる論争」
Understanding the Human Colonization of the Pacific

15:00~15:40 Patrick Kirch(カリフォルニア大学)
「ラピタ文化:オセアニア人の拡がり」
Lapita and the Expansion of the Oceanic-Speaking Peoples

15:40~16:20 Janet Davidson(ニュージーランド博物館)
「最後のフロンティア:ニュージーランドへの移住」
The Last Frontier of Human Settlement: The Prehistory of New Zealand

16:40~17:20 総合討論 Discussion

17:20~17:30 閉会の辞 Closing Address
須藤健一(神戸大学)

シンポジウムは日本語と英語で行われ、同時通訳がつきます
参加費は無料です

シンポジウム事務局:〒114-8580 東京都北区西ヶ原 4-51-21
東京外国語大学外国語学部栗田研究室
tel. & fax. 03-5974-3539

 前々号のニューズレターでは、シンポジウムの講演者の一人として篠遠喜彦博士を予定していましたが、諸般の事情により博士の来日が困難になったため、本学 会会員であり、東南アジアからオセアニアにかけた広い地域の考古学研究の第一人者であるオーストラリア国立大学教授 Peter Bellwood 博士に講演して頂く事になりました。


第16回研究大会について

 前号のニューズレターや電子メール等でお知らせ致しましたように、上記シンポジウムに続いて、第16回研究大会を3月14日(日)、15日(月)の両日、 静岡県大仁温泉大仁ホテルにて開催致します。すでに50名ほどの方々から参加の申込みを頂きましたが、まだ部屋には余裕があります。天気が良ければ富士山を一 望できる高台の素晴らしいロケーションにある宿です。

 今回の大会では、オセアニア学会の20周年を記念して、オセアニア地域研究のパイオニア研究者の方々にご報告頂く「オセアニア学の可能性と課題」と題した ミニ・シンポジウムも予定しております。長年の経験をふまえた興味深いお話が伺えるものと期待しております。

 まだ申込みがお済みでない方は、至急研究大会事務局(お茶の水女子大学)まで、参加のご連絡をいただきたく存じます。

 多くの方々のご参加を心からお待ち申し上げております。

第16回研究大会
日時: 3月14日(日)・15日(月)
会場: 大仁(おおひと)ホテル
〒 410-2322 静岡県田方郡大仁町吉田 1178
tel. 0558-76-1111 & fax. 0558-76-1860
研究大会事務局: 〒112-8610 東京都文京区大塚 2-1-1
お茶の水女子大学文教育学部地理学教室
熊谷 圭知
tel. 03-5978-5191 (直通) fax. 03-5978-5185 (地理学教室)

 会場へは、新幹線三島駅より伊豆箱根鉄道に乗り換え25分、大仁駅下車、タクシーで3分(約610円)で着きます。ご参考のために、午後1時30分開始の 研究大会に間に合う三島駅発伊豆箱根鉄道および新幹線からの乗り継ぎ時刻をあげておきます。尚、大仁駅到着が12時02分までの方はホテルの送迎バスをご利用 になれるよう、手配を予定しております。

(東京方面からお越しの場合)
こだま 453号     東京発 10:31 三島着 11:37/伊豆箱根鉄道三島発 11:44
特急踊り子 103号 東京発 10:00 大仁着 12:02(乗り継ぎなし)

(関西方面からの場合)
ひかり 152号   新大阪発 8:33  三島着 10:56/伊豆箱根鉄道三島発 11:00
こだま 460号   名古屋発 9:55  三島着 11:48/伊豆箱根鉄道三島発 11:54
こだま 404号   名古屋発10:14  三島着 12:10/伊豆箱根鉄道三島発 12:13

 研究大会のプログラムは、以下の通りです。

3月14日(日)
12:30~13:30 受付
13:30~16:10 一般発表

相原淳一(仙台市博物館学芸員)・中野拓大(國學院大学博士課程)
「中部ヴァヌアツ・エファテ諸島の考古学的調査(速報)」
Archaeological survey in Efate, Central Vanuatu

岡嶋格( 東横学園女子短期大学)
「モツタプ遺跡と南部クック諸島考古学遺跡の炭素測定年代」
Radiocarbon dates of Motu Tapu site and some Southern Cock Island archaeological sites

安高雄治(東京大学大学院人類生態学教室)
「パプアニューギニア・バロパ島嶼部住民におけるマラリア」
The Community-based Malaria study among Balopa Islanders in Papua New Guinea

金子明(東京女子医学大学国際環境・熱帯医学教室)
「バヌアツにおけるマラリア対策に関わる遺伝的多様性」
Genetic polymorphism in relation to malaria control in Vanuatu

Koji Lum(統計数理研究所)
Geneflow and Isolation with the Pacific

諏訪淳一郎(筑波大学大学院)
「パプアニューギニアにおけるポピュラー歌謡と文化認知」
Papua New Guinean Popular Songs and Cultural Cognition
16:30~17:30 総会
18:00~ 懇親会
3月15日(月)
9:00~12:30 シンポジウム『オセアニア学の可能性と課題』

司会:大塚柳太郎

石川榮吉
  「地域研究としてのオセアニア学」

大島襄二
  「海の学問としてのオセアニア学」

──── 休憩 ────

小石秀夫
  「パプアニューギニア東部高地の20年」

近森正
  「忘れ得ぬ人々―文化動態の考古学的研究から―」

新入会員

長岡拓也
 (在外)     Department of Anthropology
            University of Auckland
            Private Bag 92019
            Auckland
            NEW ZEALAND
            考古学・オセアニア全般
馬場淳
〒 192-0364 東京都八王子市南大沢 1-1
            東京都立大学人文学部社会人類学研究室
            社会人類学・メラネシア

住所変更及び所属先変更

WEB版では非掲載とします


寄贈図書

『歴史と構造』26号
(南山大学大学院文化人類学研究室より寄贈)
『太平洋学会誌』80/81号
(太平洋学会より寄贈)
Canberra Anthropology, vol. 21, no. 1
(The Australian National University より寄贈)
Hindu Festivals in a North Indian Village
(American Museum of Natural History より寄贈)

短信

 61号の原晃氏からの短信にもあります通り、現在サモア国立大学では、学生の交流、教員の交流、文化・研究活動の協力等を含めた協力関係を結ぶ日本の大 学・研究機関をさがしているそうです。特に、文部省の奨学金、客員教授招聘、JICAの研修スキーム等を利用した学生や教員の日本での研修先をさがしており (既に、立命館大学、神戸学院大学、長野看護大学、お茶の水女子大学とは交渉中だそうです)、また、都道府県や大学等で外国からの学生や研究者の奨学金を用意 しているところの情報を提供して欲しいとの事です。また、サモアに行かれる予定のある会員の方には、是非とも大学の講堂での特別講義や教員との意見交換を行っ て欲しいそうです(お礼は大学の食堂での豪華昼食(?)だそうです)。この件にご関心がおありの方は、直接原晃氏までお問い合わせ下さい。原晃氏の連絡先は次 の通りです。

        National University of Samoa
        P.O.Box 5768, Apia, SAMOA
        tel. +685-22-139 ex. 111
        fax. +685-20-938
      
 また、原晃氏は今年の5月に一時帰国しますので、その折りに詳細を協議する事が出来るとの事です。

 外務省主催の「グローバル・ユース・エクスチェンジ・プログラム」の募集案内が事務局の方に届いています。ご関心がおありの方は事務局までご連絡下さい。






ニューズレターNo. 62(1998年12月22日発行)より


Man and Culture in Oceania の誌名変更について

 来年3月に開催予定の第16回総会において、いよいよ学会誌の誌名変更を行いたいと思います。理事会で検討した結果、現誌名との継続性を重視するという事 から、新誌名として People and Culture in Oceania を提案する予定です。この新誌名案に関して御意見がございましたら、事前に事務局までお寄せ頂ければ幸いです。


日本オセアニア学会ホームページの開設

 メール・アドレスをお持ちの方には既にメールで連絡を差し上げましたが、日本オセアニア学会では学会ホームページを暫定開設致しました。URLは以下の通 りです。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsos/

 東京大学人類生態学教室のご厚意で、現在同教室のサーバ上にホームページを置かせて頂いており、同教室所属の会員中澤港さんに管理をお願いしています。

 会員の方々には一度ご覧になって頂き、改良すべき点・リンクの情報など、ご意見・ご要望を私宛あるいは中澤さん宛にお寄せ頂ければ幸いです。しかる後に、 暫定版から公式版へと移行させたいと考えております。


新入会員

相原淳一 AIHARA Junichi

	〒 980-0862 宮城県仙台市青葉区川内三の丸跡
		    仙台市博物館・学芸員
		    メラネシア・考古学

寄贈図書


20周年記念シンポジウム・第16回研究大会のお知らせ

日本オセアニア学会の創立20周年記念シンポジウムと第16回研究大会を下記の要領で開催致します。多数の会員の皆様のご参加をお待ちしております。ご出欠 を下記フォームにて明年1月15日(金)までに研究大会事務局にお知らせ下さい。

20周年記念シンポジウム『南 太平洋のフロンティア』
日 程: 3月13日(土)午後1時半より
会 場: 東京年金基金センター・セブンシティ
〒 160-0023 東京都新宿区西新宿 4-34-1
tel. 03-3376-5101 (代表), fax. 03-3375-0118
参加費:無料

第16回研究大会
日 程: 3月14日(日)・15日(月)
会 場: 大仁(おおひと)ホテル
〒 410-2322 静岡県田方郡大仁町吉田 1178
tel.0558-76-1111, fax. 0558-76-1860
新幹線三島駅より伊豆箱根鉄道に乗り換え25分、大仁駅下車
タクシーで3分[約 610円]
参加費: 18,000円 (学生 12,000円)の予定(14日の宿泊費・懇親会費込み)
※宿泊でツインルームのシングル・ユースのご希望があれば部屋数に余裕がある範囲でお受けしますので、その旨あらかじめお知らせ下さい。その場 合、参加費は 3,000円程度高くなります。

 20周年記念シンポジウムと第16回研究大会は連続した日程で開催されますが、どちらか一方にのみ参加するという事も可能です。また、連続して参加される 場合、13日夜に大仁ホテルに宿泊して頂いても結構です(その場合の料金[夕食なし、一泊朝食付き]は、ツインルームをお一人で使用の場合 10,650円、お二人で使用の場合 8,340円[いずれも税込み]となります。三島発の伊豆箱根鉄道の最終便は三島発 23:13 ですので、東京発22:07[最終の1本前]のこだま号に乗って頂ければ間に合います)。

 研究大会に参加される方は、出張依頼状を希望されるかどうか、研究発表されるかどうか(発表される場合には、発表題目[必ず英文題目も併記して下さい]、 OHP・スライド等をお使いになるかどうかもご記入下さい)、小シンポジウムを企画されるかどうか(企画される場合には、代表者と発表者、及び小シンポジウム のタイトル、各発表者の発表題目もご記入下さい)をご記入下さい。

 尚、今回の研究大会では日本オセアニア学会創立20周年を記念する催しとして、オセアニア学のパイオニアの方々にお話頂く学会主催の小シンポジウム『オセ アニア学の可能性と課題』を予定しています。


御出欠連絡フォーム

             1. 20周年記念シンポジウム (参加      不参加    )
             2. 第16回研究大会          (参加      不参加    )
             3. 14日大仁ホテル宿泊      (泊まる    泊まらない)
                    シングル・ユース      (希望する  希望しない)
             4. 13日大仁ホテル宿泊      (泊まる    泊まらない)
                    ツイン・ユース        (希望する  希望しない)
                    同宿者のお名前:
             5. 出張依頼状                (必要      不必要    )
             6. 研究発表                  (発表する  発表しない)
                    題目(和文):
                    題目(英文):
                    スライド              (使用する 使用しない)
                    OHP               (使用する 使用しない)

             氏 名:
             所 属:
             連絡先:

                    返送先:〒112-8610 東京都文京区大塚 2-1-1
                                       お茶の水女子大学文教育学部地理学教室
                                       熊谷 圭知
                                       fax. 03-5978-5185
                                       
最近のブラウザならこちらのフォームからも申し込みできます。

 前号のニューズレターでは、シンポジウムの講演者の一人として Jack Golson 博士を予定していましたが、諸般の事情により博士の来日が困難になったため、本学会会員であり、ラピタ研究の第一人者であるカリフォルニア大学バークレー校教授 Patrick V. Kirch 博士に講演して頂く事になりました。

 尚、シンポジウム・研究大会のプログラム等の詳細に関しては、次号のニューズレターでご案内致します。






ニューズレターNo. 61(1998年7月31日発行)より

Man and Culture in Oceania の誌名変更について

第15回総会の議を受けて、次回の第16回の総会にて、学会誌の新名称を提案したいと思います。つきましては、この件に関して御意見・御質問等がございまし たら、事務局までお寄せ下さい。特に、良い誌名(印東道子氏からの私案がニューズレター No. 59 に掲載されています)のアイデアがおありでしたら、積極的にお寄せ頂ければ幸いです。また、現在理事会では和文学会誌の創刊の可能性を検討しております。この点に関して も、御意見をお寄せ頂ければ幸いです。

会員アンケート

第15回総会の議を受けて、今年度の事業として会員名簿を発行する事になりました。つきましては、アンケート用紙を同封致しますので、住所等の変更の有無に 関わらず、事務局まで御返送頂ければ幸いです。アンケート用紙には現在事務局が把握しているデータが記載されていますので、必要な部分を訂正して御返送下さ い。特に、本年2月より郵便番号が7桁化されましたので、その部分のチェックをお願い致します。また、名簿の方に記載されては困るという部分がございました ら、その旨アンケート用紙にお書き添え下さい。尚、E-mail または FAX をお使いの方には、同封のアンケート用紙の他に、E-mail または FAX で同じ内容のアンケートを送らせて頂きます。その場合には、E-mail またはFAX で御返事頂くだけで結構です。また、E-mail でアンケートが来なかった方でも、既にE-mail をお使いの方は、E-mail で御返答頂くだけで結構です。E-mail を使って頂ければ、多大なる労力の節約になりますので、出来る限り御協力下さい。御協力の程、宜しくお願い致します。

20周年記念シンポジウム

第15回総会の議を受けて、今年度の事業として学会20周年記念国際シンポジウムを行う事になりましたが、その概要が決まりましたので、ここに御報告致しま す。尚、一般公開の講演会が中心となりますが、引き続き第16回日本オセアニア学会研究大会が開催される予定です。

  1. 開催時期は、1999年3月とする。
  2. 講演会は4時間程度を予定し、たとえば土曜日の午後をあてる。
  3. 講演者は下記の国外研究者3氏に加え、日本人研究者による発表あるいはコメントを含める。
    篠遠喜彦博士(ビショップ博物館人類学部長)
    ポリネシア考古学のパイオニアの1人で、釣針の研究、ソサエティ諸島・フアヒネ島での大型カヌーの発掘、先史時代の遠洋航海の研究などで国際 的によく知られている。
    Janet M. Davidson 博士(ニュージーランド博物館研究員)
    1986年にポリネシア協会、E・ベスト記念メダルを受賞するなど、ポリネシア考古学の最先端の研究者の1人であり、ラピタ文化複合について も幅広い角度から研究を展開している。
    Jack Golson 博士(オーストラリア国立大学名誉教授)
    ニュージーランドでの考古学研究を皮切りに、オーストラリアとニューギニアで多彩な研究成果をあげる。その中には、9000年前と推定される ニューギニア高地での農耕遺跡の発掘も含まれる。
  4. 講演会は一般公開とし、狭い意味での研究者に限らず、オセアニアという地域および日本やアジアの考古学や人類学に関心をもつ人びとに参加を呼びかけ る。
  5. 講演は日本語および英語とし、英語による発表については同時通訳をつける。
  6. 参加者数は、200名程度を予定する。
  7. 実行委員会は以下のように構成する。
    大塚柳太郎(委員長:東京大学教授)
    青柳真智子(茨城キリスト教大学教授)
    印東道子(北海道東海大学教授)
    片山一道(京都大学教授)
    熊谷圭知(お茶の水女子大学助教授)
    栗田博之(東京外国語大学助教授)
    須藤健一(神戸大学教授)
    棚橋訓(慶應義塾大学助教授)

尚、日時・会場等が正式に決定されましたら、別途御案内致します。

寄贈図書

Archaeology of the Ca ada de Cuicatl n, Oaxaca
(American Museum of Natural History より寄贈)
Canberra Anthropology, vol. 20, nos. 1 & 2
(The Australian National University より寄贈)
『太平洋学会誌』74・75号
(太平洋学会より寄贈)
『日本語教育とその環境 - 太平洋島嶼地域における -』西尾珪子/カッケンブッシュ知念寛子
『第6回太平洋島嶼国メディア関係者招聘事業報告書』ジェッツ・インコーポレイテッド編
『第1回やしの実大学 in 八重山実施報告書』
『COCONUTS通信』No.22
(笹川平和財団笹川島嶼国基金より寄贈)
『日本サンゴ礁学会ニュースレター』創刊号
(日本サンゴ礁学会)

短信

◆パプアニューギニア研究所の音楽部門長であるドン・ナイルズ(Don Niles)氏が訪日し、現在客員教授として広島大学に滞在しています(1998年11月まで)。パプアニューギニアに関する事であれば何でも相談に乗って下さるという事 ですので、関心のある方は直接ナイルズ氏までお問い合わせ下さい。ナイルズ氏の連絡先は次の通りです。

〒 739-0014 広島県東広島市西条昭和町 4-21-701
tel. 0824-21-5885

◆日本学術会議事務局より、『平成10年度における学術研究団体の学術研究集会等開催予定一覧』が届いております。御関心のある方は事務局まで御一報下さ い。

◆日本サンゴ礁学会より入会案内が届いております。御関心のある方は日本サンゴ礁学会事務局に直接お問い合せ下さい。

〒 113 東京都文京区本郷 7-3-1
東京大学理学系地理
茅根創
fax. 03-3814-6358


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