学会通信

このページは,2012年3月31日に最終更新されました。

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過去の学会通信

ニューズレター掲載論文(和文)(2012年3月13日更新)


ニューズレターNo.102から


2011年度 日本オセアニア学会関西地区例会の報告

2011年12月10日、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科川端キャンパスにて、2011年度日本オセアニア学会関西地区例会を開催した。今回の例会には10名が参加し、2名の研究発表が行われた。発表題目、発表者などは以下の通りである:

言語芸術の継承――ベラウチャントの事例から
発表者:紺屋あかり(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
コメンテーター:遠藤 央(京都文教大学)
制度をこえる集まり――絵画を描く/見る
発表者:渡辺 文(日本学術振興会/一橋大学)
コメンテーター:丹羽典生(国立民族学博物館)

紺屋あかり氏の発表では、最新のフィールドワークのデータから、ベラウ(パラオ)のチャント(古典歌謡)の継承をめぐる人々の実践を、単なる「伝統文化の継承」としてだけでなく、言語芸術が生み出される場として捉え直す試みがなされた。継承形態が多様化する都市部の事例と、親族関係に基づいた継承形態が維持される村落部の事例との双方から、人々が社会関係の変化に対応しながらチャント継承の場を再形成していく様子が提示された。コメンテーターの遠藤央氏からは、ベラウにおいて文字化されない知識がもつ権力性、学校教育を通じた文字習得の影響、「伝統文化の継承」のために近年行われるようになった知識の文字化の影響などが指摘された。その後、古典歌謡を継承ないし文字化する意図・目的、ベラウの古典歌謡の定義およびジャンルの区分、技能の伝承と知識の伝承の区分などに関する質疑応答がなされた。

渡辺文氏の発表では、フィジーのオセアニア・センター(Oceania Center for Arts and Culture)における絵画作品群(レッド・ウェーブ・アート)の制作現場を事例として、民族芸術の担い手たちは、グローバルな市場の要請や芸術生産の制度によって一方的にコントロールされているわけではなく、芸術活動の行為遂行性、すなわち芸術家としての身体感覚を動員した人間とモノとの相互作用を通じて、諸制度の制約を換骨奪胎するような創造性を発揮していることが報告された。コメンテーターの丹羽典生氏からは、芸術研究からみたオセアニア芸術の位置づけ、芸術をめぐる諸制度のとらえ方とその定義、芸術作品と作者との関係性、芸術の個性を生み出す要因などに関する指摘がなされた。その後、フロアからの質疑をふまえて、レッド・ウェーブ・アートにおいて人とモノとの関係性が特に重要視されている理由、エペリ・ハウオファをとりまくオセアニアの芸術家の動向などが議論された。

(関西地区例会幹事:飯高伸五)


2011年度 日本オセアニア学会関東地区例会の報告

2012年1月28日(土)、東京大学本郷キャンパスにて、下記のプログラムのとおり2011年度の関東地区研究例会が開催された。

海を渡る生者たちと死者たち
 ――ソロモン諸島マライタ島北部の「海の民」ラウにおける移住、親族関係、葬制
発表者:里見龍樹(東京大学大学院)
コメンテーター:石森大知(東京外国語大学)
ハワイアン・ホームステッドをめぐる血の系譜――オアフ島ワイアナエ地区を事例に
発表者:四條真也(首都大学東京大学院)
コメンテーター:深山直子(東京経済大学)

まず里見氏が、マライタ島の海上居住者による伝統的葬制(トロラエア)を取り上げ、男性と女性の事例を比較検討しつつ、頭蓋骨の移送と埋葬地のネットワークについて報告した。石森のコメントの後、ラウの伝統的信仰、移住と葬制の関係性、居住様式と女性の埋葬のあり方などについて議論がなされた。

つぎに四條氏が、西欧社会との接触後のハワイに、法律を媒体として持ち込まれた血統の概念がどのようにハワイ社会に影響を及ぼしているのかについて報告した。深山氏がコメントした後、現代ハワイにおける親族観の捉え方、そしてハワイ人の土地利用形態の変容などをめぐって議論がおこなわれた。

参加者は11名と小規模ではあったが、フィールドワークを終えたばかりの若手研究者の報告に対して、フロアのほぼ全員が質疑応答をおこない、発表者との間で白熱した議論が交わされる研究例会となった。

(関東地区例会幹事:石森大知)


第29回 日本オセアニア学会研究大会・総会のお知らせ

前号のNEWSLETTERでもお伝えしましたとおり、日本オセアニア学会第29回研究大会・総会を下記の要領で開催いたします。今回は20題を超える演題が予定されております。オセアニア研究の発展を期し、活発な意見交換がなされることを願っております。ご不明点などありましたら大会事務局までお問い合わせ下さい。春たけなわの倉敷にてお会いできること楽しみにしております。

日時:
     2012年3月24日(土)13:00 〜 25日(日)12:00(予定)
     (理事会 3月24日11:00〜12:00、評議員会 12:00〜13:00)
大会会場:
     倉敷市芸文館(http://www.kcpf.or.jp/hall/geibu/
宿泊場所:
     旅館御園(http://misono21.com/
交通:
・大会会場まで
JR倉敷駅から徒歩約15分(南口より南へ1km左側)
・宿泊場所まで
JR倉敷駅から徒歩約8分(南口より西へ約400m。香川銀行を南へ200m右側)

交通の便は以下の通りです:
・電車……山陽新幹線(下り)を利用する場合は、岡山駅で在来線の山陽線か伯備線に乗り換えて倉敷駅へ行くのが便利です。(岡山駅からの所要時間約15分)
・飛行機……岡山空港からJR倉敷駅北口へのバスが出ています。(所要時間約35分)
時刻表は岡山空港HP http://www.okayama-airport.org/ をご覧ください。
・自動車……山陽自動車道倉敷ICから。(所要時間約20分)

参加費:
     有給者 18,000円
     無給者 11,000円(予定)。いずれも24日の宿泊費、懇親会費を含む。
第29回研究大会・総会事務局
〒716-8508 岡山県高梁市伊賀町8 吉備国際大学社会学部
末吉秀二
Tel:0866-22-9375 / Fax:0866-22-8133 / メール:taikai29[atmark]jsos.net
(注)[atmark]は半角の@です。

研究大会プログラム


【3月24日(土)】

理事会・評議員会
11:00〜12:00 理事会
12:00〜13:00 評議員会
研究大会
12:00     受付開始
13:00     会長挨拶(および大会事務局より連絡)
研究発表
<第1セッション 座長:印東道子(国立民族学博物館)>
13:15 つながる陸と海の環境史:八重山諸島石垣島のジオアーケオロジー調査報告
    山口徹、小林竜太(慶應義塾大学、慶應義塾大学大学院)
13:30 西ポリネシアの環礁島における植民と海の資源利用:トケラウ・アタフ環礁の事例から
    小野林太郎(東海大学海洋学部)
13:45 グアム島ハプト遺跡に於けるラッテ期村落について
    片岡修、RK・オルモ(関西外国語大学国際言語学部)
14:00 持続可能な文化遺産保護に向けて:ミクロネシア連邦ナン・マドール遺跡において
    石村智(奈良文化財研究所)
<第2セッション 座長:大西秀之(同志社女子大学)>
14:15 フィジーにおける神話の再解釈と首長即位儀礼
    浅井優一(立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科)
14:30 「カラウ」事件とは何だったのか−日豪間の認識差と事件から68年後の新証言をめぐって
    山田真美(お茶の水女子大学)
14:45 ソロモン諸島の華人の生活史
    有松由衣(北九州市立大学社会システム研究科)
15:00 ソロモン諸島〜ラバウルの貝殻輸出入ネットワーク:ある仲買人のライフヒストリーから
    深田淳太郎(一橋大学大学院社会学研究科)
15:15 コーヒーブレーク
<第3セッション 座長:栗田博之(東京外国語大学)>
15:30 生理用品と女性の身体:パプアニューギニア・アベラム社会における月経期間の過ごし方から
    新本万里子(広島大学大学院総合科学研究科)
15:45 パプアニューギニア・ポートモレスビー市のタリ人セトルメントにおける人口流動
    田所聖志・梅崎昌裕(東京大学人類生態学教室)
16:00 「場所」の生成とその論理:パプアニューギニア、ブラックウォーター、クラインビット村 地誌のための覚書
    熊谷圭知(お茶の水女子大学)
16:15 パプアニューギニア 東セピック州ワシクク丘陵トングシェンプ村のマネー・カルト
    紙村徹(神戸市看護大学看護学部)
16:30 総会
17:30 宿泊・懇親会会場へ移動(送迎マイクロバスまたは徒歩)

【3月25日(日)】

9:00〜 大会会場へ移動(送迎マイクロバスまたは徒歩)
<第4セッション 座長:柄木田康之(宇都宮大学)>
9:30 ウチナーンチュ大会からみた沖縄的国際交流
    小出友視
9:45 ツバル・ナヌメア環礁における人類学者の元調査助手による伝承の「正しさ」の探求
    小林誠(首都大学東京大学院)
10:00 現代パラオ社会における「家族」の考察
    紺屋あかり(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
10:15 パラワン島における丘陵地農業の変容過程の解明にむけて
    増野高司(国立民族学博物館)
10:30 フィリピン・パラワン島先住民の家畜飼育
    辻貴志(国立民族学博物館)
10:45 コーヒーブレーク
<第5セッション 座長:後藤明(南山大学)>
11:00 トンガ人の成長パターンと肥満の年齢変化
    権田絵里
11:15 現金消費の抑制と契機:トンガの積み立てグループにおける個々の実践
    比嘉夏子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
11:30 ニュージーランド・マオリのタトゥー、モコの復興
    秦玲子(京都大学大学院人間・環境学研究科)
11:45 「障害の文化」は生まれるか? サモアにおける障害者福祉活動の展開から
    倉田誠(神戸学院大学)
12:00 ニューカレドニアにみる先住民としてのカナクの慣習的地位
    江戸淳子(杏林大学)
12:15 終了

学会通信


新入会員(webでは所属のみ掲示します)

増野高司
国立民族学博物館 外来研究員

藤井真一
大阪大学大学院


所属変更(webでは新所属のみ掲示します)

根岸洋
青森県教育庁文化財保護課



論文の寄稿について

日本オセアニア学会ニューズレターでは、論文の寄稿を随時受け付けています。




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